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写真��台太郎遺跡など９世紀後半の一般在地系集落の出土品
写真�。浩さ�前半、紫波城存立期の官衙的集落出土品―須恵器が多い
予定では原村美術館の阿久遺跡展関連の講演会を予定していたがレンタカーがうまく予約できず小淵沢のチャリも予約ができず二台しかないので利用に不安があり、タクシーも前回美術館から呼ぶことができなかったのでアクセス問題が解決せず、諦めて盛岡に転戦、二週間ほど前に秋田に向かう途中で見学した大島遺跡展に関連する講演を聞きに出かける。幸い昨日滑り込みで席を確保できた。七時過ぎに家を出て東京駅でハヤブサに乗る。１１時前に到着し、フェザン地下のイタ飯屋でパスタを食べ、駅前の駐輪場でシェアサイクルを借り、北上川の向こうの遺跡の学び館に向かうなど。今回は時間の余裕があるので展示をじっくりとメモを取りながら見学する。展示では、大島遺跡やその周辺遺跡の時系列的な変化の様子を解説しているが、並んでいる土器を見るとあまり区別ができない。須恵器や土師器、あかやき土器など、展示では最初に平安時代九世紀初頭の紫波城周辺の社会状況の概説があり、小幅、宮沢遺跡と言う紫波城の登場と共に現れる官衙的な集落遺跡の出土品などの展示があり、次に大島遺跡を中心に紫波城の登場と短期間での消滅の前後で、集落がどのように変容していったかを解説している。しかし並んでいる土器や須恵器だけ見ると、どの遺跡が律令国家の役所的な施設で、どれが在地の「エミシ」と呼ばれた人々の集落なのか見分けが付きにくい。後で学芸員の方にお聞きすると土器だけでは区別は難しいようだ。時期的な変遷は土師器の底面の大きさなど区別はできるようだが、須恵器は紫波城の短い期間に、出現し、おそらく紫波城から在地の集落の有力者らに下賜した可能性もあるようだ。紫波城がなくなるとしばらく須恵器は出てこなくなるようだ。官人、役所的な要素が強いかどうか、紫波城の時期などを勘案して在地的要素と官衙的な要素などから判断しているのだろうか？展示の冒頭にある小幅遺跡や宮沢遺跡からは多数の須恵器が出て九世紀前半、紫波城造営と関連の深い律令国家と関係する集落のようで。紫波城がなくなる九世紀後半には、須恵器はほとんど見られなくなるようだ。その時期、大島遺跡からは、掘立柱建物や多数の縦穴建物の他畝状遺構など農耕に関係する遺構が検出され、律令社会の中に巻き込まれ、その文化を吸収して行く。 九世紀後半の林崎遺跡などからは、灯明皿や多嘴�海噺討个譴觧阿弔慮�を持つ特殊な土器が出ていて、仏教かどうかはわからないが何らかの宗教的祭祀が行われていたようだ。器形を見ると古墳時代の須恵器にあるような形だが、学芸員に尋ねるとその通りだと言う。古墳祭祀的なことが行われていたのだろうか？盛岡地域は胆沢城エリアと違い、大きな戦乱は経験せずに在地社会が律令社会の文化を吸収し、在地有力者が育っていくようだ。大きな戦乱なく、在地集落が律令文化を吸収し、安倍氏のような有力者が育ち、やがて中世的な戦乱が訪れる前触れの時期なのかもしれない。
午後の講演では奥州市埋蔵文化財センターの所長の佐藤良和氏が、胆沢城周辺地域の平安時代の集落の最新調査成果の話をされた。胆沢城は胆沢川が北上川に注ぐ合流点付近の交通の要衝に建てられ、王権・律令国家が「エミシ」と呼んだ人々を服属させるための政治軍事拠点であった。９世紀の前半から中ごろまでの創建期＝第１期では、８世紀から存続している在地集落の中に９世紀になると、関東系の煙道を持つ住居、土師器などが同じ集落の中に同居するような様相を見せ、墨書土器も出現する。佐藤氏の解釈では、在地社会の勢力を裂くために律令国家（胆沢城勢力）がくさびを打つような策を考えたのではないかという。９世紀後半の第二期には掘立柱建物がみられるようになり、官人居館や出先機関のような施設、建物がみられるようになる。大規模な窯業生産などの手工業生産が拡大し、須恵器や胆沢城の瓦も生産された。
９世紀末以降の第３期、８世紀から続いた在地集落は見えなくなるが、「寺」などの墨書土器や寺院建築に似たプランの施設の敷地もあり、律令社会化が進行したようだ。この地域は対エミシ戦争の中心地で、大きな争乱によ頴社会が大きく打撃を受けたとみられ、盛岡周辺のような在地社会から有力者が出現するような社会変容は現れなかったようだ。
ただ私は奥州市埋文センターのように「エミシ」という言葉を多用する考えには賛成できない。「エミシ」とは王権が対中国外交政策上、華夷思想というイデオロギーにより、人種差別的な呼称を押付けたものであり、そうした王権による差別的な「他称」を当然のごとく受け容れる気になれないし、それは間違っている。現代人類学では民族の自決＝selfdetermination=が原則となり、このような古い時代で「自称」がわからない場合でも「他称」で呼んでよいことにはならない。さらにこうした人々が集団として徒党を組んでエミシ党やエミシ国家をつくろうとしたわけでなく、一つの「民族」と考えるわけにもいかない。さらに「民族」のような現代的なカテゴリーで語るべき人々ではなく、時期により地域により、出自も歴史も様々な人々を一緒くたに一つの押付けの名前で呼ぶべきではないと考える。「エミシ」という言葉は、王権が自分自身の外交政策のために押付けた差別的呼称であり、「侵略」正当化するための呼び名に過ぎず、王権でもない現代の我々が使うべき用語ではないと考えるのだ。最後に遺跡の学び館の学芸員の方とそうしたことを含めて話をしたが、理解はしていただけたがー文献史学者、考古学者を含め、長年の慣習から抜け出すのは容易でないという印象が残った。
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