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写真��京都府浅後谷南遺跡出土の浄水施設（契約成立が遅れ、まだ実物は到着せず―15日以降らしい）
写真�Ｂ膾緝槝議邑妬�の柵形埴輪と樋形土製品
水にかかわる祭祀は古墳時代の埴輪や豪族居館跡、とりわけ南郷大東遺跡の発掘調査などからその遺構や関連遺物が発見され、その姿が現れつつあるものの、その内容の詳細に関してはまだまだ不明点が多い。この古墳時代の祭祀を引き継ぐものと考えられる飛鳥時代の酒船石石造物などがあり、さらに聖徳太子の上宮との関連が指摘される上之宮遺跡の西側園地などに引き継がれるものと考えられる。
今回の企画展ではその中で特に「導水遺構」「木槽・木樋」に焦点を当てて、南郷大東と京都の浅後谷南遺跡などの関連遺跡・遺構を取り上げ、その内容の解明に迫っている。
講演会では浅後谷南遺跡を発掘調査された京都府埋蔵文化財センターの高野陽子氏による「導水祭祀の系譜―弥生時代に遡る地域王権の祭儀ー」の講演で、南郷大東遺跡から飛鳥京跡園地の流水施設、佐渡の東沢遺跡、城陽市（山城）の小樋尻遺跡などの初期ヤマト政権成立期―古墳時代前期前葉までー、および小樋尻遺跡と山背のその後の開発と祭祀の関係、前期の導水施設ー纏向遺跡・滋賀県服部遺跡・京都府浅後谷南遺跡・佐渡や九州、金沢などの遠隔地の遺跡などを紹介、さらにその起源を弥生時代の近江南部の下鉤遺跡、伊勢遺跡・柳遺跡などの導水・浄水類似遺構などを検討し、初期ヤマト政権下の導水祭祀を王権や首長の土地や水の支配にかかわる儀礼と推定。祭儀における木製武器，団扇形木製品などの威儀具、発火具などの燃えさし、組帯文、直弧文などの祭儀のありかたから、火と水の交合の祭儀による浄水を生産エリア（首長の支配域・機関水路・水田など）へと流す祭祀があったと推論している。
このような王権による新たな祭式・祭文・レガリアの創出には、近江や北陸の勢力が影響を与えたと推論している。
高野陽子氏に関しては4−5年前のある考古サークルでの北近畿・丹後の遺跡巡りの規格の時に森浩一氏や京都府埋文の肥後・高野両先生の論文などを大いに参考にした記憶があり、今回の講演で直接お目にかかることを楽しみにしていた。
最後に高野氏が力説する導水施設・水の祭祀における「浄水」機能というテーマに関して、少なくとも縄文時代以来、清らかな湧水を利用してきた列島住民にとって、「浄水」というイメージは沸きにくく、その思想はどこから来たのか、と質問した。さらに水田農耕に関しては栄養分を水から補給されることによって連作が可能になることから、浄水して水田に流したら困るのではないか？などと質問したところ、確かに水田の水と浄水は合わない可能性があり、それは考慮していなかったと、今後検討するような回答をいただいた。
土木技術的に見て導水遺構が「浄水」施設と考えてきたことは、これまでの研究の流れだが、本展図録で狭山池博物館学芸員の小山田氏が「けがれ」の概念も援用していることから、そうだとすれば、それは仏教などの外来思想の繁栄と考えられるのではないか？中国やアフリカ、アマゾンなどの黄色、茶色、黒、赤などの河川水の色がほとんどなく透明な水が多い、‐外国人が見本を見ると毎日水晶のような水を塗んでいる列島人に「水の浄化」思想は出てこないように思える。まだまだ解明すべき課題が多いと感じた講演会だった。
古墳時代の水の祭祀に関するネット記事はあまりないので、まほろば旅日記編集部の城之腰遺跡の水の祭祀に関する紹介文を参考資料として掲載します。
（https://isuzugawa.ti-da.net/e5872385.html）
古代祭祀の面影： 古の水祭祀とは（まほろば旅日記編集部HPより）
【水の祭祀遺跡】
ゴールデンウィークが明けてまもなく，伊勢へと旅する機会を得ました。そのときに，少し足を伸ばして，西へ，伊賀の地にて見学してきたのが，「城之越遺跡」。下の写真のように石組みで清流を囲った祭祀遺構です。
古の水祭祀とは
●城之越遺跡。古墳時代，水に関する祭祀が行われたと考えられています
名古屋あるいは伊勢方面からは近鉄特急（伊勢中川経由，大阪方面行）と伊賀鉄道を乗り継いで比土駅で下車。田植えが終わったばかりの田園の道を歩くこと5分程のところに，城之越遺跡とその資料館が物静かに佇んでいます。
1993年，この泉水遺構は，人工的に敷き詰められた石積みとともに発掘されたそうです。同時に，儀式用の土器（高杯など）や刀剣型の木製品なども多数見つかり，これらの出土品から，4世紀後半ごろにここで水に関する何らかの祭祀が行われていたと考えられています。
そして，祭祀遺構のすぐそばには冒頭写真にあるような大型建造物の跡も見つかっており，祭祀のバックには在地の有力豪族の介在があったとも考えられています。
古の水祭祀とは
●遺跡の湧水ポイント。現在はポンプで当時の泉水を人工復元しているが，発掘時にはまだ水がわずかに湧き出ていたそうです
特筆すべきは，3箇所ある天然の湧水（泉）。遺跡が公園化され整備された今では枯渇してしまいポンプで人工的に再現しているとのことですが，古墳時代当時は自然に清水が湧き出ていたとのことです。やがて木津川へと水が注いでいっただろう，この清泉において，4世紀から5世紀はじめの頃に祭祀（または儀式）が行われたことは間違いないものの，具体的にどのような内容の祭りが行われたのかは殆どわかりません。
古今，神道において祭事本番を行う前に必ず行う「禊（みそぎ）」を行う施設ではないかという解釈もある一方，遺跡から多数出土している祭祀具から見て，水（泉）そのものを神聖視したのではないか，単なるお清め行為の「禊（みそぎ）」ではないのではないかという解釈もあるようです。
冒頭，崇神紀からの引用のように禊（みそぎ）については記紀にも散見されますが，禊以外の水にまつわる祭祀儀礼（または神話）については記紀などの文献にも明確な記載がなく，現在に受け継がれる神道においても見当たりません。
どちらにせよ，当時あっただろう水祭祀の実体を推し量りにくいというのが正直なところです。
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