昨日NHKで放送した田部井淳子さんの「人生のしまい方」。録画してあったものを見た。あらためて凄い人だと思った。エベレストに女性として初登頂という実績としてではなく、彼女の生き方そのものにだ。人はこんなにも強くなれるのか？
そしてご主人の政伸さんに対しても。
これまで、名前やその実績は聞いていたし、被災地の高校生を富士山へというプロジェクトも知っていたが、その人となりは存じ上げていなかった。お亡くなりになったときも「とうとう・・・」という思いだけだったが。
ふた月ほど前に「淳子のてっぺん」(唯川恵 幻冬舎)を手に取り、小説ではあるけれどもおおよその生き様を感じ取ることはできた。
そして今回の放送・・・
体中癌に侵され手術後すぐに高校生を見送りに富士山へ。寛解後、やがて脳の腫瘍が発覚。抗がん剤や放射線の治療をし、足が思うように上がらなくなっても笑顔で富士登山プロジェクトへ同行し、笑顔で高校生を励ましながら登る。
「病気になっても病気には負けない」という言葉のとおり、最後まで病気に負けなかった田部井さん。後半は涙が頬を伝うままに見ていた。
ご主人の政伸さんも登山家。でも、結婚し、淳子さんを支えるために自分の登山家としての思いは横に置いて、淳子さんを支えながら歩んだ。その優しさと温かさと強さにも感動。
田部井さんは脳腫瘍が見つかったとき、「まだ誰にも言ってないんだけど、これは撮影しておいてほしくて」といって映像に収まっていた。
番組の構成上、苦しんだり、醜かったりする部分はカットしてしまい、彼女の生き方を美化するような編集がなされたかもしれないことは十分に考えられるのだが、それにしても、である。
田部井淳子さんはこの撮影をとおし自分が死んだ後に私たちに何かを伝えたかったのだという気がしてならない。
それは、富士山頂を目指す高校生にも伝えていた思い。「歩幅はわずか40�僂阿蕕い世韻譴鼻�後に戻らず一歩ずつ、一歩ずつ進めばかならず山頂にたどりつく。」
「一歩ずつ、一歩ずつ」は登山をしながらきつくなると僕も心に言い聞かせる言葉。
田部井さんも山を登りながら体で感じ人生の銘とした言葉なのかもしれない。
まさに一歩ずつ一歩ずつ田部井さんは歩んで人生の高みに到達し、そして空へ登っていった。
僕も一歩ずつ、一歩ずつ歩んでいこう。この番組を見てあらためて勇気を与えてもらった。
今更ながらだが、ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。
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