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写真��堂城山古墳主体部出土品
写真�Ｂ膂ぢ生妬�の銅鈴
馬見丘陵公園の散策を終え、一路五條市に向かう。
京奈和自動車道路・国道24号線を進むとかなりの登りで山の中を走る。五條市の地形を見るのに都合がよい。6年くらい前、レンタカーなどを使わなかった時代、奈良駅付近でレンタサイクルを借りて奈良盆地から明日香、御所市を経て五條まで走ったが、妄想した体力は今はない。もっともその時も雨に降られたりして風の森神社付近でダウン、これ以上漕げなくなって、自転車を近所のタクシー会社に預け、宿までタクシーに乗り、翌朝タクシーで自転車を回収するということもあったが坂をもろともしない元気さがあった。
9時10分過ぎに到着し、まず企画展の「五條の古墳を掘る」を見学。この展示会も橿原考古学研究所との共催で閉鎖期間中の五條市の古墳の発掘出土品を貸し出して普段はなかなか見られない遺物を見学できる機会だ。
地形からもわかるように平地の少ない場所で4世紀後半まで古墳が今井町の大墓（青墓）古墳（40mの方墳）など以外は、この地域にはほとんど見られないのは農業開発が進まなかったからと考えられる。
1．近内古墳群：5世紀初め、大墓の北東1�劼慮�山丘陵長上付近に近内鑵子塚古墳（直径８５ｍの円墳）が築かれ、以後1世紀近く円墳・方墳を歴代首長墓とする近内古墳群が向山丘陵を中心に造営された。
丸山古墳（37m円墳）、五條猫塚（35m方墳）、津嘉山（24m方墳）、つじの山（52m方墳）、西山古墳（54m方墳）などが首長墳とみられる。
猫塚は蒙古鉢形眉庇付冑、小札甲、帯金具、鍛冶具などで知られ、津嘉山からは武具や鉄製農漁具などが出土。 首長墳周辺からは20m以下の円墳、方墳、箱式石棺、埴輪棺などの埋葬施設が造営された。歴代首長は奈良盆地南西部と吉野川、紀伊を結ぶ二本の交通路に沿って作られていた。5世紀代は紀氏が大型倉庫群（鳴滝遺跡）を設けて朝鮮半島との物流や外交に関与。葛城南部でも5世紀前半に室宮山古墳（238mの前方後円墳）が築造され、手工業の拠点、南郷遺跡群が形成、紀氏と連携して葛城氏朝鮮半島との物流を抑え、南郷遺跡群で加工して鉄製品を確保したと考えられる（葛城市歴史博物館）。
今井1号墳：5世紀中葉、五條唯一の前方後円墳、竪穴式石室や土坑から銅鏡、玉類、ブグル委が出土し他の首長墳より優位にあった。この古墳の位置づけは見解が分かれ、給料出入り口付近で紀路を見下ろす位置にあり、物流を管理するために王権から派遣された人物説もある。
２．6-7世紀の古墳と窯業：近内古墳群の大型・中型古墳は5世紀末までで終了、北宇智地域では6世紀にも小型古墳造営が続いた。向山丘陵北端、猫塚周辺でも堂城山、向山1．2.4号墳が順次造営、向山北西の独立丘陵でも5世紀末から6世紀代に西河内吉山1-3号墳が発見されている。いずれも直径・一辺15m以下の円墳・方墳で木棺直葬がほとんど。単独が多く複数でも十数基で、同時期の葛城など奈良盆地では数百基の群集墳が丘陵・山間地に築かれていたのと対照的。
近内古墳群造営集団は6世紀には縮小し、南郷遺跡群も衰退する一方、巨勢谷周辺で古墳造営が盛んになり、風の森峠越えよりも紀路の重要度が増し、物流のメインルートが変化した。
２：6世紀の吉野川沿いの古墳
当地でとれる結晶片岩を用いる横穴式石室が首長墳の埋葬施設として導入され, 6世紀前半から7世紀初めにかけて南阿田大塚山古墳（30m帆立貝形）、コウモリ塚（10m円墳）、狐塚（円墳？）、黒駒古墳（10m円墳）などが丘陵上に単独で築造された。岩崎千塚古墳群石室に似た石室構造が一部見られ、そのの特徴から紀ノ川を介した交流がうかがえる。
副葬品から見ると、馬具、製塩土器、特殊須恵器などがあるが、総じて品目・点数は少なく首長を支えた中堅クラスや特定の交通路を管理する有力者という被葬者像が描かれる・五條は重要度の移り変わりはあるが交通上の要衝であり続けた。
３． 須恵器生産:6世紀以降の集落の動向は不明だが、須恵器生産では、今井1号墳の西方の今井窯、荒木神社裏山窯では大和で最も早い6世紀初めから須恵器生産が始まり、8世紀にかけて継続。今井窯製品は今井阿田大塚古墳や吉野川中流域に流通したと推定される。8世紀代に五條が大和有数の瓦生産地帯になる先駆となった。
棺内に鉄器、墓壙表面に須恵器が置かれた。乱掘がひどく主体部中央から管玉3個。主体部1の年代は須恵器から6世紀初めとされ、猫塚を意識して作られたと調査者は考えている。
５．大阿太第13号墳：五條市北東部の阿太地域では吉野川沿いの段丘面に数十基の古墳が点在するが、内容が判明したのは南阿田大塚古墳と大阿太13号墳のみ。
埋葬施設は乱掘されたが、棺を砂質の粘土質で包み、朱が混じっていた。棺付近で管玉・鉄斧・鉄鏃十数本の束などが出土、ほかに土玉100個、須恵器坏、提瓶、土師器壺、坩などの集積3群と石製紡錘車などが出土、その付近で採取された銅鈴、須恵器提瓶もある。須恵器は6世紀前半で南阿田大塚山と共通する。
