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私は雷岩を越えて、そのまま幅の広い稜線の方へと足を進める。南の方を見ると、眼下600メートルくらい、遠方2〜3キロメートルくらいに上日川ダムが見える。下調べの情報には、視界が悪いとよく目にしたので以外であった。
十分ではないか、としばらく止り立ったままその景色に見入っている。以外に風は強く、だんだんと体温をとられていくのだが、まだ寒さを心地よく感じることができる。身体は大丈夫なのだが、首から入ってくる風と頭が寒い。そういえば登山家はよく帽子をかぶっていたな。
すると、ザッザッと音が近づいて来る。私はギョッとして思わず音の方に向けて、かまえてしまった。
しかし目に入ってきたのは、若い女性の登山者で、一人で稜線を反対側から歩いてきたらしい。
これまで殆んど人はいなく、人の気配を全く感じていなかったので、かなり驚いてしまった。
「こんにちわ」とあいさつをかけてくれたので、私も「ニッ」と笑顔を作り「こんにちわ」とあいさつを返す。
私の周りでは朝も昼も夜も「おはようございます」なので、「こんにちは」が妙に新鮮な感じがする。
大学か何かの山岳部で、トレーニングでもしているのだろうか。装備は私と違い完璧で、薄いピンク色の防寒アウターを着て、30リットルくらいのザックに防水カバー、足にはスパッツを着け、両手にはストックを持っている。私はちょっとドキドキしていると、軽快な足取りであっというまに見えなくなってしまった。あまりにあっというまで、少し置いて行かれたような寂しい気持ちになってしまった。
わたしはカッコウ的にまずかったかな、はたまた私の笑顔が気色悪かったのかな、などと思いまた先へ進む。
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