二上山博物館でサヌカイト採掘遺跡に関する講演会があるので応募して聴講する。二上山のサヌカイトと呼ばれても二上山にサヌカイトはない、と講師。サヌカイト原石は、過去の噴火でできた株山(石万尾山)付近にサヌカイト露頭が五メートルほどの層状に存在し、そこから崩れて流れたものが下流に堆積し、埋もれたものが採掘されたものだという。採掘の時期は確定していないものの、後期旧石器時代前葉ーAT火山灰層の下からは、石器などが見つかる遺跡もあるが、サヌカイト採掘は、瀬戸内技法が成立した後半期ー二万年前ではないかという。ただし遺跡からはサヌカイト採掘跡のほかは失敗作、未製品などしかでないため、時期を確定できていないようだ。
これまで調査された遺跡として、
鶴峯荘第一地点からは、旧石器時代の採掘坑と見られる遺構が出ているが、時期には諸説あり確定していないようだ。旧石器時代とすれば列島最古の採掘坑となる。 その西方500mには、桜ヶ丘第一地点があり、瀬戸内技法を使ったサヌカイト石器が出土している。
また、平地山には、もともと智弁学園の施設建設の際に調査されたサヌカイト採掘跡があり、近年施設を増設するために近くを調査することとなり、急斜面地と平坦地を調査、斜面地からは、やはりサヌカイトの礫が多数出土した(サカイ遺跡と呼ばれる)。かつての平地山の場合、旧石器時代から弥生時代までの遺物が出たが、サヌカイト採掘の時期がいつかは決着が着かず、弥生土器が出ているので、下限を弥生時代とされた。しかし今回の調査で、旧石器時代から縄文時代草創期の可能性が高まったという。
一方、平坦地からは、炭化物と焼土を伴う土坑が検出され、これまで焼骨墓と考えれ勝ちだったが、調査を進めると、炭素年代測定で、古墳時代後期から飛鳥時代の年代が出て、焼骨墓でなく、山陰などでよく見られる木炭製作土坑ではないかと気づいたという推定が有力になったと結論付けた。二上山サヌカイト採掘遺跡に関しては関心があったが今回初めて遺跡の詳しい説明を聞くことができ、はるばる訪ねて良かったと満足し、博物館サヌカイトの展示も少し見てから次の立ち寄り地、橿原考古学研究所付属博物館に向かった。
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2月20日(火)二上山博物館北麓サヌカイト採掘遺跡講演会
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