大雪山旭岳〜トムラウシ大縦走(沼ノ原寄り道つき)


- GPS
- 152:00
- 距離
- 60.4km
- 登り
- 3,175m
- 下り
- 4,110m
コースタイム
【7月18日】8:00裏旭キャンプ指定地発〜休憩と撮影を繰り返しながら前進(9:10間宮岳着)〜10:00北海岳着/10:40発〜11:35白雲岳キャンプ指定地着(泊)
【7月19日】3:15白雲岳キャンプ指定地発〜3:45白雲分岐着〜撮影小休止を繰り返し〜4:30白雲岳頂上着/5:30発〜撮影小休止を繰り返し〜7:15白雲岳キャンプ指定地着。撤収ののち7:50発〜9:15温泉分岐通過〜10:05高根ヶ原の途中でコマクサ撮影のため休憩/10:30発〜11:25忠別沼着/11:40発〜12:30忠別岳頂上着/12:50発〜14:00避難小屋分岐着〜14:15忠別岳避難小屋キャンプ指定地着(泊)
【7月20日】6:00忠別岳避難小屋キャンプ指定地発〜7:15五色岳着/7:45発〜8:50トムラウシとお花畑の組み合わせが最も素晴らしいところで休憩/9:20発〜11:15五色の水場手前の超ぬかるみ急坂の上〜11:30五色の水場着/12:00発〜12:20沼ノ原に出る〜12:40沼ノ原大沼キャンプ指定地着(泊)
【7月21日】6:40沼ノ原大沼キャンプ指定地発〜7:15五色の水場着/7:30発〜7:45超ぬかるみ急坂突破/7:50発〜8:30雪渓の手前の沢で休憩/8:45発〜9:30大雪渓を登り切ったところで休憩/10:00発〜11:15五色岳頂上着/11:30発〜(20分ごとに10分休憩)〜12:50化雲岳頂上着/13:30発〜14:00ヒサゴ沼キャンプ指定地着(泊)
【7月22日】6:10ヒサゴ沼キャンプ指定地発〜7:10縦走路合流後少々歩いて構造土地形スポットで休憩/7:50発〜7:55岩石庭園で休憩/7:55発〜8:15天沼着/8:20発〜8:50岩石庭園を見下ろす場所で休憩/9:10発〜9:55岩だらけの急登を登り終えて休憩/10:05発〜10:20トムラウシ北沼着/10:30発〜写真を撮りながら進む〜11:00トムラウシ南沼キャンプ指定地着。設営・昼食後12:30発〜12:50トムラウシ頂上着/14:40発〜15:05テン場に戻る。(泊)
【7月23日】4:30トムラウシ南沼キャンプ指定地発〜4:50トムラウシ頂上着/5:20発〜5:40テン場に戻り撤収/6:10発〜6:45トムラウシ公園着/6:50発〜7:20前トム平着/7:35発〜8:05雪渓上部着/8:10発〜(途中10分休憩を3回入れる)〜10:15カムイ天上着/10:25発〜10:55駐車場分岐着/11:00発〜12:20トムラウシ温泉東大雪荘着。(終了・泊)
天候 | 7月17日 曇りのち風雨、夕方晴れ。 7月18日 快晴のち土砂降り 7月19日 快晴のち風雨、午後遅く晴れ 7月20日 快晴 7月21日 快晴 7月22日 晴れときどき曇り 7月23日 快晴 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
下山……トムラウシ温泉から新得駅まで夏期登山バス。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●姿見〜旭岳……ここはさすが、かつてSOS道迷い事件が起きたルートであるだけに、霧や風雨でホワイトアウトに近くなると稜線上で迷いそうになります。とくに、事件における運命の分かれ目になった金庫岩付近で見通しが最も悪くなり、まさか自分も?という悪夢が脳裏をよぎりました。幸い、事件の教訓をもとにロープが設置されていますので、それを越えずに用心して歩けば何とかなるでしょう。 ●旭岳〜裏旭キャンプ指定地……残雪期には雪渓の下りとなりますが、強く蹴り込めばアイゼン無しでも特に危険は感じませんでした。 ●北海岳前後の稜線歩き……とにかく強風にさらされた記憶が。そんな中、黒岳方面からやって来た超軽装(ほとんど下界観光の服装!)の若いコと遭遇し、他の登山者と「気候が急変したら絶対に遭難だよな……」と心配したものです。実際、その後好天から土砂降りに変わり……。ニュースにはならなかったので、無事に姿見か黒岳に着いたものと思われますが。 ●高根ヶ原……平坦地でホワイトアウト寸前となってしまったのみならず、ヒグマ多発地帯である高原沼の真上であるだけに、単独行では非常に心細いものがありましたが、何とかトレースを見失わず、遠くから迫って来る鈴の音を逃さないようにすれば、特に問題なく通過できるものと思います。 ●忠別岳〜五色岳周辺……ハイマツ漕ぎが結構大変。ザックにサイドポケットを装着して横幅が広がっていたため、なおさら難儀しました。ここを通るならば荷物は縦長にするのが吉。 ●五色ヶ原〜沼ノ原……五色ヶ原上部はさておき、途中からクチャンベツ川の源頭部に沿って歩くようになると緩んだ雪渓やぬかるみが増え、足場に苦労しました。とくに五色の水場の上、標高差100mほどの区間は、究極のドロドロ急坂状態……。軍手を装着して笹につかまり、何とか強行突破。今では五色ヶ原周辺は木道が整備されているようですが、五色の水場周辺の極悪路ぶりは相変わらずのようですので、覚悟が必要でしょう。 ●沼ノ原キャンプ指定地……融雪水が多い年は、キャンプ指定地=沼の岸辺そのものが水没するようです。また、私が訪れた1997年の時点では、前年の登山シーズンに数名がここでの宿泊中にヒグマに襲われて亡くなられたとのことで、キャンプ禁止となっていました。実際、沼ノ原の高層湿原には、ところどころに丸く巨大な足跡が……(@o@)。道民登山者はこの事件について、ニュースで大々的に報道されたために全員知っており、決してテントを張らず恐れているとのことで、結局のところ当日テントを張っていたのは全員、事前に何も知らない道外の登山者 (汗)。今ではネットというものがありますので、出発前に検索のうえ確認されるのが良いかと存じます。 ●ヒサゴ沼へのルート……化雲岳側から行くにしても、トムラウシ側から行くにしても、結構長い距離 (?) の急勾配雪渓を歩きますので、アイゼンとサングラスがあると吉でしょう。強烈な日射しの午後は目がやられまくりでしたし、登りも下りも結構高度感がありコワイです。 ●天沼〜トムラウシ北沼……隙間だらけのゴロゴロ岩に、半ばしがみつきながらの登りですので、結構体力を消耗しました。また、霧の際にペンキの印を見落とすと、明確な踏み跡がないため(岩を靴がこすった跡がある程度?)非常に迷い易いという印象です。トムラウシでのツアー登山大量遭難も、ここで体力を消耗したのが要因として大きいのでは……? ●トムラウシ〜トムラウシ温泉……非常に長く険しい下りで、滑りやすい場所も多々あり、1週間の縦走の最後にここを歩くのは心底難行苦行でした。しかも、ぬかるみ気味の下りでイイ加減足がボロボロになったところに、カムイ天上までのダラダラ登りが現れ、駐車場分岐を過ぎると猛烈な下降……。最後、林道に出たところで疲れ果てて倒れそうな気分でした (笑)。ここを無事に下りきるということを念頭に置いた、用意周到な体力づくりやプランニングが大事なのではと存じます。 ●トムラウシ温泉・東大雪荘……訪問時には一般客部屋とは別に、登山客用の雑魚寝部屋があり、そこにたまたま空きがあったため、1泊して最高にリラックス出来ました(空きがなければ午後のバスで新得に出るつもりでした)。風呂も良ければ山の幸も良し(とにかく1週間も単独行者をやったあとは何事も極楽のように思えてしまうためですが)。到着後最初にレストラン(非宿泊客もOK)で食べたハンバーグカレーの美味さは、多分死ぬまで忘れません (笑)。 ●避難小屋・キャンプ指定地事情……総じてハイシーズンは非常に混み合うようで、完全にキャパシティを超えた避難小屋では極めて険悪な雰囲気であったほか(ヒサゴ沼で、用足しのため避難小屋入口前を通ったところ、BBAが「そこの人、ドア閉めて!」と喧嘩腰で叫んできやがりました -_-)、白雲・忠別・ヒサゴでは、テントを貼る場所が限界ギリギリでした。時間の使い方として贅沢すぎるかも知れませんが、昼過ぎ (14時頃までに)到着というプランニングにすれば、総じて余裕で場所を確保出来るという印象です。最近はどんなものでしょうか? もっとも、良い場所を確保出来たとしても、後から隣に中高年軍団の宴会テントが張られてしまうと「何とかならんのか」状態で最高に不愉快だという……。 |
写真
ここを通過後は雪渓の急登(右上に登る行列が見えます)。アイゼン無しではかなりヤバ目……。
装備
個人装備 |
ヘッドランプ 1
予備電池 2
ガイド地図 1
筆記具 1
ナイフ 1
ティッシュ 2 トイレットペーパー
バンドエイド 1
雨具 1
防寒着 1
ストック 1
シュラフ 1
シュラフカバー 1
ザックカバー 1
クマよけ鈴 1 これが無いと死ぬかも
時計 2
軍手 1 笹の根につかまるところもあり
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共同装備 |
テント 1
テントマット 1
コンロ 1
ガスカートリッジ 3
コッヘル(鍋) 2
ラジオ 1
カメラ 3
ポリタンク 1
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感想
ヤマレコの魅力として、コース&高低差リアル表示がありますが、そこで個人的な登山歴の中でも最も感動的な山行の記録(傍から見ればヘタレの極みでしょうが……)をヤマレコ・フォーマットで再現したいと思いまして、大変恐縮ながら16年前の記録をアップさせて頂きます。内容の一部は今日でも通用するでしょうが、とくにルート・テン場の状況やクマの出没状況などは流動的かと存じますので、あくまで昔の記録と割り切ってご笑覧頂けますと幸いです m(_ _)m
なお全ての写真は、デジカメが無い時代の記録ですので、リバーサルフィルム(スライド用フィルム)で撮影し、ライトボックス上に置いたフィルムをマクロレンズで撮影しデジタル化するという超安直お手軽スキャンをしております (^^;)。
さて、日本に生まれて山を始めた人間なら誰でも、写真を見て「是非行きたい」と思う名山があるでしょうが、私の場合は……尖った山は運動神経が追いつかず恐ろしいため (苦笑)、どれほど縦走が辛くともどっしりと雄大な山に憧れてしまいます。そこに残雪と緑と美しい花が同時にあればなお良し。そこで、大雪山=ヌタクカムウシュペは、当然のように憧れた次第です。しかし、90年代は貧乏大学院生をやっていた私にとって、北海道は遠い……。
ところが何と、北海道大学で開催されるシンポジウムの内容を速記してまとめるバイトをせよという有り難い話が転がり込んで来ましたので、生まれて初めての北海道上陸のついでに、念願の大雪山縦走を敢行しようと決意したのでした。しかし……大雪山の避難小屋はキャパシティが極めて限られているため、さぞかし人口密度が高く不快に違いない……。そこで、生まれて初めてのテント持参山行を、よりにもよって最も寒冷でハードな場所で敢行するという、何とも若気の至りな決断をもしたのでありました (笑)。しかも、個人的な山屋活動は基本的に単独行中心ですので、この大雪山縦走は当然のように単独行です。
というわけで、余りにも無茶苦茶な話かも知れませんが、事前に『ヤマケイ登山学校・単独登山/春山/冬山』などを熟読玩味したうえで、しかるべき準備と心構えを整えて、いざ出陣! 「人生たまには、このような活きるか死ぬかの冒険が必要なのだ! 徹底的に自己責任の単独行者として前進し続けることによって、全身全霊で大自然と向き合い、不撓不屈・刻苦奮闘の革命精神(何それ?^^;)を錬成するのだ!」……ということです。
えーと……でも……やっぱりコワかったっす。クマとキツネが (^_^;)。鈴を鳴らさなければ気分が休まりませんでしたし、悪路をはるばる下って沼ノ原に着いてみたら「クマ殺人事件多発により設営禁止!」という告知に思わず足がガクガク震えました (@o@)。とはいえ……「まぁどうせモテない貧乏大学院生、下手すりゃ死ぬのも運命ってものよ! 以前バックパッカーとして旅したチベットの5300m近い峠道でも、かなりヤバ目な高山病で死ぬかと思ったしな。フハハハ……と開き直って、疲れでバタンと寝てしまった次第です (何という親不孝な!)。それでも、やっぱり生きているときには生きているということを、改めて目覚めてみると確認できるわけで、だからこそなおさら今こうして生きており、山に登ることも出来ればネットで書き散らすことも出来るということを、天・神・仏・親に感謝しなければ……という殊勝な気分になるというものです。まぁ、世界各地にあるいろいろなアブナイ通過儀礼というものも、このような認識を若造に叩き込むためにやっているのでしょうか?!
現実的に一番の脅威であったのはキタキツネでしょうか。第一夜の深夜、テントを何度も猛クラッシュしてきたのは心底恐怖でしたし、忠別のテン場ではテントの外張りを破られてしまいました (TT……クマかも知れませんが @_@)。人間が残飯の臭いを僅かでも漂わせてしまうことがこうした結果を招いているということで、とにかく猛省です。
エキノコックスにつきましては……なるべく煮沸に努めましたが、とにかく暑くて疲れたときにはそこまで気にしていられません (爆)。というわけで、五色の水場では……氷水並みに冷たいことからストレートでガブ飲みし、その水でスポーツドリンクの粉を溶かしたりしましたが、今日まで16年間全くエキノコックスを発症しておりません。
一週間の山行で何よりも素晴らしかったのは、まさに岩と雪と花の殿堂を極めた大自然もそうですが、途中のテン場や休憩スポットで会話を交わした皆様の誠実で温かいハートでした♪ とくに、道民登山者の皆様が、怪しい単独行者の私に本当に親切にして下さるのは、感謝感激の連続でした……。普段はお互い見ず知らずでも、こうして大自然のもと平等な人間として出会うことで、誰もが互いに信頼し合っていることを確認できる……というのは貴重なことですし、だからこそなおさら日本という国の自然と人を愛したいと強く思うというものです。(まぁもちろん、仲良くなりたくない雰囲気の団体なども見かけますが……)
というわけで、久々に過去の記録を掘り返して、いろいろ思い出しているうちに、あんな山行やこんな山行をしてみたい……という妄想が止まらなくなってしまいました。乱筆長文大変失礼しました。ご覧頂き誠にありがとうございました。
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