![]() |
アメリカとフランス、国もテーマも違うけれど、ある意味でいい時代の文化的産物だったと思う。
遅れて日本は安保闘争の渦中にあり騒然としていて、自分自身はそうした騒ぎから離れ、真摯に山に対峙していた。
翌1960年、その騒然たる状況はクライマックスに達し、社会党浅沼委員長が暗殺され、安保闘争の乱闘で女子大生、樺美智子さんが死亡する。
騒然は山岳界に飛び火し、大きな遭難事故が次々と多発して、その秋ついに前代未聞の谷川岳ザイル銃撃事件が発生する。
大事件が次々と起こる騒然の中で、自分は大切なザイルパートナーを亡くした。
5月の連休中だった。
あれから50年もの月日が、無為のまま過ぎ去ってしまった。
映画『真夏の夜のジャズ』は1958年夏のアメリカ、ニューポート JAZZ フェスティバルの様子を記録したジャズファン必見の作品。
それぞれのミュージシャンの日常の素描と舞台、そして観客を何気なく記録し、その一齣一齣が感動を呼び起こす。
勿論、演奏も素晴らしいの一語に尽きる。
日本が騒然の中にあるとき、欧米は文化的ないい時代を謳歌していた。
映画『アルピニスト岩壁に登る』はフランス山岳界の著名アルピニスト達が岩壁を登る姿を記録した作品。
リオネル・テリイ、 ルネ・デメゾンなどが出演。
過去を回想しながら、ひたすら岩壁を登攀する彼らの姿を記録する。
部分的に挿入される回想シーンも彼ら自身が演じる、美しく感動的な作品。
彼らの吐息、ザイルの摺れる音、カラビナの音、ハーケンが打たれて唄う音、そしてフランス語の独白ナレーションのイントネーション、その何れもが音楽のように美しい。
その独白に、「晴れて澄み切ったアルプスでは、暗い藍色の空に真昼の星が見える」、というのがあった。
その字幕を読んだ瞬間に、亡くしたザイルパートナーを思い出した。
彼が北アで登攀中に突然、星が見えると言い出したことがある。
確かに、よく晴れて藍色の空だった。
視力1.2の自分には、指差されても見えなかった。
彼は視力を自慢にしていたから、彼流のハッタリだと思っていた。
映画から帰って直ぐに調べると、高山では条件がよければ真昼に星が見えることを知った。
あの時の真昼の星は真実だったのだ。
真昼の星〜、それは既に自分には見ることのない星だ。ainakaren
*「金子みすず」と真昼の星 http://www.yamareco.com/modules/diary/8042-detail-15761
あいなかさんこんにちは
邦題の「アルピニスト岩壁に登る」は身もふたもないタイトルですが、その映画の原題はズバリ「真昼の星」
Les Etoiles de Midi(レ・ゼトワール・ドゥ・ミディ)です。
リオネル・テレイが出ていた、いい雰囲気の映画でしたよね。僕はもちろん同時代ではありませんが、山岳映像の先駆けものとして、今見ても新発見の多いフィルムだと思います。
yoneyamaさん・コメント深謝です。
そうですか!
フランス語に不明で今までその原題に気付きませんでした。
美しいフランス語のナレーションを聴きながら、字幕の文字に真昼の星とあるのを見て、その時相棒と星の話を思い出したのです。
少なくとも現在より大気が綺麗だった当時、快晴の3000米の稜線近くから、藍色の暗い空に相棒は確かに真昼の星を見ていたのです。
もう一度観たい映画です。
DVDなどのソフトはあるのでしょか? 相仲
どうもDVDなどは無いようですね。当時朋文堂から出た本を以前古本屋で買い求めました。200円。
http://www.yamareco.com/modules/xsns/image.php?f=t4ca9d9e1cf4960.jpg
この映画は以前、山の店主催の上映会かなにかで見た覚えがありました。便利な時代ですが、ないものもありますね。
yoneyamaさん・お早う御座います。
情報、有難う御座います。
DVDなどのソフトが無いことが不思議になるほどいい映画でしたね。
残念です。
本が出ていた事、知りませんでした。
ハングの乗っ越しにかかっているのはリオネル・テリイでしょうか。
格好がいいですね。
自分のヘッピリ腰が恥ずかしくなります。相仲
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する