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私も精神的に少しおかしくなり幻覚を見ているのかと思い、深呼吸をして冷静に凝視してみるがやはり動いて見える。9月の終わりでまだ暑くなるために、エアコンの風を向けているのだが明らかにサイクルが違う。驚いて一瞬でも息を吹き返したのかと思い、口のほうへ顔を近づけて見るが、息を吹き返した感じではない。持ち上げると身体は冷え切って硬直している。
しばらくその不思議な感覚のままでいたが、箱を又もとにもどした。
妻に聞くとベルの最後は、初めベッドの上へ妻と一緒に横になっていたが、タンスの上に作った寝床で、昔よく居た場所のほうを見て行きたそうにしていると妻が感じたらしく、そこへ連れて行ってやった。当然自分ではもう歩けなくなっている。
しばらくしてトイレに行きたくなったらしく、立とうとするがそこでしてしまう。この辺りから妻はパニックになったので、記憶は定かではないらしいが、抱き上げて下を拭いてあげようとしたところ、そのまま目を見開き口を開け、搾り出すように3回カッカッカッとやって動かなくなったそうだ。
妻は何度も「ベルー」「ベルー」と呼んだが、もう帰ってくることは無かったそうだ。自分が動かしたことで殺してしまったと思い込んだ妻は混乱状態になったらしい。
2人でこれからどうしようかと話し合う。以前、車を近所の森の横に駐車して軽く寝ていたときに、不思議にものすごく清々しく気持ちの良い場所が有った。そこはひょっとすると磁場か何かの影響の有る場所かもしれない。2人でそこまで行き良い場所を探そうと決め、ベルを連れて行くことにした。
車から降りて森の中へ入っていった。丘の方へ向い森の中をどんどん進んでいく。この頃はまだ山登りも始めていなかったので、すぐに息は上がり膝はガクガクするが、そのまま上まで登り丁度太陽も当たる少し開けた場所を見つけることができたので、2人で頷き合いこの場所へベルを寝かせることに決めた。
70cm位まで掘り進め箱からベルを出し、タオルを巻いたまま穴の中へ寝かせた。妻は辛いらしく見ることができずにいる。
私はゆっくりと土をかけ、顔だけになったところでタオルを外し最後の別れを告げて土をかけていった。
自宅へ帰るとその晩は外はひどい嵐になり、雷は鳴り響き雨は轟々と降っていた。翌日になりその場所へ行ってみると、ちょうどあんばい良く土がならされている。
妻はここでベルが栄養になって、いっぱい花が咲いて大きな木が生えたらいいねと言っていた。
つづく
お久しぶりです。
およそ、3ヶ月前に甲武信ヶ岳で会った者です。
日記、読ませていただきました。
高校生の時に子猫が立て続けに3匹、亡くなった経験をしたので、その悲しさを思い出してしまいました。
最愛のものをなくす悲しみは、つらいですよね…。
お察しします…。
雪の甲武信ヶ岳は、なかなか趣がありよろしかったですね。
3匹もいきなりとは、可愛がっていたら尚の事
沈み込んでしまいそうですね。
私もしばらくは、思い出しては悲しんでいましたが
苦しい悲しみではなく、新たな力を与えてくれる悲しみでした。
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