北アルプス表銀座-常念山脈縦走【動画】 (燕岳-北燕岳-大天井岳-常念岳-蝶ヶ岳-徳沢-上高地)


- GPS
- 80:00
- 距離
- 36.7km
- 登り
- 3,006m
- 下り
- 2,952m
コースタイム
●2日目(8月21日)燕山荘5:57-(雷鳥観察10分)7:01大下りの頭-9:05大天荘(ヘリ観察20分)9:28-9:35大天井岳9:55-10:01大天荘10:08-12:14常念小屋
●3日目(8月22日)常念小屋5:50-6:57常念岳7:10-10:22蝶槍(休憩20分)10:40-11:10蝶ヶ岳ヒュッテ(ランチ35分)11:44-11:50蝶ヶ岳12:06-12:44長堀山-14:58徳沢(徳澤園)
●4日目(8月23日)徳澤園8:48-10:18明神池10:38-11:48河童橋-12:00上高地バスターミナル
天候 | ・8月20日(月)-晴れのち曇り、夕方から晴れ ・8月21日(火)-快晴(午後3時夕立) ・8月22日(水)-快晴 ・8月23日(木)-快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
・バスがいっぱいになるときは、もう一台臨時で出す模様。 http://nan-an.sakura.ne.jp/bus/bus/nakafusa-teiki-bus21.html ●上高地〜新島々〜松本駅 ・上高地から新島々までバス→新島々駅から松本駅まで電車。バスと電車合わせて片道2400円。所要時間約95分。 ・上高地バスターミナルでチケットを買うと整理番号が付いていて、バス出発の10分前になるとその番号順に呼ばれる。 http://www.alpico.co.jp/access/route_k/honsen/ |
コース状況/ 危険箇所等 |
●中房温泉〜燕山荘 ・特に危険個所なし。 ・北ア三大急登と言われている。(丹沢の大倉尾根よりは楽に感じた。) ●燕山荘〜燕岳〜北燕岳 ・燕山荘周辺はお花畑。燕岳までの道と北燕岳間にコマクサの群生地。 ・白い砂地の登山道でアップダウンは少ない。イルカ岩やメガネ岩などの奇岩がある。 ●燕山荘〜大下りの頭〜喜作レリーフ〜大天荘〜大天井岳 ・燕山荘から大下りの頭までなだらかな下り。大下りの頭からの下りもそう大変ではない。下ったところにお花畑。 ・喜作レリーフ前に鎖場とハシゴ。その先に喜作新道と大天荘への分岐点。分岐点から40分ほど登りで大天荘。ここにザックをデポして大天井岳まで片道10分もかからない。 ●大天荘〜常念小屋 ・大天荘からアップダウンの少ない緩やかな道を歩き次第にハイマツの登山道になる。道なりに歩くと東天井岳と横通岳は巻くことになる。 ・東天井岳を過ぎるとだんだん石や岩が多くなり、岩付けられた赤丸マークをたどってトラバースしながら下る。 ・常念小屋が見えてくるといったん樹林帯の中に入り、それを抜けると小屋に着く。 ●常念小屋〜常念岳〜蝶槍〜蝶ヶ岳ヒュッテ〜蝶ヶ岳 ・小屋から常念岳はゴロゴロ石を登る。浮石あり。どこでも歩けそうだが赤丸マークをたどる。常念岳からの槍穂は最高。蝶ヶ岳ヒュッテまでの稜線も見える。 ・常念岳から蝶槍まで小さいピークが2つほど。いったん樹林帯に入りまた登りが始まる。蝶槍手前はやや急坂だが距離はそれほど長くない。 ・蝶槍からの眺めの絶景。蝶槍からはなだらかな道。蝶ヶ岳ヒュッテから蝶ヶ岳は5分ほど。 ●蝶ヶ岳〜長堀山〜徳沢〜上高地バスターミナル ・蝶ヶ岳から長堀尾根に入り少し下るとお花畑。長堀山手前は登りになるがそれ以降はずっと下り。 ・長堀山の標識以降は徳沢まで標札なし。木に赤いペンキで赤丸マークがついているので安心。途中から赤テープをたどる。少々急な下りだが足元は悪くない。 ・徳沢からバスターミナルは手入れの行き届いたハイキングルート。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
●1日目、8月20日(月)「熊とニアミス!の燕岳」中房温泉〜燕山荘〜燕岳〜北燕岳〜燕山荘(泊)
この週は山友の夏休み。随分前から北アルプス表銀座から常念山脈を縦走する計画をしていて、この日を楽しみにしていた。
穂高駅付近に前泊し穂高神社へ参拝。登山の無事を祈る。翌朝、始発5時5分のバスに乗り中房温泉着。すでに多くの登山客がせわしなく身支度していた。
今回は徳沢での1泊を入れると3泊4日の行程。どう頑張っても10キロちょっとのザックになった。2人とも慣れない重さのザックに少々不安だったが、実際に歩き出すと案外慣れるもので、普段通り歩いた。
自分たちよりもはるかに大きいザックを背負っている登山者たちと行き交いながら、ゆっくり歩りだす。合戦小屋では2人笑顔でスイカにかぶりついた。
北アルプス三大急登と言われるこの道だが、丹沢の大倉尾根と比べるとそれほど苦には感じなかったが、思わぬ体験をした。
もうすぐ鎖場が見えてくるころかと思っていると、2人組の登山者が急ぎ足で歩いてきてすれ違った。「そこの道で笹がガサガサっと揺れて、すごい獣臭がした!」と言う。「通るなら自己主張していったほうが…」と言われた。まさか熊!?足がすっかり固まってしまった。それとも鹿ならいいけど…。
数分していつまでも立ち止まっているわけにいかないので、仕方なく注意して先に進んだ。すると10メートルも歩かないうちにまた違う登山者2人が立ち止まって苦笑いしている。どうしたんだろう?と思って近づくと、「今の見た?」と聞かれた。
「今この道を熊が横ぎったんだよ。」と教えてくれた。大人の熊だった。私たちがさっき数分ほど足止めしていなかったら、まさにその熊とこんにちは状態。その熊は下から上がってきてこの道を横切り、上に登って行ったらしい。
熊の対処法を教えてくれて、鈴も手に持って鳴らしながら歩くようにアドバイスをいただいた。そして、小屋の人に熊情報を伝えるように言われた。
そこからは鈴をブンブン振り回し、人とすれ違うたびに熊のことを伝えながら山小屋へ。熊出没への反応は人それぞれで、山小屋の人の反応も自分の興奮ほどではなくちょっと拍子抜け(笑)。あたしは大げさだったかな?
山の話に戻る。
山小屋がちょうど見えてくるとその付近はお花畑だった。ピンクのハクサンフウロ、綿菓子のようなふわふわのアカバナノシモツケ、黄色いオトギリソウ、白くて小さいヤマハハコ…。今日は時間がたくさんあるのでゆっくり眺められる。
山小屋到着時は霧が上がってきて、景色も白くなりつつあったが、裏銀座が少し見え、燕岳は西側半分が見えていた。
ザックを小屋において燕岳と北燕岳まで足を運ぶ時には、すっかり真っ白になってしまっていたが、まだ頑張って咲いているコマクサを眺めながら歩き、翌日の天気に期待した。
夜は外に出ると満天の星空。天の川に流れ星。priceless!
●2日目、8月21日「雷鳥三兄弟と快晴の槍穂」燕山荘〜大天井岳〜常念小屋(泊)
燕山荘の相部屋は寝台列車のように2段になっていて、畳2畳〜4畳で仕切られていた。私たちは4畳の上段で2人組の女性とご一緒した。1畳に1人のスペースで掛け布団は寝袋。快適だった。前日の夜はその方たちと山の話を楽しみ就寝。この日の朝は4時起きで、美しい朝日でスタート。
6時頃歩き出すと快晴の上に風も少なく、裏銀座と槍ヶ岳を眺めながらの稜線歩きが始まった。カメラをしまう暇もないくらいだ。大下りの頭方面へ歩き出し30分くらいたったころだったか、登山者が一人身じろぎもせず立っている。雷鳥がいた。
昨晩小屋のオーナーが話していた、今年生まれた3羽の子供と母雷鳥。1.2メートルのところでこんなに間近に見たのは初めて。子供たちはちょこちょこ動いて砂遊び、母雷鳥は時折首を長くし辺りを見まわしていた。「クゥークゥー」と小さく鳴く声がかわいく、動画も撮ってみた。
鎖場と梯子を降りると喜作レリーフ。表銀座縦走コースの喜作新道を進む登山者の後姿を眺めながら、自分たちは常念山脈を進む。そこから大天荘まで約40分だが服の上から太陽の日差しを腕にジリジリと感じながら浮石を注意して登った。
大天荘に着くと自衛隊の3人組が何やら打ち合わせ中。年に一度のヘリのホバリング練習だそう。山友はウキウキ。山の下から自分の正面に向かって上がってくるヘリは迫力満点だった。
やっと本来の目的を思い出し、山荘前にザックをデポ、大天井岳へ。今回の山歩きで一番の標高2921メートル。槍ヶ岳の雄々しい姿はもちろん、今まで歩いてきた道、これから歩く縦走路を眺める。
大天荘からは東天井岳あたりはなだらかな道で、ハイマツの中を歩く。足元がだんだんゴロゴロ石になり、横通岳付近は浮石に注意しながら、岩に付けられた赤丸マークをたどってトラバースしていく。常念小屋が見えてきて、いったん森の中に入りその森を抜けると到着。12時を過ぎた時点で常念小屋はうっすら霧の中。山の天気は分からない。
部屋に案内してもらうと、小屋の人がこれから常念岳へ行くかと聞くので、今日はもう霧が上がってきたので行かないと返事をすると、それがいいねと言っていた。
外のテーブルでランチタイムにし、常念小屋の上にそびえる槍ヶ岳と北穂高をゆっくり眺める。また天気が回復したかのようだったが、午後3時からは土砂降り。たったの30分ほどだったが、常念岳に向かった人たちは合羽を着たり、傘を差しながら帰ってきた。
夕方になるときれいに見えていた安曇野市側はすっかり白いスクリーン状態。モクモクと上がってきた霧は山の東側まで来たところで松本市側の空気に押され返されている。常念岳を見ると山の東側半分は霧で隠れ、西側半分は明るく太陽で照らされている。夏の特徴的な光景だそう。
近くの方がブロッケン現象が出たと教えてくれて、その仕組みも話してくれた。真っ白になった安曇野市を何で多くの人が眺めていたのか、ようやく分かった。
この日は9人部屋の女性専用の相部屋に8人。早めの就寝。燕山荘といいこの山荘といい、北アルプスの山小屋は思ったよりも暖かい。窓も二重窓だった。
●3日目「蝶槍二人占め&長堀尾根からハルニレの草原、徳沢へ」常念小屋〜常念岳〜蝶槍〜蝶ヶ岳〜徳沢(泊)
この日も朝4時起床。今日は距離もコースタイムも一番長い。朝日を見て急いで朝食、常念岳へ向かう。
常念山脈のコースは蝶ヶ岳から中村新道を経て上高地へ降りるようだが、中村新道の樹林帯歩きは長く、人も割と少なく、熊も多いようなので、今回は無理をせず長壁尾根を下り、徳沢経由で上高地に降りるルートを選んだ。
本日も快晴。だんだん大きく迫ってくる槍ヶ岳も、次第に良く見えてくる穂高連峰も素晴らしい。常念岳からは2つほどのピークを越えて蝶槍に着く。蝶槍手前では、その名前の通り、小さい尖ったの形のピークが目立って見えてくるので、歩いている方向を間違えることはなった。
蝶槍の山頂手前は傾斜が少々きつかったが長くは続かない。そして、誰もいないこの山頂を2人占め。小休憩しながら圧巻の景色。今回ほどの大展望を眺めながらの縦走は、最高の体験になると思う。火曜から続くこれだけの好天気は予想以上だった。
蝶槍を過ぎると蝶ヶ岳ヒュッテまでなだらかな稜線歩き。ヒュッテでランチを済ませると蝶ヶ岳へ。20年前までは蝶槍が蝶ヶ岳山頂だったらしいが、十数メートルこちらの方が高かったらしく山頂を移したようだ。ここから眺める景色も良かった。
ここからの長堀尾根は徳沢まで3時間続く。先日、とある遭難体験記を読んでいて、今回の山歩きの緊張感は後半に差し掛かるほど強くなっていた。しかも来る前に読んでいた北アルプスの本には、この尾根は道幅が広く迷いやすいとあった。
実際歩くと、多くの木に赤いペンキで丸印が付けてあり、道幅が広くコースアウトしそうな所には緑のロープが張られていて安心だった。ただ、長堀山を過ぎ樹林帯の急坂が始まると歩いても歩いても標札1つ無く、道は外していないと確信していながらも、あとどれくらいで徳沢に着くのかさっぱり見当がつかなくて不安になった。
我慢できなくなって山友に「(なかなか着かないけど、)あってるよね?」と聞くと、山友は冷静に「あってるよ。ほらもうテントが見えるじゃない。」と指をさした。よく見るともう徳沢のテント場。青いテントが見えた。
予定通り、15時ジャスト徳澤園に到着。
やっとほっとしてソフトクリームを食べて一息つく。ハルニレの草原のテント場は、ふかふかの芝生が気持ちよさそう。思い思いにくつろいでいる様子を見ると、小屋泊とはまた違った、まだ自分の経験したことのない楽しみがあるように見えた。
今回の縦走前にNHKの『氷壁』は見てきたが、実際に前穂高の岩壁を見ると小説の方も読んでみたいと思う。
●4日目「縦走を終えて上高地散策」徳沢〜明神池〜穂高社奥宮(御礼参り)〜河童橋〜上高地バスターミナル
徳沢の朝の光景は登山者天国だ。明るくなってくると登山者の声が聞こえてくる。今日はどこへ行くのかとか、またお会いしましょうねとか。
徳沢から明神池に寄り、穂高神社の奥宮でお礼参りして、ゆっくり散策。梓川と周囲の山並みが美しい。川の水面には六百山が移っていた。
今回も心配な個所は山友と二人で確認しあいながら歩いた。初めての北アルプス縦走で期待と不安が半々だったが、お互い事故もケガもなく無事に歩いてこれて本当に良かった。至らないところも沢山あると思うが、いつも寡黙で冷静な山友は頼もしい。達成感のある縦走路だった。
どうもありがとうございました。
【燕岳-北燕岳-大天井岳-常念岳-蝶ヶ岳-上高地:8月の花】花アルバム8
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-220175.html
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する