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写真��大牧1号墳出土の馬具や武具など
写真�Ｅ貉蓋妬�群出土の珍しい陶馬
京都から名古屋に戻り、各務原線に乗り換えて各務原市の古墳時代展を見に行く。昨年は遺跡巡りの団体旅行と個人旅行でこの地域の古墳や博物館巡りをした。各務原には主として個人のレンタカー利用で岐阜羽島駅から坊ノ塚、衣装塚古墳、船山北古墳群などを見学して、岐阜県埋蔵文化財センターを見学して岐阜城と信長居館跡などを見学した。今回は岐阜県各務原市の埋蔵文化財センターによる古墳時代展が最終日なので、滋賀県・京都市の帰路に各務原に立ち寄り、これを見学する。会場は市立中央図書館で市営公園前で下車し、徒歩ですぐのところにある。同じ建物に埋文センターも入っており、東京から見学に来たことを受付のボランティアの方々が驚いていた。
今回の展示の中心は、同市域最大の古墳、坊ノ塚古墳の発掘調査だ。昨年訪ねたときも第4次発掘調査が継続中で、当日はブルーシートがかかって発掘そのものは行われていなかった。
展示会場ではパネル展示で坊ノ塚古墳の平成27年度の第一次調査から第二次(平成28年度）、第3次(平成29年度）、第4次(平成30年度）、第5次(平成31年度）の発掘調査の変遷を写真や図版を多用して解説している。
特に第4次調査では前方部と後方部の間に「くびれ部」を検出したことは特筆される。墳頂部では円筒埴輪列が確認され、後円部だけでなく前方部にも埴輪列があったことが確認されたという。
第1次から第2次までは古くから盗掘されていたことが知られていた坊ノ塚の最初の発掘調査で、葺石や石室の巨大な蓋石などを発見、石室の位置などを確認、盗掘がかなり大規模に行われ、石室などの石がすべて原位置を保っていなかったようだ。盗掘後に残されていた埴輪の破片などをこれ以上つぶさないように、かなり慎重に破片回収を試みたり、盗掘坑の詳細な調査で、土をふるいにかけ、細かな玉類破片などを千点以上回収したり、魚型土製品などを出土したり、などの成果を上げていた。
坊ノ塚古墳は鵜沼羽場町に所在する前方後円墳で、出土遺物から4世紀末から5世紀初頭の築造、墳長120mで昼飯大塚古墳に次ぐ県内第二位の規模という。中部地方で第10位、全国では140位らしい。これまでの5次の発掘調査の結果、
�ー�壕の確認：墳丘を盛り上げるための土取りを兼ねた周壕エリアは現状、宅地や畑、道路などになっているが、平成4年度の調査で集合の一部を確認した。
��葺石と基底石、築成段の確認：前方部。後円部とも下段＝削り出し、中・上段＝盛土による平坦面をめぐらして、斜面の崩壊を防いでいる。
�１濺�埴輪列：前方部、後方部ともに円筒埴輪列が確認され、計算上は380個の円筒埴輪が並べられた。後円部からは壺形などの特殊な埴輪の破片が検出され、赤塗りの埴輪などを含め、円筒埴輪列の内側に並べられていた可能性があるようだ。
�に篩鮖楡漾Ц絮濾�中央に竪穴式石室のある石槨が検出され、割竹形木棺があったと推定されるが、盗掘が激しく大きく破壊され、副葬品は持ち出されていた。
重量2.5トン以上の巨大な蓋石が5個、原位置とずれた場所から発見され、石核の大きさは内寸5m×1mと推定。一部赤彩が認められ、石核内部は赤く塗られていたようだ。
�ド�葬品と祭祀
盗掘後に残されたものは、滑石製模造品で、斧形1、刀子形、勾玉６５、管玉７４、ナツメ玉１、臼玉896点で、墳頂面では、葬送儀礼の供物として食物形土製品(魚形、餅形、アケビ形）、土師器などが出土。玉類は土をふるいにかけて細かいものを検出した。
坊ノ塚古墳以前＝各務原市最古の古墳：坊ノ塚に先立ち、鵜沼西町の衣装塚古墳の南東50mの地点に一輪山古墳があったが、大正12年の開墾で焼失、開墾中に発見された三角縁波紋体四神二獣鏡から、古墳は4世紀後半と推定された。これより古い古墳は発見されていないが、発見前に焼失している可能性もある。同范鏡には松江市八日山古墳があるようだ。
那加柄山町の柄山古墳も大半が削平され、墳頂のみが残るが、削平工事中に鶏頭埴輪の頭部破片が発見され、赤彩が認められている。古墳の守り神としておかれた可能性が示唆されている。
群集墳：熊田山北1号墳：微高地上に13基が確認されるが、大半が削平され、津島神社境内に3基(9〜11号墳）が残されるのみ。最大と思われる1号墳は洋ナシ形の特殊な形で、発掘調査から
素環頭太刀、直刀、鉄鏃、工具、金環、勾玉、丸玉、ガラス玉などが出土、特にガラス玉は1784点も検出された。さらに土師器に加えて市内最古の須恵器が副葬され、新しい技術や葬送儀礼を持つ人々の移住を意味していると推定されている。
横穴式石室の導入＝西洞山6号墳：6世紀以降、群集墳が急増し、横穴式石室が導入された。西洞山古墳群は29基の円墳が確認され、昭和41年度に3〜6号、平成18年度に2号墳が発掘調査された。6号墳は最も古く、6世紀前半築造と推定。6号墳は片袖式で、山石を丁寧に積み上げ、羨道には石室をふさぐ閉塞石が詰め込まれていた。鉄製品の副葬が多いが6号墳では馬具、鉄鏃、太刀などの武具が副葬され、被葬者の武人的性格がうかがわれえる。
6世紀以降の前方後円墳：他地域では6世紀以降、前方後円墳は姿を消すが、各務原地域では円墳に交じり、前方後円墳が少数ながら継続して築造された。大牧古墳群では73基の円墳と3期の前方後円墳があり、大牧1号墳は短い前方部が付属する墳長45mの前方後円墳で、横七式石室の仕様や規模、豪華な副葬品から、集団の盟主の古墳とされた。横穴式石室の玄室部には朱塗りの家形石棺が検出され、美濃地方最大の大きさ。盗掘によりこじ開けられ、副葬品はわずかな骨片以外は抜き取られたが、その外部には須恵器や馬具などが一部残されていた。残された副葬品の中には鉄製の刀子などの他に、金銅製馬具があり、副葬品からも盟主的な古墳と判断された。
円墳から方墳へ：6世紀末以降、7世紀末には古墳築造も終焉を迎え、寺院建設へと移行する。東山ニュータウン建設に伴い、昭和60年度から平成2年度にかけて発掘調査された東山古墳群の内、4・6・8号墳は7世紀末から8世紀初頭に築造された方墳で、
墳丘規模は10m前後の小型方墳、出土須恵器から3期は同時期と判定。
各務原市の北東縁の須衛天狗谷丘陵斜面から土取工事に伴って発見され、1・2号墳が発掘調査された。うち2号墳と須恵器＋灰釉陶器の窯跡が現地保存され、公開されている。いずれも直径10〜12mの円墳で須恵器の年代から7世紀後半築造と推定。一帯は美濃須衛古窯群と呼ばれる須恵器の一大産地で、窯跡と古墳が近接することから、工人有力者が関係する古墳群と考えられる。
7世紀終わり頃から各務原市域では蘇原と各務地域に古代寺院建設が開始された。
600基の古墳分布から分かること：
各務原台地の内部には古墳が見られず、小河川や新境川流域に多いことは、台地内部は農地開発に向かず、木曽川や小河川沿いの沖積低地で主として農地開発が行われ、開発主張が林立したと推定される。また河川交通の要衝を押さえることも権力の基盤となったと推定される。ヤマト王権との関係を推定される副葬品が出土しており、また群集墳は豪族集団や初期農村の単位を示している。各務原の古墳分布はこの地域の土地開発、農村形成の歴史過程を示しているようだ。
常設展も一通り見てから各務原を後にして名古屋に戻り、帰途に就いた。
こんばんは。はじめまして。
美濃地方には古墳が多いことは聞いていましたが、となりの岐阜市に長年住んでいながら、各務原にそんなに有名な古墳があるとは知りませんでした。
たまたま数日前、名古屋の古書店で手にいれた「新撰美濃志」（万延元年 岡田啓著）を早速開いてみたら、こんな記述がありました。
鵜沼村の項（605ページ）
＜桑原野＞ 賤の小手巻に「桑原野といふ所に金せう塚と云ふ有り、毎夜塚の内に鶏鳴を聞く、鵜沼本郷の甚之右衛門と云ふ者、人夫を集め墾けるに、金の繩末も多く出で、焼物の蓋あり、金繩は直に碎く、其後鶏鳴やむ」としるせり。
（甚之右衛門は盗掘団の親方だったのでしょう）
坊の塚の北東に衣裳塚という古墳がありますが、ひょっとしてむかしは＜金せう塚＞と呼んでいたのではないでしょうか。現在＜桑原野＞という地名はありません。
せっかくだから、この正月休みにあの辺りを歩いてみようと思います。我が家から車だと20分ぐらいです。
興味深い情報ありがとうございました。
こんにちわ、読んで下さり、ありがとう。坊ノ塚、衣装塚は昨年行きましたが、多くの古墳は建設工事前などに発見され、調査後消滅あるいは知られずに宅地化されているところが多いようです。訪問されるときは、各務原の埋蔵文化財センターに電話などで問い合わせて、事前にチェックされることをお勧めします、ではまた、
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