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A「ええ。無事に下山が出来れば遭難でないという方がいらっしゃるようですが、遭難です。計画から外れて一夜を山で過ごしたわけですから」
I「三日間も山で道迷いしていたわりには捜索に来た山岳救助隊の隊員に「こんなのは遭難でない」と強がりを言った方がいたとか(注:埼玉県の山で本当にあったお話です)。
遭難したのは10月との事ですが、一夜を山で過ごすのは寒かったでしょう?」
A「本当に寒かったです。行動中は日が暮れて冷えてきたなあとは思いつつも、動いていれば体は暖かいです。でも、停滞すると寒さが身にしみます」
I「ふんふん。停滞という事はヘッドランプをお持ちでなかった?それとも道迷いですか?」
A「ヘッドランプは持っていたのですが、点灯しなくて・・・。後で確認するとヘッドランプに乾電池を入れっぱなしで液漏れしていました。暗くなった時のお守り状態でチェックしていませんでした」
I「そうですか。ヘッドランプの使用頻度が低いと乾電池がまだ持つだろうで入れっぱなしになりがちでしょうね」
A「ええ、おっしゃる通りです」
I「で、山で一夜を過ごしたと」
A「寒かったですねえ。レインスーツも着ました。足元からの冷えがキツイです」
I「エマージェンシーブランケットなどはお持ちでなかった?」
A「持っていませんでした。寒さもそうですが、暗い山で停滞すると時間の経過が遅く感じるのと周囲の環境に襲われる気分になります」
I「あ〜、「Woods shock」というヤツですね。自然を求めて山に来たのに周囲の環境に襲われる気分になるとは。山というものは怖いですね」
A「自分の正しさというか、正常さを見失うんですよね・・・」
saitama-nの日記:Woods shock the silent killer(道迷いの心理)
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-198708
I「そんな思いをしつつも、山で一夜を過ごして無事に下山できたと」
A「はい。自分の計画の甘さを痛感しました。途中で撤退すれば良かったのですが、ピストンの計画でなかったので歩き通そうとしたのが間違えでした」
I「それで、その後はビバーク用品を装備に組み込んだのですか?」
A「いいえ、仮にあの時にエマージェンシーブランケットがあったところで、二度とあんな思いはしたくありません。計画の甘さを見直したのと、先々を考えての行動で撤退を視野に入れて行動するようになりました」
I「ほぉ。そんな考えになるものですか?てっきり装備をそろえるものだと思いました」
A「いくら装備がそろっていても計画が甘いのでは同じことを繰り返します。登山は自分を危機に陥らせる事が目的ではありませんし」
I「事前に危機の芽を摘むという事ですな」
A「そうです。山行後にヘッドランプの乾電池を抜くクセをつけました。必ず新しい乾電池を入れて山に行きます」
I「そういえば、長期保存のエマージェンシーブランケットを試しに使おうとしたら蒸着されているアルミがボロボロ落ちた方がいました(本当にあった自分の経験)。安物だったのかもしれませんが、山行前に使えるかの確認は必要ですね」
A「ええ、その通りです。山行前に山で使うものの確認をするようになりました。
「登山の遭難は家から始まっている」の意味が分かりました。事前に危機の芽を摘まないとです」
I「そうですか。遭難しても得るものがあったという点では良い経験をされましたね」
A「二度と経験したくないですけどね(笑)」
以上は自分の妄想ですが、自分も二度と山でビバークしたくないです。
装備が揃っていても。
saitama-nの日記:エマージェンシーブランケット(シート)
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-229891
saitama-nの日記:ビバーク考(やるなら積極的に)
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-246087
saitama-nの日記:浦山大日堂-酉谷山避難小屋ピストンの帰り道で道迷いして散々な目にあった話
https://www.yamareco.com/modules/diary/148886-detail-223111
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