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会が始まり、官庁や共催者の友の会会長のあいさつの中で、NHKの歴史ヒストリアでかみつけの里や保渡田古墳群などが取り上げられたことが話題になった。今日の会場も博物館もこれまでにない生協になったという、そういえば席がいつもより多く部屋いっぱいに置かれて、中に入り切れない参加者もあるらしい。今日の講座は「古墳時代の集落と耕地」という地味な内容。それでもこれだけ人が来るのはテレビ番組の威力かーー。
講演が始まる。講師は高崎市教育委員会文化財課の研究者で４０年以上発掘現場で地道な調査を続けてきた田辺芳昭さん。集落はともかく、田畑・耕地は全国的にあまり検出されることがない。田畑は次々に耕作を繰り返し、古い時代のものは残らないのが普通だ。目の前に田んぼがあっても５年前の耕作面を発見することは困難だ。群馬は浅間山、榛名山、赤城山など火山に囲まれて、火山灰、火砕流、火山噴火に伴う土石流などが様々な年代に重なり、その特別な土層の下から古い時代の耕地が出てくるのd知られている。おそらく全国でもまれな地域だ。神奈川県などでも箱根や富士山の噴火があったはずだが、弥生時代の田んぼなどほどんど出ていない。最初に、田辺氏は、今日の話しの遺跡の発掘に関わっていたので、写真などは報告書のコピーでなく、原版からのコピーであり、大変鮮明な印刷になっている、など自分の経歴からくる利点を強調された−―プチ自慢――地味な自慢だがなるほど普通のコピーとは全く画像の質が異なる。５世紀後半における榛名山二ッ岳の噴火、火砕流、土石流に埋もれた遺跡から出た集落、豪族居館、耕地などから当時の農業開発の状況を見る。高崎を中心に低地の農業開発がすでに始まり、５世紀後半には未開発の榛名山麓の標高の少し高い場所標高１４０mから２００mのあたりの開発がすすめられたことが残された集落や耕地の遺跡から分かるという。当時の開発は流域単位で進められ、その開発を進めるにあたって、道具、技術を提供し、開発を指導したのが、ここの保渡田古墳群など大きな古墳を持つ豪族の役割だった。北谷遺跡（三ツ寺�軌篝彳瑛佑竜鏨朧篝廖砲任蓮∨迷Δ氾貔召亮�溝で場所による溝の中の内容に違いがあるという。Fr-FA火山灰（榛名山二ッ岳渋川テフラ）は５世紀後半で、火山灰の他火砕流とその後の土石流により、広範囲の二ッ岳南豆地域がテフラで埋まった。北谷遺跡の周溝は北側に火山灰、火砕流、土石流が積もっていたが、南東側の溝には土石流は流れ込んでいなかったことから、溝には水が流れるようになっていない空堀だった可能性があるようだ。また同じ時期の棟高遺跡群では畑跡や住居跡が多く出たが、その写真の中で、住居発掘現場の土層で白く波打った筋の僧がFr-FAテフラだそうだ。畑跡は非常に沢山出ており、発掘時の写真の白い筋がテフラで畝に残っていたようだ。また５世紀後葉の開発に遡る４世紀の状況はどうかーーこれまで標高のやや高い場所の遺跡はあまり出ていないが、高崎地域の標高の低い場所では、遺跡が数多くあり、低い土地では農業開発が進んでいたことから、少し標高の高い場所でも遺跡はあったのではないかと考え、調査をすると、例えば棟高遺跡群の中の棟高南寝くぼ遺跡では方形周溝墓のようなお墓が出てきている。中には大きな主体部のある墓もあり、また数少ない土器の中では東海系と思われるS字甕ににた土器も出ており、この地域の開発における東海系の移住民の影響やヤマト政権との関係が想像される。また棟高遺跡群の中に見られる大溝状の遺構は、人工的な溝であるかどうか、よく弥生時代から古墳時代にかけての農業開発や集落形成で大溝が彫られることが多いが、これはそれにあたるのかどうかーー今後の研究に期待したい。弥生時代から国家形成期にかけて、どのような地域開発があり、どのような人々がそれを担ったのか、ヤマト王権や東海など他地域との関係はーー？？などなど、未解明な問題が多く、この地域には火山灰とともにそうした謎を解明する資料が残されているのだった。地味だが貴重な話を聞いて、再びバスを乗り継いで帰京の途に就いた。
写真１）三ツ寺バス停からかみつけの里までの途中、唐沢川を渡る−―古墳時代の重要な水源か
写真２）浅間縄文博物館ポスター（かみつけの里博物館）
写真３）古津八幡山弥生の丘展示館のポスター
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