天幕の設営を終え、装備の点検が済めばすることもなく、夕食の支度にもまだ早い。
河童橋から遠くはないのに予想以上の時間が掛かり、これから偵察に出るには遅すぎる。
ひょうたん池付近には全く人の気配がなく、キャンプが可能な小さな平地に天幕は一つだけだ。
僅かな踏み跡を辿る嶮しい悪路は所々夏草に隠され、私達を疲れさせた。
フッと気が遠くなるような眠気が瞬間的に襲ってくる。
私も相棒も、疲れて口数少ないまま前穂高明神の三本槍の方角を見上げ、ぼんやりと時は過ぎてゆく。
私が眠気覚ましのパイプに火を点けると、相棒も煙草を一本取り出して火を点ける。
「この調子だと、明日の天気は最高だな」
「2,3日間は間違いないよ」
「今夜の予報、聴いとこう」
「電池、まだ大丈夫?」
「うん、大丈夫だ」
煙草を燻らす相棒の横顔には不精鬚が目立っている。
私は天幕からザイル袋を持ち出し、それを枕に石の上に横になる。
繰り返す瞬間的な眠気が却って心地よく、悠久の時は静かに流れる。
〜在りし日のひょうたん池の畔にて〜 ainakaren
ainakarenさん、こんばんわ。
ここ迄のと、この後が知りたいです。
daikokuさん、こんばんは。
ここまでと、この後があって、連続していて写真があれば山行記録ですね。
日記では断片的な情景を書きます。
河童橋は夜明け頃〜明神橋を梓川右岸に渡り、宮川谷を登りはじめると道はかすかな踏み跡で2度目の相棒も何度か間違え、正しく枝沢に入って藪漕ぎの急な登りを続け岩壁下を左にトラバースしてガラガラの草原を登りきると、凄く小さな細長いひょうたん池。
池のすぐ上の狭い平地にテント設営を終えると午後3時を過ぎて(ここまで)。
(この後)夕食、就寝、翌日は雲ひとつない快晴、テントを撤収して東稜を登攀、明神主峰から前穂、奥穂高、ザイテン下り涸沢にテント設営。
(ここまで)と(この後)の情景も断続的に日記に書きたいし、既に書いたこともあります。
印象に残った情景だけしか書けません。
記録ではなく心象風景として読んで頂ければ幸いです。
昔、私はパイプ愛煙家でした。
ラジオはサブミニチュア真空管式で低圧のA電池と高圧のB電池が必要で電池は4時間くらいしか保ちませんでした。
定時のニュースと気象状況だけを聴くのに使いました。
昔の事です。ainakaren
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