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海の小石の そのやうに、
夜が来るまで 沈んでる、
昼のお星は 目に見えぬ。
見えぬけれども あるんだよ、
見えぬものでも あるんだよ。
女流詩人、金子みすずの詩「星とタンポポ」の一節です。
1984年、この詩に初めて接したとき、大きな感動とともに亡き相棒を思い出しました。
見えぬもの、人智の及ばぬことの存在を示唆する深遠で美しい詩です。
相棒は今、何処にいて私を見ているのでしょうか。
真昼の明神岳の稜線直下のスラブで、相棒が突然星が見えると言い出し、澄み切った暗い藍色の空の一角を指し示しました。
私には見えなかったけれど、見えなくても確かに星はあります。
詩に誘発されて、そのときの事を思い出したのです。
相棒が亡くなって直ぐ後、「真昼の星」という原題のフランス山岳映画を観て、その時相棒の見た真昼の星が真実であったことを知りました。
相棒は星を見た後、最後の1ピッチのためにハーケンを打ち込みました。
私はそれを回収することなく稜線に立ちました。
ハーケンは黒いスラブの水平の割れ目に、しっかりと打ち込まれていました。
数千年、数万年の時の流れの中で、あの黒いスラブは静かに風化してゆくでしょう。
だが、あの相棒のハーケンは、三葉虫の化石のように、彼の痕跡を残すでしょうか。ainakaren
(注)フランス山岳映画「真昼の星」は日本題名「アルピニスト岩壁に登る」として1960年代初頭に公開されました。
http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-13140
(参考)金子みすず詩集
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Hemingway/5778/
私もその詩好きです。とても簡単な言葉だけど深い思いが感じられます。
araigengaさん・こんばんは。
そうなんです。
やさしい言葉で深遠な心と強い信念を感じますね。
薄幸のまま若くして亡くなりましたが珠玉のような多くの詩を残しました。
どれも優しく深い詩です。ainakaren
ainakarenさん、はじめまして。
美しい詩、ありがとうございます。
若い時はそんなことなかったのですが、最近こういう言葉がスーっと心に入ってくるようになってきました。
tattunさん・こんばんは。
串田孫一氏の本をお読みのようなので、詩がお好きな方とお見受けします。
詩はまっすぐな言葉なので、自分が素直になっているときにスッと心に入ります。
人生の色々な局面で確かに詩に対する感性は変わりますね。
私もそうでした。
以前は作者の気取りに思えた詩も、今ではすんなりと解ります。
歳のせいだけではないと思いますよ。ainakaren
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