大雪山から十勝岳 美しくもワイルドな縦走
- GPS
- 45:57
- 距離
- 72.0km
- 登り
- 4,760m
- 下り
- 5,120m
コースタイム
- 山行
- 5:38
- 休憩
- 0:36
- 合計
- 6:14
- 山行
- 9:29
- 休憩
- 0:46
- 合計
- 10:15
- 山行
- 8:01
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 9:01
- 山行
- 9:23
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 10:23
天候 | 9月17日 雨 9月18日 午前中はれ、午後より曇りから小雨 9月19日 晴れ時々曇り 9月20日 早朝霧のち晴れ、午後より稜線は霧・強風となった 9月21日 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
十勝岳温泉凌雲閣 上富良野駅行きバスあります。本数少ないので事前に確認ください 2016年9月21日現在、富良野岳原始ヶ原登山口への林道は台風被害にて通行止めとなっています。原始ヶ原登山口から富良野岳山頂までの登山道も登山禁止となっています |
コース状況/ 危険箇所等 |
ルート全体の注意点 森林限界以上の比較的平坦な地形を長時間歩きます。天候が安定しておれば高山植物等も楽しめ天国のような景観を楽しめますが、一旦悪天・強風となると退避できる箇所がほとんどないことを意味しています。天候の変化に細心の注意を払い、避難小屋等シェルターがある箇所では先に進むか、退避するかを早めに判断する必要があるでしょう。次のシェルターまで長時間歩行が必要となる箇所も多く、多少の天候変化があっても歩き通せる体力が望ましいです。 ヒグマの出没の可能性があります。熊鈴、熊撃退用スプレー等の用意が望ましいです水場はエキノコックス汚染の可能性があるため、煮沸もしくは浄水器使用が望ましいです。 今回の縦走の際水場として使用した地点 白雲岳避難小屋近く(水場あり)、双子池キャンプ池内の小沢(9月19日は水流があったとの情報がありました。9月19日は水流はなく水たまり状となって溜まっている水を利用しました) その他、以下の地点が水場として使用できそうでした 裏旭キャンプ指定地より旭岳側の雪渓融雪水、北海岳〜白雲岳間の小沢、忠別沼、天沼、北沼、南沼、双子池、三川台よりツリガネ山へ下る付近の水場(標識なし、踏み跡があります)、 南沼キャンプ池内の水場、美瑛富士避難小屋近くの水場、上ホロ避難小屋近くの水場は枯れていました。 姿見〜旭岳山頂 登山道はよく整備されています。登山者も多く、今回の縦走では比較的安全な区間でしょう。 旭岳山頂を過ぎると登山者はぐっと減りました。要所には道標がありますが、踏み跡が薄い箇所もあり道迷いに注意が必要です。 白雲岳避難小屋は9月中旬まで管理人が常駐しています。ただし寝具、食料はありません。 白雲岳避難小屋を過ぎると登山者はさらに減りました。この先はトラブルがあっても自分で解決出来る力が必要となります。 トムラウシ山〜オプタテシテ山間は最も登山者が少ない区間でした。地面が見えないほどササが茂っているなど通過する人数の少なさが伺えます。 オプタテシテ山より十勝岳側では日帰り登山者の方とお会いしました。美瑛岳近辺は岩場があり通過に注意が必要です。 また十勝岳山頂付近は平坦で特徴のない地形です。目印となる杭、ロープが整備されていますが、残雪期はルート維持に細心の注意が必要でしょう。風向きによっては火山ガスのため山頂付近に長時間滞在することを避けた方が良いこともあるでしょう。 富良野岳近辺ではかなり多くの日帰り登山者とお会いしました。十勝岳近辺では比較的気軽に訪れることができる山であるようです。 2016年9月21日現在、富良野岳原始ヶ原登山口への林道は台風被害にて通行止めとなっています。原始ヶ原登山口から富良野岳山頂までの登山道も登山禁止となっています。 |
その他周辺情報 | 下山後、十勝岳温泉凌雲閣で日帰り入浴可能 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ(1)
予備電池
1/25000地形図(1)
ガイド地図(1)
コンパス(1)
笛(1)
筆記具(1)
ライター(2)
ナイフ(1)
タオル(1)
携帯電話(1)
雨具(1)
水筒(1)
替え衣料(1)
防寒具(1)
シュラフ(1)
シュラフカバー(1)
ザックカバー(1)
非常食(1)
|
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共同装備 |
ツェルト(1)
マット(1)
アルコールストーブ(1)
燃料用アルコール 500ml(1)
コッヘル
医薬品
トランシーバ(144/430)(1)
ポリタンク(1)
ロールペーパー(1)
ビニール袋
浄水器
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感想
9月連休を利用して旭岳〜トムラウシ山〜十勝岳と縦走してきた。北海道らしい雄大な風景を満喫できたが、一方でワイルドかつハードな山行だった。
1日目は雨の中、我慢の日。淡々と歩いて白雲岳避難小屋泊。水場は水が豊富に流れていてありがたい。小屋は30人収容だが、この日の宿泊は10人強。ゆったりと泊まることができた。
2日目朝は晴れとなった。気分良くトムラウシへ出発。忠別岳が遠く見える。距離は長いがアップダウンは少なく、北海道らしい雄大な風景を楽しみながら歩く。忠別沼を過ぎ、忠別岳へ向かう途中でフランス人ハイカーと出会った。昨日は忠別岳避難小屋に泊まったが雨で景色が見れなかったから写真を撮りに来たとのこと。同じく十勝岳を目指しているとのことで、この方とは最終日まで何度もお会いすることとなった。
忠別岳で休憩をしていると先ほどのフランス人ハイカー(Aさん)が帰ってきた。モンベルの防水パックを改造したザックで自分で手作りしたんだという。忠別岳から話をしながら一緒に歩いていると、五色岳山頂で一人の登山者が荷物が多くバテたと言って休んでいた。
景色は広々として本当に素晴らしい。夏は雪渓と花とが一面に咲き乱れているのが想像できるよう。今度は7月初め頃に来てみたい、そう思った。
毛雲岳を登るために寄り道をしたら、さっき五色岳山頂で休憩していた登山者(B氏)と一緒になった。なんとなく話をしながら歩いていたら、Aさんが追いついてきた。にわか3人パーティでヒサゴ池分岐を目指す。Aさんはヒサゴ池避難小屋に泊まると言って小屋へ降りていった。
天沼、そして日本庭園を経て、急登となる前で休憩。そしてこれからトムラウシへの急登が始まった。小雨が降ってきて、いつの間にか小雪に変わった。風も少し出てきた。あの日、ここで強風の中ツアー登山のパーティが喘ぐようにして登って行ったのだろう。トムラウシ遭難事件の記事はヤマケイで読み、その後本になってからも購入して読んだ。あの日の状況を想像しながら登って行った。どれだけ登ったら北沼につくんだろうと思う頃、北沼の淵についた。今日は展望もないのでトムラウシ山頂は明日朝にして南沼キャンプ指定地に直行することにした。すぐだと思っていたキャンプ指定地までは大きな岩がゴロゴロしていて飛び石状に超えたりするところがあるなど予想外に時間がかかった。
南沼キャンプ指定地の水場はやはり枯れていた。このため水を2.5L運んできた。ツェルトを張ってシュラフに足を突っ込み湯を沸かして夕食をとった。火を消すとすぐに寒くなるのでシュラフに潜り込んだ。明日十勝岳に向かうかどうか、、、少し考えたが、明日朝判断することにしてアラームをセットして眠った。夜も雨がツェルトを叩いていた。
3日目の朝、ツェルトの中はバリバリに凍っていた。外を見ると星空が光っていた。足の疲れもかなりマシになり、なんとかいけそうな気がした。ヘッドライトをつけながら空身でトムラウシ山頂へと出発。すぐ明るくなってヘッドライトは不要となった。丁度日の出の直前にトムラウシ山頂へ着いた。旭岳が遠くに見えていた。朝日が上がるのを見てから下山。下山中にB氏が出発してゆくのが見えた。テン場に着くとすぐに荷造りをして双子池へと出発した。コースはまず高原状の原野を西に向かう。黄金ヶ原と名付けられているらしいが、その名に恥じない素晴らしいところである。ただし気分的には元へ戻るように感じ、まっすぐいけたらいいのにと勝手なことを考えてしまう。左手に見えるエウトムラウシ川源流部には沼や紅葉が見えていて、桃源郷のようである。この辺りではコースタイムより短い時間で通過でき、少しほっとした。その後ツリガネ山へと向かう登りとなるが、この辺りから登山道にはササが腰の高さほどに茂っていてかき分けながら進んでいくこととなった。踏み跡はしっかりしているので迷う心配はないのだが、ササはいつまでたっても続いていた。1507m峰、ツリガネ山右肩のピークと踏んでいくのだが、この辺りもほとんどはササの藪漕ぎであった。黄金ヶ原と名付けられているらしいが、その名に恥じない素晴らしいところである。ツリガネ山で反対側から歩いてきた登山者に出会った。昨日は美瑛富士避難小屋に泊まったという。避難小屋には水はないと伺った。先のコースについて聞くと、カブト岩の先がひどいという。コスマヌプリに登ると双子池はもう目と鼻の先に見えた。
カブト岩からササ薮をかき分け急降下すると道は掘れ込んだ溝のようになり、水たまりが断続していた。ササの中を無理やり通ったり、水たまりの縁を通ったりしてゆく。他の地域なら登山道とは思えないようなところだが、ここ以外に通れるところはないのでそのまま進んで行く。双子池に出る手前にテント2張りほどのスペースがあった。そこから双子池キャンプ地までは登山道には泥水が溜まっていて道というより道の幅の沼のようだった。その縁は背丈ほどのササ薮となっていた。ようやく超えて辿り着いた双子池キャンプ地は広さはそこそこあるのだが、地面は湿っぽく濡れていた。テン場近くの沢には流れはなかったが、双子池まで水くみに行く気にはなれず、水たまりの水をすくって沸かすことにした。
夕方Aさんがやってきた。素晴らしい脚力だ。彼のテントはお姉さんが手作りしてくれたものだという。夜寒くないといいんだが、なんてことを話していた。
4日目、今日は朝からガスだった。今日はオプタテシテ、十勝岳を越えて上ホロ避難小屋に向かう。まずはオプタテシテへ登る。テン場からは大したことないように見えていたが、いつまでたっても頂上には着かない。やっと登ったところは偽ピークで、痩せ尾根の登りが続いていく。コースタイム2時間だが大幅に超過してオプタテシテ山頂到着。ガスで展望はなく、先を急ぐ。ベベツ岳の手前で急にガスが取れ快晴となった。眼下には美瑛の平原がまるで海のように見えた。最高の気分でベベツ岳到着。B氏が休んでいた。オプタテシテは大変だった、どちらからともなくそんな話をした。そこからなんとなく一緒に歩くことになった。天気は素晴らしく、難所を越えた後だけにリラックスした気分だった。美瑛岳へは急登だが息を切らさないようゆっくりと登って行った。ようやく山頂の稜線まで出ると、十勝岳の迫力ある姿が目に入った。美瑛岳山頂までは10分ほどなのだが、時間が惜しくて寄り道しないことにした。十勝岳へはまず岩場が続く痩せ尾根を下りていく。コルまでくるとにわかに西風が強くなってきた。平ヶ岳の崩れやすい斜面を登っていくと風はどんどんと強風となっていった。新得町側登山道と合流する頃時は強風の中一面雲に覆われ視界も10mほどとなった。目印の杭が点々と続いているのがありがたい。そしてようやく十勝岳山頂。硫黄の匂いがひどく、喉が痛くなってくるほど。強風、視界不良と長居は禁物と思って写真を撮るとすぐ上ホロ避難小屋を目指す。登山道わきには手すりのようにロープが延々と張ってあり、今日のような視界不良時は心強かった。避難小屋が見えた時にはほっとした。そのまま小屋に逃げ込んでやっと一息。お湯を沸かしているとAさんが到着した。彼もすごい風だったと言っていた。
最終日の朝は早起きする気になれず明るくなってからようやくシュラフから出た。トイレに起きると素晴らしい朝日だった。多分今度の山行で最も天気がいいのだろう。朝食を食べてから荷造りをしているとフランス人ハイカーが起き出してきた。素晴らしい天気だと伝えると、もう一度十勝岳に登るという。私とB氏は十勝岳には行かず上ホロカメトック山から富良野岳へと向かうことにした。のんびりと2人で話をしながら上ホロカメトック山、そして三峰山へ。B氏は富良野岳の山容が素晴らしいと言って感動していた。富良野岳へは手前の分岐でザックを置いて空身で登った。50分のコースタイムが半分以下で登ってしまった。山頂で写真を撮ってからのんびりと元の分岐へと下った。下の方が時間がかかっていたとB氏が言っていた。ここから十勝岳温泉へ目指す。建物はすぐ近くに見えているのだが、沢を越えるために大きくトラバース状に進むので予想外の遠回りコースとなる。温泉スロープを超えてから安政火口が見えてきた。まさに地獄のような風景。いよいよ十勝岳温泉に到着。5日間長かった。B氏とビールで乾杯した。B氏は吹上温泉に泊まるので途中でバスを降りて行った。私は上富良野駅までバスに揺られて行った。
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