南アルプス南部縦走(鳥倉in易老渡out)


- GPS
- 46:06
- 距離
- 75.5km
- 登り
- 6,950m
- 下り
- 7,835m
コースタイム
- 山行
- 2:04
- 休憩
- 0:49
- 合計
- 2:53
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 12:05
- 山行
- 4:39
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 5:44
- 山行
- 6:08
- 休憩
- 1:57
- 合計
- 8:05
- 山行
- 8:12
- 休憩
- 4:10
- 合計
- 12:22
天候 | 8/18 晴れ 8/19 晴れ 8/20 晴れ 8/21 晴れのち霧 8/22 霧時々晴れ 8/23 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2025年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
中央線、飯田線で伊那大島駅まで 伊那大島駅12:10-南アルプス登山バス鳥倉線-鳥倉13:55 (荷物込みで2520円) 帰り 易老渡-定時運行タクシー-平岡駅 飯田線、東海道線で都内まで |
コース状況/ 危険箇所等 |
・ルートは全て明瞭。 ・特段の危険箇所は無いが、ところどころ片側が切れ落ちているところがあった。 ・百間洞山の家〜兎岳で熊の目撃情報多数あり。百間洞山の家のテント場周辺にも出没したらしく、開けたエリアにテントを張ること、食料の管理を厳重にすることを求められた。 |
その他周辺情報 | 日帰り温泉 龍泉閣 400円/人 |
写真
装備
個人装備 |
シャツ
ズボン
靴下
防寒着
雨具
(ゲイター)
帽子
着替え
登山靴
予備靴ひも
(サンダル)
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
非常食
水
コッヘル
ブキ
ライター
地図
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
スマートフォン
筆記用具
救急箱
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
時計
(サングラス)
(ストック)
マット
シェラフ
|
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共同装備 |
テント
ヘッド
カート
鍋
調理器具
|
備考 | 食当リスト 1日目: なし / なし / チキンオーバーライス 2日目: 棒ラーメン / なし / トマトリゾット 3日目: トマトペンネ / カルボナーラ / 牛とじ丼 4日目: トマトパスタ / トマトカレー / いか焼きそば 5日目: 棒ラーメン / サバ味噌煮炊き込みご飯 / ドライカレー 6日目: お茶漬け / 親子丼 |
感想
総括(兼個人の感想):
・昨年の夏に槍穂縦走を行ったときから、今年の夏は南アルプスを歩こうと話していた。行動中一度も雨に降られることなく、ほぼ百点の素晴らしいコンディションのもと、平日の静かな南アルプスの縦走を堪能することができた。
・南アルプスの山は一つ一つが大きいと聞いていたが、実際に歩いてみて、なるほど確かにと思った。個人的には、とりわけ荒川三山・赤石岳は非常に存在感が強かった。
・朝昼夜の3食の設定を行ったことや、penguinをはじめ各食当の熱意と工夫のおかげで、食事がとにかく楽しく、QOLを大いに高めてくれた。また、テント場での自由時間もコーヒーを飲んだり、絵を描いたり、天気図を描いたりと楽しい時間を過ごすことができた。
・光岳まで縦走したことで、がぜん深南部への興味が高まった。また、北アルプスも時間をかけて縦走したくなった。今後もいろんな山に一緒に行けたらと思う。
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全体的な反省など:
・3人分の14食+コーヒー4杯作って、ガス缶は大1缶をちょうど使い切るくらいだった。中3缶を丸々余らせてしまった。
・行動食と食当のカロリー計算の考え方のすり合わせが必要(行動食と3食の各食当で何kalを目安にするか等)
・アルファ米は炊くと美味い(湯を沸かす→沸いたら米を入れる→沸騰後とろ火にして水が無くなったら、蒸気を溜めた状態で蒸らす)
・アマノフーズは手軽で美味く、値段なりの価値がある
・鍋1つだけだと炊飯の後におかずを作るのに困る。もう一つ小さい鍋を持参するか、1人用の調理ができるコッヘルがあったほうが良い(今回は幸いKiriのコッヘルで対応できた)。
・高野豆腐はタンパク質が豊富で様々な料理に合う上、コッヘルを掃除する時のスポンジにもなる
・乾燥野菜は、パプリカやオクラが特に美味しく、しめじも汎用性が高かった(予め茹でた方が良いかも)
・トイレットペーパーは多めに持っていく
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各日程の詳細な記録(分担して執筆):
【8/18 (文責:penguin)】
・Kiriから寝坊したので特急で向かいますという連絡があり、おそらく問題ないだろうと思いながら中央線をずっと寝ていた。学割取得を忘れたため、溝の口からモバイルパスモで乗ってしまったが、飯田線が交通系ICカード利用不可で車内で精算が必要だった。
・予定通り伊那大島駅に到着し、徒歩2分のセブンイレブンで最後の下界の飯調達。3人でアイスを食べる。
・思ったより早くバスは到着しており、意外と人が多く、全ての列に2人座っている程度であった。
・14:05 鳥倉登山口到着。トイレは和式の仮設トイレ。共同装備の調整をして登山開始。
・カラマツの暗い林の中を進む。ところどころ崩壊地にかけられた木の橋がやや崩れ気味で滑るのに注意しながら進む。
・16時ごろ、ほとけの清水に到着。思ったよりも水が出てなかったが、食事と明日の少なくとも高山裏までの水を給水。
・三伏峠小屋までなぜか心拍数も絶えず高く、きつかった。
・17時ちょうどに三伏峠小屋に到着。テント場は広く、すでに多くの客がいたものの張り場所に困ることもなく広い位置を確保できた。
2人にテントを張ってもらいながら、すぐに夕食の用意に取り掛かる。夕食はチキンオーバーライス。レシピは以下
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具材(3人前)
・米2.5合
・ターメリック 小さじ3杯
・クミン 適量
・鶏胸肉450g
・タコススパイス 以下を混ぜたものを大さじ3杯程度
・パプリカパウダー 1
・クミン 1
・カイエンペッパー 適量
・オニオンパウダー 適量
・キャロットラペ
・にんじん 1.5本
・バルサミコ酢
・粒マスタード
・好きな乾燥野菜 今回はキャベツ 適量
・マヨネーズ 山の場合は小分けの袋を一人一個
・ケチャップ 今回は他の食当でも使う予定のトマトペーストを水で少し薄めた。
下(=下界)準備
・鶏肉は食べやすいサイズにカットし、タコススパイスでよく炒めておく
・にんじんを千切りにし、バルサミコ酢、粒マスタードと良く和える。
調理
・鍋で米を炊く。炊き上がった米とターメリック、クミンをよく混ぜてターメリックライスを作る。
・炒めておいた鶏肉を温めておく。
・ターメリックライスをよそい、鶏肉とキャロットラペ、お湯で戻しておいた乾燥キャベツをのせ、マヨネーズ、ケチャップをかけて完成
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・8/18はわたしの誕生日だったのでHashiがマッターホーンの名物、ダミエと言うケーキを用意してくれていた。1本5歳✖️5本+魔法陣効果?+1歳のろうそくで歳の数を祝う。
・すでに日も落ちて寒くなり始めていたためすぐに撤収して、19:00就寝。
【8/19 (文責:kiri)】
行程が長いので2時起床。7時間の睡眠はかろうじて確保した。Hashiさんの棒ラーメンを朝食にとる。お手製乾燥野菜のオクラが美味しかった。
3時過ぎに出発。真っ暗な森に本能的な恐怖を掻き立てられながら登る。動物がいてもおかしくない。おおむね樹林帯の中の道を登り、ハイマツ帯に出ると間もなく烏帽子岳。朝焼けも始まらない薄明の東には富士山のシルエットが浮かび、上空はオリオン座が輝いていた。Hashiさんとpenguinさんのスマホはこの景色を見事に撮り収めている。光量が足りず私のでは全く歯が立たない。
烏帽子から小河内まではアップダウンを繰り返す稜線。向かって左手の東の空はみるみる赤く染まっていき、蝙蝠岳の黒影を際立たせながら燃えさかっている。正面の小河内岳は左右に非対称な傾きでまっすぐ伸びた輪郭が上品な山。その頂に着くと、すぐに日の出を迎えた。山頂付近は風が強く寒いが、しばらくモルゲンを楽しんだ。これから進む板屋岳方面の稜線は深い森に包まれている。
南アルプスを歩いていると森林限界の上下を何度も行ったり来たりすることになるが、小河内岳南の限界は特に明瞭に森林とハイマツ帯が分かれていた。もっとグラデーションをもってゆるやかに遷移していっても良さそうなものだが、自然はそれを選ばないらしい。樹林帯に入ると起伏も落ち着き、快適なトレイルが続く。ほとんど針葉樹林が生えているが、ときどき木がまばらで草地になっているところが現れる。
瀬戸沢の頭の開けたところで小河内岳を眺めながら休憩。板屋岳の急登に喘ぎ、だらだら単調に下っていくと高山裏避難小屋に到着した。小屋は工事中で足場が組まれている。ここで長めの休止を取る。
今日の、というより全行程最大の山場と言って良い、荒川への登高。まずはひと登りしたところにある水場にて補給。十分な水量がある。水場からしばらく巻き道が続くが、急登を含むアップダウンが続いて楽はさせてもらえない。植生が灌木に代わると谷筋に入る。やがて道は直登になった。急斜面を一目散に登る。行けども行けども景色が変わらない。やっと視界が開けたと思うと、正面に広がるのは巨大なカール、ゴーロ、そして遥か遠く稜線上に見える登山者の影である。20〜30分おきに休憩をとってゆっくり登り詰めた。上部は崩壊地の際を通過する。
道は一旦稜線上の前岳分岐に出る。尾根筋に前岳へ直接上がるルートは崩壊が進み立入禁止。名目上は分岐からのピストンも立入禁止とのことだが、封鎖はされておらず至近なので立ち寄っている登山者が多かった。
東へ少し進んだ中岳分岐に荷物をデポし、悪沢岳往復に向かった。中岳を越えた先の避難小屋からは、トイレ岳がほど近い。山頂は人気で待機が発生しているので、その間に小屋でCCレモンを買って飲んだ。
前岳・中岳と併せて三山とするのは不適切に思えるほど、悪沢岳との間は隔たれている。中岳から下っていくといよいよその姿が高く大きく迫り、登り返しを若干億劫に思った。コルの手前では雷鳥に出会う。
コルからは軽身にも険しい登り。気晴らしにラジオをかけながら歩く。ちょうど高校野球の準々決勝をやっていた。悪沢岳山頂は岩に覆われて広い。午後もいい時間で雲は多かったが、ある程度の展望が残っていた。
重い足を引きずり分岐まで戻る。長い行程に全員かなり疲弊していた。分岐からは最後の下りだが、荒川小屋がとても遠くに感じられた。花に慰められながらつづら折りを下り、3時過ぎに小屋に着いた。都合12時間の行動がやっと終わった。
買ったビールを3人でシェアし、県岐商対横浜の決着を聞き届けつつ、penguinさんのトマトリゾットを食した。トマトペーストの便利さを学ぶ。まだ外は明るかったが、疲れと少量のアルコールによって速やかに眠りの底へと連れていかれた。
【8/20 (hashi)】
4:00起床。10時間睡眠、最高。まだ寝たい気持ちを抑えてシュラフを畳む。食欲は昨日より回復しており、頭痛も治まっていた。やはり昨日は水不足とバテだったようだ。
朝ごはんはpenguinのトマトペンネ。400g持ってきていたが、そんなに食べられそうになかったので200gだけ茹でてもらった。朝焼けの富士山が綺麗だった。
5:20出発。登り始めが急登。その後トラバース気味の緩い登り。大聖寺平の辺りから西風が寒い。
振り返ると滝雲がかかっていた。
小赤石岳の登り始めで、空腹感があったのでそろそろ休憩する?と聞いたら、penguinに「まだ20分しか経ってない」と素気なく却下された。仕方ないので、背中に冷たい風を受けながら小赤石岳の肩の手前まで登ってひと休みした。
小赤石岳、椹島の下降点を経て、ひと登りして赤石岳に到着。北は仙丈、塩見、荒川三山、南はこれから行く聖岳、兎岳や、深南部の大無限山などがよく見えた。時間に余裕があるので、風除けできるところで45分くらいのんびりした。
百間平の手前の尾根歩きが気持ち良い。
百間平は景色が良く、ハイマツ交じりの緩い丘陵地帯。幕営禁止の看板が立っていたが、テントが張りたくなるような場所だった。ここで再び大休止とし、お絵かきしたり、石を探したり、昼寝したり三者三様楽しんだ。
30分以上のんびりしたあと、今日の幕営地へ向かう。急なザレの下りを30分ほどこなして百間洞山の家に到着。最近テント場の近くでクマが出たので、開けたところに張るようにと言われた。
昼飯はキリのカルボナーラ。パプリカ、小松菜、しめじ、焼きサラミをトッピング。大変美味しい。個人的に、昨日の夕食の時は、疲労で食事がつらかったので、今日は美味しく食べられてうれしかった。
食事を終えてもまだ12時過ぎ。沢で服や頭を洗ってさっぱりした。コーヒーを飲んでから、各自スケッチや論文読みをした。小屋では電波が拾えなかったが、スマホを触らずに済んだことで、むしろ有意義な時間を過ごせた気がする。
隣のテントの青年は日本縦断中らしい。彼も鳥倉から入ったらしいが、我々が3日かけたルートを1日でこなしていた。これから3日で太平洋まで行く予定らしい。すごい。
16時から気象通報を聞いて天気図を描く。Kiriは流石に慣れていてうまい。太平洋高気圧がまだしばらく張り出してくれそうで安心。
夕食はKiriの牛とじ丼。アルファ米を沸騰した湯に入れて炊いたら普通の白米に近い食感になって美味しかった。牛とじ丼もネギを追加して一層美味しい。締めに高野豆腐入り味噌汁を飲んで大満足。
寝る準備をしていたら強い雨が降ってきたので、雨が止むのを待ってトイレに行ってから、19時半に就寝。
【8/21 (文責:penguin)】
・2時半起床。行動時間は8時間の予定だが、前日の天気予報を鑑みて、天気が悪くならないうちにテン場に着きたいということで早出の選択。テントから出ると、日本縦断中の方がまさに出発するところで、頑張ってくださいとエールを送る。そちらのテント区画が空いたため、食当のHがそこで朝食を作り始める。2人でのテント撤収が終わるとほとんど同時に湯が沸き、パスタを茹で始める。朝食メニューはトマトパスタ、乾燥オクラ入り。早茹でパスタの時間をしっかりと管理し、パスタソースをかければ完成である。美味しい。だが、辛い、がそれが美味しい。
・4時行動開始。開始早々の急登。稜線に上がる途中で赤石と聖の隙間から、真っ赤な朝焼けの空に富士山のシルエットが浮かんで見える。
・前々日のすれ違いの登山者からの情報と、百間洞山の家での情報で熊が出没しているエリアと聞いていたので、特に暗い間の行動は恐ろしく、熊鈴だけでなくKiri持参のラジオもかけながら進む。TBSラジオが聞こえる。サマーチルアンドエモナイトをテーマにしたプレイリストらしい。サマーチルアンドエモナイト!初めは安っぽい響きだと思いながら、徐々にツボにハマってしまう。だが、MCの「エモ」への徹底ぶりと、何気に選曲も幅広く悪くない。個人的にスピッツファンなので「ナナへの気持ち」も含まれていて歌いながら登る。最後、まさに日の出前というところでアメージンググレイスが流れる。結局全行程中流した中で1番いいプログラムだったかもしれない。気になる方は一聴を。https://x.com/CITY_CHILL_CLUB/status/1958365611329044580?t=dJd1R13sty4s5RGsrFJRWA&s=19
・大沢岳と中盛丸山の分岐に上がる。稜線上は西側からの風が寒い。
・中盛丸山到着とともに日の出を迎える。朝日に照らされていく兎岳を見て、Hashiがモルゲンロートだから、モルさぎだねと言う。
・ラジオをやめて、Kiriのスマホにダウンロードしてある音楽を流す。普段はあまり音楽をかけながら登ることもないが、憚ることなく音楽を流せるのも人が少ない南アルプスならではである。歌いながら登ると流石に息が上がったが、キツさの気が紛れる。
・小兎岳に登ると、兎だけの前の登りと、聖への登りに絶望する。ここから降りたあたりが前々日の熊目撃のあたりで、確かに広い藪の中にどこにいてもおかしくない、緊張感が一段階上がる。運が良かったのか、熊は百間洞の方へ出張中だったのか、特に見かけることはなかった。
・兎岳登頂。ピークを少し過ぎたあたりに兎岳避難小屋の跡が見えるが、かなり荒れている印象。ここから前聖まで細かなアップダウンが続く。下りの途中で8人ほどの学生らしき団体とすれ違う。声をかけるとKOワンゲル部とのことだった。さすがワンゲル部、サクサクと登って行った。
・聖兎のコル、ここからの登りは絶壁に見える。ここで、朝に忘れていたスルメイカの浸水を始める。これが悪夢の始まりであるとは知る由もなかった……
・聖岳までが今日1番の登りである。右側も大きく崩壊しているところもあり、注意して進む。
・聖岳到着。3013mのはずなのに標識の場所はヤマレコでは3009mしかないということで、本当のピークを探したが、それ以上の場所はなかった。山が縮んだ?⚪︎が3つ三角状に並んだ看板が可愛い。奥聖まで空身で往復30分ちょっとのピストン。ここからの赤石は立派で、さすが南アルプスの盟主の風格である。
・聖平。ここまでガツンと下る。Hashiがこの下りで右足首の痛みを発症するも、騙し騙し聖平小屋着。12:00。小屋前の看板の熊の注意喚起のイラストに味がある。
到着とともにザックの中身を取り出そうとすると、ザックの中身が水浸しである。スルメイカの豊かな芳香が漂う。浸水に使ったジップロックがどこか破れていて少しずつ染み出しているようだ。イカの浸水をしていたら、ザックが浸水しているとは。疲れた頭をフル回転させ、とりあえず被害の全貌を確認する。イカをしまう時に何を思ったのか60lスタッフバッグの中に、食料袋とともに入れていたため、その外に出していたものには被害が及んでいない。被害に遭ったのは、共同食糧袋と救急セット(防水)、防水袋に入れた温泉セット兼予備服、そして10年物のサブザック……。袋類は拭いて乾燥させたところマシになったものの、サブザックだけはどうにもならず、殺生石がごとく芳香≪オーラ≫を染み出させている。ひとまずスタッフバッグの中身を全て取り出して、サブザックだけにして封印。だが、このまま廃棄になるだろう。ショック……
・昼食はフリーズドライのトマトカレー、アマノフーズは偉大。スープは坦々スープ。辛い。
・夜ご飯まで、沢に足を浸したり、皆で気象通報を聞いて天気図を書いたり、思い思いに過ごす。
・夜ご飯、イカ焼きそば。本当は昼食予定だったのだが、重曹を使って6時間ほど置くべきところ重曹を忘れてきてしまった上、聖兎のコルから聖平ではつけ置き時間は3時間程度になってしまっていたため、夜ご飯に変更してもらったのである。イカはある程度戻っていたものの、だしがらのようになってしまっていた。焼きそばの出来は、2人は美味しいと食べてくれた上、浸水事件のせいで失敗したと感じているんだよと慰めてはくれたが、やはりイマイチではあったと思う。またカットされた小さいあたりめで水漏れ対策をしてリベンジしたいが、一般的にスルメイカを持っていくのはオススメできないだろう。意気消沈のまま、18:30就寝。
【8/22 (Kiri)】
結局、さっと作れる棒ラーメンが長い一日の朝にはふさわしい。濡れたテントの撤収よりもHashiさんの調理のほうが早かった。
この日は光岳まで。午前中は天気がもつ予報だったので、3時に出発して先を急ぐ。聖平では星も見えていたが、登っていくにつれてガスに巻かれた。視界が悪化して道を選ぶのに気を遣う。熊の心配は無さそうだが気紛らしを兼ねてラジオをかけた。今日はニッポン放送にしてみたものの、マヂカルラブリーのANNをしばらく聞いたあとでHashiさんは「あんま分からない」と一蹴。SUMMER チル&エモ Nightは偉大だった。
上河内岳山頂は日の出時刻を過ぎても霧の中だったが、その下りの途中でガスが晴れた。昨日までのようなクリアな眺めではなかったが、雲と山の織りなす光景は幻想的だった。ここから日が高くなれば、さらに天気は回復するだろうと思っていた。
しかし、御花畑あたりから再びガスがかかり始め、風も強くなってきた。茶臼分岐で風を避けて休んでいる間も、身体は冷える一方で太陽は遠かった。茶臼岳もガスの中。冷たい露に濡れつつ、意気消沈の気持ちで縦走路をたどる。
希望峰では青学のパーティーと出会った。赤石-光の縦走らしい。大人数の夏合宿でわいわい歩くの、私もやりたかった。ちょっと羨ましい。休憩の後、仁田岳を往復。幸運にもこのタイミングでガスが切れて、深南部を中心に遠くを望むことができた。光岳や聖岳〜茶臼岳は分厚い雲に隠されていたものの、その存在感は受け取った。
希望峰から易老岳までは歩きやすいが長い。尾根通しの道で小さな上り下りが多くて、そこを快速で飛ばしていくpenguinさんのペースについていけなかった(ついていくことを放棄してしまった)。心理的にもここでどっと疲弊した。エアリアには「トラバース道」とあったがどこがトラバースなんだと悪態をついたりした。
ともあれ易老岳を経て、三吉平まででなだらかな区間は終わり、最後の長い登りに入る。これまでの各山に比べれば短い登りのはずだが、いっこうに変わらない景色と蓄積してきた疲労にやられて個人的にはかなり苦しい登りとなった。
登り詰めた静高平の水は豊富。光小屋の水場が遠いのでこれはありがたい恵み。亀甲状土が特徴的な平地を抜け、正午ごろ光小屋到着。
テントを張ってから光岳を目指す。山頂まではあっという間。何となく樹林に囲まれて展望のない山頂を想像していたが、実際は上河内方面が望め、10mほど先の展望台からは深南部の眺めも素晴らしかった。きちんと光石まで訪問してから小屋に戻った。
昼食のサバ味噌煮炊き込みご飯by penguinさんがあり得ないほど美味かった。たっぷり味わったのち、イザルヶ岳を往復。コーヒーを飲んで、天気図を書いて、夕食にドライカレーを作り(頑固な焦げ付きを精製し)、暇を持て余すことなく夜になった。最後まで晴れなかったが、今晩は雨の心配が無さそうだ。明日に期待。
【8/23 (hashi)】
3:00起床の予定だったが、某大パーティの撤収時に目が覚め、1:50に目が覚める。彼らのヘッドライトに照らされること数十回、二度寝することはできず、なぜ米1kgの価格はパスタのそれよりも高いのかについて考えて時間を潰す。
そうこうしているうちに、予定の3時になったので、我々も起き出して撤収作業に入る。今日の朝ごはんはpenguinのアルファ米茶漬け。梅干しも持ってきてくれていた。少々調理に時間はかかるが、温かい米と梅干しの塩気が体に染みて、大変美味しい。
4時半頃に出発し、日の出を拝むべくイザルガ岳へ。兎岳、聖岳、上河内岳、富士山、深南部、太平洋、恵那山、中央アルプス、北アルプスなどが雲海の上に一望でき、大変素晴らしい朝の景色を堪能することができた。吹きさらしで寒かったものの、あまりにも景色が良く、時間もたっぷり余っていたので、(ほかの登山者がやってきては去っていったが)我々は誰も下ろうと言い出さない。段々と明るくなっていく朝の南アルプスを眺め、めいめい写真を撮ったり絵を描いたりしながら、結局1時間近く山頂に滞在した。
6時頃、静高平で水を汲んで下山開始。下りが早いpenguinを先頭にして三吉平まで爆速で下ったあと、休憩を取って易老岳まで登り返す。易老岳で一本取ったあと、易老渡まで1500mの下りにかかる。山行途中から痛みが出ていた右足首が下りの負荷で悲鳴を上げ始めたので、途中で痛み止めを飲んで、無心で下る。
10時頃、易老渡に無事下山。余った食料を消費し、テントや靴を乾かしたりしているうちに、12時になり、予約していたタクシーが来た。平岡駅直結の龍泉閣で汗を流し、総菜とビールを胃袋に流し込んだあと、飯田線と東海道新幹線を乗り継いで帰宅した。
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