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キャンプで語られる夜話には怪談・猥談・珍談・奇談と色々なジャンルがありましたが、最年配の先輩が身振り手振りを加えて語るこの珍談は若い会員達にも人気がありました。
先輩はこの話を兵役で召集中に憶えたそうです。
彼は町工場で旋盤工として働く四十に近い独身男でしたが、ぺリリュー島で玉砕した竜部隊の数少ない生き残りの一人とだけ語り、戦いの話に水を向けると口を噤みました。
だが軍隊で憶えた愉快な笑い話だけは披露してくれたのです。
話は、〜キャラメルの包み紙一枚でも戦地では貴重な物資であるから、決して粗末に扱わず日常生活に役立てねばならぬ〜、との戦陣訓から始まります。
その利用目的は唯一衛生処理でしたが、流儀は二通りありました。
先輩の語ったその流儀を順にお話し致しましょう。
流儀1・簡単流
包み紙を四つ折にして紙の中央に自分の人指し指が摺りきり差し込める穴が開くように千切ります。
包み紙を開いて真ん中の穴に自分の人指し指を根元まで差し込みます。
その人指し指で一気に拭き取り後始末をします。
付着物を指から拭き取るように紙を抜き取って廃棄します。
指に残る多少の汚れは此れを我慢するのが帝国軍人の誉れなのであります。
流儀2・入念流
包み紙を二つ折りにして銃剣で2分します。
その片方を更に二つ折りにして切り分けます。
大小3枚の紙の内、小さい1枚を対角線で折り、それを更に2度折り返して先の尖った三角形に整えます。
大きい紙を自分の中指に当て、薬指と人指し指で押さえますが、その際紙を巻いた中指が前に出るようにします。
その中指で一気に拭き取り後始末をします。
中指の紙を廃棄して残った折り畳まない紙で中指の付着物を拭きとります。
先の尖った三角に折った紙で爪の隙間に入り込んだ付着物を入念に除去します。
面倒でも身嗜みを入念にするのが帝国軍人の誉れなのであります。
残念ながら、この方法を実際に試みた話を聞いた事がありません。
面白い笑い話ですが、戦場の緊張を解くために語られた作り話でありましょう。
このような他愛のない話が、昼間のゲレンデでの登攀訓練の緊張疲れを和らげたのでした。
後年、私は常連の居酒屋で請売りのこのキャラメルの包み紙の話をしたことがあります。
吞み話には猥談が好評ですが、この珍談も大爆笑になりました。
その居酒屋の吞み話すら、今では既に懐かしい昔話になりました。
戦場帰りの先輩は、私が岳会を去った数年後に亡くなりました。
肺結核に罹り、1年余りも入院した後のことだったそうです。ainakaren
*写真は復刻キャラメル箱と勲六等瑞宝章
ainakarenさん今度は少しだけその先輩の気持ちが多少わかりまね、
私らは戦争は知らないですが、オヤジも一度も兵隊時代の事を話しているのを聞いた事がありませんでした、
戦友達の写真は沢山残っていますが、おそらく思い出すのも触れられたくないのも事実だと感じます、
あの悲惨なそして残酷で過酷な時代を過ごし、生き残った事に何か後ろめたい気持ちですか、
その先輩は兵隊でも下の方だったと思いますよ、そうすれば本当の地獄を味わったんでしょう、
そんな兵隊時代でも少しは楽しい想い出の中の話だと推測しますね、
そう云う人達のがあっての今の幸せの時代がある事に感謝ですね、
naiden46さん、こんにちは。
いつも、拙い昔話にコメント下さり有難う御座います。
緊張の後には息抜きが必要だったのですね。
ゲレンデでの訓練の後も戦闘の後でもそれは同じだったのでしょうね。
男ばかりでしたから話が下品になることが多いのですが、怪談と猥談に次いで品のない珍談が人気でした。
最近のキャンプでは皆アイフォンの画面操作で話が盛り上がらないのではと、ちょっと寂しいですが、実態はどうなのでしょうか。ren
ainakarenさん、こんにちわ。
この話、随分まえですが、
会社の上司から飲み会の時に
聞いたことがあります。
その方も先輩等から聞いたのかと思いますが
戦地での話だったんですね。
sakusakuさん、こんにちは。
元々は軍隊で野戦に出た兵隊達の笑い話だったのでしょうね。
でもヤングレデイの前で、この話が程ほどの品を保って語れたとすれば、その上司もなかなかの人物ではありませんか。
キャンプ夜話には猥談がたくさんありますが、ヤマレコの品格を思い量って自重致しております。
精々珍談を書きたいと思っています。 廉
今の実態は知りませんが、確かに最近は友達仲間での山行が多いですね、近代化された登山用具の名前も理解出来ない私ですよ、
昔はヘルメット・ザイル・ハーケン・ハンマー・アブミ確保用の名前さえ忘れましたが自分の確保用ザイル、後は冬山用具ですか、
テントの中での安酒飲んでの馬鹿騒ぎですか、登り方だけでなく先輩からは色々教わりましたよ、地図の見方や天気図の書き方など、
今だったらシゴキに近い事もありましたよ、それでも本番を楽しく登れる為だと思い皆んな思って成長してきました、
今でもそう云う山岳会がまだ沢山残って活動していますね、たまに覗いていますけど、
そう言えば捨て縄などはまだ使用してるんですかね、
今は友達だといってもメールの友達で、直接会って話しなどはしないんでしょうか、
何人友達を持っていても私に言わせれば只の知り合いですか、
別に昔を懐かしんでは居る訳ではないですが、人の顔を見ての付き合いは大事です、
naidenさん、私も、最近の登攀具が全く解りません。
浦島太郎状態です。
三つ道具以外ではアブミくらいで他は今店頭で見ても何なんだか解りません。
当時はヘルメットもハーネスも使いませんでした。
私は使いませんでしたが、埋め込みボルトが使われ始めた頃です。
ハーネスの代わりの腰縄を先輩の指導で作ったりしました。
材料は自分のサブザイルの一部を切りましたので、個人持ちのサブザイルは皆少しづつ短かかったんです。
当時の先輩や仲間が懐かしいですね。
必要な時には本気で叱ってくれた先輩を、よく思い出します。ren
ainakarenさん こんばんは。
この話、噺家さんがしゃぺっているの聞いたことがあります。
誰だったかなぁ。
nightsさん、こんばんは。
この話、かなり有名な定番ですので諸外国にもあるらしいですよ。
まあ、山だったら枯れ木の小枝でかきとるほうが実用的かと思いますがね。
話術が勝負ですから噺家が身振り手振りで演じれば凄く面白いでしょうね。
猥談の「不景気は女の褌」なんか最高でしょうね。
renさん、おはようございます。
中学生の頃の社会科の授業中に先生が教えてくれたのを憶えています。
簡単流と入念流と二通りあったんですね。
ちなみに、先生が教えてくれたのは「入念流」でした。
kenpapaさん、お早う御座います。
珍談としては古典的な話なんですね。
学校の先生が授業中にですか。
皆、笑ったでしょうね。
私のこの種の体験で最悪だったのは、ロールペーパーの芯を使ったことです。
「運」良く、それ以上の悪状況は、今までありませんでした。ren
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