新人も1年経てば、登攀に弱い人は退会して適性のある人だけが残っていますので、先輩以上に難度の高いルートをトップで登ることもありました。
トラブルに遭遇した時が先輩の出番で、その判断はいつでも本当に勉強になりました。
新品のピッケルも2年も使用と手入れをしていますと、シャフトの色は琥珀色になり、木目がはっきりと美しく浮き出して見えてきます。
手入れは亜麻仁油を染ました布で木部と金属部をよく拭くことでした。
金属部には錆び止めだけの効果ですが、木部には亜麻仁油が染みて琥珀色が次第に濃くなるのです。
色だけではなく、ピッケルの使用感も変化します。
シャフトの弾力性が上がり、氷を打つときの手に伝わる感覚の弾力感が強くなるのです。
木の柄のロックハンマーの感触が、金属柄にゴムモールドしたロックハンマーのような、手にブルンと来るような感触に変わってくるのです。
先輩の話では、シャフトに粘りが出て、撓り易くなり、衝撃に強くなった証拠とのことでした。
そうなれば亜麻仁油の含浸は充分とのことでした。
残った亜麻仁油は麻ザイルの保守に使いました。
2年ほどの手入れに高さ7CM程の小瓶1本で充分でした。
手入れは美観だけのためではなかったのです。
今の時代のピッケルはメタル・シャフトですから、点検は必要でも手入れが性能を上げることはありません。
昔の山道具には人が自然に愛着を持つような仕掛けがあったようですね。
そういえば山靴にも同じことが言えます。
私はナーゲル靴の手入れを疎かにして、後の山行で酷い目に遭うのですから〜。
その話は前に日記に書きました。*カテゴリー「登山靴の革命」
私の手からピッケルが離れていく経緯は次回以後に記帳したいと思っています。(つづく)
相仲 廉(ainakaren)
*続き http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-10025
待っていました
いよいよ佳境に入りますね。
楽しみです
磨いて渋さの加わった、愛着のある山道具。
いいですねえ!
私も次回を楽しみにしています。
hirorineさん
bokemonさん
コメント深謝です。
今日は相仲廉のヤマレコデビューから1ヶ月目の記念日なのです。
皆さんの山行記録と日記を拝見して、この一月とても楽しい時間を過ごさせて頂きました。
「尺一寸」のピッケルの爺の昔語りも後3〜4回で完結できればと思います。
少し暗い話もあり、ネット上では個人名は伏せますが、知る人は知る話にも触れることになります。
当然の事、知る人は私を特定するわけで既に今までの日記の記述から、ヤマレコを見たと電話してきた昔の山仲間があります。
私としては思い出を共有する人が一人でも多く、今もお元気でいらっしゃることは本当に嬉しいことなのです。
ヤマレコ・ユーザーの中で、もしやあいつでは・・と思われる方はヤマレコのメッセージ経由でメールを頂ければと思っているのです。
いつも読んでくださる皆様に感謝しております。
有難う御座います。
相仲廉こと相仲廉太郎 (6月25日記)
こんにちは,相中廉さん。
いつも楽しみにしている愛読者です
ヤマレコを通して,昔の仲間達と想い出を共有出来たり
また,尺一寸の愛用ピッケルの所在が分かるといいですね
現に連絡をいただけた方もみえて良かったです
きっかけに過ぎないかも知れませんが,
尺一寸の事を知らない世代でもこうして目にし語り継ぐうちに
いつか相中廉さん愛用のピッケルに辿り着くような気がします
今回のお話を読んでいて,
私の実家にも木の弾力性を生かした何かがあったのですが
何だったのか思い出せない・・・情けない記憶力
しかしながら,今でも“木”のぬくもりや弾力性は覚えていて大好きです。
手で感触を覚えている分,物を購入する際は
やっぱり“木製”に惹かれてしまいます。
ピッケルの話だけでは済まさない,中身の濃いお話なのがこの“想い出のピッケル”の魅力のような気がします
次回も楽しみにしています
kayo-piさん、コメント深謝です。
昭和36年の4月、私は青春と決別し、そのシンボルであるピッケルを山友の手に委ねます。
それから50年、冬の雪山と岩場のハード登攀は一度もしておりません。
それは寂しいことですが、想い出は心豊かに残りました。
亡くなった方々も、今病の床に臥す方も、想い出の中では生き生きとした登山姿です。
青春の年月はほんの短い期間でしたが、それがいかに我が人生の至福の時であったことか。
私にはかけがえのない宝になりました。ainakaren
はじめまして、tnp7355と申します。
数年も前の日記に、コメントを書いてしまい
申し訳ないです。相仲さんの「昔の山道具には
、人が自然に愛着を持つような仕掛けがあった
ようですね。」という言葉がグッと響きました。
「ニッカボッカ」と「ニッカホース」愛用しています。
今では中々お目に掛かれませんが、諸先輩方はもう何十年も同じものを使っていると、皆さん笑顔で仰ります。
わたしは昔から良い物は、今も良いはずと思い、上記を
使い今に至ります。長く愛着を持って使いたいと思います。長々と失礼いたしました。
tnp7355さん、こんにちは。
コメント深謝です。
ニッカーボッカーとニッカーホース、それにハイカットの革製登山靴は広範囲の山歩きに最適ですね。
古臭くてダサいとの認識で廃れてしまいましたが機能的には最適です。
80年ごろのアメリカ登山風俗のバックパッキング、フリークライミング、ボルタリングの流行で、ショートパンツやジーンズ、タンクトップと長髪にバンダナ鉢巻の若者達が河原の大岩にしがみつくようになると、次第に消えてゆきました。
代わって夏山のロングスパッツが泥んこ避けに使われ、それが泥んこがなくとも着用する単なるファッションになりました。
山行く人の目印ファッションです。
暑いのにご苦労さんな事と思います。
必要な機能を見極めて残してゆきたいですね。ainakaren
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する