南ア・伝付峠〜二軒小屋〜蝙蝠岳〜塩見岳〜大井川東俣〜農鳥岳〜奈良田周遊
- GPS
- 104:00
- 距離
- 52.9km
- 登り
- 5,193m
- 下り
- 4,883m
コースタイム
- 山行
- 4:21
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 4:47
- 山行
- 12:23
- 休憩
- 2:33
- 合計
- 14:56
- 山行
- 5:43
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 7:00
- 山行
- 6:32
- 休憩
- 0:23
- 合計
- 6:55
天候 | 9/28 快晴 /29 晴れのち曇り /30 曇り時々晴れ 10/1 雨 風ツ /2 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:奈良田 13:50(町営バス)14:09 下部温泉 17:19(ふじかわ)18:02 甲府 18:39(中央本線)20:08 高尾 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・〜伝付峠 八丁峠の登り。カバー付きワイヤー設置あります。梯子のついた箇所のガレと梯子の湖底に注意。内河内沿いの道は桟道が斜めだったり、ロープ固定のピンが動いたりありますので注意。水場は小沢は枯れないでしょう。 ・二軒小屋〜蝙蝠岳 噂通り幕営禁止、正規の水場もありません。蝙蝠尾根は奥秩父みたいな風景、徳右衛門山手前の水場はじゃんじゃん出ていました。よくあそこを探したなという感じで、ザレ場の真ん中に枯れた木の根があり、その根元から流れ出しています。埋まってしまわないのでしょうか?天場はこの水場付近から増えます。森林限界から確かに踏み跡は薄いです。 ・雪投沢〜大井川 十山の道標からさらに登山道を進み、次の鞍部から見える旧天場の方向に下るとさらにトラバースの踏み跡がある。それを辿ると雪投本筋に向かっていくが、その手前でダケカンバ林の中にされに点在する平坦地がある。その中の沢形を下ると本筋に降りられる。時期的なものではじめの二俣(2450だったかな?)まで登山靴で下れた。その先は沢靴に履き替えた方が楽。当たり前のようにぬめっている。岩積み小滝のようなものはいくつも出てくるが、両岸斜面の鹿道を拾うとうまく下れること多かった。下部は倒木が多い。大井川本流の渡渉は膝下、河原が広すぎなので砂の平坦地が多く、特に今回泊まったところまで行く必要はない。 ・大井川東俣〜巻道 新蛇抜沢までは土砂の堆積が著しい河原。その先は一旦よくあるゴーロ帯で大きな支流が合流する手前は荒れた河原になるようだ。滝の沢出合は『絶対間違えるはずない』と思っていたけれど、下流から見ると直進が滝の沢。地形図を見ると本流はその部分だけ少し左折してから北上しているので注意。魚留手前から両岸が立ってくる。情報通り右岸巻き。越えるともののけ姫の世界になる。二俣状の所には平坦地あり。奥の二俣も写真で想像していたより広く、ひたすらに上流を目指す。ピンクの文字の書かれた石の所で水が伏流したが、巻道に出るところには水場としての沢がガンガン流れていた。あまりに登山道に合流しないので廃道になったのかと不安になるくらい登るので注意。渡渉はしっかり選べば膝上で済みそう。 |
その他周辺情報 | サンロードしもべの湯 ¥930 まだできたばかり。かけ流しではないが電車待ちの時間こんな施設があるとリピーターも増えるのでは?スポーツクラブと食堂があります。 |
写真
感想
今年の自分の休みは、行きたい山の計画をするとその地域がその日程天気が悪いことが多い。この秋も同様、本当なら秋田・葛根田川から大深沢につなぎ、秋田駒まで縦走するつもりだった。どうも関東南部ならどうにかなりそうな感じ。そういえば夏に企画したこれも代用企画があった。これが大井川東俣歩きだった。紅葉にはまだ早いはずだけれど休み期間もちょうどよく、静かな山行ができそうだし、何といってもこれも20年近く宿題として積み残していた場所であった。ところが行ってみると意外な発見があったり出会いがあったりと、なかなか面白い山行になった。
9/28
身延線と早川町営バスの乗り継ぎは特急ふじかわに合わせてあるようなので、結構朝も遅い時間に出発、よく考えれば甲府って近いんだよねぇ。町営バスに乗り、伝付峠入口で下車、いつも『至 伝付峠』くらいの道標があればいいのにと思う。フォッサマグナの露頭を右に見て進み、リニア工事現場を過ぎてどんどんのぼる。林道歩きはこの時期なのに結構暑い。旧道が今どうなっているのか気になるところだが、発電所の上を通り過ぎ、崩れた林道をすぐで河原に降りる。鉄支柱の堰堤を越した先の河原で休憩、ほとんど水が流れていない。
八丁峠の登り口で東電関係者5人と遭遇、まさかここで人と会うとは思わなかった。もう旧道は整備しないらしい。相変わらずの激登りを進むが、ミニアリの戸渡にかけてある梯子の耐荷重が気になる。峠では休まずそのまま通過すると、その下りで最近よく発動する動悸が…日も傾いてきて焦りからかなかなか収まらない。この先、山を続けていて本当に平気なんだろうか?
河床まで降りてきて木橋を渡るが、冬に来たときは気にならなかったけれど、思いのほか幅がなくロープもユルユルなので、バランス7くらいの配分で渡らないとおちるかもしれない。その後、沢沿いに歩いて進むが、沢装備も持ちつつ沢沿いの道なのが分かっていたにもかかわらず水まで満載してきてしまったので、急にばてて何度も休んでしまった。そんな時に気づいたのは、この内河内が結構きれいな沢だということ。連瀑帯なども存在している。そんなこんなでやっと保利沢小屋(昔の言い方なのか?)に到着、3段になった草地の平坦地に幕営した。これ、完走できるのか?
/29
小屋上のつり橋は渡らず、二俣を左岸を進む。主水石の上で一度右岸に渡り、トロを巻いて再度左岸に渡ると中洲状を進む。テープも多い。この中州は上部の伝付水場から降りてくる枝沢合流しばらくでのようで、踏み跡を本流伝いに進む。この辺りの道がわかりにくい。再び右岸を進むと天場によさげな小さな砂礫地を通過、その少し上流で尾根への取り付き地点に到着。地図に記載のブナ大木は少し登ったところにある。広いなだらかなカラマツ林の尾根に道はつづら状に続いている。足元のスズタケがきれいで、和名倉山周辺を思わせる。水場2か所は枯れておらず、奥側の水場に昔の小屋跡があり幕営も可能だ。二軒小屋で水をもらえない可能性もあるのでここで満載、伝付峠に向かった。
水場から峠までは10分ほど、二軒小屋へは昔はそのまま峠の向かい側を下って行ったのだけれど、今は少しだけ南下し、小さな小屋がある手前の道標支柱あたりのテープがぶら下がった個所から踏み跡に入ると、すぐに広く良い道になる。木が太く私有地でもあるのでよく林が保存されている。ジグザグに下りきると二軒小屋に到着、事前情報通り、あの芝生での幕営は不能だった。一人休憩中だったので水場を聞けば、林道を少し戻ったところにちょっと水が出ているとのこと。小屋に取り付けられた蛇口はろ過していないので自己責任でと言われたらしい。徳右衛門山手前の水場は2日前の記録で『出ている』とのことだった。一度林道に出て田代ダムからの放水路を渡った先のゲートを抜けた先で休憩。林道を椹島方面へ水を探しに戻ったが、10分強歩いても見つからなかった。工事現場のプレハブに寄って水を分けていただくことができた。管理のおばさんにリニア工事についてのことや、東海パルプについての話を聞かせていただいた。結構な長話になってしまったので先を急ぐ。
吊り橋ではなく田代ダム経由で進む。ダムっぽくないダム脇を通り、歩くと東俣と西俣の分岐に到着する。それまできれいな道標があったのにこの分岐は古いものだった。間違えるわけないだろうと、吊り橋がどの位置で渡ってくるのかだけが気になり、地図をろくすっぽ見ずに歩いていたので、この林道分岐を西俣方向へ進んでしまう。坂を上りきって川を見ても吊り橋はない。ここで地図を確認すると蝙蝠への登山道は東俣を少し進んだところあるではないか!思い込みって怖い。
炎天下の林道を戻り、東俣にはいる。なぜか登山ポストが設置されている。水質を気にしなければ登山口周辺は本流がすぐ脇なので、ここでも水をとることができたし、取り付き手前の河原は砂の平坦地があり、幕営もよさそうだった。
蝙蝠尾根ははじめのロープ設置地帯を抜けると、樹林帯の穏やかなアップダウンを繰り返す。しばらく進むと鉄筋の建物が見えてくる。この施設のわきに設置された鉄階段が地味にキツイ。最上段に山ブドウが生えていて、日当たりも良い場所だったのでかなり甘くなっていた。登り切った日陰で休憩。
次のセクションも風景は変わらず、樹種が奥秩父的になってくる。途中で今山行用にヤマップを初使用して地図をダウンロードしたのを忘れていた。紙地図ではどこの小Pを通過しているのか全く分からないけれど、一目瞭然なのにビックリ!ただ、バッテリーは減らないと言われていたのに、やけに減っているのが気になった。(この件は農鳥小屋で一緒になった2人に使い方を間違えていることを教わる。)思ったのはこのアプリは登山者をダメにすると感じたのは私だけだろうか?勘が鈍りそう。
さらに進み水場の標識に遭遇、これは見落とさないだろう。明日は再び川に降りるが、この水場は気になるので給水に出掛ける。往復10分弱、踏み跡を下って幕営跡2か所を過ぎてしばらくでガレに導かれる。よく埋没しないなぁというような場所で、ガレの中に残った枯木の木の根の下から湧きだしている不思議な場所だ。そしてめちゃくちゃ冷たい。
徳右衛門山は樹林内、今日も夕暮れ近いので通過。森林限界手前のダケカンバ紅葉がよかった。そして樹林から飛び出すと夕景360度の素晴らしい場所に到着した。石ザクの尾根は、ガス時に踏み跡がわかりにくい感じ。足元のクロマメノキの紅葉がジャストで黒いザクとハイマツのコントラストが素晴らしかった。そして実は小さかったが素晴らしく甘い。二軒小屋と西俣のロスがなければ、もっと食べられたのにと思ったのは言うまでもありません。
きれいな鈍角二等辺三角形の蝙蝠岳には18時過ぎに到着、ちょうど雲が増えてきて、せっかくここまで来たのに大展望とはいかなかったのがとても残念。幕営個所は本当に頂上直下にあった。貸し切り頂上ををもっと堪能したかったなぁ。
/30
起床して外を見ればガス…今日は再び大井川本流まで下る予定、池の沢小屋周辺で泊まる予定だったので、もしやの天候回復に賭けて二度寝する。結果、特に回復もしなかったので出パ。眺めがよさそうな稜線を1時間ほど歩くと雲が取れ始めてくる。塩見の山腹や森林限界直下のダケカンバがきれいに紅葉している。
北俣岳は見落としたのか道標がなかったけれど、なかなかスリリングなヤセ尾根だった。この稜線を境にして北側にガスが立ち込め、なかなかの景色を醸し出していた。主稜線分岐に出て荷物をデポ、せっかくここまだ来たし、3年くらい前の冬も直下で敗退したので往復することにした。塩見岳は東峰のみ往復、さすがに込み合っている。ここで三伏峠から往復の男性とかなり長く話し込んでしまった。今日は焚火デーにしたかったので先を急ぐことにし分岐へ戻った。
大井川源流方面の山腹はなかなかの色に変色している。雪投沢の中腹はいい感じの色づきだ。雪投源頭にはいつも稜線から見える一張のスペースからハイマツの中を踏み跡があると思っていた。ところが結構かぶって歩きにくそうだ。下りながら見ていると、もう少し北荒川方面に行ったところから降りた方がヤブが少なさそうだと判断し、一度平坦になった稜線の道標を越え、その先の小コルに谷の方に向かって下る踏み跡と天場跡が見えたので、これを下る。それを下りながら雪投沢の流れに向かってトラバースする踏み跡が確認できたのでとりあえず行ってみることにする。まさに登山道という感じ、昔日の幕営可能だったころが思い起こされる。するとダケカンバが生えた平坦地にある複数の幕営跡に導かれた。ここは知らなかった。主稜線からは確認できない角度にあるっぽい。以前、ここが天場として不能となったのは、ここにあるゴミなど水質悪化のためと聞いたことがあったが、納得といった感じだ。
特にヤブもないため旧天場の中の流水溝を沢筋に向かって下ってゆくと、ガレた雪投沢に出る。正面に農鳥岳を望みながら、水も少ないのでそのまま登山靴で下る。流れの脇には鹿道もあり、水線が微妙な時はこれを使って下れる。というかたどり着く先がしっかりわかれば、むしろこれを使った方が楽に下れる感じだ。沢幅が狭くなり右岸から枝沢が合わさるところで休憩し、沢靴に足回りを変更した。
その後、徐々に小滝も出てくるが問題なく下れる。滝も石積みのようなものが多く、うまく巻きながら降りてゆくと、沢が徐々に右にカーブしてゆく。まもなく本流だろうという距離の所から、ものすごい倒木の数となり、障害物競走になった。
東俣に着くと写真では見ていたものの広い川幅とものすごい土砂量、井川の方が土砂だらけなのが納得できる。時期的なものか水も少なく平らな砂礫地が多く、どこでもテントが張れそうだ。左岸に渡り物件探しをしていると、最高の砂地に焚火跡を発見!ここ以外考えられず荷物を置いて池の沢小屋を探しに出かける。勝手に池の沢を少し上流に入ったところと思い込んでいたので、河原をピンクテープを辿って上流に向かう。こんなに遠いか?と疑問に思い、探すのをやめてザックに戻ったが、その時に極上物件のすぐ上側の高台に朽ち果てそうな小屋を発見。のぞいてみると結構広いが、こんないい天気なら外の方が快適そうだ。
幕営後、売るほどある薪を集め、焚火準備をして夕暮れを待った。谷の中にもかかわらず結構風が強く、焚火を始めると火の粉が待ってしまうほどの強さに、消火用水を用意しないとまずいかと考えてしまったほどだ。明日ってどんな天気なんだろ?まさか一日雨になるとは…考えずに眠りについた。
10/1
起床すると本日は雨模様、農鳥小屋でのんびり景色を眺めたいと思っていたけれど、この天気では無理そうなので本日も二度寝。出発のころにはほとんど上がっている状況、まずはどこまで続くのかわかっていない河原歩き。何度か渡渉はしたけれど何も問題なし。1時間ほどで蛇抜沢出合となり、この辺りから大きな岩が出てきたりと、だんだん流れに変化が出てくる。魚が居つきそうなのはここから先という感じ。禁漁区なのが残念だ。ずっと荒れた河原が続くと思っていたのに、割と大きな支沢が合わせた上部は、いわゆる普通の大きな川の渓相になる。そして次の支沢の出合う手前くらいから土砂の多い埋まった河原に変化するという変化を繰り返す。
ガスで煙る沢筋を渡渉を繰り返しながら進むと、右岸に『滝』の青文字が書かれた立ち枯れの幹がある。ここが滝ノ沢出合。歩いている最中、支流の数も数えていたので『なぜ右岸から枝沢が?』という印象だ。下調べで滝ノ沢に迷い込んで事故があったという記事があったけれど、地形図をざっくり見ていると『どうやったら間違えるのか?』という感じ。実は左が本流で直進が滝ノ沢になっている。よく地形図を確認するとここで本流はクランク状になっていた。沢幅と水量でなんとなくわかるが、仲間と話しながらだと盛り上がってしまったら、そのまま滝ノ沢に引き込まれてしまうかもしれない。
本流を引き続き進むが、難しいところのない沢旅という言葉が似あう渓相。だんだん両岸が迫りゴルジュっぽくなってくると、その奥に魚留が見えてくる。岳人BNで見ていた写真とまるで違い、結構な迫力だ。左から容易に巻いて通過し少し先の河原に降りる。水量が急に少なくなった感じだが、ここを越えてなお樹林帯の広い川幅で、苔むした砂礫の河床で小さな湧水がたくさん出ている。もののけ姫かナウシカの世界観に見え、なかなか素敵なロケーションだ。だんだん雨が強くなってきたので立ったままで休憩。倒木は巨大なものが多く、またぐのも面倒なので両岸樹林の中にある鹿道を拾って進んだ。
乗越沢出合辺りでさらに雨が強くなってきたので、台地のBSの誘われそうになったが、思いのほか早く歩けているので農鳥小屋を目指すことにした。次回来ることがあればこの辺りに泊まってみたい。そして魚留を越えたにもかかわらず、足元をイワナがビュンビュン走る。
徐々に傾斜がついてきた谷の中に立ち込めたガスの中に、二俣状は割とすぐに見える。奥の二俣は写真では思いもしないくらいの広さでBSもある。そして周囲はダケカンバ林で、ガスの中でも薄黄色に染まった木々がとても美しい。ここはまた秋に訪れてみたい場所だ。晴れていないことが恨めしく思う。農鳥沢ではなく大井川本流を詰める。ヤブは微塵もなさそうな沢筋、すると突然ピンク色でなにがしかの文字が書かれた岩が出てくる。『水』と書かれているようにも見えるが…ちょうどここで水が枯れたので給水、さらに上流に進む。ところがまた流れが復活するもすぐに枯れる。雨が影響した流れなのかそうでないのか判別がつかない。
先ほどのペイントから結構登って感じがしたけれど、まるでトラバース道と合流しない。このトラバース道を通った記憶がほとんどなく、もしかしたら廃道になってしまっているのかと疑う。沢形のなかもかなり風も強く、もし見つけられなかったら強風の間ノ岳を通過しなくてはならないと思うと、少々不安になってくる。所々立ち止まり踏み跡みたいなものがないか検索しながら高度を上げると、今までの心配が何だったかのような立派な登山道に飛び出し、しかもさらに上流からじゃんじゃん水が流れている。ここが本当の水場だった。周辺はもうハイマツなので吹き曝し、休むことなく農鳥小屋方面に進む。もう3時間休んでいないけれど、風が強すぎて休んでいるわけにいかない状況だ。乗越沢出合でやめておけばよかったと後悔した。
さらに風は強さを増し、農鳥沢のトラバース地点では爆風で、何回も飛ばされてしまうと思ったくらいだった。主稜線の登山道に出るとさらにすごいことに…今日はテントが張れない感じだ。冬期小屋部分が解放されていてほしいと願いながら、ようやく農鳥小屋に到着した。ほぼ新品のカッパは内側までびっしょりで、大枚払った意味が分からなかった。小屋は解放されており先客2名がすでに寝ていた。彼らは本日停滞、この天候でも出発していった人がいるというから驚きだ。北岳から来た高齢女性は寒さで震えていたので、温かいお茶をごちそうしたとのことだ。彼らは遭難したんじゃと結構心配していた。
着替えをしてようやく落ち着き、16時くらいに風は止んでいなかったけれど視界良好となり、薄暗い中に甲府盆地の街明かりが素晴らしくきれいに映えた。明日の天気は保証されているようだ。夜は3人で山談義に花が咲き、楽しい時間を過ごさせてもらった。一人はサバイバル登山のH氏を尊敬しているという、なかなかマニアックな人だった。
/2
膝の調子がよくないところで大門沢ルートは避けたかったが、昨日、彼ら二人と話した結果、確実に温泉に入ることができるのは奈良田下山と判断。彼らと同様に奈良田に向かって下山を開始する。少し風が強いが快晴に近い天気、間ノ岳、北岳はもったいなかったけれど農鳥も久々だったのでまぁいいかという感じ。自分が好きな眺めは中白根から見る北岳。これを楽しみに来たけれどまたにしよう。農鳥岳から見る北岳もとんがっててかっこよかったな。塩見も荒川も見え、登ってきた大井川東俣も見える。やはり奥の二俣は黄葉したダケカンバに囲まれ、晴れている時に通ってみたいな。
クロマメノキの実を時折食べながら下山開始。大門沢下降点からいよいよ下りにかかるけれど、上部は紅葉の時期のため飽きが来ることもなく下ることができた。でも樹林帯に入れば至って奥秩父の風景、毎度思うがこれを登ってくる人はすごいと思う。記憶をなくしとりあえず大門沢小屋まで下る。13時台のバスに乗るために頑張って下るしかない。川沿いの道から八丁坂手前の傾斜の緩い樹林に入ると、一部廃屋やドラム缶など見苦しい部分もあるが、木が高く下草もないきれいな場所で、紅葉ピークの時にここだけ覗きに来たいと思った。何年か前の冬に八丁坂を下った時は、急傾斜にもかかわらず落ち葉の量が半端ではなく、登山道を隠してしまっているので結構気を使ったが、今日はそんなことはないけれど、大雨が続けばあの道もいずれなくなってしまうかもしれない。取水ダムを越え工事中の林道に出て休憩する。林道には現場事務所にAED設置とか、登山者休憩用テントやベンチが設置されていたりと、何やら気遣いがすごい。
あわよくば女帝の湯に入ることができればと思っていたが、バス停についてのはバス出発20分前。この区間、縮まないかなぁ…。バスの運転手と話していると、小屋で一緒だった二人組が女帝の湯から降りてきた。バスの中でも結構盛り上がり、彼らも下部温泉駅の隣にできた温泉施設に立ち寄り、彼らの好意で一緒にプチ宴会となり、今山行を締めくくることができたのだった。
アップダウンが多いコースで、二回同じ行動するかと言われれば考えてしまうけれど、やり切った感は大きなものでした。天気は今一つだったけれど、それにも代えがたい出会いがあったことはうれしいことでした。また同行できる日を楽しみにしています。
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