１月２８日（日）都埋文と三都県埋文セミナーと北海道青森縄文世界遺産セミナー

2024年02月01日 08:41講演会・研究会全体に公開

１月２８日（日）都埋文と三都県埋文セミナーと北海道青森縄文世界遺産セミナー

昨日から忙しい日程が続く。午前中、品川区荏原文化会館で三都県埋文セミナーで「旧石器から縄文」移行期に関するセミナーがあり、つまり旧石器時代末から縄文時代への移行期の列島で土器が初めて出現する時期の気候の激変期に関するもの。世界的な気候激変期を概観し、各都県の埋文研究者が、それぞれの地域の縄文創草期の遺跡に関して報告した。縄文時代の幕開けを告げる列島最古の土器は青森県大平山元遺跡で出現した。以下、列島各地で草創期の土器片が出ている。初期の土器はかけらしか出てこない。1.6万年前以降、やや温暖化し、またヤンガードライアス期という寒の戻りがあり、その後一気に温暖化が進み、完形土器が現れ、文様も華やかになっていく。最初の土器は無文だった。東京都内ではあきる野市の前田耕地遺跡が著名で、二宮考古館で土器やサケの骨などの出土品を見たのはもう10年近く前だった。近年、東京都埋文と東京大学の共同研究により前田耕地遺跡の研究が進んできた。今回の三都県セミナーは東京都主催なので、この前田耕地の研究が多いなポイントとなった。

　一方、神奈川の報告では土器ではなく分厚く火山噴出物などが積もった相模野台地における縄文草創期の石器、石材の時期ごとの変化について報告があった。旧石器時代のような長距離の移動．遊動生活から、移動距離の少ない生活に移行し、遠距離石材でなく在地の石材をより多く消費するようになり、石器構成も次第に変化してくる様子を報告。草創期は旧石器末の細石刃が次第になくなって縄文石器へと変化する移行期だ。その細石刃は日本列島方は次第に姿を消すが、もともと細石刃が生まれた大陸では新石器時代になっても細石刃が残り、農業の収穫具として欧州などでは使われたらしい。縄文時代併行期の欧州や中国は農耕時代だった。
　次の埼玉県の報告も同じく旧石器末から縄文草創期にかけての気候・植生の変化と遊動域の縮小、石器の推移を報告したもので、東京の前田耕地のような遺跡があまり見られないためか？神奈川には住居跡が多く出た著名な田名向原遺跡があるが、ここはおよそ2万年前でまだ縄文草創期の前だ。
　実は、今回は神奈川までで会場を後にして、有楽町朝日ホールで開催される青森・北海道の世界遺産セミナーがあり、午後には前田耕地遺跡の最近の発掘調査にもかかわった東大准教授の森先一貴氏の講演もあったが、資料集に長文の報告が掲載されているので、有楽町に向かう。駅でパンをかじり、有楽町駅に出て会場に向かう。会場に入ると大観衆がすでに席についているが、一番前には入りきれない参加者のために椅子が並べており、一番前に何とか座った。
　わざわざ、ここに移動したのは、青森の大平山本遺跡と函館市の垣ノ島遺跡の近況報告があるためだった。二つとも数年前に訪問したが、世界遺産に登録され、史跡整備が進んでいると思われたからだ。古いヤマレコの記録を見ると、2018年に垣ノ島遺跡、2015年に大平山元遺跡を訪問している。結構前だった。特に今回、大平山元遺跡に関しては、世界遺産登録決定にも関連して、新たに史跡範囲の確認調査、新たな発掘調査を始めて、遺跡の広がりを調査し、遺跡の中心部に立つ民家（最初に遺物を発見した家の新築）と交渉して家を移動し、史跡公園の準備と新しい資料館の建設が始まっていた。この4月末にオープンするようだ。時間のある時にまた訪問してみたい。垣ノ島も同様だ。世界遺産関連遺跡の最新動向を知る良い機会だった。
　
　
　

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