新聞には今回、岩宿遺跡(戦後はじめて発見された旧石器遺跡)発見者、相澤忠洋氏の石器実測図が関係した清水潤三慶大名誉教授が残された書類の中から発見されたということで、まずそれをメインの目的とした。まず相澤氏の実測図を見て一通り撮影し、次に展示や石器製作に関するビデオをを見る。ビデオは慶応大学の研究室が企画し、フランス科学国立科学研究所の石器研究者が珪質頁岩の原石から石刃を連続的に製作するもの、仙台市教育委員会の籠が見えている。
展示されている石器は山形県内の寒河江川中流のお仲間林遺跡と上野A遺跡および青森の尻労安倍洞窟遺跡の石器だ。相澤氏と慶大の関係は、当時慶大で考古学を講じていた「史前学」で有名な大山柏氏の弟子の清水潤三宅を訪問し、留守だったために江坂輝弥氏宅を訪問し、そこで芹沢長介氏と出会って岩宿遺跡発掘へとつながったが、その発掘までの間に相澤氏が清水教授に実測図を送ったらしい。この時代は発掘の先陣争いで同じ地域や大学間でライバルに情報が漏れないように細心の注意を払って各自が活動していたらしいーー。(写真2)
次に展示されている寒河江川の右岸段丘で珪質頁岩を使った石器製作遺跡の展示、ナイフ形石器、掻器、彫刻刀形石器などが並ぶお仲間林遺跡。尖頭器が主要な石器の上野A遺跡、完成品は皆遺跡街に持ち出され、未成品や破損品が大半だった。上野A遺跡出土の彫刻刀形石器は骨角器の加工などに使うと思われるが、掻器など他の石器の使用後に作り直し、刃を再生させて大事に使ったようだ。
尻労安倍(しっかりあべ)洞窟遺跡は
「下北半島北東部の桑畑山の麓で太平洋に面し、標高約 33m に位置する旧石器時代から縄文時代にかけての複合遺跡です。慶應義塾大学を中心とする調査団は、旧石器時代の石器とともに人骨や動物骨の保存が期待される当石灰岩洞窟で、 より総合的に旧石器時代を研究することを目指して 2002 年より毎年発掘調査を行っています。これまでの調査では、旧石器と動物骨が同一層準で発見される成果が得られました。」
とある。有数の石灰岩洞窟で多数の動物の骨や人骨も出ている。人骨は残念ながら縄文人骨のようだ。出土した台形石器の石材は、カショロンと呼ばれるバイカル湖周辺で摂れるオパールの一種の可能性があり、国内オパール産地を含め、調査中という。 また出土した様々な動物はヤベオオツノジカ、ヒグマ、ヘラジカなどの大型動物の骨も出ているが圧倒的に多いのはウサギであり、大型動物を主に狩猟していたのではという二万年前の旧石器人の狩猟生活を見直す資料かもしれない。バイソンなどn骨の出た花泉やナウマンゾウの骨が多い野尻湖の遺跡はもしかしたら人間活動以前の動物相かもしれないーー。(写真3:尻労安倍洞窟遺跡)
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