【はじめての南アルプス】北岳〜間ノ岳 ガスに泣き雷に怯えつつも…
- GPS
- 18:22
- 距離
- 21.1km
- 登り
- 2,580m
- 下り
- 2,548m
コースタイム
- 山行
- 4:02
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 5:02
- 山行
- 5:31
- 休憩
- 2:02
- 合計
- 7:33
- 山行
- 4:02
- 休憩
- 1:23
- 合計
- 5:25
天候 | 1日目 ガス時々晴れ 2日目 晴れのちガスのち晴れ 3日目 晴れのちガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
高速バス 新宿→甲府駅 2500円 バス 甲府駅→広河原 1990円➕協力金300円 帰り バス 広河原→甲府駅 1990円➕協力金300円 特急あずさ 甲府→新宿 3890円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口〜肩の小屋まで 御池小屋手前で傾斜は緩まるがそれ以外は視覚的ダメージのきつい急登が続く。上を見たら溜め息しか出ない。北岳山頂に至るまで登山口の広河原もコースも電波が入るところがほとんどなくイマココで行程を見守る家族には不安をかけることになった。これから登る予定のある方はあらかじめ電波が入らないことを家族に伝えておく必要があるかもしれない。 |
その他周辺情報 | 前泊 甲府ターミナルホテル 素泊まり6000円 甲府駅前バス停まで2分、設備特に不満なし |
写真
感想
初・南アルプスは日本標高2位の北岳!今回も予報は悪いけど山小屋2泊、予定してる間ノ岳、西農鳥岳への縦走は達成できるかアヤシイけど、北岳登頂はなんとかなるでしょう。
とはいえ始まりは雷雨だった。前乗りの甲府駅は雷の轟音と叩きつけるような激しい雨。明日からの山行に向けて不安を感じさせる幕開け。予報次第ではここでの撤退も考えてはいたのだが明日の予報は午前中は晴れで午後から雷雨予報、いわゆる典型的な夏の天気、宿泊予定の肩の小屋まではお昼到着予定、山頂は次の日でも良いので迷わずGOサイン。そして迎えた翌朝4時、見上げた甲府の空に星はなかった。
1日目
広河原へ向かうバスから北岳の山頂が見え安堵のため息。実はこの日至るまで予報は散々でその不安のせいか夜眠りに着けば何度も北岳山行で雨に降られる夢を見せられてきた。少なくとも予報通り午前中は何とかなりそう。スタートは順調、広河原の標高が約1600mなので頂上との標高差は約1600mほど、キツさは最近登った白馬岳と同じくらいかなと想定していた。あの日も辛かったがあのくらいなら何とかなるだろう、辛かったけどね。しかし、日本標高2位は甘くない。日本標高2位は何が違う。何が?ってね、もうね、急登続きはもちろんわかるんだけどその視覚的ダメージが違う、きつい登りが始まると明らかにいつもと見上げる首の角度が違うのよ。白根御池小屋の手前ではその地獄の急登も一旦その牙を納めるがその先の草すべりときたら…。途中下山の方に励まされる「一歩一歩ですよ」とまさにその言葉の通り無心になりながらの直登500m、ようやくたどり着いた肩の小屋、もはや山頂を覆うガスも遠くから聞こえる雷鳴も山頂に行かなくていい都合のいい言い訳でしかなかった。
2日目
午前3時どこぞの阿呆がセットした大音量の目覚ましが小屋中に鳴り響く、騒音の主はその場を離れてるのか一向に鳴り止まない。高山病と思われる頭痛のせいか、肩の小屋の寝袋の寝床が合わなかったのか、この日は寝苦しくほとんど眠れなかった。先々週の鹿島槍ヶ岳の時のように夜明け前に小屋を出て、前日ガスと疲れで見送った北岳頂上を目指そうと目論んでいたが23時ごろ小屋の外に出て見上げた空は一面の雲、そして寝床に戻った時に聞こえた雷の音、続いて屋根を叩く雨音、結局はあの悪夢のとおりになるのか、まさかここまで来て頂上を踏まずに帰るのか?それとも雨の中無理やり頂上を目指すのか?暗いうちに出発しようという意気込みは萎えに萎えたがこの目覚まし騒動で逆に開き直る。鳴りやまぬ目覚ましを尻目に準備を済ませ、頭痛薬を飲み込み、外に出た。ポツポツと弱い雨、上空は黒い雲、しかし、日の出る方向の鳳凰三山の山並みははっきり見え、開いた貝の口の隙間のように山の影と黒い雲の間からオレンジ色の光が漏れているのが見える。雨は降っているが強くない。鹿島槍の時もそうだった。2週前の経験が勇気をくれた。行こう。
暗闇の中とにかく進む方向を間違えないことに注意しながら足を進める。先行して小屋を出たグループが何組かいたはずだが見上げた頂の方向にヘッドライトの光は見えない。頂上までは50分。両俣小屋分岐を過ぎてからがやけに長く感じる。日中、小屋から見たあの高みが頂上だと信じて疑わなかったがどうやら違ったようで頂上かと思えばまたその先があって、これで最後かと思ったらまだ先がある、それを2度3度繰り返しようやく頂上に至る。また誰もいなかった。まだ雨がぱらつき寒かったがこれも先々週の経験が生きて十分な防寒対策をしていたので寒さに対する不安はなかった。頂上から見た日の出の景色は写真を見てほしい。結局最初頂上に着いて、去ったのは最後のほうだった。
頂上から北岳山荘への下りは富士山や仙丈ケ岳、目指す間ノ岳を切り立った岩場から望む絶景に酔いしれたり、花の写真を撮ったりで、のんびり通常約1時間かかるところを1時間半かけて下った。北岳山荘では肩の小屋でもらったお弁当を食す。北岳山荘を発ったのは7時半くらい。しかし山荘を発ったあたりからあれよあれよと東側からガスが沸き、あっという間に景色を白に塗り替える。まぁ、なんということでしょう!あれほどはっきりと見えていた富士山、北岳、鳳凰三山、白い壁に覆われ、今はもう全く見えない。間ノ岳も見えたり、見えなかったり。本来ならここから雲海に浮かぶ富士山を眺めながら3000mの稜線を歩くという夢のような時間が待っていたはず。しかし人生は甘くない。その夢の時間はプロローグだけ見せて強制終了し白いヴェールの中へと消える。そうして新たなリベンジ案件がまた一つ。
夢も消えたが気負いも消えた。気楽な3000mの稜線歩きもそれなりに楽しい。それでも間ノ岳に着いた時点で東側の白い壁の分厚さに昨日同様雷の不安が頭を過り、結局予定していた西農鳥岳へ向かうことはあきらめ、北岳山荘に戻り午前中いっぱいでこの日の山行は終了となった。
お昼寝し、夕方に外に出る。あら不思議、あれほど分厚かったガスはいつのまにかどこかに消えていて富士山がまた姿を現していた。山の天気を乗りこなすことはまだまだできそうにない。
3日目
眠れぬ夜もあれば眠れ過ぎる夜もある。昨日の朝、薬を飲んで以降頭痛はすっかり消えていたし、ふかふかの北岳山荘の布団は寝心地抜群だった。食事は肩の小屋に軍配が上がるが寝心地は断然北岳山荘だ。昼寝をしたはずなのに朝食30分前の4時までぐっすり寝た。しまったと思ったのは外に出て夜明け前の空にたくさんの星を見た時だった。ちゃんと準備してきたのに今回もまた星を撮り損ねてしまったよ。帰る日が一番の好天という皮肉にわずかばかりの苦苦しさを感じつつ、小屋の前で日の出と雲海に浮かぶ富士山を眺めた。さよなら北岳と3000mの稜線たち、また再びこの地を訪れる時が来ればいいな。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する