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2019年05月28日 12:56クライミング全体に公開

クライマーは何故ヨレるのか。

クライミングと栄養補給についてちょっとメモがてらまとめてみました。
糖質制限とクライマーの相性は悪い。という説明。

登る前に食べると身体が重くなりそうだから食べない。
落したい課題があるから当日の食事は我慢する。
減量のためにトレーニング後はプロテインだけ飲んで食事をとらない。

こういう考えの人。少なくないような気がします。
僕もそうでした。
でも実際の所それってどうなのでしょう。

運動強度の高いクライミング。登っていると途中から腕がプルプルと張っていき、最後の一手は目の前だというのに手が出ない。。。いわゆるヨレ落ち。

これは一体何なのか。

結論から言えばエネルギー不足です。
登るための筋肉からエネルギーが枯渇したガス欠状態をヨレたと言っているのです。

少し難しい話をすると、筋肉はATP(アデノシン三リン酸)という物質からADP(アデノシン二リン酸+P(リン酸)という物質に分解される事で発生したエネルギーによって収縮します。
つまりATPが大量にあれば筋肉を沢山動かすことが出来ます。
しかし身体の中にATPをそのまま保有する事はほとんど出来ないので、様々な形でATPを合成しています。

ATP合成の仕組みは複数あり、その持続性も異なります。
1.ADPを再合成するクレアチンリン酸(ATP-CP回路)・・・8秒
2.無酸素運動(乳酸系)・・・・1分
3.有酸素運動(TCA回路)・・・・1分以上
※大変なので詳細な説明を省きます。

1は短距離走
2は中距離走
3は長距離走
といった風な分類がよくされますが、クライミングは強度に波があるため、無酸素運動と有酸素運動を同時に行っており、無酸素運動系の運動を極力抑えて有酸素運動系での運動比率を増やして体内のエネルギーを効率よく使用する事が持久力の正体となります。

また、それぞれが回復力に違いがあります。
1.CP系・・・3分〜5分
2.無酸素系・・・30分〜数時間
3.有酸素系・・・1時間程度
しかしこれらは、乳酸及び酸素不足の回復までにかかる時間であり、失われたエネルギー源は食事によって補給しなければなりません。

体内に蓄えられるグリコーゲン(糖質)量は20%が肝臓で、80%は骨筋組織にあり、その量は決して多くはありません。
普段活動しているだけでもエネルギーは消費し続けていますので、持久力を最大に保ちたい場合は、限界までエネルギーを蓄えたいところです。
登ってから数日は全力で登れなくなりますが、筋肉の中の糖質を使い切ってしまった事が主な原因です。(筋疲労も当然伴いますが)

そしてここからが重要なのですが、運動の材料は主にグリコーゲン(糖質)ですが、他にも脂肪やタンパク質からも賄われています。
脂肪だけ使われてくれれば良いのですが、同時に筋肉を分解して糖質に異化してエネルギーとして使用してしまいます。

ちなみに筋肉は筋トレで傷つき回復した時により強くなるという超回復理論が良く用いられますが、最近ではこれは間違いであると指摘されています。
筋肉を傷つける必要はなく、筋肉を限界まで使用する刺激を与える事で身体がその負荷に対応しようと強化されます。
トレーニングの要は限界ギリギリのホールドを保持する事です。

さて、ここまでをまとめると。
1.登る前にはしっかりとエネルギーで身体を満たす必要がある。
しかし食事をとってから消化して栄養となるまでに時間がかかります。
その内容についても深い研究が必要となります。

2.疲労回復のためには食事が不可欠である。
一発勝負を狙うのであれば体重を軽くし、CP回路のみでトライするのは有効かもしれませんが、一日に何度もトライするのであればオススメしません。

3.糖質が無いと筋肉は分解されてしまう。
トレーニング後には疲労回復のために積極的に筋肉は糖質を吸収しようとします。その時にアミノ酸も取り込む事で筋肉は大きくなります。糖質が不足しているとその活動が制限されてしまいます。

最後に、最初の3点を振り返ってみます。
1.登る前に食べると身体が重くなりそうだから食べない。
2.落したい課題があるから当日の食事は我慢する。
3.減量のためにトレーニング後はプロテインだけ飲んで食事をとらない。

。。。いかがでしょうか?

【参考】
http://www10.plala.or.jp/azzurri/sprint/basic_study/energy_production.html
https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/about/nutrition/sports-nutrition/essential-nutrients/carbohydrates.html
https://retu27.com/blog-entry-646.html
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/index2.htm
http://sugp.wakasato.jp/Material/Medicine/cai/text/subject09/no4/html/section1.html
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