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84才であった。
氏は私の兄貴分に相当する年齢だが岩登りの現役だった昔、氏の作品を初めて読み同僚のような親しみを感じた。
初期の作品「幽霊」が雑誌に連載されて完結するとすぐに単行本が出版され、この作品「幽霊」で初めて氏の作品に接することになったのである。
佐藤春夫の「田園の憂鬱」などの傾向の作品が好きだったから「幽霊」の詩情に満ち溢れる瑞々しい感性にすっかり魅了されてしまった。
その文体には、仲間の告白を聞いて相談に乗っているような親しみと共感があった。
合宿に持って行って仄暗いランタンの灯で読んだこともあった。
そのときの灯油と亜麻仁油の匂いを懐かしく想い出す。
仲間達と山に在ったときこそ、我が青春であり旧き佳き時代だった。
氏は後に多くの優れた作品を世に出し芥川賞作家となったが、詩情溢れる瑞々しい感性は次第に薄れ、落ち着いた老成した作風に変化していった。
「幽霊」に匹敵する作品がその後生まれることはなかった。
そして家庭を持って岩登りから引退した時、私の旧き佳き時代も青春と共に終わっていた。
あの頃の山も、文学も、音楽も、仲間達も全てが懐かしい。
その全てを総括した旧き佳き時代が、私にも確かに存在していたのである。
旧き佳き時代の音楽を思い出してみる。
クラシックも、ジャズも労音活動の音楽会が盛んに興行されていた。
ベニー・グッドマン東京公演、キャノンボール・アダレー来日公演などは、よく憶えている。
国内では、日本独特のリズムであるドドンパが流行していた。
旧き佳き時代の音楽とは〜、洋楽のジャズ分野では、このような音楽だろうか。
ドクトル・マンボウこと北杜夫氏の霊に、謹んでこの曲を奉げたい。ainakaren
*写真の本は昭和43年3月に発行された改訂初版。
早くは昭和29年の自費出版に次ぎ昭和35年中央公論社が刊行。
稀少本で高価だが既に私の手元に無い。
ainakarenさん、いつもお邪魔してます北杜夫の作品は未読です、内容はエッセイだと頭にあるので避けていました、
面白そうなので又図書館で検索してみたら有ったので予約を入れておきました、読んだら感想を書かせて貰います、
家の中にいると今日は暖かいですね表は解りませんが、
こんにちわ。
お亡くなりになったこと、知りませんでした。
私は「ドクトルマンボウ航海記」を読んだ時に、かなり感化され、船の看護師になろうと真剣に就職を探した時期があります。
父親が外国航路の機関長でしたし、小さい頃から外国に憧れてましたので、ただで、外国にいくのに、貨物船に潜り込み、外国に着いたらトンズラってのが、現実的には無理とわかってても、理想でした。
私が探した当時、ナースは、ホームシックになる場合がおおいので、船専用は、無理で、客船などと契約してる病院にまず就職し、順番で船に一航海だけ乗るとゆうものだったので諦め。その後、海外青年協力隊やアメリカ、イギリスでのライセンス取得など考えてましたが、能力的、経済的に無理だとわかり…今に至ります。なので、氏は私の憧れをやりとげた人として尊敬してます。
こんにちは。
ドクトル・マンボウ氏は、ムツゴロウ氏、狐狸庵氏と共に学生時代の愛読作家でした。
「白きたおやかな峰」を読み、後の遠征で舞台の山へ
赴いたこともありました。
ご冥福をお祈りいたします。
naiden46さん、こんにちは。
お読み下さるそうで有難う御座います。
「幽霊」は数多くの氏の作品の中で処女作にして最高傑作と評されており、自分も有る意味ではその通りだと評価しています。
確かに若く、今読むとちょっと青臭さも感じますが、それは自分自身の老いだと思います。
読後感想の日記を楽しみにしています。ren
maron9393さん、こんにちは。
北杜夫氏は医師でありながら患者でもあった人でしたね。
その細やかな精神構造が文学者に最適の資質だったのでしょうね。
山にも造詣の深い人でした。
「ドクトル・マンボウ航海記」は代表作ですね。ren
こんにちわ、 ainakarenさん
ヴィブラフォンは好きで、ミルトジャクソンやゲイリーバートンなども聞きますが、ライオネル・ハンプトン、いいですね。
昔のエアチェクと書いてありましたが、サンパチツートラの時代なのでしょうか?
自分も昔、エアチェックしまくりましたが、最後までサンパチツートラは買えませんでした。
ティアック、AKAI、アイワ・・・懐かしです・・
zeroponさん、こんにちは。
「白きたおやかな峰」も代表作といえますね。
山もすきだったようです。
ご一緒にご冥福を祈りましょう。ren
tabioさん、こんにちは。
このライオネル・ハンプトンはビバップ演奏ですから1940年代後半から50年代前半でしょう。
ハンプトンにはウイリー・スミスと共演したスターダストのアルバムが有名で、実際によく聴いたのもそのアルバムですが、ユーチューブに見つからなかったのでこのアルバムにしました。
それも典型的なビバップです。
これも是非聴いてみて下さい。ren
追伸 本命のウイリー・スミス盤を追加しました。
ainakarenさんこんにちは。
私も北杜夫のファンです。
最初に読んだのが高校生時代に「どくとるマンボウ航海記」から始まり、「幽霊」まで遡りましたが、
これが同じ作者の本なのと、逆にそのギャップに引きつけられていきました。
そして山登りに北アルプスばかり行っていた時代に、
旧制松本高等学校を描いた「どくとるマンボウ青春期」に出会い、破天荒な寮生活や
私の一時代前の人間性などに、非常に憧れ、
私の青春時代に多大な影響を与えてくれた作家でした。
北杜夫氏のご冥福をお祈りいたします。
kazuhi49さん、お早う御座います。
読み進めの順が私の逆ですが、文体とテーマの落差には驚いたことでしょう。
躁と鬱とが長周期で交互に現れ、書かれた時の状況によってテーマも文体も同一人の著作と思えないほどに変わりました。
「幽霊」の続編に相当する「木精」にすでに違いが現れています。
総じて病的にまでに瑞々しく鋭い感性が丸くなっているのです。
このことは「木精」以降の作品が氏が精神科医のとしての実習や臨床医の経験を経てからの著作であることと無関係ではないと思います。
自身の躁鬱体質をそれぞれの状態中で精神科医として見つめながら書かれ続けた一連の著作には興味深いものがあります。
その意味では氏が唯一学生時代に書かれた「幽霊」が氏の本質なのではとの思いがあります。
鬱状態では分裂気質であり、心が敏感に研ぎ澄まされていたのではと思います。
私自身、分裂気質なので「幽霊」への共感が強いのでしょう。
私も氏の文体や語り口に多大な影響を受けた一人です。
氏のご冥福を祈ります。 廉
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