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90ページで税別1,100円。ページ数のわりにはお高いのですが、そんなに需要もないでしょうから仕方ありません。
この本を読むきっかけとなったのは、
やまきふ共済会(日記):落石で損害賠償?
https://www.yamareco.com/modules/diary/112520-detail-77379
を読んだからでした。
結論からいうと、やまきふ共済会(日記)のとおりで、法的な観点からいうと落石が多発するような場所では重過失(後続にパーティがいるのを知っていたにのも関わらず石を下に蹴とばす等)でないと損害賠償責任(民法709条)・過失致死傷罪(刑法210条)には問えません。
というのは、落石が発生しやすい場所でそのような法を取り上げると、通常の登山で落石が発生した時にその地域の登山そのものが成り立たなくなるという理由からです。
後続者は落石が発生するのが当然と思うべきであり、上からの落石と自分が滑落した時に備えてヘルメットを着用。落石は承認された危険に含まれ、落石事故が起きても違法性が無いとの事。
とはいえ、保険代理店によっては落石の保険金支払い例を示しているところがあります。過去の保険金支払いから例を示していると思われますので、個人賠償責任を気にする方は、そのような経験が豊富な保険代理店での保険加入をおすすめします。
「山岳事故の法的責任 登山の指針と紛争予防のために」は簡潔な文章で分かりやすいです。作者は登山経験が豊富で個人(法人)の責任について、その事を違法とすると登山が成り立つのかという問いが根底にあります。被害者の救済と加害者の過失を問うマスコミ報道とは事件へのアプローチが違います。実際の判決と解説で山のリスクを考える良い本だと思います。
内容(目次)は・・・
はしがき
1、総論
2、友人同士の登山
3、山岳会などでの登山
4、ツアー登山、ガイド登山
5、登山講習会
6、学校登山
7、大学山岳部
8、ボランティア活動中の事故
9、職務中の事故
10、特別な関係がない者の間の事故
11、救助活動中の事故
12、危険の承認、リスクの説明
13、登山道の管理責任
14、法的責任への対処
参考文献
からなります。気になる項目がある方は購入して読んで下さい。価格分の価値は十分にあります。
株式会社ブイツーソリューション
山岳事故の法的責任 登山の指針と紛争予防のために
溝手 康史 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4434202324
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