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写真��香取神宮幸祭絵巻に見る神輿行列（永正13年＝1516の写本を）元禄13年（1700年）に修補したもののようだ。
写真⓷天王御祭礼の図＝歌川芳宗画＝文久元年（1861)
韓国語の教室を終えて、帰宅前に渋谷の国学院大学博物館に立ち寄る。HPの「神輿」展のYoutube解説を見て、あと一週間で閉幕の企画展を見る。
私が注目したのは、解説にあった「神輿」の出現状況だ。神様、神社に関する古い文献では神社は「神の座す」場と呼ばれ、地縁的な色彩が強かった。地域社会ごとに神様がいる古い信仰、祭祀携帯を残していた。「神輿」の文字が最初に記録に現れるのは平安時代、古代文献の多くが「座す神」＝特定地域に根差す神様として、そうした場所に結び付く―その場所と切り離せない神様＝祭りの場＝神社という地縁的色彩の強い神と人と場所との結びつきであったが、縄文時代の自然信仰を想起させるような信仰形態だった。「神輿」という言葉が最初に出てくるのが平安時代で、それまで地域から動くことになかった神様が「神輿」に乗って場所を移動するという事態が発生した。その時代は地震、津波、火山噴火、気候不順（大雨と旱魃）などが頻繁に起こり、人々はその災厄から逃れるために様々な試みを行ったが、「神輿」はその一つだった。地域を超えて神様の力にすがろうとする試みか？富士山噴火や三宅島の噴火で各地域における祭祀が下田〜三島へと火山に対する祭祀場が移動し、地域社会を超える信仰形態をつくりだしたようだ。「神輿」に乗って神様が移動し始めたというに面白い。
ただし中世までの「神輿」は神官や貴族・王権側が主催し、執行するものであり、庶民の「神輿」が出現するのは江戸時代の後半なのかもしれない（残された神田明神牛頭天王祭、烏森神社祭の屏風絵など）。京都周辺日枝神社、祇園社祭りの屏風絵ではまだ庶民の参加ではなく、見物客として描かれているようだ。
今回あらためて、「神輿」というものの歴史的な意味を考えさせられるもので、大変貴重な企画展であった。
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