室堂〜立山〜劔岳 半遭難と、半インチキ劔岳


- GPS
- 12:16
- 距離
- 18.0km
- 登り
- 2,116m
- 下り
- 2,233m
コースタイム
07:00 立山駅よりケーブルカー
07:30 美女平より立山高原バス
08:15 室堂
10:15 一ノ越山荘
11:15 雄山
14:10 剣山荘
14日
06:00 剣山荘
08:00 剱岳
09:35 剣山荘
11:15 剣御前小舎
12:50 室堂
天候 | 13日 曇りのち暴風雨 14日 雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
立山駅からケーブルカーに乗り、立山高原バスに接続、室道まで。 ケーブルカー&高原バスの往復運賃は大人4310円。荷物が10kg以上になる場合は、高原バス乗車時追加300円(片道)。ケーブルカーの荷物料金加算は無し。 立山駅からのケーブルカーの始発は7時、室堂からの高原バス最終は17時。時期によて変わるみたいなので要確認。 G割(ぎふわり)という高速道路料金割引サービスが有る。名神と中央道の一部、東海北陸自動車道全線の区間内で2日間IC乗り降り自由&走り放題で5千円。平日だと片道でも5千円オーバーするので、名古屋方面から向かう場合は使い方によってはお得。事前に登録が必要。詳しくはG割で検索。 詳しくはwebで http://d.hatena.ne.jp/single779/20140716 |
コース状況/ 危険箇所等 |
室道から一ノ越山荘間と、雷鳥沢キャンプ場から剣御前小舎に向かう途中はかなりの雪渓有り。剣御前小舎から先の剣沢もかなり雪渓有り。 一ノ越山荘から雄山〜大汝山〜真砂岳〜剣御前小舎間は積雪無しでピッケル、アイゼン不要。 剣山荘から剱岳へ向かう序盤は雪渓有り。それ以降積雪無し。雪渓はステップが切って有るので軽アイゼンでも歩けそうだけど、剣山荘に至るまでに雪渓をかなり歩く為まともなアイゼンは有った方が良い。ピッケルは今回は終始使う場面無し。 剱岳へのルートはマーキングが有るものの、一部迷いやすい所も有る。特に天候が悪いと先が読みにくいのと、滑りやすいので難易度が上がる。また、登山道と下山道が交錯する為、下山道で登ったり、登山道で下ったりしてしまった。初めて登るなら、なるべく良い天気の日に、渋滞を覚悟で登山者が多い時期に行く事をお勧めする。登山者について行けばルートで悩む事もなく、難所の歩き方も参考に出来る。 剣山荘の受付前に剱岳までのルートの詳細な解説と参考写真が有る。カニのヨコバイの最初のステップ等は参考になるので一見の価値有り。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
月曜日の平日が仕事が休みになった。こんな機会は滅多に無いから、泊まりでしか行けない山に行きたい。次に泊まりで行く事が出来るかどうかもわからないから、それなら劔岳に登ってみたいって思った。
今回一番の難関は初日(13日)の立山での暴風雨だった。冬の鈴鹿で強風は何度も体験していたけど、ここまで酷い突風は初めてだった。まっすぐ歩けない、息が出来ない位の激しい風に曝されながら稜線上を歩くのは、僕の対処出来るレベルを超えていた。あぁなるほど、みんなこうやって遭難するんだって思った。無事に下山出来たのは運が良かったとしか言い様がない。
初日がそんな状態だったから、天候不順な中を剱岳へ向かって良いものかかなり悩んだ。だけど、ほぼ同じルートをピストンするから帰りのルート状況は把握出来るし、無理そうなら早々に諦めるとして行ける所まで行ってみようと思う。やや風が有るものの登山道はほとんど稜線の風下側を通っていて、強風に晒される事はほとんどなかった。山頂も僕が到着した時は予想に反してとても穏やかだった。下山道は風を受けるものの、結果さほど苦労する事無く登ってこれた。ただ道中の眺望は全く無し。単に山頂へ行ったというだけ。
一般登山道最難関とされる剱岳よりも、友人曰く「ハイキングコースみたいだった」という立山の方が遥かに怖かった。難易度が高いと言われるルートも条件が良ければ困難ではないし、例えハイキングコースレベルだとしても条件が悪ければ遭難する。そんな当り前の事を痛感させられた。散々な山行になったけど、これほどギリギリの体験をする事もそうそう無いだろうからとても貴重な体験になった。自分の限界を超えてしまいそうな程のギリギリの山行をする事は非難されても仕方がない。読みが甘かったのは間違いない。僕だってこれほどの強風に見舞われるのが分かっていたら登らなかった。でも自分で体験してみなければ本当の事は分からないし、未熟さ故にアテが外れる事もある。強風がどれほど困難かは、僕があれこれ言った所できっと体験した人にしか分からないだろう。「遭難するかと思った」って奥さんに言ったら、「そんな訳ないやろ」って鼻で笑われた。知らない人からすればそんなもの。
今回、剣山荘から剱岳往復で3時間半だった。剣山荘で一緒になった青年二人組は往復6時間ほど掛かったと言っていた。剱岳を満喫したのはどちらか?と言えば、間違いなく彼らの方だ。速く歩けるに越した事はない。だけど、登山は競技じゃない。どうせ登るなら天気の良い日に、渋滞すら楽しめるだけの余裕を持って登りたい。「2時間で登りました」と言ったなら、「あらもったいない」って言うべきだ。そう、僕は初めての北アルプスなのに、全然満喫出来てないんだ。登山者の憧れである北アルプスがこんなもので良いはずがない。
北アルプスに登ろうとする人に初心者丸出しの僕が言える様な事は何もないけど、覚書程度に今回の教訓を書いておく。
・カッパはなるべく良い物を。軽量コンパクトとか透湿性とかではなく、とにかく丈夫な物。暴風雨の中でカッパが破損するって事は本当に命に関る。
・メガネはメガネバンドで。視力が悪い人が悪天候の中でメガネを無くすという事は、即遭難に繋がる。今回「風が強かったら困るかも」程度の考えでとりあえず百均のメガネバンドを持って行ったけど、激しいスポーツにも耐え得るバンドを持っていた方が良い。
・ヘルメットは実際に被って確認。さすが北アルプス。ヘルメットを持っている人をちらほら見掛けた。剱岳に登るなら必須だろう。ヘルメットは実際に被って自分に合うか確認した方が良い。僕は長時間被ると頭が痛くなった。
・ハーネス(安全帯)推奨。精神的な安心感が違う。タテバイ/ヨコバイ以外でも普段経験する事が無い高度感を味わう事になるから、ハーネスじゃないにしても安全帯は持参した方が良い。市販のスリングとカラビナで簡易的な物が作れるし、切り売りのザイルを使っても良い。登山用品店で尋ねると教えてくれるはず。カラビナは頻繁に掛け替えるから、ケチらずに使いやすい大き目の物を。
・剱岳に登るならアタックザックを使用した方が良い。身軽な事は物凄く有利になる。
これからシーズン本番になるんだろう。
良い山行を。
追記
珍しく随分と読まれている様なので追記しておきます。
「劔岳は天気が悪くても登れる」と言っている訳ではありません。天候や自分のコンディションも含めて自分で判断してください。そんな事は改めて言う事では無いですが、ネットという誰が見るか分からない所へ書く以上は断っておきます。今回も出発時に剣山荘のオーナーから「今から行くの!?」って言われました。普通なら登らない状況だったのでしょう。無謀な行為をしたい訳ではなく、行けるか行けないかは自分の足で歩いて確認したかっただけです。結果的に登りましたが、無理なら何時でも即引き返すつもりでしたし、絶えず「行けるか?行けないか?」って考えて登っていました。
「無謀」と「挑戦」を上手く見極めて、良い登山が出来ますように。
kotokekeさん
剣山荘で13(日)にお会いした者です。当日、剣山荘で二人組は私達以外居ませんでしたので、記録を拝見させていただき、直ぐにあの嵐の中、剣山荘に来られた方と分かりました。14(月)の朝、雨風の中アタックし、見事登頂とは恐れ入りました…。しかも往復3時間半とは…。山頂付近では天候も穏やかだったとの事で良かったです。
masato021101さん
その節は色々と教えて頂き助かりました。
仲間と楽しく登れて羨ましい限りです。
出発の間際まで行くか行かないか悩んでいたせいで、ゆっくりお礼が言えませんでした。
ありがとう。
またいつか何処かで会いましょう。
kotokekeスナフキンさん、初めまして。レコを拝見して驚きました。私が諦めたルートを同日に歩き、剱岳登頂までしているとは、恐れ入りました。私も13日に剣山荘泊の予定でしたが、信じられないことにカッパをザックに入れ忘れてしまい、あの暴風雨で身の危険を感じ剱御前小舎で前進を諦めた次第です。晴れた日に、劔岳は再挑戦したいと思います。では、お互い山にゴミと命は捨てないようにしましょうね。
shibataroさんこんにちは。
お互い劔岳が見れなくて残念でしたね。間近で拝みたかったです。
せっかく泊まりで出掛けたのに、忘れ物するとがっかりですね。僕は着替えのパンツを忘れて小屋で独りでしょんぼりしてました。湿ったパンツは体温と一緒にテンションも下がります。
また何処かでニアミスできたら良いですね。
今度は晴れた日に。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する