北アルプス:笠ヶ岳・黒部五郎岳・水晶岳・赤牛岳縦走(読売新道を歩く)


- GPS
- 103:55
- 距離
- 74.4km
- 登り
- 6,183m
- 下り
- 5,815m
コースタイム
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 9:20
- 山行
- 9:00
- 休憩
- 1:50
- 合計
- 10:50
- 山行
- 10:40
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 11:40
- 山行
- 10:40
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 11:40
天候 | 初日:晴れのち午後一時雨 2日目:晴れ 3日目:晴れのち午後一時雨 4日目:晴れ 5日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山道は終始整備されているが、読売新道はぬかるみや大きな岩場・木の根がある道を数時間歩くので慎重な歩行が必要。 道標は適度にあり、道迷いはしにくい。夏の北アルプスは登山者が多く、今回のルートでもすれ違いがないコースはなかった。(読売新道は数人程度) |
その他周辺情報 | 黒部湖の渡し船乗船あり。 |
写真
装備
個人装備 |
傘
|
---|---|
備考 | スポーツ飲料粉末 |
感想
新穂高温泉から笠ヶ岳を初登頂し、その後、黒部五郎岳〜太郎平ルートを経て雲ノ平、水晶岳〜赤牛岳を踏破し、黒部ダムに下山する5日間48時間の縦走をしました。
初日の標高差1600mを登るのが大変でしたが、その後は適度なアップダウンでひたすら長丁場を黙々と歩き通しました。
3日目の薬師沢小屋から雲ノ平への急登は覚悟していました。その日最後の踏ん張りどころとして登り切りましたが、むしろ山荘までの雲ノ平木道が長かった。
4日目の読売新道は噂に違えず長いですね。特に赤牛岳に中々辿り着かず、山頂を目前に休憩を取り昼食を取る状況でした。やはりカロリー摂取は重要です。
また赤牛岳からの下りは途中から樹林帯で、ぬかるみや大きな岩・木の根など滑りやすいため非常に慎重な歩行が必要で、それでも幾度も転びながら怪我せずに小屋まで辿り着けたのは幸運でした。
天気は、初日午後に小雨が降った程度で終始晴天に恵まれ、眺望を楽しめる最高のコンディションでした。
テント持参ながら小屋泊まりを併用。テント泊の荷物でほぼ標準時間で歩き通せたのでまだまだ体力は大丈夫だと確認できました。
以下、日程別の状況と感想です。
【1】初日(新穂高温泉→笠新道経由→笠ヶ岳山荘)
深夜バスで早朝に登山口へ到着。少し怠さがあるものの喜び勇んでいざ出発。
笠新道分岐まではテンポ良く歩行。小休憩のちに笠新道を行く。標高差1000m超をほぼ直登する笠新道はルート始めから斜度20度弱で効率よく高度を上げられる反面、長くこの状態が続くため、疲労は蓄積する。杓子平までに二度小休止を取り、杓子平に到着したのは計画より30分ほど遅れの12:50。杓子平は開けた場所で初めて笠ヶ岳の山頂が見える気持ちの良い場所。広大な花畑が広がり、長い笠新道を歩いてきた疲れが少し癒やされる。続く抜戸岳へのルートもひたすら高度を上げ続けるため、疲労はどんどん蓄積する。ガレ場が増え、稜線間際には岩場となる。小休止を一回とし、先行パーティに遅れないよう頑張った効果で稜線に出た時は20分ほど挽回していた。一方、この時点で遠雷を聞き、天気も怪しくなって来たため、焦りを感じたが、高山歩行はペースが上がらず笠ヶ岳山荘までは標準時間だった。笠ヶ岳山荘は立派な建物で早く駆け込みたいのに、見えてから中々辿り着かず疲労はピークに達した。山荘到着後に激しい雷雨となり笠ヶ岳登頂は翌朝に持ち越した。
【2】二日目(笠ヶ岳→双六小屋→三俣蓮華岳→黒部五郎小舎)
天候は晴れ。4:45に小屋を出て笠ヶ岳山頂で御来光を見た。槍ヶ岳の肩に昇った朝日は神々しく今回の山行でも秀逸な景色だった。一旦、小屋で朝食を取り6時に再出発。前日の雨で空気が澄んでおり遠望が効き景色は最高!双六岳を目指す尾根ルートは実に気持ちが良い。大きな岩が連なる秩父岩とその麓に広がる花畑は楽園のような場所で本当に美しい!しかし、その後の登り返しが体力勝負で大変だった。順調に歩みを進めるもエネルギー補給を忘れ、大ノマ岳手前の小ピークにヘトヘトで座り込んだ。漸く行動食と温かい飲み物を取ることで体力回復。大ノマ岳では遥か向こうに見えた双六小屋が徐々に近づき、2時間で到着した時は腹ペコでまたもダウン気味。食欲が湧かず直前までラーメン食べようと思っていたのにうどんにしてしまった。しかし双六小屋のうどんは汁が透明の薄味で食欲がない人には最適な選択だった。30分も休憩を取ったお陰ですっかり回復し、三俣蓮華岳へ向かう。当初は双六岳を登頂するつもりだったが遅れもあり、中ルートを選択。このルート上で雷鳥に出会うことができたので、この選択は正解!三俣蓮華岳に着いた14時過ぎにはガスが出て見晴らしは良くなかったが、後は黒部五郎小舎までの下りだと思うと気持ちが随分楽になった。やはり経験があるところを歩くのは精神的に全然違う。三俣蓮華岳から黒部五郎小舎までは誰にも出会わなかったが、全く不安なく、計画通り1時間半で到着した。テント場は騒がしくもなく、寂しくもない適度な幕営数で快適な一夜を過ごせた。
【3】三日目(黒部五郎小舎→黒部五郎岳→太郎平→雲ノ平山荘)
熟睡していまい3:30起床。朝食とテント収容して出発は4:50。黒部五郎岳のカールルートは二度目なので安心して歩き始める。朝日に照らされたコバイケイソウに感動し、雄大なカールから見上げる黒部五郎岳にワクワクしながら順調に高度を上げた。黒部五郎岳肩の到着が6:50とやや速いペースで来たが、ここで早くもエネルギー切れを起こす。先ずは山頂を踏もうと進みさっさと戻ってくるつもりが、山頂で長々と記念撮影するパーティがいて、中々「黒部五郎岳」と書かれた木標を渡してくれない。ようやく受け取って写真撮影をしてくれたがしんどい気持ちがいっぱいで苦笑いの撮影になった。僅か数分の出来事がしんどい時には非常に長く感じるものだ。肩に戻って行動食を取って回復。あまりにも判り易い状況に我ながら再び苦笑い。ここから太郎平までのルートは天気が良いと非常に気持ち良い。西に白山が見え、南には笠ヶ岳、東には水晶岳〜赤牛岳、穂高岳〜槍ヶ岳が見え、大パノラマ風景が拝める。勿論、小ピークが幾つもありアップダウンがあるが標高差200mほどで悠然と歩くことができる。北ノ俣岳まで来ると眼下に有峰湖が収まる。そして太郎平小屋も見える。太郎山向こうの丘に立つ小屋は赤い屋根でよく目立つ。目指す小屋が見えるとより元気が出るものだ。穏やかなアップダウンの山道をペースアップして歩くとこのコースを4時間で歩き通すことができた。太郎山付近の登山道は荒廃が激しく木道が付けられていて歩き易い。荒廃した登山道を見ると痛々しいがこれも自然の成す業なのかもしれない。太郎平小屋で昼食を取ったが再びうどんを選択。前日同様旨かった。何より冷蔵された生茶が抜群に旨かった。やはり冷蔵庫は偉大だ!20分の休憩後に再出発。薬師沢小屋まで標準2時間のところを急足で進み1時間40分で到着。ルート上の渡渉や木道上のテーブルを少し楽しむ余裕も持てた。沢沿のコースは植生が変わり、トウヒレンやアザミ、ニッコウキスゲなどを見ることができた。薬師沢小屋まで来るとあとは雲ノ平への急登を残すのみ。薬師沢にかかる長い吊り橋を渡ると7mほどの梯子を直下し、少し進むと雲ノ平へ向かう分岐に出る。標高1900mから一気に600m登る。小雨が降り始めた中、苔生した岩場を両手両足を使って転ばないように登る。直登は効率よく高度を上げることができると思ったが、実際は100m上げるのに30分間掛かり2時間以上も費やした。直登で体力を使い果たし、雲ノ平木道が非常に長く感じた。雲ノ平に出てからは遠望が効き、最初に出てくるアラスカ庭園など美しい場所がたくさんあるのだが、楽しむ余裕はなく、早く小屋に着きたい一心だった。薬師沢小屋からきっちり3時間で雲ノ平山荘に到着。この日最後の宿泊者となった。
【4】四日目(雲ノ平→水晶岳→赤牛岳→読売新道経由→奥黒部ヒュッテ)
4:40出発。明るくなってから歩き始めた。滑り易い木道を注意して歩いていたのにキャンプ場の到着目前で気が緩み転倒。買ったばかりのレインスーツに傷がついてしまった。それでも怪我を負わなかったことを幸いと考え、水補給して祖父岳へ向かう。途中雪渓を横切り、ザレ場・ガレ場を登り祖父岳に到着。わずか300mほどの登りが結構しんどかった。ここでエネルギー補給し、次なる水晶小屋へ向かう。道標が少なくルートを確認しながらの歩行。それでもテンポ良く歩き水晶小屋には8時着。小屋に寄るかどうか思案したが、読売新道の状況確認と万が一の安全を考え存在を認識させるために小屋番と会話した。特に問題なし、水を十分持って歩いて下さいと助言を得て歩行再開。水晶岳へのルートは険しい岩稜で山頂も狭い。長く立ち続けるのが憚られる槍の穂先みたいなところ。それでもザックを下ろして記念撮影し、摂食した。水晶岳まで来ると初日の笠ヶ岳が遥か遠くに見える。朝発った雲ノ平山荘も小さく見え、高みから見る360°パノラマ風景を堪能した。この先の赤牛岳も近くに見えるが幾つものピークがあり、行手の厳しさが想像できた。20分の休憩後に読売新道を進む。下っては上り、ザレ場・ガレ場を幾つも超えて赤牛岳登頂の最終アプローチまで来たが、ガスが掛かるの見て昼食を取り、疲れる前にエネルギー補給をした。水晶岳を発ってから2時間50分後に赤牛岳を登頂。辺りはガスに包まれていたが、薬師岳方面だけは晴れ間があり、薬師見平などを拝むことができた。ここで後続のパーティに追いつかれた。話を聞くと山岳雑誌のライターとカメラマンで、追い抜かれたが最後、小屋まで追いつくことはできなかった。赤牛岳を少し下ると霧が晴れ、行手の山々の向こうに黒部湖を望むことができた。大きな青い湖は美しく、明日はそこまで歩くことを想像し、先のことながら感慨深いものを持った。赤牛岳から1時間半程で樹林帯に入る。樹林帯歩きが3時間あり長い。最初は高山植物が咲き楽しむ余裕を持てたが、徐々に大きな岩場やぬかるみだらけの慎重を要する山道となり、ストレスが高まる。慎重を期すも幾度も転倒。そのうちストックを折ってしまう事故も起こし、自分の手足だけで歩くことにした。苦戦しながらも歩むペースを保ち、赤牛岳から4時間20分で小屋に到着。奥黒部ヒュッテには風呂があり、4日間の垢を落としてサッパリした。宿泊客は2人。テント泊4名。実に少ない。翌朝は下山するだけとの気の緩みもあり、のんびり過ごした。
【5】五日目(奥黒部ヒュッテ→平ノ渡→黒部ダム)
ゆっくり身支度し、6:50に出発。10:20の渡し船に乗船するため余裕のスタート。
沢を渡る橋や崩れた登山道を巻くための梯子が多数あり、それが10mほども登り降りするため、結構息が切れる。船着場まではほぼ水平歩行で標高1550m〜1580mをうろうろ。あっという間に船着場へ到着。所要2時間だった。1時間以上の待ち時間をゆっくりコーヒーを入れて寛ぎ、涼しい山の空気を享受した。時間通りに渡し船が来て乗船。登山中に船に乗れる喜びを期待していただけあって、僅か5分の船上を嬉々として楽しんだ。対岸に渡って再び歩行開始。黒部湖をほぼ半周する10km超の水平歩行は時々湖の向こうに見える山々を楽しむ以外は景色がない。時折、遊覧船の観光ガイド音声が聞こえて来るところが街に近づいていることを感じさせる。黙々と歩く中、出会った登山者は単独行1人と3人パーティの僅か2組だった。下船後、4時間で黒部ダムに到着。最後は黒部ダムの豪快な放水を眺めての下山となった。黒部ダムから見た赤牛岳は遠くに見えた。全75kmの縦走は充実感で終わった。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する