ある方の日記に「制覇」について言及しているものがあったので、私も自分のこととして、思うところを書いてみました。
よく山のピークハントや深田百名山などのピークコレクションが全部が集まったことに対して「制覇した」という表現があるが、私はこの言葉は使わない(というよりもこれまで山の「コレクション」は何1つ達成していない)。
この「制覇」ということばは、相手を打ち負かすなどして、覇権を握ることとされており、日常でもこれに近い意味として使われていると思われる。(そういう意味では、登山において「リベンジ」が事実上「リトライ」の意味で使われているのとは事情が異なる)
https://www.yamareco.com/modules/diary/302686-detail-265216
私が使わない(他人が使うか使わないかには関心が無い)のは、「制覇」という言葉に、自然に対する畏敬の念が欠けていると思われることももちろんあるが、私自身、山に登ったことで、このような「制覇」という感覚になったことがないからである。
ただし、登ることに苦労させられればさせられるほど、「制覇」という言葉を使いたくなる気持ちはなんとなく理解できる。「制覇」という言葉が出てくるのは、それだけその山・自然と真剣に向かいあったことの証しなのかもしれない。
ちなみに、私は、山登りが予測ができない自然を相手にするものであり、「心・技・体」において余裕をもった登りをすることを心がけているし、そうあるべきと考えている。そういう意味では、自分のスペックをオーバーしているような山(正確にはルートや季節)はそもそも歩かない。そういう登山をしている限り、「制覇」という感覚とは無縁であり続けるだろう。しかし、それは私の登山観であって、「心・技・体」のギリギリな所でこそ味わう登山こそ、その醍醐味を味わうことができるという人もいよう。
例えば、私は、会津朝日岳から会津駒ヶ岳の稜線である登山道のないいわゆる「南会津縦走路」を歩く夢を持っているが、この延々と繋がる藪道を歩ききったときは、こんな私でも「制覇」という言葉が出てくるかもしれない。ただ、山の場合の「制覇」を突き詰めて考えてみると、それは「山を支配下においた」というものではなく、過去のあらゆる自分の弱さを打ち負かしたという意味合いが強いと思う。なんとか苦労して登り切って思わず「制覇」という言葉がこぼれしてしまう登山は、私にとってはまさに憧れの世界である。
「制覇」について言及しているもの>です
問題提起させていただいた責任も感じつつ、投稿させていただきました。
肯定的、否定的と両面の御意見があり大変参考になっております。
特に後半にある、「制覇」という言葉がこぼれしてしまう登山>はなるほどと感嘆させられました!
こういうときの「制覇」は全く遜色なくむしろ心地よく受け止められると思います。
ようは、言葉なんてのは前後関係や心持ち一つ、で良くも悪くもなるというか、特にその人の山に真摯に向かっているか否かでその言葉の響きも変わって来てしまいますね。
自分も年に一度くらいチャレンジングな登山をしますが、昨年だと針ノ木サーキットがそれで累積標高差2000m以上、時間だと時計がゆうに一周以上で(日帰り)、そんな登山をするとかなり堪能するわけですが、それでも制覇したとは思わないですね・・というよりもうクタクタで「腹減った〜」「早く寝たい」と本能的な気持ちが先でしょうか
私も、Mr.ブロッケンさんのご投稿のおかげで、言葉を考える機会ができました。ありがとうございます。
こういう問題ってどれだけ、自分が使う言葉を真剣に考えているのかにかかってくる問題ですよね。私は、他人が「制覇」という言葉を使うことには、「関心が無い」と言いつつ、他人が「制覇」と言っている場面を見ると、正直違和感しかありません。要するに、言葉の使い方間違っているよ、と言うことと山を一面的に「登る」もしくは「集める」対象としてしか捉えて折らず、はっきり言って「山に失礼」だな!と。まあ、思うだけですけどね。
肯定否定の意見の分かれ目も、やはり「言葉」と山に対する真剣度の違いなんだと思います。まあ、人が好きで使っているのだから別に目くじら立てなくても、と思う方がいる一方、言葉の意味を真剣に考えると、やはり自然に対して失礼なんではないか?
私は、最後の下りで、「制覇」がこぼれる、と表現しましたが、これは、「制覇」と使いたくなる気持ちを善解したに過ぎないものです。私には、あまりにも遠い世界なので、想像でしかないのですが、やはり「制覇」は使わないと思います。
上記の時点では少々手探りの気持ちがありましたが、後半の・・・気持ちを善解したに過ぎない>をお聞きしてほぼほぼ賛同して頂けてると思いホッとしております
また上記のなかで他の論点を述べると広がりすぎるので抑えてましたが、「コレクター」的なニュアンスの「制覇」はもっと憤りを感じます。
たった一回の登頂をあたかも陣取りゲームの様な扱いで!それこそ一つ一つの山を冒涜していますよね!
てくてくてくさんなら言わずもがなですが、山々を愛していれば決して発せられることはない言葉と私は思っています。
美しく、尊く、そして恐ろしい それが山です
ありがとうございました。
山を知るほど、その奥深さを感じます。
まだまだ私は未熟ですが、山に対する「畏れ」の気持ちを忘れずに、
これからも山を歩きたいと思います。
コメントありがとうございました。
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