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私は、文学賞には全く興味はないし、読書もあまりしない。しかし、ヤマレコ日記で話題にもなっており、田中正彦著「新潟の道の無い山」を購入した影響か、私も「バリ山行」を手に取ってみた。
惜しむらくは六甲についての地形や地図が全くわかならいまま読んでしまったことだが、それでも楽しく読ませてもらった。
私は、読んだ本から作者の意図とか、そういうものを意識することはないものの、「バリ山行」を読んでみて、気になった言葉があったので、いくつか挙げてみたいと思う。
★「ポケットボーイ」「ピックステッキ」
これは初耳であった。どうやら「バリ山行」には、欠かせないアイテムらしい・・
★「妻鹿さんはこの先何を求めているのだろう・・・完全な自己満足。」・・・
バリを突き進む妻鹿に対し、戸惑う主人公波多が自己の心境を述べた部分である。これは「自己満足」を負の側面として捉えている。私も、つい言ってしまう。「そんなの自己満足でしょ!」と。
じゃあ「自己満足」と非難した者は、「自己満足」ではなく、何ならば満足するのであろうか?
それこそが他者の承認、すなわち飽くなき承認欲求、もしくは執着なのではないだろうか?
つきつめて考えれば、登山に限らず、本来の「自己満足」の境地なるものは、他者のフィルターを通さず、執着とは無縁なもの。本当に自分自身と向き合わないと達することなどできない永遠の課題の境地なのかもしれない。
自分を振り返って、「自己満足」と呼べるような山行の境地にはとても辿り着けそうもない。
★「バリはさ、ルートが合ってるかじゃないんだよ。行けるかどうかだよ。行けるところがルートなんだよ」
印象に残った妻鹿のセリフである。バリじゃなくとも山に対する向き合い方、いや、生きていく中で出会うあらゆる事象において、「答えがない」ものは多い。「本物の危機」(妻鹿の言葉)を前にして、動じることなく、自分自身で考え、その場でできる最大限の答えを自分なりに導き出して進む力こそが生きていく力なのかもしれない。一方で、妻鹿の言葉に老荘思想にも相通じるものを感じる自分もいる。
★「俺はヤマレコ」
ヤマレコユーザーにとっては、まさにキラーワード。それにしても、なぜ妻鹿は、他人に対し、あえて「俺はヤマレコ」と述べ、ヤマレコの記録をあえて公開していたのであろうか?まさか、作者の判官贔屓としてのリップサービスではないだろう。
妻鹿の山行に対する向かい方や生き方と、ヤマレコのログを公開する行為は、矛盾する挙動のような気がして、中盤からずっとモヤモヤしていた。
妻鹿の性格からすると、わざわざ登山アプリのために、プレミアムプランに加入するとは考え難い。おそらくフリープランで、非公開件数が上限の10件に到達し、仕方なく公開していたと考えれば合点がいくわけである。
しかし、波多との「バリ山行」を決行して以降、ヤマレコでは妻鹿の記録は見られなくなった。妻鹿はそうならなくてはならなかったのである。承認欲求と自己満足との狭間で揺れていた妻鹿が、波多とともにバリをしてみて、「ソロじゃなきゃ」・・と悟ったのかもしれない。
バリ山行は、執着からの解放。まさに自分自身との対話と自分自身の追求なのかもしれない。
そして、アカウントの削除、そして、この本の結末へつながったものと、私は考えています。
こんにちは😊
深い考察をレポートされてらっしゃいますね〜😳
私にもその文章力が欲しいわ…と、思いました😅
私も読了しましたが、「私、仕事も山行も妻鹿さんスタイルが好きだなぁ…」
今のところ、それくらいしか感想は浮かびません💦
拍手いただきありがとうございます😊
紅葉の日記もとても参考になりました!
445さんのポップな日記🤩、私には書きたいけど書けない。いつも直球ばかりで自分が嫌いになります!
それはさておき、445さんは、兵庫県なんですね😀
まさに「バリ山行」の地元でないですか〜〜
この本、波多さんに感情移入するか、妻鹿さんに感情移入するかで、感想も違ってくるような気がします。
いろいろ私も書きましたが、私が凡人名せいか、妻鹿さんの「本物の危機」には、どうも共感できなかったんですよね〜
そこまで自分を追い込まなくても・・・と。
こちらこそ返信をありがとうございます。
それに「ポップな日記」だなんて嬉しいです😃
自分では自分の文章からどのような雰囲気を漂わせているのか?わからないので感想教えていただけるのはとても嬉しいです😆
はい、六甲山はホームマウンテンですが、妻鹿さんの歩くコースは山の東側で私は西側がホームコースなのです。
妻鹿さんと波多さんが待ち合わせる芦屋川駅からのコースは多種多様なコースが「蜘蛛の巣」みたいに入り組んでいる場所になります。
把握するには中々難しい場所なのです💦
何度となく歩かないと妻鹿さんみたいには歩けないと思います。
その辺りの探究心みたいなものに私は惹かれました。
仕事は考え方が素晴らしいなぁ…と。
ただ私も「本物の危機」を山に求めたくないです😅
安心安全、怪我なく無理なしで自分の力量範囲内で十分でーす😅
「孤高の人」の加藤文太郎を育んだ山としても有名ですよね。
私は、大学生のころ、神戸の夜景をみるために、夜に車に乗せられて六甲山を歩いた経験しかないだけに、一度でもいいから、そんな歴史のある山を歩いてみたいです。
おはようございます😃
はい、「孤高の人」加藤文太郎氏の山であります😊
私のトレーニングコースには「文太郎道」と名付けられたコースもあります。
縦走路とは違ってザレザレの急登ですが、私はなんとなく好きな道なんです😊
六甲山は綺麗な夜景も魅力の一つですが、もしこちらまで足を運ばれ、ご興味あればお声がけください😊✨
早めに読んでみようと思います。
ボクの場合、またちょっと違ったスタンスです。
長くインターネットの世界の片隅で仕事をしてきたので、インターネットが相互に情報を交換し、より便利な世界を目指すという趣旨で整備されてきたことを知っているので、使いっぱなしをすることに違和感があるんですよね。
他人の情報は利用するけど、自分は情報提供しない。それはいわゆるフリーライダーですから。
なので、できるだけ分かりやすく載せたいと思っています。
先日の早池峰ピストンのレコなんて、たくさんあるけど、初心者を連れてこれくらいの時間がかかったということが分かるだけでも、初心者の人にはありがたいかもしれません。
まぁ、それで簡単に感じて事故につながるというのはまた別の話ですが。
バリエーションルートを載せるのはまた別の感覚です。
なんというか、仲間意識です。
会ったことのない同好の士に向かって載せています。
少ない情報を見つけたときの嬉しさは良く分かりますから。
お時間あれば読んでください。藪のkozouさんであれば、一般登山者とはまた違った感想をお持ちになるかもしれません。
ところで、私は、kozouさんの仰るとおり、フリーライダーの件は共感できます。しかし、一方で、他人に発見の喜びを奪ってしまうのではないか、という側面だったり、私自身も承認欲求があるので、そのあたりの折り合いをどうするのか・・など考えることが多いです。
ところで、早池峰ピストンの例は、とてもよくわかります。ヤマレコの記録はある意味、全体的にペースが速すぎて、他人の記録は初心者にとってなかなか参考にできない面があります。そういう面では、UIもさることながら、ヤマレコの「敷居が高い」という側面はヤマレコの記録の多様性を阻害している面があると実感しています。
>他人に発見の喜びを奪ってしまうのではないか、という側面だったり、私自身も承認欲求があるので、そのあたりの折り合いをどうするのか
レコを情報と捉えると、出す方も受け取る方も、目的が多岐にわたり、さらに無料ということで混乱しているんですよね。
長くなりそうなので、自分のところで書いてみたいと思います。
日記にインスパイアされました。
本物とか危機とかは心に沁みましたが、『自己満足』....。確かに、と思いました。
『自己満足≒自己実現』と捉えて考えたりしています。大袈裟に言うと生きざま、とか。もちろんその中身は人それぞれです。
周りの出来事に合わせたり、ちょっとしたことにおろおろするのも、周りから認められたいとかみんなと同じように人生を歩みたいという自己実現と捉えられるのかも。
メガさんは、本当にそれでいいのかい?と行動で問いかけ、主人公は自分は本当は何をしたいのか考え始めているように思いました。『行けるところがルート』も同様に改めて考えさせられました。舞台装置はかならずしも登山でなくていいでしょうが、作者がバリに設定した。
バリ山行の感想を読んだ感想です^_^
『オレはヤマレコ。(フリープランだけどね)』。いいですね〜!
失礼しました。
自己満足というのは、比較をするための否定的なニュアンスとして使われるので、物語には直接言葉が出てきませんでしたが、仰るとおり、「自己実現」だと私自身も考えました。
人は、「周りから認められたい」という思いと、純粋に自分を追求したいという二律背反の狭間で生きている。おそらく殆どの人がそこに悩みを持つのだと思っています。そこで本当の自分は何かを求めていく過程の物語なんだと思いました。
私は、「俺はヤマレコ」に釣られて、つい妻鹿さんに感情移入してしまったせいか、妻鹿の物語と思っていましたが、sheilasさんも仰るように、「本当にそれいいのかい?」と問いかけられる波多さんの物語というのが本来の筋なのだと、コメントを拝見して思いました。
こういうコメントでお話できるのは、様々な視点を発見することができます。ありがとうございます。
ありがとうございます
私も刺激をいただき、バリ山行をより楽しめました。感謝🥲
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