カンカン照りの中を涸沢に向かう。
涸沢直下で雪どけの流れが近づいていたので、二人とも腹いっぱい冷たい水を飲む。
涸沢に着いた。
10連装のトイレが並んでいる。
そこには雪解け水が流され、天然の水洗トイレになっている。
その排水が先程二人がガブ飲みした水源だ。
後輩がごみ捨て場からラードを拾ってきた。
後輩曰く、ドレッシングは酢とオイルだから酢はないけどキャベツにラードをまぶせば立派なサラダだと言われ食べさせられた。
外は雨。
夜中に吐き気を催した。
「吐く―!」と後輩に訴えると後輩はサッと私のヘルメットを差し出す。
3時に目が覚める。
天の川、ミルキーウェイを実感する星空だ。
「起きろ!行くぞ。」
「ねむてーよ。」
あーそうかいと今度は私が不貞寝。
後輩が「いこーぜ。」と私をゆする。
「もうおせーよ。」
ここで意地を張ってもしょうがないので起きて三峰フェースを目指す。
三四のコルをかなり上がったところで、涸沢ヒュッテの方からマイクを通して何か言っている。
「そこの二人!自分たちのレベルに見合ったルートを選びなさい。」
「そこの二人って俺たちのことか?」
「三四のコルを登っている二人、君たちだ。」
どうも四つん這いで登っているのがいけないようだ。
立って歩くことにする。
生まれて初めての本チャンである。
いよいよ雪面から岩場に取り付く。
階段とガレ場の連続である。
途中からコティニアンスで行く。
これが怖い。
なにせ後輩を信用していないので道連れにはなりたくない。
あっけなく前穂に上がり、スキップで吊尾根を渡り、満場のギャラリーを前に穂高岳山荘の石垣から飛び降り、颯爽とグリセード。
あっけなく二人とも同時にコケたが、気にせず帰幕。
ちなみにこの後輩。(屏風で人がナマハゲニなりそうな時げらげら笑っていたやつ)
数年後には滝沢第三スラブや衝立岩を厳冬期に単独で完登しています。
おはようございます^^
天然(排)水のがぶ飲み、
ゴミ場のラードキャベツ、
リバースにメット差し出す
彼女!わいるどぉ〜
私もダブルアックス・ビレイでセカンド確保okと同時にセルフビレイ外しました
巻き添いの不安を、助け呼びに行かなあかん!と正当化しました
あの頃はゴミ捨て場と撤収するパーティーからもらう食糧が我々の涸沢長期滞在を可能にしました。とある後輩はあの頃流行っていたおおきなビール瓶にビールがまだ残っていると言って、いきなり口を着けました。それは当然雨天用トイレでした。
大好きな涸沢(カール)に、初めて連れていってくれた先輩は
その時、沢の水は余程上流でないと汚いと教えてくれました。(笑)
初めて来たのに「登らないのか?」って言われても、「一度徳沢まで降りたのに、無駄にテン泊装備背負わされて往復したら、私はきついんだよ〜とは」言い返せなかった。。。
確かに。
全ての源流は山小屋のトイレか水場ですね。
しかしあの水はうまかったです。
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