信越トレイル [北上ルート] ルート周辺情報


- GPS
- 279:36
- 距離
- 154km
- 登り
- 9,287m
- 下り
- 9,530m
コースタイム
10:00 斑尾高原山の家駐車場
11:00 斑尾山頂
12:30 万坂峠
13:40 袴岳
15:20 赤池
2日目 10/29(月)
8:10 赤池
9:20 沼の原湿原
11:20 毛無山
13:25 涌井
3日目 10/30(火)
10:20 涌井
11:05 富倉峠
12:45 黒岩山
13:30 桂池
15:40 仏ヶ峰登山口
16:00 とん平キャンプサイト
4日目 10/31(水)
9:40 とん平キャンプサイト
10:05 仏ヶ峰登山口
11:30 小沢峠
13:00 鍋倉山
14:00 関田峠 - グリーンパル光原荘 - 茶屋池
5日目 11/1(木)
10:00 関田峠
11:30 牧峠
12:20 花立山
13:00 宇津ノ俣峠
15:20 伏野峠
6日目 11/2(金)
(降雪のため停滞)
7日目 11/3(土)
(降雪のため停滞)
8日目 11/4(日)
11:50 伏野峠
12:30 須川峠
14:50 野々海峠
15:45 深坂峠
16:20 三方岳
17:10 天水山
18:00 松之山口
天候 | 1日目 10/28 曇りのち雨 2日目 10/29 雨 3日目 10/30 曇り時々雨 4日目 10/31 曇り 5日目 11/1 曇りのち雪 6日目 11/2 曇りのち雨(残雪) 7日目 11/3 晴れ(残雪) 8日目 11/4 晴れ(残雪) |
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過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
※ 北上ルートでは後半に融通が利かなくなり苦戦を強いられる場合がある。 ※ ここでは体力、ルート情報等は40-60歳代を基準にしています。 [Section1] [斑尾山頂] - [万坂峠] - 袴岳 - [赤池] 斑尾高原山の家駐車場。無料。近くに自販機あり。ビジターセンター。 [Section2] [赤池] - [沼の原湿原] - [希望湖] - 毛無山 - [涌井] [赤池] 無料駐車場。きれいな水洗トイレあり。自販機、公衆電話なし。電灯電源あり。 [沼の原湿原] 無料駐車場。きれいな水洗トイレあり。自販機、公衆電話なし。電灯電源あり。 [希望湖] 無料駐車場、簡易トイレあり。自販機、公衆電話なし。電灯あり。 [Section3] [涌井] - 富倉峠 - 黒岩山 - [桂池] - [仏ヶ峰登山口] [涌井] すこし信州側に下ったところに10台の無料Pあり。トイレ、自販機、公衆電話なし。 [桂池] テントサイト、無料駐車場、簡易トイレ。自販機、公衆電話なし。電灯電源なし。 [Section4] [仏ヶ峰登山口] - 小沢峠 - 鍋倉山 - [関田峠] [仏ヶ峰登山口] とん平駐車場無料。きれいな水洗トイレ、休憩所あり。自販機、公衆電話なし。電灯電源あり。 [Section5] [関田峠] - [牧峠] - 宇津ノ俣峠 - 幻の池 - [伏野峠] [関田峠] 無料駐車場5台。すこし信州側に下ると茶屋池休憩所。きれいな水洗トイレ。無料休憩所。電灯電源なし。自販機、公衆電話なし。 [牧峠] P4台のみ。近くにはなにもない。 [Section6] [伏野峠] - 須川峠 - [野々海峠] - [深坂峠] - 天水山 [伏野峠] P3台のみ。近くにはなにもない。 [野々海峠] P3台のみ。近くにはなにもない。 [深坂峠] P4台のみ。近くにはなにもない。 [下山ルート] [松之山口] 2つの分岐をこえてつづら折りを抜けると砂利の林道。まもなく舗装へと抜けられる。P3台。 [津南口] 天水山からの下りが急勾配。すぐ近くに松之山口がある。P3台。 [栄村口] 8kmほどの一部舗装の砂利道を下るルート。途中背丈ほどある草を分けて進む箇所多い。遠い。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
[Section1] [斑尾山頂] - [万坂峠] - 袴岳 - [赤池] 起点となる斑尾山頂まではゲレンデ急登。その後の急降下は濡れた地面だと滑って危険。斑尾から万坂峠までの下りはゲレンデの分岐が数カ所あり。立ち止まって道標を確認するくらいの注意が必要。近くに他のトレイルが多数存在するため、簡単に他のルートに迷い込む。万坂峠を超えた湿原から赤池まで近道あり。気にせず進むと袴岳を通過するので注意。 [Section2] [赤池] - [沼の原湿原] - [希望湖] - 毛無山 - [涌井] 赤池から沼の原湿原に向かう登山道の入口は、赤池駐車場の砂利道を進んだ2つ目の分岐を登り、車道を渡ったところにある。非常にわかりにくいので地図の確認が必要。他のルートも多数あり、すぐに迷い込む。沼の原湿原にはきれいなトイレがある。登山道から希望湖(のぞみこ)へ降りると砂利道になる。そこを左に進み、車止めから左に入ると簡易トイレが見える。そこが毛無山への入口。毛無山を超えると谷間をぬう道になる。地形的にぬかるみやコケが多いので足下に注意。涌井新池を超えると涌井集落までは砂利道が続く。長いので急がず確実に進むと良い。 [Section3] [涌井] - 富倉峠 - 黒岩山 - [桂池] - [仏ヶ峰登山口] 涌井の入口は峠のT字路から上がる。坂道を赤い屋根の民家の方に向かって、最初の分岐を右に進む。すぐに山間の登山道になるので足下注意。そこを抜けると黒岩山までは砂利の林道が続く。少し進むと右に分岐する が、そこは道標通り左手側に進む。途中ソブの池を左手に見て分岐を道標通り右に折れる。黒岩山の東屋を抜けて緩やかに下ると左分岐にあたる。メイントレイルはここを左に折れる。直進すると桂池まで近道。桂池のテントサイトのシェルターは雨よけにも使える。このトイレを超えるとあとは仏ヶ峰登山口から20分ほど下ったとん平までトイレはない。桂池から仏ヶ峰登山口までの間に2箇所渡渉ポイントがある。幅も狭く危険は少ないが、増水時は注意。 [Section4] [仏ヶ峰登山口] - 小沢峠 - 鍋倉山 - [関田峠] 仏ヶ峰登山口の下、とん平にはきれいなトイレと雨風をしのげる建物がある。コンクリート造でサッシのドアなので、作りは頑丈。わき水もある。とん平から仏ヶ峰登山口までは砂利道を30分弱上り、さらに仏ヶ峰までゲレンデの急登と登山道の急登が続く。途中やせた尾根を通過するが、大きなブナの木の左を巻くので滑落注意。ここをパスしてお小夜滝からメイントレイルへ合流するルートは、傾斜も少なく体力的にも楽になる。メイントレイルよりもこちらのルートの方が景色は良い。このルートはとん平から仏ヶ峰登山口へは向かわず、北東側の稜線からメイントレイルの小沢峠に合流する。小沢峠からのヤセ尾根はそれほどでもなく、特に危険はない。ここで危険を感じるようならSection6はもっと危険になる。だいぶ下って関田峠に近づくと林床が開けたブナ林に出る。茶屋池の北側で茶屋池周辺のトレイルと合流する。手前の分岐を右に進むときれいなトイレのある茶屋池へとつながる。 [Section5] [関田峠] - [牧峠] - 宇津ノ俣峠 - 幻の池 - [伏野峠] 関田峠から舗装路を新潟県側に、また、メイントレイルを北上した分岐を左に折れてグリーンパル光原荘(11月-5月は冬期閉鎖)へ迎える。信越トレイルのメイントレイルからは少し外れるが、ここには唯一の自動販売機がある。また、シャワーや食事も行える宿泊施設で、信越トレイルのテントサイトにもなっている。関田山脈最標高の関田峠を境に、北側はどんどん不便になる。駐車場のみの牧峠、車では入れない宇津ノ俣峠を経て伏野峠(ぶすのとうげ)へと至る。細かなアップダウンが続くが足下さえ乾燥していればそれほど危険な箇所はない。ただし、茶屋池を過ぎると水場ほとんどなくなり、トイレに至ってはSection6の野々海キャンプサイトまでないため注意。トイレのために3-4時間かけて下山するのは現実的ではない。 [Section6] [伏野峠] - 須川峠 - [野々海峠] - [深坂峠] - 天水山 伏野峠から天水山まではほぼすべてが県境の尾根歩きになる。場所によってはヤセ尾根も連続する。野々海峠周辺をのぞくほぼすべてのルートが新潟県側に急な勾配または崖となり、小さなピークをつなぐルートでは急登急降下が連続する。特に西マド湿原手前の急降下と三方岳周辺の急登、急降下、天水山への急登、急降下は、十分に足下に注意。 [下山ルート] [松之山口] 2つの分岐をこえてつづら折りを抜けると砂利の林道。まもなく舗装へと抜けられる。 [津南口] 天水山からの下りが急勾配。すぐ近くに松之山口がある。 [栄村口] 8kmほどの一部舗装の砂利道を下るルート。途中背丈ほどある草を分けて進む箇所多い。 [GPSデータについて] GSPデータはiPhone4S(SIMなし)+TrailsとSuunto Ambitの2つとなっています。 |
写真
感想
[前々日] (出発)
とにかく勝手がわからずに、65Lザックに10日分の食料と晩秋縦走用の装備をたくさん詰め込んで出発。 前回の吾妻連邦往復装備より食料を増やした程度。
[前日] [斑尾高原] - [なべくら高原] - [斑尾高原]
斑尾高原山の家でオフィシャルマップとガイドブックを購入、テントサイトの情報と予約はなべくら高原森の家ということで車を走らせる。森の家で宿泊情報を聞いたところ、ここにはトレイルマジックが存在し、近隣に送迎をしてくれる宿もあるとのこと。とりあえず赤池ととん平のキャンプサイトを予約したところ、その先のグリーンパル光原荘のキャンプサイトが10月末で冬期閉鎖になることに気づく。グリーンパル光原荘のスタッフの話では何とかなるかもしれないとの返事。
[1日目] [斑尾山頂] - [万坂峠] - 袴岳 - [赤池]
10日くらいは野営できそうな重装備で斑尾のゲレンデを登る。装備の重さよりも足下が滑ることが気になる。下りは何度も地図とコンパスで確認しながら、道標に沿って下るゲレンデを選択していく。万坂峠を越えた湿地帯で赤池方面の道標に遭遇し、近道をしたい気持ちを押し殺しながら袴岳のつづら折りへと入る。袴岳を降りて砂利道を赤池方面へ進むと小雨がぱらつく。赤池に到着する頃には本降りになり、赤池の小屋の2階のテラスで雨宿り。ここにはトイレも蛇口(沢水)もあり電灯もつく。
[2日目] [赤池] - [沼の原湿原] - [希望湖] - 毛無山 - [涌井]
前日からの雨で服は乾かない。外は雨。雨が少し弱まるまで停滞。いつも通りのんびり。しかし、よくよく地図を確認してみるとこの場所はまだ集落に近く、すこし歩けば車にも戻れる。なぜこの雨の中赤池にいるのか、それもにも違和感を覚えた。雨が弱まった一瞬を狙って出発。希望湖手前の林間までは持ちこたえたが、希望湖周辺を通るときには傘を出した。そこから毛無山へ入り、つづら折りをゆっくりゆっくり登る。森の中に入ってしまえばそんなに雨は感じない。その後も少し退屈な道をドラえもんとアンパンマンを口ずさみながら歩く。涌井に到着し、斑尾高原の宿に連絡。あとあとになってトレイルの駐車場に幕営する人もいるんだと知るまでは、トレイルルート上やその周辺の指定地以外での幕営はルール違反だと思い、サイトのない涌井では宿を予約していた。斑尾高原の民宿でおいしい料理とあったかいお風呂にありつく。特にサーモンの包み焼きは絶品だった。旅館などでは手の込んだ料理は出ないと思われる。そしてこの先の装備と寝場所について考え直すこととなる。
[3日目] [涌井] - 富倉峠 - 黒岩山 - [桂池] - [仏ヶ峰登山口]
斑尾高原の民宿の方と一緒にとん平まで車2台で移動し、自分の車をデポ。民宿の車に同乗して涌井まで送ってもらう。これでお土産のジャムまでいただいて料金据え置きなんて、この上ないトレイルマジック。土地の方と話をして、農業のことや普段の生活のことなどいろいろな話をした。それと民宿はホテルや旅館と違い、だいたい夕食の際のお酒やお土産など元が取れるのかなと思うくらいサービスをしてくれる。自分がこの土地に落としたお金でこの里が少しでも潤い、それによってこの里山が維持していければ、まさに文句のつけどころがない。初日、2日目と勉強し、この日はゴールのとん平に車をデポしたこともあり、シュラフなどの寝具と多くの食料もついでにデポできた。この日の装備は65Lザックに1/3ほど。エマージェンシーキットやツェルト、傘、もしものときのコッヘルと2日分の食料だけで済んだ。
涌井を出発し富倉峠を越えた辺りで4人PTに抜かれる。斑尾を越えてから初めてのPT。長く続く砕石の林道で退屈していたところだったので、がんばって後をついていこうと思ったが、4人PTのペースが早くて疲れるのであきらめる。40-60歳代のペースを心がけて歩いていたにも関わらず不覚だった。この4人PTとは今後たびたび顔を合わせることになる。トレイルを進み黒岩山頂でランチ中の4人組に追いつく。彼らはここでツェルトを乾かしたりのんびりムード。こちらはお昼の調理をしていると時間がもったいないので簡単に写真を撮って先を急ぐ。しばらくすると4人組にまた追い越される。のんびりと下り太郎清水を確認し桂池を周辺を調査。桂池のテント場で(しっかり食べるとしばらく動けないので軽く)パンを食べているとそこそこ往来がある。目の前の舗装路を2台の車と1台の原付が通過した。
桂池の北から登山道に入りとん平を目指していると何やら3人組が道標と格闘しているところに出くわす。2人は森の家の信越トレイル整備スタッフで、もう一人がボランティアとのこと。3人は道標を直していたらしい。聞くと間もなく近くの分岐から下に降り、デポしてある車でとん平にデポした車を回収しにいくとのこと。上に車を止めてここまで降りてきたらしい。こちらはとん平まで登り。彼らは分岐を下って車で上り。やりきれない思いを心にしまい、「秋の夕日に照る山もみじ」の歌を歌うことにした。しかしどうしても最後の節が出てこない。「山の麓の・・・」これが引っかかって気持ちが悪いなか、とん平に到着。車を回収して里へ下りる。テント場の予約はあったが、先の4人組が先着して既に設営していたこと、明日の関田峠までの車の移動手段、明日の装備の更なる軽量化などを思案するべく急遽民宿を手配。この民宿でまたトレイルマジックを味わうこととなる。
本来ならとん平テン泊、翌日はグリーンパル光原荘テン泊の予定だったが、グリーンパル光原荘の予約が行ってみないとわからないこともあり、ふもとの戸狩の民宿に連泊のお願いをした。この宿では雄山火口(オヤマボクチ)と呼ばれるヤマゴボウをつなぎに使った手打ちそばをいただいた。北信州の名物で、他にみゆきポークもいただいた。
[4日目] [仏ヶ峰登山口] - 小沢峠 - 鍋倉山 - [関田峠]
戸狩温泉の民宿の方にとん平まで送ってもらい、そこからトレイル再開。同宿にこの日のゴールである関田峠からこことん平まで歩かれる方がいて、このセクションですれ違うこととなる。この日の装備はスノーピークの小さなバッグとSilvaのマップケース+SUUNTOのコンパス。アライのツェルトを雨具兼用にして折りたたみ傘も持つ。エマージェンシーキットとLEDライトと無線機と軽アイゼンをベルトに通しただけの装備。Blackdiamondのポール、カラビナ3枚、スリング3本と5m×5mmロープ1本。レーションはカロリーメイト系とVargoTitanに紅茶。スノーピークの300マグをVargoにスタックして出発。いつもはケガ用の精製水を常備しているが、今回はエマージェンシーキットの洗浄綿と消エタに任せた。ガイドの機会があることと、いわゆる素人ではないので、エマージェンシーキットにはエマージェンシーシートや絆創膏、三角巾などの標準的なものの他に、気道確保用の医療機器や血中酸素飽和度計、局所麻酔、人工呼吸器、舌鉗子、止血帯、鉗子、粘着式ガーゼ、テーピング、各種錠剤まで無駄に取り揃えてある。これが一番重い荷物だが、万が一トレイル中に傷病者と遭遇した場合、これらがあれば助かることもあるかもしれない。かもしれないだけなので通常はただのウェイトである。
日も登り、ガスも次第に上がってきた頃、だいぶ軽くなった装備でいざ仏ヶ峰登山口へと思っていると、先行の4人組もちょうど同じタイミングで出発の様子。どうせ先に出ても追い越されるので少し話をすると、グリーンパル光原荘、野々海キャンプサイトで野営して天水山から林道を栄村口へ向かうとのこと。しばらくしてから砂利のつづら折りを登る4人を見送り、少し経ったところでゲレンデを直登。がんばれば追いつくかもしれないと思ったが無理だった。4人もいたら歩いている間も楽しいだろうなと思ったり、いや、ペースを合わせるのが大変だなとか、やっぱり1人が気楽で良いやなどと考えながら途中何度も休憩しながらなんとか仏ヶ峰へと登りきる。小沢峠の分岐を過ぎて少し進んだ所で先行4人組のものと思われるメモを拾う。タクシーの電話番号などが書かれていたので、もしかしたらなくして困る物かもしれないと思い届けることに。グリーンパル光原荘も見てみたかったのでちょうど都合が良かった。足早に鍋倉山、黒倉山を越えて関田峠。さらに進みグリーンパル光源荘へのアプローチトレイルに入る。グリーンパル光源荘に到着するとアスファルト道。軽アイゼンをならしながらとりあえずトイレ休憩。グリーンパル光源荘本館の自動販売機で休憩中の4人組にメモを渡し、一緒に缶コーヒーブレイク。彼らは西日本や関東東北から集まった4人組と言うことだった。何にしても、仲間がいるということは素晴らしいことだ。彼らの翌日の行程が野々海キャンプサイトまでで、距離があるので出発も早いだろうと思い、明日以降はもう追いつけないだろうと思いながら、車道を関田峠へ向けて登り返す。
茶屋池の休憩所を調べるために関田峠を越えてさらに車道を進む。信州側に少し進んだ所にある。トレイル至近ではおそらくここが最後のトイレになる。この先Section5,6にはトイレは野々海キャンプサイトまで1つもない。茶屋池のトイレは水洗でできたばかりなのかすごくきれいで居心地が良い。居心地が良いトイレも考えものだが。一方、茶屋池の休憩所は無人で自動販売機も公衆電話もない。カギは開いているが、ドアノブを回さないと開かないので一瞬カギがかかっているかのように思える。中はまた居心地が良いがイスがない。また、休憩所内でのコンロの使用や宿泊はできないとのこと。山間部の無人の避難小屋ならまだしも、ここでそれを許してしまうと、まさにホームレスと変わらなくなる。ここではSoftbankのiPhoneは圏外。無線は通るが宿への連絡の為に、電波調査もかねてさらに下る。程なくして宿に連絡をして迎えに来てもらう。2日目の戸狩温泉の宿もやはり料理。宿泊者の多いホテルや旅館では味わえないメニューがでる。帰りが早いこともあり、この日は夕食前にコインランドリーへ行く。コインランドリーは戸狩温泉からさらに下り、千曲川を渡った国道117号沿いにあるセブンイレブンの隣。ここでお酒も買えるが車がないとここまでの移動は厳しい。
[5日目] [関田峠] - [牧峠] - 宇津ノ俣峠 - 幻の池 - [伏野峠]
この日の宿泊はトレイル開始前から予約していた戸狩温泉の別な宿。そのため朝は自分の車で関田峠へと向かう。このSectionは特に何もない。特につらい箇所もなく、かといって楽でもない。強いて言えば宇津ノ俣峠から伏野峠へと向かう登り始めくらいだろうか。幻の池の手前で2日前に出会った信越トレイルの整備スタッフと再会。それまでは人と会っていない。話をすると水場の調査のために来ているとのこと。付近の沢へ入り、メイントレイルからどれくらいはなれた所で水が確保できるかの調査。浄水器があればそんなに困らないだろうが、初夏から夏場にかけては死活問題につながる。まして縦走や重装備でなければ普通は浄水器は持っていない。さらにSection5,6はほとんどが尾根を歩くルートなのでトレイル上に沢がない。水を得るためには比較的傾斜が緩やかな信州側へ少し降りなければならない。そのポイントとそのルート開拓のために必要な仕事である。準備もなく入山するほうが問題だが、熱中症などの事故を未然に防ぐためにどうしてもなくてはならないものだ。
しばらく話をした後で先を急ぐ。峠での通話は期待していないので、なるべく早く里へ向かいたい。伏野峠の地形を地図で見るとの信州側に小高い山がある。とりあえずこの山をかわさないと電波は通らない。伏野峠を下り山の北側へ。舗装道路を下って登ったところに温井野々海林道の分岐がある。分岐を右に進み山を右から巻く。しばらく降りるとようやく電波が通る。宿へ連絡、迎えをお願いする。さらに下っていると伏野峠からの前出の信越トレイル整備スタッフのトラックが追いつき宿の車とすれ違うまで乗せてもらうというトレイルマジック。1本道なので、程なくして宿の車に合う。宿の車で関田峠にデポした自分の車を回収に向かう。
宿の料理はみゆきポークや馬刺などの他に、この宿では釜で炊いた自家製米のおこげご飯が堪能できる。もっとも、コッヘル炊さんする人なら、おこげご飯は得意かもしれないが。夜半になって雨が強くなる。標高500m-600mの戸狩温泉では降雪はないが、標高の高い峠では降っているだろう。
[6日目] (周辺観光・天気待ち)
宿の車と2台で最終ゴール地点の天水山松之山口に向かう。途中で雪道。新雪で踏み跡はない。宿の車の先導で松之山口に到着したところ、例の4人組とまさかの再会。話によると前夜の雪で野々海の積雪は30cmほど。トレースもアイゼンもなしで、三方岳、天水山への尾根歩きを断念し、深坂峠から新潟県側を松之山口までの雪道(車道)を歩いてきたとのこと。彼らは松之山口に建設中のトイレで休憩していたらしく、ちょうどタクシーを呼んで待っている所とのことだった。それならと民宿の方のご好意で彼ら4人を車に乗せ、合計6名でJR飯山線の駅を経由して伏野峠へ向かうこととなった。いずれにしても一度里へ降りないと伏野峠へは行けないため、通り道だった。自分の車をデポして深坂峠へ向かうが、進むに従って雪が増えスタック。数百メートルの距離をバックで降りることになったが、ハンドルが効かないため5人で車を囲み転落しないようにわだちをバックで進む。何の巡り合わせかこの人数がいたからこそ乗り越えられたと思う。ある程度バックした所で方向転換。全員車に乗り込み元の松之山口へと引き返す。だいぶ時間を使ったのと、この分だと伏野峠への登りも大変だろうと思い、MINIには牽引ロープの他にクライミング用の滑車やロープも積んであるので、万が一に備えて松之山口にデポした車を回収し、2台で下山する。
無事にJR飯山線森宮野原駅に到着し、ここで宿の車と別れる。4人組はここから電車移動とのことで4人組とも別れる。その後、状況を見ようとMINI単独で伏野峠へ向かうが、スタッドレスとはいえFFの2WD。限界が近い。踏み後のない新雪をバンパースカートでラッセルしながら登っていくも、伏野峠手前の温井野々海林道分岐(前出の小高い山の北側)の先でスタック。冬装備で雪道を少し下山し、通話ポイントまで移動。MINIの保険でレッカーを頼もうかと思ったが、自走できるなら料金がかかるとのことで断念。壊れていたら無料だったらしい。わざわざ壊しても仕方ないのでスコップとロープでなんとか自己脱出。1本道の真ん中で立ち往生だったため、警察にも連絡しておいたが、脱出後、下りの峠道で出会い状況を説明した。温井野々海林道分岐に車を止めて伏野峠まで歩けば良かったのかもしれないが、人の足跡どころか車の跡もなかったので無理せず停滞することにした。ルートがしっかり確立されていない雪道は道がわからなくなる恐れがある。尾根から尾根へのつづら折りや巻き道などのトレースはすべて雪に覆われ、枝道に迷い込む危険も高い。
結局この日は断念、宿の情報を求めてなべくら高原森の家へ。森の家のスタッフに宿を探してもらい、戸狩温泉の別な宿でさらに2泊することとなった。宿では明日、関田-伏野。明後日、伏野-天水の予定の方と同宿になる。明日はふもと散策の予定だったので、明後日の予定が一緒になる。
[7日目] (周辺観光・天気待ち)
11/3文化の日は晴れの特異日。昨日の雪が解けるくらいの好天に恵まれる。予報では明け方まで雨(雪)とのことだったのでこの日も無理なスケジュールをさけてふもとの散策に出かける。ここ北信州にはほかにもさまざまな見所があるが、これもこの雪がなかったら訪れることはなかったかもしれない。山ノ内町の地獄谷野猿公苑。神戸の大イチョウ、恋愛成就の北竜湖、とん平の大ケヤキなど。またこの日は戸狩温泉周辺の峠にも足を運び、実際のアクセスのしやすさなどを見てきた。
前日に引き続いてこの日も同じ宿。最終日を目前にして最後の北信州名物信玄寿司(笹寿司)が夕食に並んだ。このサプライズは今回の旅程のなかで最高のトレイルマジック。先日に引き続き、宿からは日本酒(地酒)のサービス。民宿はここが素晴らしい。旅館ならまずこの価格でこのサービスはないだろう。この宿で3日間ずっと不明だった「山のふもとの・・・」が解明した。
同宿の方は雪を考慮して関田-伏野を断念。連休で伏野-天水も踏破の予定だったとのことで、1日つぶれると日程的に厳しい。結局信越トレイルは来年に持ち越して今回は場所を変えるとのこと。朝早くに出発して行った。
最後に伏野峠を見に行くと、わだちができており通れる状態。雪は多いがMINIでも伏野峠までたどり着いた。あとは今夜、雨(雪)が降らず、明日朝は路面が解けてくれれば安全に走れそうだ。伏野峠では2台の車の間にテントを張っている方を発見。ここで幕営はルール違反かと思ったが、気にはしない。転回もすれ違いもできない状態になっていたのは参ったが、すこしバックして雪道を下れば待避所がある。しかし、車があるのになぜわざわざここで幕営するのか理解に悩んだ。前日の新雪で断念したMINIが上がれた峠を降りられないはずもないし、そもそも車が2台あるのにわざわざ幕営する理由が。いずれにしてもこのPTが明日新雪を踏んでトレースしてくれれば安全に通過できそうだ。
[8日目] [伏野峠] - 須川峠 - [野々海峠] - [深坂峠] - 天水山 - [松之山口]
昨日に引き続き好天に恵まれる。朝から関田の稜線にガスが見えない。今回の旅程で最高の天候。宿の車と2台で松之山口に向かうがアクシデント発生。先導する宿の車が道を間違え栄村口の林道へ入る。松之山口へ直接向かうルートではないと気づいたが、地図を見ると道はつながっている。せっかくなので林道の調査と思いそのまま後を追う。途中で道間違いに気づいた宿の車が止まり謝られるが、せっかくの機会なのでそのまま進むことになる。林道はMINIでいっぱいいっぱい。普通乗用車では厳しい。まして3ナンバーの4WDは入れないだろう。砂利の路面は片側が陥没している箇所があり、車高が低い(またはホイールベースが長い)と通過できない。道の両脇には背丈以上の草が生い茂りさらに道幅を狭くする。わだちの中央に生えた草も背丈くらいに伸びており、バンパースカートでラッセルする状態。塗装の弱い車では傷だらけになるかもしれない。わかっていれば入らない方が賢明である。
松之山口にMINIをデポして伏野峠に到着したのが11:45。まずは峠で宿で作ってもらったお弁当を開ける。おにぎり一つを食べる。昨日も思ったことだが、ここの宿のお弁当は量、味ともに素晴らしい。前々日に引き続いて軽装だったので、ザックはない。残りのお弁当は凍るはずもないのに一応ウェアの中へ。雪中行軍で得た知識そのままである。今日のテーマ曲も「雪の進軍」である。熱唱した。
伏野峠からトレイルに入ると間もなく獣の足跡に気づく。その足跡は雪上のトレースに沿っている。足跡はタヌキやウサギのものではない。キツネやテンの様な感じだが足跡がまとまらない。足跡は長く続き、ずっとトレースに沿っていることから、誰かが連れ込んだペットの犬だと思われる。ルール違反かもしれないが、発見したということで。
須川峠の手前でどこからともなく熊鈴の音。良く探してみると遥か眼下の車道を歩く人の影。その人影は伏野峠の方へと向かっている。菱ヶ岳の分岐から降りて車道を歩いているのかもしれない。
須川峠を越えてしばらく進むと眼下に菱ヶ岳ゴンドラの山頂停留所が見える。ここからしばらくはこの停留所を左に見ながら尾根を歩く。新潟県側は急斜面、長野県側は緩斜面。やがて踏み跡のないゴンドラの停留所への分岐を過ぎると間もなく西マド湿原に達する。貴重な湿地性植物の宝庫とのことだが、すべてが雪に覆われている。ここから長野県最北端までは左右ともに傾斜が緩やかになる。やがて何もない野々海峠を経て長野県最北端を越えて深坂峠へ出る。深坂峠で本日2人目の人を発見するが、言葉を交せないままそのカメラマンは車道を松之山口へ向かって移動してしまった。
誰もいなくなってしまった雪の深坂峠をあとにしてトレイルを進むと三方岳へのアプローチで人の声を耳にする。中程の所で三方岳から下降するPTと遭遇。近畿からの団体さんらしく、20人ほどと思われる。40°以上の急斜面で左は崖、右は急斜面。正直ここでのすれ違いは危険なのではと思いながら仕方なく立ち止まる。先導のガイドが強引に降りてくるので斜面を譲るが、こちらも安全ではない。手持ちのカラビナとスリングでブナの木にセルフビレイを取る。こちらに向かって転んで滑ってきたら、人1人を安全に受け止める自信はないし、まるで人間兵器である。団体を見ているとかなりの人数が滑って転んでいる。中には1mほど滑落する人もいたが、もし方向が違っていたらまず助かっていないだろう。メンバーだけでなくガイドも滑っていたが、本当にこれで良いのだろうか。ブナの木でビレイを取った自分も、2回ほど滑落を止めようと斜面に出た。もっとも2回とも自分の所までは落ちてこなかったが。この手の事故はきっとニュースになるので何かあってから対策しては遅いと思われる。正直な所、全員がロープビレイしたほうが良いのではないかと思ったが、おそらく無事に通り過ぎられれば良いと考えているのだろう。特に年配のチームの方が安全意識は低いように見える。普段あまり運動しない人が簡単な装備でツアーに参加することほど危ない物はないのではないか。どっちにしても、勝手に急斜面をストックやロープなどの何の確保もなしに1m以上滑り落ちるのは構わないが、それを目の前でやられるとあまり精神的に良くない。以上、雪の急斜面での話である。
三方岳を早々に通過し天水山のアプローチに入ることには夕暮れが迫っていた。毎回恒例の夜景鑑賞と思ったが、建物がなさ過ぎて夜景も何もない。見える範囲に建物はなく、遥か彼方に小さな光が少し程度。飯山方面への眺望はなく、仕方がないので松之山口を目指すが月が雲に隠れていることもあり林床は完全な闇。地形的にも北斜面の谷間なのでなおさらだ。LEDライトのテクノロジーに頼ってトレースを探すもののここには雪はなく落葉のみ。つづら折りを降りて若干平坦な場所に出た所でトレースを見失う。正面に見えるブルーリボンを確認するも踏み跡なし。地図とコンパスをたよりに進むとすぐに砂利の林道を発見する。林道を下って松之山口に到着。
松之山口でMINIを回収し見上げた空には無数の星。写真には残せていないが、後で見ても同じ感動はないので構わない。一度深坂峠へ向かってみるが、少し進んだ所で雪が深くなり、気温も1℃を下回っていたので引き返す。松之山口から松之山温泉へ向かい入浴。スープが絶品のラーメンを食べて帰路につくが、震災と雪の影響であちこちの峠が通れない。仕方なく大きく北側から周り松代へ、国道17号へ出る。塩沢石打から関越トンネルを通過して一般道へ降りる。
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