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最初の一通は、親しき友人の御家族からだった。
最近、一年以上も連絡が無く、メールしても「アドレスに該当ユーザー無し」で戻されていた。
通知には永眠とだけ書かれていたが、人間八十才を過ぎれば何があっても不思議は無い。
明日は我が身と静かに受け止めている。
若い頃の彼は文学青年だったが老いてはパソコンに親しみ、私の自堕落隠居生活にパソコンで喝を入れてくれた恩人だった。
呆け防止には、パソコン弄りが一番効果的と熱心に勧めてくれたのである。
登山は趣味ではなかったが、横浜近郊の丘陵歩きに三度ほど付き合ってくれた。
二人とも呑ん兵衛だから、歩いた後は赤提灯で呑談会となる。
天園休憩所の、うどん入りおでんとワンカップ大関で小腹を満たし下山したある日、お目当ての居酒屋が開店前だった。
すぐ横並びのカラオケ店で、歌いながら開店待ちをすることになった。
音楽趣味の一致点は演歌だったが、そのとき初めて彼の歌を聴くことになった。
彼は満面の笑みを浮かべながら「与作」を歌った。
歌詞を味わうが如くに小節を効かせ、噛み締めるように歌っていた。ainakaren
*「与作」北島三郎
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