友人との槍穂縦走完結(北穂〜奥穂〜前穂)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 24.7km
- 登り
- 2,539m
- 下り
- 2,529m
コースタイム
=====9/16=====
0:00 0:00 0626 上高地BT
0:41 0:41 0707 明神館
1:21 0:40 0747 徳澤園(〜0755)
1:32 0:11 0806 新村橋(入山)
2:20 0:48 0854 中畠新道分岐(〜0910)
(途中2150m付近で休憩 1003〜1018)
4:21 2:01 1126 屏風のコル(屏風の耳へピストン、〜1225)
5:21 1:00 1325 涸沢ヒュッテ前TS(テントサイト)1
=====9/17=====
0:00 0:00 0535 TS1
(途中2790m付近、長い鎖場の上で休憩 0655〜0707)
2:23 2:23 0810 北穂南稜分岐点(〜0813、ピストン)
2:35 0:12 0825 北穂北峰
2:38 0:03 0828 北穂高小屋(〜0940)
2:55 0:17 0957 北穂南峰
3:01 0:06 1003 北穂南稜分岐点(ピストン終了)
(途中最低コル手前で休憩 1121〜1137)
4:28 1:27 1146 最低コル
5:59 1:31 1308 涸沢岳(〜1323)
6:16 0:17 1340 白出のコル(穂高岳山荘前)TS2
=====9/18=====
0:00 0:00 0547 TS2
0:33 0:33 0620 奥穂高岳(〜0637)
2:04 1:31 0808 紀美子平(〜0817、ピストン)
2:20 0:20 0837 前穂高岳(〜0910)
2:50 0:30 0940 紀美子平(〜0953、ピストン終了)
4:47 1:57 1150 岳沢小屋(〜1220)
6:07 1:20 1340 穂高・岳沢登山口(下山)
6:22 0:15 1355 河童橋
6:29 0:07 1402 上高地BT
天候 | 9/16 14時まで 晴 雲量0〜5 14時から 曇時々晴 雲量5〜10 9/17 8時まで 曇 10時半まで 曇時々晴 雲量7〜10 13時半まで 晴時々曇 雲量2〜7 19時まで 曇 それ以降 雨 強風 9/18 4時まで 大雨 強風 5時まで 曇時々晴 強風 雲量8〜10 11時まで 晴時々曇 強風 雲量2〜10 それ以降 曇 やや強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
↓(長野自動車道) 松本IC ↓(国道158号線) 沢渡第2駐車場(500円/1日) ↓(ジャンボタクシー・7200円、9人乗り満員で1人800円) 上高地BT ※ジャンボタクシーの相乗りは、運転手や駐車場の係員の方が集めてくれます。 【復路】 上高地BT ↓バス(片道1,200円、往復の場合は2,000円) 沢渡第2駐車場 ↓ 往路と同じ 【温泉】 http://www.higaerionsen.net/nagano/sawando.htm |
コース状況/ 危険箇所等 |
1.上高地BT〜明神池〜徳澤園〜新村橋 割愛します。 2.新村橋〜中畠新道分岐 ここから涸沢までがパノラマコースです。 これまでに比べればやや急登ですが、特記すべき事項はありません。 3.中畠新道分岐〜屏風のコル 非常に急登です。ところどころで涸れ沢を渡ります。 体力的にはかなり厳しく、ガレ場もありますが、大きな危険個所はありません。 4.屏風のコル〜屏風の耳 特記すべき事項はありません。 5.屏風のコル〜涸沢ヒュッテ 細かいアップダウンを繰り返しながら、少しずつ標高を下げます。 前穂北尾根の稜線から外れてから、山腹をトラバースしながら鎖場が連続します。 やや痩せ気味なので、注意が必要です。 6.涸沢ヒュッテ〜北穂南稜ルート ハードな急登ですが、ザイテングラートに比べると極端に利用者が少ないので、 落石等の人為的事故リスクは低いです。 途中、長い鎖場と梯子が連続するところが1か所あります。 下山者とのすれ違いのタイミングが難しいです。 全体的にガレてはいますが、危険度は近隣の稜線よりは低めです。 ただし、トレッキングポールを使っている登山者がかなり多いので、 それによる落石遭遇のリスクはあるでしょう。 7.北穂南峰 北穂南稜分岐から奥穂方面へ登ると、間もなく稜線に上がります。 稜線から北峰方面へ戻ってすぐのところです。 8.北穂南稜分岐〜北穂小屋 特記すべき事項はありません。 涸沢から上がってきた場合に、槍の眺望をいち早く観られます。 9.北穂南稜分岐〜涸沢岳 最低コルまで、細い稜線ルートを涸沢(東)側と滝谷(西)側を 繰り返し細かくトラバースします。 風が強い日は、東西のトラバースの切り替わるところで急激に風向きが変わるので、 細心の注意が必要です。 最低コルからは鎖場や梯子が連続する急登で、このルートの核心部です。 10.涸沢岳〜白出のコル(穂高岳山荘) 特記すべき事項はありません。 11.白出のコル〜奥穂高岳 山荘直後の壁の急登が、身体が温まる前の早朝は非常に堪えます。 梯子や鎖場があり、ややガレているので、注意が必要です。 急登を過ぎると、だいぶ楽になります。 12.奥穂高岳〜紀美子平(吊尾根) 下り中心の稜線歩き。 ところどころ、危険な鎖場があります。 鎖に頼るよりも、クライムダウンで下りたほうが確実だし、楽です。 風が強いときは、岳沢側と涸沢側両方の吹き上げが交差し、 かなり巻いているので、バランスを崩しやすく、注意が必要です。 13.紀美子平〜前穂高岳 手を使う場面が多々ある急登ですが、岩は割合安定しています。 鎖がないので、クライムダウンが苦手な場合は、 登りよりも下りのほうがずっと危険です。 14.紀美子平〜岳沢小屋(重太郎新道) いきなり長い鎖場から始まるものすごい急な下りです。 鎖場、梯子があちこちあり、梯子は段差の間に岩が出っ張ってる箇所があって、 油断をするとすぐにバランスを崩して転落事故につながります。 岳沢小屋の直前まで、急な下りが続きますので、全く気が抜けません。 15.岳沢小屋〜上高地BT だらだらとした長い下り。 番号を振った看板が岳沢小屋から一定の間隔で設置されていますが、 (岳沢小屋→上高地に向けて1、2、3・・・) 7番の看板付近から下は、あちこちに木道が敷設されており、 雨天時は大変滑りやすいので、注意が必要です。 確認した限り、看板は8番でなくなりますが、 そこから登山口まで2〜30分程度かかります。 登山口から上高地BTまでは2〜30分程度です。 |
ファイル |
(更新時刻:2012/09/20 07:46)
|
写真
感想
【自身の装備】
乾燥重量 18kg
(装備品は計画書内に記載有)
水 最大4リットル
さて、1年ぶりの北アルプスです。
昨年の北アルプスですっかりやられてしまったぼくの両膝も、
1年間の治療とリハビリを経て、どうやら回復したようですが、
やはりそれを確信するにはここしかないでしょう!
ということで、やっと穂高に戻ってきました。
かねてより「槍ヶ岳に登りたい!」と熱望していた友人と、
3年前は槍から北穂まで縦走しましたが、
そこでギブアップして北穂南陵〜涸沢カール経由で下山。
今回はその先の「奥穂に登りたい!」と熱望したこともあって、
涸沢カールから北穂経由で涸沢岳、奥穂、前穂と縦走する計画としました。
事前の天気予報では、初日と二日目は晴れ間を見せるものの、
三日目は台風の影響もあって今ひとつということでした。
ぼく自身はさほどの晴男ではありませんが、
パートナーは自他ともに認める晴男。
しかし、いくらなんでも台風パワーにはさすがに勝てないか?
上高地から早朝スタートする場合、
夜間に自動車か夜行バスでアクセスすることとなり、
決まって寝不足となることを反省し、
今回は松本IC近くの安価なビジネス民宿に前泊してから入山しましたが、
これが大変な効果を発揮。
パートナーもぼくも、体調万全で臨むことができました。
【初日】
予報通りの快晴。
初めてのパノラマルートは、まさに大パノラマ。
ふたりともテンション大です。
屏風のコルへ登りはだいぶ急でしたが、
大パノラマがぼくたちに力を与えてくれました。
屏風から涸沢へ向かうルートは、ほとんど歩かれることはなく、
(涸沢から下山するひとのほうが多い)
下に多くの往来者が見える横尾ルートとは対照的に、とても静かです。
涸沢は、去年のようなテントの華百花繚乱を想像していましたが、
思ったほどではなく(200張足らず)、
テント小屋のすぐ裏にある、超フラットの絶好の位置に張ることができました。
どういうわけかこれまで涸沢には全く縁がなく、涸沢テン泊は初めてでした。
【二日目】
ガスガスで、ほとんど眺望のない朝です。
天気予報では曇時々晴ということで、
稜線まで出れば、ちょっとくらいは槍さんを拝むことができるかな?
と思いつつも、そのガスっぷりに不安を拭うことはできません。
北穂南稜の急登、パートナーも割合元気に歩いています。
3年前は槍沢〜槍〜南岳と歩いた翌日に、
大キレット経由で北穂まで達した時点で完全にグロッキーで、
とても続行できそうにない様子だ経ったので、
そこから北穂南稜経由で下りたのですが、
今回はそのリトライも兼ねているということで、
パートナーのモティベーションの高さはハンパではありません。
息を切らしながらも、かなりいいペースで歩き続けます。
2時間半ほどで北穂小屋へ。生憎のガスガスでしたが、
諦めきれないぼくたちは、小屋の中で美味しいホットミルクを飲みながら、
思い描く晴れた眺望を目にするべく、粘りに粘ります。
30分ほどで時折ガスが晴れ、裏銀座の山々や南岳などが見えたものの、
ど〜〜〜〜〜しても槍さんだけが見えない!
行程に余裕を持たせていたこともあって、
1時間以上も粘りましたが、結局槍さんを拝めないまま、
諦めて涸沢岳方面へ。ヴ〜ン・・・。
パートナーにとっては、3年前の大キレット以来の厳しい岩場ルートなので、
その表情に緊張感が走ってきました。
青空はだいぶ広がっていましたが、涸沢側から非常に強い風が吹く一方、
反対の滝谷側は全くの無風で、稜線を不規則な風が走っているので、
時々突風がぼくたちを襲います。
しかし、その突風がしつこく立ち込めていた槍さんの雲を吹き飛ばしてくれたのです!
緊張する箇所を越えて後ろを振り返ると、そこには圧倒的な槍の穂先が!
パートナー、大絶叫!ぼくも、大絶叫!
岩場の恐怖も、一気に吹き飛ばしてくれました。
その後も涸沢岳まで気の抜けない個所が続きましたが、
素晴らしい眺望がぼくたちを祝福し続けてくれ、
昨年の遭難目撃箇所を含めて、安全に通過することができました。
涸沢岳から降りようとするや否や、一気にガスに。
白出のコル(穂高岳山荘)でテントを張りましたが、
風と天候は悪化の一途で、夜には暴風雨になってしまいました。
【三日目】
暴風がテントを吹き荒らし、一晩中雨に叩きつけられました。
3時に起床し、朝食を作り始めるときにもそれは変わらず、
このままではザイテングラートから涸沢にエスケープをするしかなく、
奥穂はできてもピストンだろう、などと考えていると、
パートナーが不安そうに起き出しました。
槍穂縦走完登というパートナーの念願を、
そして自分自身の北アルプス復帰山行を、
最後までやり遂げたいという気持ちはもちろん強くありますが、
何よりもふたりとも安全に下山することが第一優先です。
圧倒的な天候の前には、人間の力など微々たるもの。
もし奥穂に登れなければ、また次回がある・・・。
4時過ぎに朝食を摂り始めてしばらくすると、
あれだけ喧しかった風の音が、どういうわけかピタリと止み、
雨の叩く音も聞こえなくなりました。
朝食を終えてテントの外に出てみると、
ま・・・、まさかのご来光!
うそだろ??
パートナーに声をかけると、まさかあ、という顔で外に出るや否や、
ぼくと同じように呆然たる表情で東の明るい空を見ています。
自他ともに認める晴男たる、パートナーの強運が雨雲を吹き飛ばしたのか?
手早くテントを撤収し、出発します。
晴れたとは言え、風はかなり強いため、油断は全くできません。
いざとなればロープでパートナーの安全を確保するつもりで用意してきています。
そして青空の下、奥穂高岳に登頂!
ジャンダルム、前穂、槍穂稜線だけでなく、
裏銀座の山々から立山、劔までを見渡せる、最高の眺望をぼくたちに見せてくれました。
風はまだまだ強いですが、吊尾根を歩くごとに標高が下がるので、
次第に弱まっていき、いくらか安心感が出てきます。
紀美子平では風が収まり、ザックをデポして
前穂へピストンする気持ちの余裕もできました。
そして前穂登頂。
パートナーはもちろん初めて、ぼくも13年ぶりです。
13年前は今回以上のものすごい暴風だったため、
山頂は登って降りるだけで写真すらとっておらず、
コースの印象も全くありませんでしたが、
今回は大パノラマを十二分に堪能することができました。
そして、満足感にたっぷりと浸ってから、ゆっくりと下山を開始します。
岳沢小屋までは危険個所が続くので、気を抜くことはできません。
各所でパートナーの安全を確認しながら下ります。
「山と高原地図」のコースタイムとほぼ同じ時間をかけて、
着実に岳沢小屋まで下りてきました。ここまでくれば、ひと安心。
パートナーにも、安堵の表情が広がります。
岳沢小屋と言えば、6年半前の大雪による雪崩で完全に倒壊してしまい、
しばらく営業休止していた岳沢ヒュッテのことを思い出します。
関係者諸氏の涙ぐましい努力により、一昨年の夏に岳沢小屋として再建、
再出発し、現在に至ります。
規模は小さくなり、小屋泊に予約が必要となりましたが、
細やかな経営努力は以前にも増していました。
その小屋構えを見るだけで、小屋のひとびとの人柄が伝わってきます。
そんな岳沢小屋を後にすると、
ここまでの山行を振り返るように、じっくりと下りていきました。
パートナーにとっても、ぼくにとっても思い入れの強かったこの山行は、
徹頭徹尾素晴らしい眺望に恵まれ、最高の思い出ができました。
パートナーにとっての3年がかりの槍穂縦走は、これで無事に完歩です。
ぼくも、ようやく完全に戻ってこられたな、という想いを抱くことができました。
来年は、どこに行こうか?
劔?裏銀座?それとも北岳なんかどうだろう?
帰路の車の中で、パートナーとの会話は、尽きませんでした。
<今回の反省点>
・ハイドレーションの水が切れた
初日、屏風のコルまでで2Lの水を飲みきってしまい、
涸沢ヒュッテまでの1時間余りの間、幾度かパートナーに水を飲ませてもらった。
ハイドレーションは水分補給が容易ゆえ、
暑いとつい飲みすぎてしまう。
今回は徳澤の水場で足しておかなければならなかった。
・帽子を風に飛ばされた
2日目に北穂〜涸沢岳間を縦走中、
涸沢側からの突風で帽子を飛ばされてしまった。
幸いにも、滝谷第3尾根の下降点付近だったのと、
滝谷側は無風だったこともあって、ものの20m程度飛ばされただけで落ち、
下降点からの踏み跡をたどって拾いに行くことができたが、
しかるべき強風対策を取っておかなかったことは猛省である。
・トイレットペイパーを忘れた
前泊時に気づく。パートナーが丸々1ロール持っていたので、
それを使ったが、本来はぼくが用意しなければならなかった。
基本的なミスをしてしまった。
岩場の臨場感と奥穂から見えているのは薬師!?爽快な山行ですね!
いきなり質問でたいへん申し訳ないのですが、
紀美子平から岳沢小屋まではコースの半分くらいは岩場に費やされ、しかも休憩できる平地がないようなコースですか?
下山道にとれるか考えているので、教えて頂けると助かります。とりにくいなら北穂高南稜ピストンで横尾経由で下山しようかと思います。
こんばんは。初めまして。
コメントありがとうございます。
件のフォトは、中央の薄い雲のやや左に薬師と北薬師が見えていますね。
さて、以下はご質問への回答です。
おっしゃるようにコースの半分ほどは岩場と言ってもよいですが、
そもそも一般ルートで休憩するための平地もないなどということはありえません。
ほぼ全てが岩場ルートである奥穂〜西穂ルートですら、
ある程度は休憩適地がありますし、
北アのヴァリエーションルートでも同様だと認識しています。
(少なくとも、北鎌尾根レヴェルではそうです)
有名どころでは、雷鳥広場は十分な広さがあり、
数人規模のパーティでも十分な休憩スペースがありますし、
その他にもあります。
それよりも、この下りコースはクライムダウンの技術がどの程度あるかに依存します。
クライムダウンの技術に乏しいと、危険度が格段に増します。
ご参考になれば幸いです。
ご安全によいお山を!
三点支持で降りるのは多少できますので、問題ないかとも思いますが時間の余裕でコースを決めたいと思います。
自分も快適な山行を目指します!
こんにちは。
「質問一覧」にもご質問なさっていましたね。
コースは今回私たちが通ったところと同じのようですが、
北穂〜涸沢岳間も、吊尾根や重太郎新道と同等か、
それ以上に難しいルートであり、天候次第であっという間に牙を剥いてきます。
コースタイムも、「山と高原地図」よりも
かかってしまうことも十分考えられますので、
事前に天候をよくご確認の上、
場合によっては奥穂はピストンのみにして、
ザイテングラートから涸沢に下りることもご検討ください。
よいお山を!
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