奥穂高岳(涸沢より)
- GPS
- 20:47
- 距離
- 42.1km
- 登り
- 2,026m
- 下り
- 2,016m
コースタイム
- 山行
- 5:20
- 休憩
- 0:27
- 合計
- 5:47
- 山行
- 9:44
- 休憩
- 3:54
- 合計
- 13:38
天候 | 二日とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
上高地から本谷橋までは、快適な林道、登山道歩き。本谷橋を渡った直後から涸沢までは、完全に雪上歩行。アイゼンなしでも歩けるが、涸沢ヒュッテの手前等、比較的急な個所もあるので、適当なタイミングでアイゼンを装着した方が滑らずに楽に進める気がした。涸沢から白出のコルまでは、あずき沢を直登。アイゼン、ピッケルを十分に使いこなせる必要がある。白出のコルから奥穂山頂の間には、はしごの直上と、間違い尾根の手前に10〜20m程度の雪上区間がある。その他は完全に夏道が露出している。雪上箇所は、二か所とも踏み跡がしっかりしているので、ノーアイゼンで通過できたが、早朝の通過時には付近に凍結箇所も散見されたのでアイゼンを持参した方が無難だと感じた。ただし、間違い尾根手前の積雪箇所は、岩稜を通って回避することもできる。 |
その他周辺情報 | 梓河畔の湯さんで入浴し、汗を流した。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
靴
ザック
ザックカバー
サブザック
アイゼン
ピッケル
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
ファーストエイドキット
日焼け止め
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
ヘルメット
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感想
一日目
土砂降りの中、車に荷物を積み込み、本当にこんな天気で山に登れるのか、と半信半疑のまま自宅を出発。中央道に入っても雨は降りやまず、それどころか、ところどころでガスが掛かり視界も良くない状態。それでも、八ヶ岳の裾野を越えたあたりから雨が止み、急に明るい空が見えてきた。この日は、関東の南岸近くに強い低気圧があったのだが、その低気圧の雨雲を八ヶ岳の裾野が食い止めていてくれたのかもしれない。今度、お礼参りに行かなければなるまい!沢渡駐車場まで向い、車を停めたところ、駐車場から至近に虹が見える。空模様への期待が高まる。5月半ばの槍ではかなりへばってしまったので、今度は大丈夫だろうか、と少し不安な気持ちの中で支度を済ませバスに乗った。最近、新穂高温泉から登ることが多く、上高地に向かうのは去年ぶりなので、なんとなく懐かしい。上高地のバスターミナルに到着後、同行者と上高地の景色を楽しみながら出発。やはり、夏山の最盛期のような賑わいはなく、早朝なので観光客もほとんどおらず落ち着いた感じだ。明神、徳沢とひと気の少ない散策路を順調に通過し、横尾で小休止。腹ごしらえをして、この先に備える。横尾から先は、徐々に本格的な登山道になる。時折、左手に見える雲をまとった屏風岩が美しい。横尾から本谷橋までの区間の登山道は、非常に快適に整備されていて、残雪等も皆無の為、夏山と同じように登ることができる。しかし、本谷橋を越えて直ぐに残雪が現れ、その後は涸沢ヒュッテまで途切れることなく雪がある。ここからは、夏道を離れ、涸沢沿いの春山用のトレースを歩く。ツボ足で登っている方の方が多いように見受けられたが、それなりに急な個所もあるため、早々にアイゼンを装着。晴れ間の中、快適な雪上歩行で進む。目指すべき奥穂の姿はなかなか拝むことができないが、辛抱強く進むと、目の前に、前穂が見え、そして吊尾根、奥穂、と視界が開けていく。雪をまとった山々の眺めに、まさしく心が躍る瞬間だ。山の眺めに力をもらい、さらに進むと涸沢ヒュッテが見えてくる。ヒュッテ前の急坂をもくもくと登って行く。既に15Km以上の歩行をこなしているため、それなりに疲れてきているので、この急坂はなかなか堪える。ヒュッテにつくなり、すぐさま昼食。山を背後に見ながら食べるカレーライスは、感動するほど旨い!時間は一時半。穂高岳山荘まで登ることも考えていたが、テラスからあずき沢を見ていると、単独の方が登っているのが見えた。しかし、時間の割になかなか進んでいかないようで、それを見て我々も今日は涸沢で泊まることにした。午後になると相当に雪が緩むため、急な雪面をこなすのがきついのだろう。小屋の受付を済ませ、気持ち良い昼寝タイムとした。夕食を済ませ、翌日の荷物の整理をした。消灯前に外に出ると、そこには満点の星空。あまりの美しさに写真撮影も試みたが、簡易的な三脚では長時間露光に堪えなかったのが残念であった。
二日目
今日は、奥穂の山頂に行った後、上高地まで下る必要があるため、朝3時過ぎに起床。支度を整え、月明かりの雪面を歩く。そうこうするうちに、空が白み始め、やがて稜線が赤く染め上げられてゆく。先行者もなかったため、どこを登るか考えどころではあったが、雪面は固く締まっており、アイゼンが良く効くためあずき沢を直登することにした。水も1L、カメラのレンズも一本のみ、として残りは涸沢ヒュッテにデポしたため、軽やかに登っていける。登りだと荷物の重量の影響がいかに大きいのか、というのが実感できる。同行者のペースを気に掛けつつ、順調に高度を上げる。雪渓の登りは、ふくらはぎに堪えるが、前日の登山者の踏み跡がいい具合に固まっていて、これを生かすと意外と楽に登っていけた。景色も最高で、早朝なので雪の具合は良いが、時折、落石があることには注意が必要だ。実際、この日も小石大だが二回の落石があった。そのうち一つは、あまりにも自分の至近に来たため、野球のゴロに反応するように思わずキャッチしてしまった。怪我はせずに済んだが、直下にいる同行者に当る可能性を思えば、致し方ないところではあった。淡々と登りをこなすと、下から見上げていた吊尾根が同じ高さに見え、涸沢槍も随分と近くに見えてくる。しかし、この辺からが斜度が増すところで、頑張りどころだ。前回の槍では、雪渓の急登に苦しめられたが、今回はその時のことを体が覚えているのか、かなり余裕がある。同行者も結構いいペースで登ってきているが、やはり前回の山行が生きているのだろう。そして、6時過ぎには穂高岳山荘に到着することができた。ここで改めで腹ごしらえをする。先日、奥穂山頂に登った方のお話を聞けば、山荘から山頂まで二か所の積雪箇所があり、早朝で凍結している可能性も考えられる、との的確なアドバイスが頂けた。事実、穂高岳山荘の玄関前はがっちり凍っていたのだ。そこで、アイゼンとピッケルはデポせずに、携行して山頂を目指すことにした。ここから山頂までは、本当に景色が素晴らしいところ。涸沢岳、北穂高岳の高さに迫りながら、槍を視界に収める。そして、登るにしたがって、これらの峰々はいずれも眼下に収まっていく。さすがは日本第三位の高峰である。同行者と山頂の景色を楽しんだ後、上高地を目指して下山する。穂高岳山荘までの間にある二か所の積雪箇所は、いずれもノーアイゼンで通過できた。穂高岳山荘からは、雪渓を一気に下って行く。一時間で、涸沢ヒュッテに到着。無事の登頂を喜び、同行者とビールで祝杯。そして、デポ品を回収してザックに詰めなおす。改めてザックを背負うと、重さがずしりと来る。涸沢ヒュッテからは、のんびりと下山。順調に下山し、横尾に向かう。途中、横尾大橋を渡って来た5人組の女性グループに遭遇し、ここから涸沢まではどれくらいですか、と尋ねられる。話してすぐに、彼女たちが外国人であることがわかり、そして彼女たちが非常に軽装であることが気がかりであった。本谷橋から先は延々と雪面ですよ、慣れていないとツボ足では滑りますよ、と話しておいたのだが、先に行ってしまった。何事もないことを祈るばかりである。こちらは、横尾で昼食。その後、時々目にする高山植物をカメラに収めながら、散策路をさらに下山する。平坦とはいえ、最後の最後にこの距離の歩きは結構嫌なものである。明神に到着時、バスまでの時間が意外とあったので、明神池まで足を延ばす。夕刻で観光客も少なく、静かな池の景色を楽しんだ。その帰り、明神橋を渡ろうとしたところ、橋の上に先客の姿が見えた。その先客とは、猿である。最初、二頭が我々の行く手にいたのだが、気が付いてみれば、我々の後ろからも猿が渡ってきて、猿たちに挟まれる格好になってしまった。向こうはこちらの存在を気にしていない様子だったので、カメラに収めつつ、仲よく橋を渡ることができた。同行者と猿の話で盛り上がりつつ歩けば、あっという間に上高地にたどり着いた。二日間、最高の天気に恵まれ、山、草木、動物と多くのことが記憶に残る良い登山となった。
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