目に映るものすべてが新鮮で、まるで別世界の扉を開いたかのよう。
樹林に覆われた味気ない山頂も、ガスガスの稜線だって笑って受け入れられた。
雨の中を濡れて歩くことも厭わなかった。
ただひたむきに、純粋に、山に関わる全てものが楽しくて仕方なかったあの頃。
しかし熱はいつか冷める。
何度も踏んだ頂は最初の感動を届けてはくれなくなった。
まだ見ぬ頂は遥か遠く、そこに至るまでの道筋を思うと億劫になった。
天気が良いからどこか行かなきゃ、そんな義務感に似た感情に駆られる日々。
最初は理由なんてどうでもよくて、何も考えずに楽しめたのに
いつしか『どうして山に登るのか?』と自問自答する時間が増えた。
何故自分に対して必死に言い訳をしながら登らなければならないのか…自分自身が滑稽に思えた。
2017年当時、登山を始めて8年目の私の心境はこんな感じだったと記憶しています。
前年に妻が入院したのを境に登山への熱量は下降の一途を辿りました。
退院して無事健康に山には登れるようになりましたが、最初の頃の熱量には到底至らず。
どんな趣味だって5年も続ければ飽きることだってあるでしょう。
逆に言えば8年続いたのは長かった方だなぁ、と当時の私は思っていました。
この年、あれほど好きだったテント泊を一度もしていない事に気付いた私は岐路に立っていたのです。
登山を『続ける』か『やめる』かの岐路に。
こうして迎えた2017年9月9日。
その年最初のテント泊。この日私たちはひとりの山友と出会いました。
そしてそれは我々の山を語る上で避けて通れない大きな転換点だったのです。
2017年9月9日〜10日 白馬大池回顧録(テント泊 蓮華温泉ピストン)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4892527.html
登山8年目の私たちは『山』を『目的』とすることに疲れていたのだと思います。
行きたい山、魅力的な山はあらかた登り、何度も同じ山を登れば魅力は半減。
残った山には『目的地』たる魅力をあまり感じられない、もしくは行くのも億劫なほど遠い山。
彼女との出会いは、そんな私たちに新たな可能性を提示してくれました。
山は『目的』ではなく、あくまでも友達と遊ぶための『手段』として捉えること。
友達と遊ぶのが『目的』なのだから、展望が悪かろうが、天気が悪かろうが
友達と楽しく遊べれば山なんてどこだって、どんなだって良い。
そういう考え方もあっていいんだと、彼女との出会いを通じて世界が広がった気がしました。
それから私たちの登山スタイルは大きく変わることになります。
『どこに登るのか』ではなく『誰とどのように登るのか』を重視するようになり
夫婦二人で行く山行よりも、+α誰かと行く山行が増えていきました。
それに伴い、山に対するモチベーションも自然と回復していったのでした。
結局それも数年後にはコロナによって一旦終止符を打たれることになるのですが…
最終的に何が言いたかったかと言えば
山という趣味に行き詰まりを感じた時、私を救ってくれたのは人との出会いだったというお話でした。
決してソロを否定するわけではありませんが
人と関わることで得られる恩恵というのは間違いなくあります。
まぁ当然厄介ごとやトラブルも相応にはありますけどね。
しかし視野が狭くなった時、殻を打ち破ってくれるのは結局は他人なのかもしれません。
そんな山での出会い、私は今後も大事にしていきたいと思います。
以下、山友との直近の山行
10月2日 西穂独標 山友と半年ぶりの再会登山(新穂高ロープウェイ利用)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4748106.html
11月5日 飯縄山 山友と行く北信五岳+宴会(戸隠スキー場ピストン)
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4879770.html
山での出会いっていいですよね。
自分は6年目ですが、幸い山への情熱はまだ衰えていません。
自分は基本ソロでしか登りませんが、最近は現地で仲良くなった人と行動することが多くなりました。
やっぱり一人で黙々と歩くより、誰かと一緒に歩いたほうが断然楽しいですよね。
ですが、自分はあくまで「現地で会って仲良くなった人」とだけしか歩きません。
計画段階から誰かと一緒に登るようなことはしません。
時間に縛られたくないですし、スケジュール調整が面倒だからです。
・・・そもそも、一緒に登ってくれるような身近な山友はいませんけどね(笑)。
自分のことばかり書いてしまい、すみません。
コメントありがとうございます♪
現地で会った方とご一緒する事が多いというのは、以前日記で書いてらっしゃいましたね。
ソロを信条とされる方の多くは、ペースであったり、事前調整であったり、趣味嗜好の違いであったり(花が好き走るのが好きなど)
それらを他者に合わせるのが面倒に感じる方が多いのでしょうね。
その点、一期一会であればそこまで気を遣わなくても良いでしょうから、丁度良いとこ取りができていいですね♪
私の場合、思いのほかスケジュール調整が嫌いではなかったようです。
むしろ喜んでもらえるかな?と思うと俄然やる気が出るので、元々ソロよりも集団登山の企画立案者向きだったのかもしれません。
何にせよ人と登るのは楽しいですね、色んな刺激を貰えますから♪
Akkie_Kumaさんはきっとプランナーに向いていますね。
そんなお仕事されてません?
ひと昔前であれば、山での出会いは一期一会だったのでしょうけど、最近では我らがヤマレコやYAMAPなどの登山系SNSが普及したおかげで、別れた後も繋がりができる時代になりましたよね。
そうして、今でもコメントをもらったりする人がたくさんできました。
かなり稀なことですが、別の山で再会することもあって、その時は凄く嬉しかったりします。
プランナーのような仕事はしたことありませんが、人の間に入って調整したりトラブル解決するような仕事は日頃からやってますので、幸か不幸か鍛えられたのかもしれませんw
あぁそうか、確かに今は一期一会で終わらない時代になりましたね。
私自身今年になってヤマレコやYAMAP始めたもので、まだそういった出会いは決して多くはありませんが、以前よりは気軽に繋がれるようになった気がします。
従来ですと教える連絡先としてはメールアドレス、電話番号、LINEなど個人情報だったので、教えてよいものか躊躇する場面もありましたが、ヤマレコIDなら気にせずいくらでも教えられますからね。
僭越ながらフォローさせていただきました♪
コメントありがとうございます♪
夫婦登山に慣れていると、道中の掛け合いというか会話が普通になっているので、単独で登った時の味気なさが際立つ気がしますよね。
1人でドライブしているのか、助手席に誰か乗っているのかの違いみたいな感じかな?
まぁ単独には単独の良さがあるので、個人的には全く別のアクティビティだと思ってます。
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