花見平→雲ノ平(新穂高温泉から折立)


- GPS
- 88:15
- 距離
- 43.9km
- 登り
- 3,177m
- 下り
- 2,924m
コースタイム
新穂高温泉17:10→18:18わさび平小屋
7/28
わさび平小屋5:01→8:07鏡平山荘8:27→9:43弓折乗越9:56→11:15双六小屋
7/29
双六小屋5:11→6:31双六岳6:51→三俣蓮華岳8:12→9:17三俣山荘9:47→黒部川源流地標10:20→12:28雲ノ平キャンプ場
7/30
雲ノ平キャンプ場4:54→5:33祖母岳6:13→木道末端7:14→9:30薬師沢小屋9:52→薬師沢左俣出合10:56→12:26太郎平小屋13:00→13:21薬師峠キャンプ場
7/31
薬師峠キャンプ場5:10→5:29太郎平小屋6:03→三角点8:07→9:25折立登山口
天候 | 7/27 晴れ時々曇り 7/28 晴れ時々曇り 7/29 曇り時々晴れ 7/30 晴れ 7/31 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:富山地方鉄道の折立バス停→JR北陸本線の富山駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
双六小屋から稜線沿いに双六岳へ行く道は雪渓を直登するため、中道を進んでから春道を登るように指示があった。 |
写真
感想
テント泊縦走はしたいけど、延々と稜線を歩きっぱなしなのも飽きそうだなあと思い、雲ノ平へ行ってみることにした。この山の頂に立つ、のような特定のピークを目指すわけではない山旅もたまにはいいだろう。
7/27
移動日。わさび平小屋までならそんなに時間はかからないであろうと夕方に新穂高ロープウェイへ到着するものの、平湯温泉のバスターミナルのベンチにプラティパスを置いてくるという大ポカをやらかしてしまう。電話して次のバスで送ってもらえて本当によかった。おかげでわさび平小屋へ到着した頃は薄暗くなっていた。夜中にほんの少しだけ雨がぱらついた。3シーズン用のシュラフでは暑くて寝苦しかった。涼しさを求めて山に来ているのに、下界と変わらないのは滑稽だ。
7/28
実質的に縦走初日なので出だしはゆっくり歩いた。林道を抜けて、見晴らしがよくなると山道だ。登っている最中は振り返ると西穂高方面がよく見えたが、高度を上げて鏡平山荘付近へ近づくとすっかりもやってしまった。鏡池の逆さ槍を期待していたが、残念ながら何も見えなかった。山荘ではイチゴかき氷を注文。非常食として持っている練乳チューブを開封しようかちょっと悩んでしまった。この頃、少しぱらついたように感じたので、念のためにザックカバーをかけておいた。
しかし山荘を出発して20分ほど登っていくと、晴れ間が見え始め、展望もよくなり槍ヶ岳が見えてきた。この時に鏡池にいればよかったのにと後悔。出発を30分遅くしたほうがよかったなんて、予想できない。見通しがよくなり弓折乗越までへの道はアルプスへ来たぞと思わせるような見事な道であった。ちょうど高山植物のお花の時期だったのか、ところどころに咲いている花が目を楽しませてくれた。
弓折乗越を越えていくと、双六岳の巨大な山塊が見え始める。さらに奥には立派な鷲羽岳も見えた。花見平と呼ばれるところでは本当に一面の花で、この時期に来てよかったとつくづく思った。
双六小屋のキャンプ場が見えてからもかなり歩いた。久しぶりのテント装備だからであろうか、体が重量に慣れておらず、右肩がやや痛くなりだした。それでもなんとかキャンプ場に着けた。風の通り道にあるようなテント場で設営にはやや苦労した。設営してから小屋で食べたカレーは最高においしかった。ここから鷲羽岳はよく見えた。すごく大きな山だ。日没あたりから雨がかなり降り始め、遠くには雷鳴が聞こえた。久々の雨中のテントだったが、夜中にトイレに起きたときはすっかりやんでいて星がすごくきれいであった。
7/29
昨晩の雨でフライシートが濡れてしまった。タオルで拭いて絞るを繰り返しても限界があるわけで、やや湿ったシートをザック内に入れることになった。昨日の疲れはやや残っていたので、歩き始めはかなりゆっくりであった。稜線沿いに双六岳を目指すつもりだったが、中道を進んで春道を登るように指示されていたのでその通りにした。相変わらずお花はそこらじゅうに咲いている。稜線に出るとほとんど平らと言ってもいい見事な大地が広がっていた。天気がややガス気味なのが残念だった。双六岳山頂へ着いても槍穂のあたりは全く見えたなかった。黒部五郎や三俣蓮華がかろうじてうっすら見えた程度出会った。ここからの下山路にはライチョウ多しと書かれていたので期待してみたが、残念ながら会えなかった。
富山側からの強い風を受けながら三俣蓮華岳へ登頂したもののガスで何も見えず。じっとしていても寒いだけなのでさっさと下る。ここからの下山道のお花畑もすごくよかった。三俣蓮華のキャンプ場が見え始めてから振り返ってみると、三俣蓮華岳の山頂まではっきり見ることができた。またもや早い行動が裏目となってしまった形だ。途中で道を間違えて雪渓を踏み抜いてズボンを汚してしまった。情けない。予定にはなかったが、最近ドラマでモデルになったということで三俣蓮華の小屋でカレーを食べることにした。ここのカレーはラッキョウ付きでとても辛かった。
いよいよ雲ノ平へ向けて出発である。まずは黒部川の源流と呼ばれる場所へ向かって下る。道には雪解け水も混じって沢のようになっている箇所もあったが、基本的に水のそばを通るのでとても気持ちがよい場所である。こんな標高が高いところにこのような場所があるのは驚きでもある。やがてテントでも張りたくなるような場所が現れると、そこに黒部川源流の案内がしてあった。ロープを頼りに沢を越えると、今度は雲ノ平へ向かっての急登である。急登そのものは好きなので、ぐいぐい登っていくのは面白かった。振り返ってみると先ほどまでいた三俣蓮華の小屋もよく見えた。
急登が終わると雪のそばをゆったりと歩く道へと変わった。鳥のさえずり声も聞こえ、まさに気分は別天地と行ったところだ。チングルマはところどころで咲いていた。雪を越え、木道が出てくると、遠くに大きな草原が見えた。ちょうどお日様も当たりはじめ、雲ノ平の山荘もはっきりとわかってきた。すごい。高原を間近で見下ろすなんて。祖父岳への分岐を右に分けて進むと、テント場がすぐそこに見えてきた。このまま下れば到着かと思いきや、直接テント場へ行く道は植生保護のため立入禁止になっており、迂回路を進むことになった。
目の前に水晶岳がでんと立っている迂回路を進んでいる最中に事件は起こった。デジカメを収納する際に、手がすべってしまい、崖下に落っことしてしまったのだ。幸いに5mぐらいで止まってくれたので、取りに行くことにした。幸いにも落としたのを見ていたご夫婦がいたので、見ていてもらうようにお願いして、下っていった。明らかに登山道ではない道は崩れやすく脆かったが、なんとか下って回収することができた。登山道への復帰は手がかり足がかりのある岩を登ってなんとかなった。何事もなくよかった。
とんだ事件があったが、なんとか雲ノ平のキャンプ場へ着いた。広い場所ではあるが、うまく設営できるような適地はそんなに多くなかった。それなりの場所を見つけて何とか設営できた。太陽が出てると真昼のテントの中はサウナに近いので、散策へと出かけた。午後の太陽は水晶岳や赤牛岳をきれいに見せてくれた。午後のもくもくした雲と雲ノ平の緑は非常に絵になった。祖母岳に登る。アルプス庭園と言うだけあって、周りは高くて大きな山ばかりだ。ここでしばらく景色を眺めていると、遠くに槍ヶ岳までもが見えてしまった。この日は朝から槍ヶ岳の展望地と呼ばれているところを通っていたわけであるが、その時は何も見えなかった。今ようやく見えるというのは何とも滑稽である。ここでの展望があまりにも気に入ったので、明日の朝食はここで食べることにした。狭いテントの中、ヘッドランプの明かりで食べるラーメンよりも大展望の方がいいに決まっている。
あちこち散策をしていたらすっかり夕方になってしまった。そしてすっかり厚い雲にも覆われ始めた。ポツポツと雨が降ったりやんだり。雨が降っていないわずかな間を使って夕食とした。食べ終わって少しのんびりしていると、あちらこちらで落雷が始まり、前日と同じぐらい激しく降り始めた。面白いのは雷である。高い山に囲まれているからか、四方八方に落ちているのである。先ほどまではあちらで落ちたかと思いきや、またこちら側に落ちたりと、非常にゴロゴロの時間が長かった。
7/30
再び濡れたフライシートを拭く。この日も晴れそうなので、フライシートはザックに外付けして乾かすことにした。軽く行動食を食べて祖母岳へ。四方の山はすっきりしており、とても気持ちがよい。前の日はよく分からなかったが、北の方に見えているのは立山であった。やがて水晶岳の上から太陽が登ってきて雲ノ平一帯に朝日が差し込むのをラーメンを食べながら眺めていた。こんな景色を一人占めするのもいい。
昨晩の雨で濡れた草木が太陽の光を浴びで光る中を薬師沢を向いて下る。丈の大きい針葉樹に囲まれてくるとまさに秘境と呼ぶにふさわしい場所になってくる。ここで片方のストックのストラップが切れてしまう。手首にひっかけてキープすることができなくなってしまった。木道末端を越え、下り始めると、はじめは木の根が多い歩きにくい道であったが、大きな岩がゴロゴロ急坂に現れてくると世界が一変する。楽園から地獄に落ちたのかと思うぐらいの厳しい下り坂だ。昨晩の雨のせいか岩が濡れており、非常に滑りやすかった。ストックがあった方がいいと思えるところもあれば、明らかに邪魔なところもあって、どちらとも言いがたい。何度かスリップしながら、何とか薬師沢小屋に着いた時は山に登ったわけでもないのに達成感はあった。コースタイムでは1:30ほどの下り道であったが、2:30以上はかかった。薬師沢から雲ノ平へ向かって登る分には構わないが、下るのは二度と計画すまいと思った。それだけ大変な道であった。
薬師沢小屋でしばらく休み、太郎平へ出発する。カベッケヶ原のあたりも雲ノ平のように別天地を思わせる光景であった。ニッコウキスゲもちょうどよく咲いていた。木道をゆったりと進み、3度渡渉し、太郎平へ向けて登りだした。階段と急登で高度を稼ぐ感じの道であった。振り返ってみると、雲ノ平方面がよく見えた。なだらかな山の稜線であり、あんなに素晴らしい高原が広がっているとは思えなかった。稜線近くなり太郎平小屋も見えてきて、もうこのまま進むだけかと思いきや、最後に沢を渡る道があるのには驚いた。太郎平小屋の前も見事なお花畑であった。
太郎平小屋へカレーを食べ小休止をして、テント場へ向かった。ザックを降ろして設営場所を探してうろうろしていたら、なぜか管理人と間違われてしまい、お金を渡されそうになった。テントを設営したらゴロンと横になった。さすがにこの日は散策する元気はなかった。歩いた時間はそれほどでもないのだが、薬師沢への下りが強烈すぎた。風の強いテント場であったが、この日の夜は満月に近い月がまぶしいくらいの晴れた夜であった。
7/31
いよいよ下山の日。太郎平小屋の前の方が景色はよさそうだからと、テントを撤収して小屋前で朝ごはんとした。小屋に行くまでに富山の街や白山がはっきりと見えたので、気分はすごくよかった。雲ノ平の大地の名残を惜しんで折立へ向かって下った。大きな石があるものの見通しがよい気持ちのよい下り坂だった。北側の展望がひらけ、立山、剱岳方面がはっきりと見えた。弥陀ヶ原の巨大な大地がわかった時はさらに嬉しかった。
三角点からはやや下りにくくはなったものの、薬師沢へ下ることを思ったら、なんてことない道であった。よく見慣れた土の道になるとますます下りやすくなった。やがて車が見え始めると、折立の登山口まではすぐであった。汗を拭いて着替え、富山駅行きのバスに乗り、縦走は終わった。
夜こそ雨が降ることはあったが、レインウェアは1度も着ずにすみ、いいお天気に恵まれたと言えよう。7月下旬のお花畑は初めてであったが、いいものだ。アルプスに行くならやはりこの時期だなあと思ってしまった。
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