北鎌尾根(湯俣〜P2〜P5)〜槍ヶ岳〜伊藤新道〜湯俣



- GPS
- 76:08
- 距離
- 39.5km
- 登り
- 3,330m
- 下り
- 3,185m
コースタイム
- 山行
- 12:10
- 休憩
- 0:43
- 合計
- 12:53
- 山行
- 7:49
- 休憩
- 2:31
- 合計
- 10:20
- 山行
- 7:04
- 休憩
- 2:01
- 合計
- 9:05
天候 | 1〜3日目:晴れ 4日目:ガス〜曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
かねてから行きたいと思っていた北鎌尾根。
当初は北鎌沢出合からコルへと考えていましたが、一緒に行くパートナーから湯俣を遡行しP2から登るのはどうかと提案を受けました。
昨年から沢登りを始めたとはいえ最高1級上程度の日帰り沢経験しかない自分にとって水俣川の遡行と渡渉は未知の世界でしたが、それさえクリアすれば北鎌の登攀は何とでもなるのではないかと思っていました。
それが甘い考えであった事をP2への取付直後に思い知る事になります。
高瀬ダムから9.4キロ、2時間ほどの歩きを経て湯俣を10時に出発。北鎌方面へ遡行を開始した途端渡渉の連続。結構な水量と流速にビビりながらもスクラム、へつり、飛び石を駆使して12時過ぎに千天出合まで辿り着きました。
P2取付手前で染み出しより給水。ここで5L給水し計6L近く水を担ぎました。
4日分の食糧、登攀具、替えのアプローチシューズ、非常食等ただでさえ大きく、重かったザックが更に重量を増します。
P2までは樹林の急登。しばらくは歩きですが斜度が増し、崩れやすい斜面を木の根を掴んでよじ登る区間が多くあります。重すぎるザックがネックとなり中々思うように身体が動きません。パートナーは自分より大分軽量化を考慮しパッキングしていましたが、やはり水の重さに相当参っていました。
やっとの事でP2に到着したのは15時。ビバーク適地がある為ここで休んでしまいたくなりましたが、P4まで行かねば翌日以降の行動が厳しくなるので行動を続けます。
P3からP4までの間に、ザレザレの悪い草付斜面をトラバースしつつ登る場所があります。頼りの灌木もなくすぐ切れそうな草を掴みながらよじ登るしかありません。体力的にも精神的にも限界に近く、泣きそうになりました。
核心を超えても2級や3級程度の岩、濃い藪が続き中々P4に着きません。P4手前にはいかにもピークっぽい場所が3か所あり、その度に座り込みたくなるのを堪えつつP4に着いたのは18時過ぎ。何とか初日の到達目標に辿り着けホッとする反面、この調子でP5を超えられるのか、明日中に北鎌平まで行けるのかと不安しかありませんでした。
翌日6時前に行動開始。P5前衛峰右のルンゼ状を登り、草付を天上沢側に降りてからトラバースします。この草付も滑りやすく草をまとめて掴んで滑落の恐怖に怯えながら通過。
その後に今回の行程の核心となるザレたルンゼに突入しましたが、これがあまりに悪すぎてパートナーと共に呻きます。そのまま直登するのは危険と判断し、3分の1ほど登ったところで左の岩場に逃げます。
身軽なパートナーがまず空身で登りザックを引き上げ。その後上からスリングを垂らしてもらい自分は左手でスリングを掴み身体を引き上げます。
その瞬間、右手と右足を乗せていたホールドが崩壊し身体が反転。一瞬終わったかと思いましたが左手がスリングに残り滑落せずに済みました。岩場の上の草付まで上がり一息付きましたが流石に足が震えていました。
その後ルンゼ脇を灌木とハンマーを頼りによじ登り、何とか核心のP5を通過。
P5〜P6までは当初ザレ場の登り。先ほどの事もありロープを出しましたがここはそこまで難しくありませんでした。
ひたすら藪漕ぎと灌木の急登を登り続けP6に到達。この時点で大分精神的に参っていてパートナーに大分遅れを取ってしまいますが、最早ペースを上げる気にもならずノロノロと動きます。
しばらく行くと他の登山者が左の草付帯から上がってきます。それは北鎌沢であり自分達は北鎌のコルまで来ていたのですが、二人ともまだP7に着いてないと思い込み、ここから上がるルートもあるんだと勘違いしたまま進みます。P9に着き独標を望んでもその勘違いは解けず、幾つかのパーティーやソロ登山者の方と出会いながら(P7はまだか・・)と焦りながら進みます。
独標の巻きにあるFixロープや有名なコの字の岩場を通過してもまだ勘違いしたままの二人。
ここまでP7に着かないのは時間的にもルート的にも相当ヤバいと焦りが加速していきます。
地図やその他の状況で独標の巻きなのは一目瞭然なのに、疲労と思い込みで二人ともおかしくなっていたのだと思います。
5mのチムニーを超え独標右側のバンド状に差し掛かります。ここを上がれば独標の巻きは完了ですが、ここに至ってもP7未到達と勘違いしたままパートナーが登り始めます。その時後方から来たソロの方が、自分達の会話を聴いて「ここ独標ですよ」と一言。その瞬間の驚きと安堵は
一生忘れないと思います。P7未到達のつもりが独標直下まで来ていた。「これで行ける」楽観的な気分になりました。
が、そこは北鎌。ザレたトラバースや強い日差し、それまでの疲労に加え何より持ち過ぎた食料を含んだザックが重く、どんどん体力を消耗していきます。
16時に北鎌平に到着。本当に辛かった半面、これで何とか行けそうだという希望も湧いてきました。夕暮れ時には人生初のブロッケン現象、満ち足りた気分に。
3日目の槍アタックは途中まで良かったのですが、有名な山頂直下のチムニーではないところを登ってしまったらしく、最後はカブッた岩をマントリングで超え祠の右手に乗越すことに。
何だかんだありましたが山頂に着いた時は流石に嬉しかったです。
朝8時過ぎに混み合う槍ヶ岳を後にし、三俣山荘テン場へと向かいました。初めての裏銀座方面縦走で気楽に考えていたのですが、暑くて結構辛く感じました。
4日目、ついに下山の日。天候悪化の予報。
下山路の伊藤新道は途中までは整備されていますが、それ以降は沢下りとなり雨が降れば通過がままならなくなる為、とにかく素早く通過したいと4時半に三俣山荘を後にします。
伊藤新道の前半は多少崩れ等あるものの一般道として整備されていて、特に難しい場面もありません。展望台を過ぎてからは急斜の下降ですが沢の出合までは道が開かれています。
湯俣川に関しては沢登りの領域であり、それ相応の装備が必要です。水俣川よりは水量も少なく水温も高いので渡渉はやり易い気がします。しかし急流や飛び込み等、リスクある渡渉の場面も幾つかありました。
第1吊り橋跡付近の滝は高巻きからの12m程の懸垂下降となります。以前は手助けとなる流木があり左の水流脇を行く事も出来たようですが自分達の通過時にはありませんでした。
数十回の渡渉を経て噴湯丘に到達。至る所で源泉が湧き出しやけどしそうな水たまりもありました。
ダムを超え晴嵐荘まで戻ってきたところでパートナーと握手。やり遂げた達成感で一杯になりました。
今回天候にも恵まれ、またパートナーの助けによりすべての行程をクリア出来ましたが、反省点もあります。
荷物が重すぎた。というより食料を持ち過ぎた。キツイ行動だからカロリー摂取しなければと思いましたが日中はそんなに食べる機会もなく、また暑い行動時にバーやチョコなどはあまり喉を通りません。水も消費します。結局用意した行動食などは殆ど手を付けませんでした。
重いザックは行動時すべてにおいて不利です。特に登攀時は危険も増します。勿論体力技術が相応にある方ならいくら担ごうが問題ないのですが、やはり素早い行動には少しでも軽量化すべきだと感じました。水は6Lで少し余りましたが多少は節制したので、もっと暑い時期ならさらに必要だと思われます。
初めて槍に登ってから4年、当時ハイキングしか知らなかった自分がクライミングや沢登り、山スキーなど色々経験を積んできて今回憧れの北鎌を末端から登る事が出来ました。このようなルートを提案し、先導し手助けしてくれたパートナーには本当に感謝してもしきれません。
自分の今までの登山の集大成となりちょっと燃え尽き感もあります。また新たな目標を探しながらしばらくはのんびりと山登りしたいと思います。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する