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初めて目にしたのは、岳会の先輩が使いながら其の薀蓄を聴かせてくれた合宿の晩の事だった。
ガス燃料携帯コンロが市場に未出現であった当時、液体燃料の登山用燃焼器具類を総称し、仲間内でラジウスとかラジュースと呼んでいた。
会所有の共同装備品に大型の灯油ラジウス数台があったが、それらに比べると小さくスマートでありながら火力が強いSVEA 123 に私は、すっかり魅了されてしまった。
燃料が灯油ではなく、危険度の高いガソリンという点も印象的であり、却って心地好い緊張感があった。
灯油ラジウスに付いている加圧ポンプが無く、ジェリー状のアルコールのプレヒートで燃焼を始め、最大火力で一時間の連続燃焼が可能であった。
SVEA 123 は、灯油ラジウスを使い慣れた仲間達にも珍しく、それを所持する先輩も宝物のように大切に扱っていた。
そのとき私は SVEA 123 に興味は持つものの、個人用として其れを直ぐに購入する事はなかった。
共同装備品の灯油ラジウスが何時でも使え、単独行の時でも借りられた事もあるが、金が無くって買えなかったのも理由のひとつであった。
退会して独り歩きになり、自前のラジウスの必要性に迫られた時、迷うことなく SVEA 123 を選択した。
購入以来、SVEA 123 はツェルトと共に単独行の相棒となり、私と苦楽を共にすることになった。
灯油ラジウスのようなブリキの携帯ケースが無いので、フェイスタオルでくるくると巻き、天地を絞って輪ゴムを掛け、紐付きの小物袋に入れていた。
プレヒート用ジェルのチューブも袋に一緒に入れ、予備のガソリンは小さなアルミボトルに入れて別に携行していた。
その苦楽の想い出話しは他の日記に譲り、これからも折りに触れてお話ししたい。
相棒 SVEA 123 は、ノズル穴を時々掃除するだけで10年以上に亘って極めて調子良く燃焼したが、ある日、使用中に突風で飛んで来た木の枝に弾かれ岩棚から落下してしまった。
拾い上げると、ヘッドノズル部の頸が曲がり完全に破損していた。
無くてはならない道具なので、直ぐに同じ製品を購入した。
その時も、品種選択に迷う事は全くなかった。
二代目の相棒は改良され、下向きだった火力調整が真横からに変わり、やり易くなっていた。
本体部ガソリンタンクの装飾刻印は SVEA 123 のままだが、日本語翻訳の取説には 123 R と表記されていた。
ノズル穴の掃除をすることも無く快調に燃焼するのは、火力調整弁に連動するクリーニング装置が内蔵されているからとも知らずに使い続けていた。
恐らく取説に書いてあったのだろうが、さっぱり記憶していない。
流石に SVEA !〜 と思い今更の感慨しきりだが、もう使うこともないのであろう。
驚くべきは半世紀を優に超えるロングセラー製品として、今も新品市場でオプティマス 123 Rとして販売されており、山道具の絶滅危惧種として最たるものと思われる。ainakaren
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%82%A2123 SVEA 123 解説
https://www.google.co.jp/search?q=svea123&hl=ja&biw=1093&bih=545&site=webhp&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ved=0ahUKEwiEg4O-jYPKAhUkJKYKHeKAAxwQsAQIJQ SVEA 123 画像検索
レンさん、おはようございます。
私もスベア123を愛用していました。
まだ実家の押入れにあると思います。
コンパクトで単独や登攀の時に重宝しました。
一人で2〜3日くらいの山行なら、予備燃料持たなくても良いくらいでした。
構造が簡単で故障知らずでした。
クリーニング装置が付いたのはRになってからでしょうか。私が持っていたのは掃除用のプレートが付いていました。後輩の持っていたのに
ノズルを全開にすると、穴から細い棒が出てきて初めて改良された事を知りました。
プレヒート用の燃料が必要でしたが、私はスイスメタを数個ビニール袋に入れてクッカーの蓋の中にマッチと共に入れてました。
説明書にはタンクを手で暖めて、ノズルを開いて生ガスをタンクの凹みに溜めて火を付けろと書かれていたような覚えがありますが、怖くて実行する勇気はありませんでした。
その後、山用のガスボンベもプロパン含有率が上がって、厳冬期にも使えるようになったので、液体燃料のコンロは流行らなくなったのでしょうね。
一発点火のガスは手間いらずで簡単ですからね。
でもプレヒートやポンピングしなければいけないコンロも、火をつける前の儀式みたいで私は好きでした。
ankotaさん、こんにちは。
コメント深謝です。
SVEA 123 の "吼えるが如き轟々たる燃焼音" が懐かしいです。
独り夕食後の茶湯を沸かし終えてバルブを閉め蓋を緩めると、燃焼音がピタリと消え、周囲の闇と静寂が一瞬にして我が身に襲いかかります。
そして、いつの間にか薄明かりも消えた空に、黒々とした遠い稜線だけが浮かび上がり、遠い山の音が聴こえ始めます。
山に独りいて、この静寂の瞬間ほど感動することは他にありません。
それが SVEA 123 を使い続けてきた一番の理由です。
確かにプレヒートの面倒や燃焼音が問題視されますが、人手を煩わすことなく人迷惑にもならず、人影も無き山中で己一人が操作し音を聴く環境下では、何一つの欠点もありませんでした。
製品化され販売されて半世紀を優に超えるロングセラー商品として、絶滅危惧山道具の最たるものとして、今とても懐かしく思っています。ainakaren
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