行けば、なんとなくホッとする。
私の山登りは、ここから始まったという感覚がある。
長らく中断していた山歩きを再開するきっかけになったのが、筑波山だった。
家から見える山は富士山以外一つもわからなかったのが、登ったことで富士山と反対方向にある筑波山をまず覚えた。
それから十年弱の間に十数回登り、回数は人生で一番登った山になった。
筑波山には毎日だとか毎週登っているような人がたくさんいて、そのような方々とは比ぶべくもないけれど。
初めてカタクリの花を見たのも筑波山。
単独で初めて、というか数十年ぶりに単独で登ったのも筑波山。
病み上がりに息を切らしながら、顔だけはニコニコと自分でもおかしいと思うくらい上機嫌で、人っ気のない冬のキャンプ場コースを登ったこともあった。
しばらく間があくと、確かめるように筑波山へ向かう。
私にとって筑波山はそういう山だ。
北アルプスでは、穂高にホームを感じる。一番長い時間を過ごした山だ。
どの山を歩いていても穂高連峰が見えると懐かしい気持ちになる。
ジャンダルムを染めながら笠ヶ岳へ沈む夕日や、常念岳の上から一面の雲海を照らす月、モルゲンロートに染まる涸沢カール。忘れられない景色がたくさんある。
大昔、九州にいた頃は九重がホームだった。やまなみハイウェイから三俣山のポコポコした形が見えたら、今でもホッとするだろう。長者原ヘルスセンターの前にガイド犬の平治号がいないか探してしまいそうだ。
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