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2019年08月15日 15:09回想の山旅全体に公開

尾瀬・早春の山スキー 〜至仏山ムジナ沢を滑る〜

 同じ時期に同じ山に2年連続して登ったのは、3月の至仏山だけだ。雪原の尾瀬ヶ原、雪を頂く燧岳、平ガ岳から越後三山への真白き山脈と、山頂からの景色は何もかもが絶景だった。しかも、頂から一気に滑り降りる山スキーの醍醐味は、忘れられない。
 3月の春分の日前後の至仏山は、幸い2度とも雪が安定していて雪質も悪くなかった。山頂付近も、がりがりでエッジが立たないほどではなかったし、標高差800mを一気に滑り降りる爽快さは、言葉に言い難いものがある。

 最初の年(昭和52年、1977年)は、ヤマレコのkichichanと土倉から富士見峠を越えて尾瀬ヶ原に入った。富士見峠のあたりは、ダケカンバの林の木々にびっしりと雪がついていて、時ならぬ白銀の世界だったのが印象に残っている。オオシラビソにも結構雪がついていたから、前日にでも季節のぶり返しで吹雪いたのだろう。この日は、山の鼻まで行って、テントを張った。
 次の日は、天気も良く、夏山の道にほぼ沿って至仏山頂上まで登った。頂上で、これから滑るムジナ沢を観察する。雪崩のデブリも見られないのに一安心。それでも最初は、雪質がよく分からないので、ゆっくりと傾斜を取って滑り始める。適当なところで、思い切ってクリスチャニア風に回ってみると、意外とスムーズに回れた。こうなると、誰もいない大斜面を滑っていくのは気持ちよく、ぐんぐん滑り降りてしまう。これではあまりにもったいないと、ときどき滑るのをやめて景色を見る。山の鼻から至仏山を見上げると、春の訪れも近いような穏やかさ。
 山行最後の日は、鳩待峠に出て、林道を滑走する。荷物を背負って滑っていくのは、それほど快適ではないが、時間の節約になるのでありがたい。kichichanによると、鳩待峠で足を負傷した登山者の救助活動が行われているのに出合ったという。

 次の年(昭和53年、1978年)は、大学時代の山スキー仲間だったH君と出かけた。この頃になると仕事の関係もあったのだろう、土曜日の早朝上野駅から列車に乗り、沼田駅からはタクシーで鳩待口まで行った。
 午前11時にはスキーにシールを張って歩き始めるが、あまり天気は良くなく周囲の山の景色もうかがえないので、淡々と進むばかりである。午後3時35分に津奈木沢口、午後5時30分には鳩待峠に到着する。ダテカンバの林間にテントを張る。
 翌朝、午前6時30分には起きたが、やはり天気は良くない。この日は偵察を兼ねて尾根筋をいけるところまで登って行こうと、午前10時に出発する。濃いガスがかかる中、2050m付近の森林限界まで行ったが、小至仏や至仏山の山頂はおろか、雪原に出るとホワイトアウトの状態で全く目標がつかめない。この状態で登り続けるのは、リスクが高いと判断し、戻ることにする。だが、濃い霧がかかって地形的な特色がない樹林帯の中をスキーで滑っていくと、ともすると方向感覚が分からなくなる。気が付くと、どうやら右側の尾根方向に降りすぎてしまったようだ。あわてて登り返す。最後はトラバース気味にコースをとると、どうやら登ってきた尾根筋に戻ることができた。スキーはあっという間に高度を落とすから気を付けないといけないと、肝に銘ずる。午後2時45分宿営地に戻る。
 夜半から、雪が降ってきた。朝になっても雪は降りやまないので、この日は山ノ鼻の方に下って様子を見ることに計画を変更。午前8時30分に宿営地を出発、1時間ほどで山ノ鼻に到着した。そこから樹林帯を1時間ほど登って森林限界まで出たが、雪交じりの風が強く吹いている。この日も、ここから引き返すことにした。山ノ鼻で昼食をとり、しばらくあたりを散策して午後3時には設営地に戻る。
 次の日は、起きてみると高曇りだったが、風が弱まっていた。峠から直接稜線伝いに山頂に登るラストチャンスだ。
 午前7時15分に出発、9時15分には小至仏、9時45分には至仏山山頂と、順調に登る。山頂は風もなく、尾瀬ヶ原、燧岳ばかりでなく、平が岳、越後三山まで見渡せる好天である。しばらく絶景を楽しみ、ムジナ沢を滑る。滑り始めると、1時間もかからずムジナ沢の出合に着く。なんだかもったいない気分だ。至仏山を見上げながらゆったりと昼をとった。    
 とはいえ、今日中に東京に帰る必要があるので、あまりのんびりとはしておれない。午後1時にはテント設営地に戻り、急いでテントを撤収。午後2時10分には下山を開始し、ひたすら林道を滑って行って、午後4時に土倉まで降りた。

(参考)昭和53年(1978年)3月18日〜3月21日の山行記録
3月18日(土) 晴れのち曇り
 5:53 上野発、9:10 沼田 タクシーで鳩待口、11:00同出発、15:35津奈木沢口、17:30 鳩待峠着。ダテカンバの林間に宿営。
3月19日(日) 曇り
 6:30起床、10:00宿営地出発、濃いガスの中尾根筋を登る、12:20 森林限界に達するが、濃いガスで見通しが効かない。2048mピーク手前で引き返す、14:45 宿営地着。
3月20日(月) 昨夜来吹雪
 6:00起床、8:30宿営地出発、9:35山の鼻、10:00同出発、11:00至仏山の森林限界付近に達するも、風強く吹雪。ここから引き返す、11:45山ノ鼻で昼食。付近を散策、13:15山の鼻出発、15:00宿営地着。
3月21日(火) 高曇り、風弱し
 5:20起床、7:15宿営地出発、9:15小至仏、9:45至仏山山頂、10:10同発、ムジナ沢を滑降、11:00ムジナ沢出合着、昼食、11:45山ノ鼻、13:00宿営地着、テント撤収、14:10同出発、14:50津奈木沢出合、16:00土倉着。
 
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