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写真��布留式土器、埴輪を発見した最初の歴史的な発掘調査が行われた場所（天理教別席場付近）
写真�Ｅ畦�大学参考館における布留遺跡の埴輪出土地の推定復元
先月に引き続き橿原考古学研究所博物館友史会の遺跡巡りで今回は天理市布留遺跡巡検。この遺跡は古墳時代の始まりを告げる布留式土器などで学史上著名な遺跡だが、如何せん一部の古墳以外はほとんどその姿を留めておらずその遺跡がどこにあるのかもほとんど知られることのない遺跡群であった。大半が天理教関係の施設や学校や駐車場の下に眠っている。今日は長年布留遺跡の発掘調査に携わってこられた小栗研究員がこれまで発掘調査された場所に案内して頂き解説されるという希な機会で、楽しみにしていた。
始発の新幹線で京都経由で近鉄奈良線で天理駅に到着。心配された天気も問題なさそうだ。十時過ぎ講師の小栗氏が自己紹介されて出発。
小栗氏は「今日は目立つものは何もありません。現代の風景を消し去り、古代の地形や風景、遺跡の状況を頭の中で復元し、妄想する旅に出ましょう」と冒頭で今日のテーマをさりげなく述べた。
町の至るところが天理教関係という町を進み、最初に三島地区に。天理教校学園という天理教幹部の師弟らが多く学ぶ学校の建設前になされた発掘調査により五世紀古墳時代中期の土師器や須恵器、玉、碧玉、臼玉、緑色凝灰岩破片などが出土した。このエリアにある集落や工房からの廃棄物が布留川の北北流に廃棄されたものらしい。
次に豊田地区の南側まで歩き古墳時代中期から後期の集落跡を妄想、次に豊井（宇久保）地区まで緩い登坂を歩く。ここは総柱建物など、大型の住居跡や総柱建物などが検出され、物部氏の上層部の居住地、居館跡などが発見されたようだ。ここからは下々が居住、活動する工房跡や葛城山系、二上山、生駒山などが見渡せる高台で、物部氏の本宗家が滅びた後も奈良時代まで続いていたという。物部氏が宮司となる石上神宮も近い。ここから少し下った豊井地区は工房跡らしく様々な土器や鍛冶関連遺物が出土している。このあたりまでは布留川北北流という今は見えない古代の流路の左岸と右岸の遺跡を妄想したが、ここから西に下り、布留地区に出る。布留町、三島町、豊田町の境にある天理教別席場や東駐車場の敷地内で、昭和13年、天理高等女学校のプール建設作業中に遺物が発見され、５地点で発掘調査が起こなわれ、それまで不明だった弥生時代末から古墳時代への移行期の土器が現れ、「布留式」土器と名付けられた考古学史に残る歴史的な場所だった。今は何もなく、妄想するしかない。発掘地点も詳細は分かっていおらず、遺物と記録が残っている。この時出土した円筒埴輪・朝顔型埴輪は現在天理参考館３Fに復原展示されている。
さらに隣の三島地区の現在の天理教本部付近にでて、第１５次調査以降、４度にわたる調査で出土した膨大な遺物、遺構について説明があり、お茶所付近で昼食。
午後は現在の布留川の細い流路を渡り、布留川左岸の布留、上ノ垣内・出口地区（高台の最上位階層の居住地）、布留西小路地区の天理教語学院敷地内の布留川南岸川岸の祭祀場関連遺跡、杣之内地区の古墳時代中期から奈良時代にいたる掘立柱建物跡、総柱建物（倉庫）を含む上位階層の居住地をめぐり、少し下って杣之内（赤阪・北池）地区の興亡統括者などの中間階層の墓域、杣之内大東地区の一般人の集落、守目堂地区の溝など、中間層の墓域が広がっていたとみられる。
今回は現在何もないところを過去の発掘調査の結果だけから過去の光景を想像・妄想して歩くというユニークかつ極めて貴重な体験をした。関係者に敬意を払いたい。
巡検終了後は参考館で布留遺跡の祭祀場の復元（今日の解説者の見解では祭祀場でなく、古墳の端の可能性）などを見学して帰宅の途についた。
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