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山元遺跡には明日朝行く予定だが、出土品は村上市の文化財課に尋ねると奥三面縄文の里に展示されているということで、黒川郷土伝承館の後、上る予定だった黒川城址をあきらめ、韋駄天山遺跡を見学した後に奥三面を訪ねることに予定を変更した。
黒川城址は残念だが、登るとおそらく白鳥山よりさらに時間がかかり、最近山歩き後の発熱や左足のしびれなどを考えると、明日の講演会に差し障りそうで、やめておいたほうが無難とみてこれをカットし、空いた時間を奥三面訪問として切り替えることにした。奥三面は３〜４年前に一度考古学のグループ旅行で訪問しているが、その時は奥三面ダムに沈んだ縄文遺跡群に焦点を当てていたので、山元遺跡のことは覚えていない。
日本海東北自動車道に入り、朝日三面ICから三面川をさかのぼって車を走らせると、正面に鋭く三角形の印象的な山が現れる。もしかしたら縄文の里から上る鷲ノ巣山と前ノ山かなと思いつつ、−−後でヤマレコを見ると同じ日にここを上った方々の記録を見てやはりそうだったかと改めて確認できた。アップダウンが大きく滑りまくったと書かれていた。距離や標高差などを考えても、今の私では歩ききれない山々だのようだ。
縄文の里に到着すると、鷲ノ巣山から下山したばかりと思われる登山者数名が車の前で帰り支度をしており、体も濡れ、かなり疲労した様子だった。厳しい山なのだなと改めて思った。
縄文の里の展示館では圧倒的に奥三面の縄文遺跡群の展示があり、山元遺跡は最後の最後にガラスケース２つ分くらいに展示されていた。
山元遺跡とは
「弥生時代中期後葉〜後期後葉、日本海側最北の高地性環濠集落。平成21年度〜23年度に行った確認調査成果。遺跡は居住域と墓域からなり、前者から竪穴建物1棟、土坑1基、環濠7条など、後者から土坑墓11基、埋設土器3基などを確認した。土器は東北系の天王山式を主体とし北陸系と続縄文式が少量出土した。平成28年10月3日に国史跡に指定された。」（村上市文化行政推進室HP)
展示されている出土品を見ると、土器は天王山式土器や続縄文土器など、東北や北海道の人々との交流が見られ、またわずかに近畿系の土器も見られる。ガラス玉はカリガラスで近畿圏や日本海西側との交流が想定され、南北の交流の流通拠点とも考えられる。一方高地性集落を防御性集落と考えると、「敵との交流」（展示解説の言葉）という矛盾を「邪馬台国時代」の属性とみるが、そこまで緊張した敵対関係があったのか疑問もある。この時代の後に北陸系の文化が新潟から会津にかけて北上することがわかっており、敵対関係というよりも時代と文化の流れとも思える。北海道の続縄文土器が見られることから、この時代、鉄器を求めて交易のために南下したことがうかがわれ、やはり敵対でなく交流を求めての行動だ。高地性集落は防御性というよりも、降雨量の増加で大きな水害が多かった時期の集落の姿ではなかろうか？
また出土品が国指定重要文化財となった元屋敷遺跡の縄文後晩期の土器の展示も見事だ。今回は元屋敷遺跡でなく、弥生の高地性集落、山元遺跡が目的だったので、残念ながら縄文遺跡は流してみることになった。
１６時を過ぎ、まだ閉館時間までは時間があるが、暗くなるので早めに切り上げて今夜の宿のある村上市瀬波温泉に向かった。
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