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そのクロユリの花を楽しんだのは、それから半世紀以上たった2019年8月白山に飛騨側の大白川から平瀬道を登った時であった。
ブナの美林を抜けて、やがて栂類も混じるダケカンバの林になると、目指す御前峰も見えてくる。標高差1500mの山道は、古希の身にはなかなか辛いものであったが、道々シモツケソウ、クルマユリ、ミヤマキンポウゲ、イブキトラノオ、ハクサンフウロ、ミヤマナデシコ、イワギキョウ、マツムシソウなどいろいろな花に巡り合い、一息つくのが気分転換になった。花に出会い、息を整えて写真を撮る一時、足の遅い者同士何度か顔を合わ、言葉を交わすことになる。
いよいよ、ハイマツ帯から室堂平に入るとコバイケイソウの原。そこにクロユリが咲き乱れていた。この時も、それまでに顔を合わせた登山者から一声かけられて、足元に咲くクロユリの花に気付いたのだった。
クロユリの花は下向きに咲くので、カメラを片手に這いつくばるようにしてロウアングルで写真を撮る。やれやれ念願の花をカメラに納めることができたと、身を起こしてほっとした気分に浸りながら辺りを見渡すと、驚いたことにそこら中にクロユリの花が咲き乱れているではないか。
「山道に黒百合の花さきみだれ一期一会の語らひ弾む」
室堂のビジターセンターまで来ると、あたりは大変な人出で、ちょっと怖気づいてしまった。おかげで、水場でおいしい水を飲みそこなったのは、今思っても残念至極なことである。
最後の踏ん張りと、やっとの思いで御前峰に立つ。学生時代、6月中旬残雪残る白山を福井県側から一人で2泊3日をかけて縦走した思い出が脳裏に蘇り、青春の山を思い感慨無量である。
(参考)
「白山〜初めての単独行〜」 ヤマレコ日記
https://www.yamareco.com/modules/diary/356744-detail-170083
「白山・平瀬道 〜ブナよし、花よし、景色よし〜」2019年8月3日
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1952972.html
(参考資料)
「石川県の郷土の花 クロユリ」
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/hakusan/kuroyuri/index.html
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