荒川岳厳冬 (畑薙第一ダム〜椹島〜千枚岳〜悪沢岳〜中岳〜前岳)


- GPS
- --:--
- 距離
- 71.5km
- 登り
- 5,345m
- 下り
- 5,303m
コースタイム
11:00 畑薙第一ダム
15:45 椹島
【12月29日】
06:30 椹島
06:40 千枚岳登山口
08:20 鉄塔
08:50 岩頭見晴
09:55 小石下
13:30 清水平(幕営)
【12月30日】
05:55 清水平
07:30 見晴台
09:40 標高2300m(6/7)
14:20 千枚小屋
【12月31日】
07:10 千枚小屋
08:00 森林限界(標高2750m)
08:30 千枚岳
10:20 丸山
11:10 悪沢岳(東岳)
12:45 中岳避難小屋(休憩&昼食)
15:20 中岳
15:26 前岳
【1月1日】
中岳避難小屋にて停滞
【1月2日】
中岳避難小屋にて停滞
【1月3日】
07:00 中岳避難小屋
08:30 悪沢岳
09:10 丸山
10:15 千枚岳
11:20 千枚小屋
15:00 清水平
15:30 標高1800m平地(幕営)
【1月4日】
06:30 標高1800m平地
09:15 椹島
13:40 畑薙第一ダム
天候 | ※気温,風速は標高2900m地点、9時の計算値 日本気象協会HPの悪沢岳を参照した。 http://season.tenki.jp/season/mountain/famous100/point-183.html 12月28日(土):畑薙第一ダム→椹島 天気:晴れ 気温:-19.6℃,風速:21.9m/s 12月29日(日):椹島→清水平 天気:晴れ 気温:-17.5℃,風速:14.4m/s 12月30日(月):清水平→千枚小屋 天気:晴れ、時々曇り 気温:-10.8℃,風速:17.5m/s 12月31日(火):千枚小屋→中岳避難小屋 天気:午前中は曇りで視界不良、午後から晴れ 気温:-12.4℃,風速:18.8m/s 1月1日(水):中岳避難小屋にて停滞 天気:吹雪 気温:-13.4℃,風速:21.2m/s 1月2日(木):中岳避難小屋にて停滞 天気:午前中は吹雪、午後から晴れ 気温:-12.6℃,風速:25.5m/s 1月3日(金):中岳避難小屋→標高1800mまで下山 天気:終日快晴 気温:-8.1℃,風速:14.4m/s 1月4日(土):標高1800m→畑薙第一ダム 天気:晴れだが、雲多い 気温:-6.9℃,風速:17.5m/s |
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過去天気図(気象庁) | 2013年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
センター前に駐車スペースがあり、15台程度は駐車可。 畑薙第一ダムまでの道路に雪は無かったが、所々で凍結箇所が見られた。 ダム近辺は通行規制があるそうなので、こちらのHPで確認を。 http://www.city.shizuoka.jp/deps/dorohozen/tu-koukisei.html |
コース状況/ 危険箇所等 |
●畑薙第一ダム〜椹島 年末年始は、南アルプス登山指導センターに職員が駐在するとの事。 私が入山した12月28日は不在だったが、下山した1月4日は駐在しておられた。 登山指導センター前に登山ポストがあり、入山届と下山届を提出する。 登山指導センター前のゲートから、登山口の椹島までは約17kmの林道歩きとなるが、 林道に雪は少なく、ラッセル箇所無し。 危険箇所は特に無いが、所々で土砂崩れ跡が見られた。 落石と、新たな土砂崩れに注意。 椹島は一つの建屋だけ冬期用として開放されており、利用可能。 外に仮設トイレがあり、そちらも利用可能だった。 また、神社の裏から大井川側に下ると水場があり、そこから水が摂れる。 今後、この水場は凍結すると思われるが、近くに大井川が流れているので 水に困る事は無いだろう。 初日(28日)は椹島の冬期小屋に宿泊した。 ●椹島〜清水平 吊橋を渡った先から雪道となり、そこからはアイゼンで進んだ。 私が入山した29日時点では入山者は居らず、トレース無し。 登山道に沿って赤ペンキやリボンが付いているので、それを目印に進んだ。 序盤は九十九折りの急登が続き、登りの時は問題無かったが、 下山時(4日)には小規模な雪崩跡が見られた。 今時点では雪は少なく大規模な雪崩に至る事は無いと思うが、 今後、雪が深くなったら要注意。 急登は鉄塔が並ぶ尾根上まで続き、その先はなだらかな登りとなる。 ここから千枚小屋までは、特に危険箇所は無いが、小石下から先は雪が深くなり、 ワカンを付けても脛〜膝までの雪量。 重荷を背負った状態でのラッセルは厳しく、29日は椹島からスタートしたが、 一日かけても清水平までしか到達出来なかった。 清水平の水場は使用可能。水場の奥にテントが一張り出来るスペースがあったので、 29日はそこで幕営した。 ●清水平〜千枚小屋 登るにつれて雪は深くなり、ラッセルは更に辛くなる。 登山道と並行するように林道が続いているので、 登山道を行くか、林道を行くか迷うところ。 林道を歩けばルートファインディングの手間が省けるという利点があるが、 林道の方が雪が深く、道は蛇行しているので歩く距離が長くなり負荷は大きい。 自分の場合は、出来るだけ登山道を選んで進んだ。 時々目印を見失い登山道外を進む事もあったが、薮は少なく木々の間隔も広いので、 位置と方向さえ見失わなければ何処でも歩けそうに思えた。 標高2300mの6/7と書かれた看板から先は傾斜が上がり、 時には股下位まで雪で埋もれる事も。 ここのラッセルが最も辛く心が折れそうになったが、標高2400m付近にて、 後続の4人パーティが追いついてくれたので、彼らと協力する事で、 山行開始3日目にして、ようやく千枚小屋に到達する事が出来た。 千枚小屋は、2階が冬期用として開放されていた。 綺麗な小屋で、10〜15人位は泊まれるスペースがあり、居住性は良い。 トイレは外の冬期用が利用できるが、利用するにはドア前を除雪しなければならない。 トイレのドアは、下側の留め具が外れており、慎重に開けなければ 上の留め具も外れてしまいそうな状態。 恐らく、このドアは春まで持たないだろう。 ドアが外れたらトイレ内は雪溜まりになるので、利用出来なくなるかもしれない。 ●千枚小屋〜千枚岳 千枚小屋から千枚岳へ至るルートは幾つか考えられる。 今回は千枚小屋の裏手から尾根上をめがけて真っすぐに直登した。 (地形図でガレ場で表記されている標高2750m地点を目指すような感じで) このルートで進めば最短で森林限界の風上側に出られるので、 早い時点でラッセルから開放される。 標高2750m地点からは風で雪は飛ばされており、深雪の箇所は殆ど無し。 風上側の岩場を登って千枚岳へと進んで行った。 一方、これとは別に、夏道を利用して千枚岳へ登るルートもあるが・・・ この場合は風下側からのアクセスとなり、ラッセルが長く続き、雪も深そう。 積雪期のルートには選ばない方が良いと思われる。 ●千枚岳〜悪沢岳(東岳) 千枚岳から先は森林限界を越えた稜線上となり、幾つか危険箇所が出てくる。 まずは、千枚岳からの下りで、危険なギャップが2ヶ所。 夏道はこのギャップを巻くように付けられているようだが、雪付きが悪く 滑落危険が高い為、ザイルを用いて、岩稜通しでの懸垂下降を推奨する。 最初のギャップは高さ約10m、2つめは5m程度なのでザイル長は30mもあれば充分。 どちらのギャップも上部に灌木が生えているので、そこで支点が取れる。 これらギャップを通過し、コルまで下れば、後は悪沢岳まで難しい箇所は無い。 但し、丸山付近は広尾根であり、丸山〜悪沢岳間は地形がやや複雑なので、 視界が悪い時は道迷いに注意。 ●悪沢岳〜荒川前岳 悪沢岳の山頂を過ぎるとこれまで以上に風が強まるので、防風防寒装備は しっかり整えた上で進む。 夏道に沿って悪沢岳からしばらく下り、その後は南側を大きくトラバースしながら 下降していく。 トラバース距離は長く、傾斜は急。 滑落の危険箇所だらけであるが、雪は硬くクラストしており、 ピッケル・アイゼンの効きは良い。 視覚的な怖さは有るが、今の状態であれば、確実なピッケル・アイゼンワークを 心がければ問題無いと思う。 だが、ここの通過は雪質によって難易度が大きく変わると思われる。 雪が緩んだ状態(特にGW付近)では、かなり神経を使うのではないだろうか。 基本的には夏道通しで進む。 夏道以外の場所を通過しようとすると、かなり難しくなりそうなので、 出来るだけ視界の良い状態での通過が望ましい。 悪沢岳を下り切った後は、細尾根が続く。 雪が更に深くなればナイフリッジになりそうな箇所だが、今回の雪量はそれほど 多く無く、先行者のトレースもあったので通過は特に問題無かった。 細尾根通過後は、荒川前岳まで危険箇所は無し。 尚、逆ルート(荒川前岳→悪沢岳→千枚岳)の場合は、上記の難所が全て登りに なるので、難易度はずっと易しくなる。 ザイルで下った千枚岳のギャップも、ミックスルートに慣れた人であれば、 問題なく登れると思う。 ●稜線上の小屋について 中岳避難小屋は冬期開放されており利用出来たが、小屋の前室には雪が溜まっている。 ドアに隙間があり、そこから雪が入る模様。 小屋に入る前に雪かきが必要になるかもしれない。 小屋の外に冬期用のトイレはあるが・・・ トイレのドアは外れており、中は雪まみれ。 利用は出来そうにない状態だった。 稜線上の小屋は中岳避難小屋しか利用しなかったが、 聖岳方面から来た単独登山者(tarehashiさん)に会い、話を伺った所、 聖平小屋、兎岳避難小屋、百聞洞、赤石避難小屋、荒川小屋、は利用可能との事。 但し、兎岳避難小屋はドアが壊れており、入る事は出来るが辛い状況らしい。 |
写真
この環境でも指の冷えは感じさせず、フィット感は良好。
ザイル結び等の作業も問題なくこなせた。
高い買い物だったが、それに見合う性能だと感じた。
感想
毎年恒例となった、年末の南アルプス登山。
今回は、荒川岳〜赤石岳の周回を計画してみたが、予想外の深雪と悪天候による停滞の為、
赤石岳までは届かず。
結果としては、荒川岳のピストンとなりました。
最後の赤石岳東尾根の下降に備えて50mザイルを持参したのですが・・・
無駄に重い荷物となってしまい、少し残念な感じです。
(荒川岳のみなら、ザイルは30mで充分でした。)
しかし、赤石山脈最高峰である悪沢岳は、登り甲斐のある山であり、
それらを含めた荒川三山へ続く道は、素晴らしい3000m稜線でした。
この山域を訪れたのは今回が初めてでしたが、また訪れたくなるような魅力的な山域であり、
次回は、達成できなかった赤石岳にチャレンジしたい、と思わされました。
以下、追記。
8日間の日記みたいなもので、無駄に長いです^^;
【12月28日】
荒川岳への出発地である畑薙第一ダム(沼平)には午前10時頃に到着。
今日は年末連休初日であるが、駐車場に車両は4台程停まっており、すでに入山している登山者が居るようだった。
ゲート前の駐車スペースに車を止めた後、登山準備や入山届を提出し、11時には林道ゲートを出発した。
林道に残る雪には数名のトレースが残っており、それは椹島方面へと続いていた。
自分と同じ進路であり、“千枚岳へ向かうトレースだと良いな。”
という淡い期待を抱いて進むが・・・
それは聖沢登山口へと続いており、このトレースの方々は聖岳東尾根に向かったようだった。
林道のトレースはそこで途絶えてしまい、椹島へ向かうトレースは無くなった。
どうやら、千枚岳へ向かった登山者は居ないようだ。
明日の千枚岳への登りでは一人でのラッセルになる事が、この時点で予想がついた。
16時には椹島に到着した。
椹島の広い敷地内には多数の建屋が並んでいるが、そのどれもが硬く戸を閉ざし、
冬支度を終えていた。
夏は大勢の登山者で賑わうのだろうが、今は無人で静か。
日中は天気が良かったが、今は細かい雪が降っており、
どこか寂しさを感じさせる光景だった。
さて、この敷地内のどこかに開放されている冬期小屋があるはずだが・・・
椹島には今回初めて訪れたので、どれが冬期小屋だかわからない。
とりあえず、椹島の看板を起点に時計回りに敷地を回って、一つ一つ建屋を調べて行くが、
開放されている小屋はなかなか見つからない。
“もしや、全部閉鎖されてるのか?”
と、不安になってきたが、最後の建屋の一つ前で、ようやく開放されている小屋を見つけた。
反時計周りに調べればすぐに見つかったのに・・・効率の悪い探索をしてしまった。
無人の小屋内に荷物を降ろし、近くを流れている大井川に水を汲みに向かう。
飲食用に沢水を利用するつもりだったが、井川神社の裏道を下ると、
その先にて細いパイプが付けられた水場を発見した。
水場の周囲は凍り付いていたが、まだパイプから水は出ており、利用可能。
神社の裏から流れている水なので、飲んだら御利益もありそうだ。
今夜の飲食用に、ありがたく利用させて頂いた。
今回の登山は、この椹島を起点に千枚岳経由で荒川岳へと登り、
その後は稜線を辿って赤石岳へ向かう。
そして、最後は小赤石岳の東尾根を下降する、という計画。
山行予定日数は5泊6日、予備日2日
東尾根の下降に備えて50mザイル、
また、長期日程になる事から9日分の食料・燃料を持参していたので
今回の荷物はいつも以上に重い。
この重量では明日からのラッセルに支障が出そうなので、椹島の冬期小屋に
1日分の食料・燃料をデポし、少しでも荷物を軽くした。
【12月29日】
日の出前に椹島を出発し、千枚岳への登山口へ向かう。
昨日降っていた雪は止んでおり、空は快晴。
これから始まる長い登山の幕開けに相応しい天気だった。
千枚岳登山道をしばらく進んで行き、吊橋を渡ったところで道は雪道となり、
そこからはアイゼンを付けて進んだ。
途中、倒木が道を塞いでおり、そこを通り抜けるのには苦労したが、
それ以外は特に面倒な箇所は無し。
目印となる木に塗られた赤ペンキを追いながら、順調に進んで行く。
しばらくは急登が続くが雪は浅かったので、それほど負荷は無かった。
“この調子なら、今日中に千枚小屋まで行けるんじゃないか?”
等と、この時は楽観的に考えていた。
しかし、そう簡単に行く筈はなく、小石下を過ぎた頃から雪は深くなる。
アイゼンからワカンに履き替えて進むが、脛〜膝位までのラッセルが延々と続き、
なかなかペースは上がらない。
目印となる赤ペンキやリボンを探しながら登るのも大変なので、
登山道と平行するように続いている林道を行こうか、とも考えた。
だが、林道を歩いてみると、登山道よりも若干雪が深い。
林道は登山道と違って、道の上に傘になるような木が生えていない。
だから雪が深くなるのだと思うが、この雪深さではラッセルが大変だ。
更に、林道は道が蛇行しているので歩く距離も長くなり、
一人では突破するには負荷が大きすぎる。
ここは、ルートファインディングの手間はかかるが登山道を選んだ方が得策、
と考えて、出来るだけ登山道を選んで先へと進んだ。
13時に清水平に到着。清水平の水場は凍っておらず、利用する事が出来た。
美味しい水で英気を養い、この後の行動を考える。
当初の計画では、今日一日で千枚小屋まで行く予定だったが、
このペースでは、今日中に到達するのは不可能。
今夜はどこかで幕営しなければならない。
だったら、良質の水場があるこの清水平が良い。
と、言うことで、まだ時間は早かったが、今日は清水平にて幕営する事にした。
「清水平」という地名ではあるが、あまり平らな場所は見られない。
しかし、水場の奥にテント一張出来そうなスペースがあったので、そこにテントを張れた。
テント設営後はしばらく休憩し、その後、明日のルート開拓へと出かけた。
荷物は全てテントにデポし、空荷で登山道を進む。
相変わらず雪は深いが、身軽な状態だとペースは速い。
標高2100m付近の見晴台手前まで到達し、登りのトレースをしっかり踏み固めながら清水平のテントに戻った。
この日は一日を通して、誰とも会う事は無かった。
【12月30日】
朝6時、まだ暗い中の出発。
ヘッドランプの明かりを頼りに登山道を進む。
周囲は真っ暗で目印のペンキは見えないが、昨日付けたトレースが残っているので
ヘッドランプの乏しい明りだけでも道は判る。
往復する事で2度踏み固められたトレース上は歩きやすく、
重荷を背負っていてもペースは良い。
日が昇りきる頃には、昨日のトレース終点である標高2100mまで到着した。
さて、標高2500mにある千枚小屋まで、標高差はあと400m
“これなら今日中には確実に千枚小屋に到達出来るな。”と楽観的に考えたが、
その考えは甘かった。
ラッセルが過酷なのは、標高2300mを過ぎてから。
ここまではなだらかな登りが続いていたが、そこからは傾斜が上がり、更に雪が深くなる。
膝までのラッセルが当たり前となり、深いところに踏み込めば、股下まで埋まる。
重荷を背負っていては、さっぱり進まないので、昨日のように荷物をデポして2度ラッセル。
ラッセルで道を切り開いた後は、戻って荷物を背負って登り返す。
しばらくはこのパターンで、地道に標高を上げて行く。
(このような2度ラッセル箇所があるので、GPSログでは下りより登り距離が長くなってます)
13時頃、標高2400mの駒鳥池手前まで到達。
千枚小屋に着く頃には日が暮れてしまうかもしれないが、
小屋までの標高差はあとたった100m。
今日中には、千枚小屋に到達できる見込みが出てきて嬉しくなる。
更に嬉しい事に、私のトレースを辿ってきた4人パーティが、そこで合流。
孤独なラッセルが終わり、この後はパーティの方々と協力し先へと進む。
そして、千枚小屋までの雪道を開通させた。
3日かけて到着した千枚小屋は、居心地の良い小屋だった。
2階のみが冬期用として開放されていたが、スペースは広く、綺麗で良い木の香りがする。
この日の利用者は、私と4人パーティの方々、そして日が暮れてから単独の方が到着したので合計6名。
人が居るので室内はそこそこ暖かく、快適に過ごせた。
千枚小屋では微妙ながらも携帯の電波(au)が入ったので、今後の天気を調べる事が出来た。
同じく4人パーティの方も携帯で天気を調べており、そちらはDOCOMOを使用していたが、
電波状況はauよりもずっと良好のようだった。
ネット情報を元に調べたところ1月2日は風が強まるようで、稜線上での停滞となる可能性が出てきた。
現在の進捗としては、深雪の影響で当初の予定よりもすでに1日遅れている。
更に、悪天による停滞で1日遅れが発生してしまえば、予備日の2日を使い切ってしまう。
積雪期の長期登山で山行日数がギリギリになるのは、出来れば避けたい。
検討した結果、赤石岳への周回は止めて、荒川前岳までのピストンにする事にした。
明日12月31日に千枚岳から荒川前岳まで行き、中岳避難小屋で一泊。
翌日の1月1日に千枚小屋へと戻ってくる、という計画に変更した。
千枚小屋からであれば全天候で下山できそうなので、天気が荒れる予定の1月2日も下山行動が出来る。
そして、1月3日には畑薙ダムのゲートまで下山できるだろうから、予備日は1日使用するだけで済む。
赤石岳に行けないのは残念だが、余裕ある山行にする為、この計画に変更した。
明後日の1月1日には千枚小屋に再び戻ってくる予定なので、食料・燃料は3日分持参すれば充分だろう。
残り2日分は千枚小屋にデポする事にした。
【12月31日】
朝、千枚小屋では細かな雪が降っていた。
日の出はガスで霞んでおり、千枚岳の方もガスで視界はあまり良くは無さそうだった。
これから稜線上を目指すのは、4人パーティと、私のみ。
単独の男性は、日程の都合上、この千枚小屋で引き返すとの事だった。
千枚岳から先は難所が続くので、4人パーティは全員ハーネスを着用しており、
私もここでハーネスを着けて行く事にした。
日の出と共にパーティは千枚小屋を出発し、30分程遅れて私も続く。
先行するパーティは、千枚小屋の裏手から真っ直ぐに尾根上を目指すルートをとっており、
そこにはしっかりと踏み固められた階段状のトレースが出来ていた。
ツボ足のトレースで、ワカンは必要なさそうだったので千枚小屋に戻ってワカンもデポ。
アイゼンを付けて、彼らのトレースを辿った。
千枚小屋からの登りは深雪の急登が続くが、4人パーティの強力なラッセルのお陰で
順調に進み、千枚岳には楽に到達出来た。
しかし、ここまではウォーミングアップのようなもの。
ここから先は森林限界を超え、環境的には厳しくなり、難所が続く稜線歩きとなる。
千枚岳を通過し、しばらく進むと下降困難なギャップに行き当たった。
最初の難所だ。
さて、どうするか?ギャップの最上段から下を眺めて考える。
ギャップの上部には潅木が生えているので、それを支点に懸垂下降するのが良さそうだが・・・
少し戻って稜線南側を眺めると、ギャップを巻いて下降するようなトレースが付いていた。
ザイルを使用するのは手間なので、その巻き道を進んでみる事にした。
上から見た感じでは微妙な巻き道であるが、トレースがあるから大丈夫だろう、
と安易に踏み込むと、意外に道の状態が悪い事に気付く。
急斜面の岩場に雪が付いた状態であるが、雪付きが悪いので、アイゼンの刺さりが悪く足場が安定しない。
昨年の11月30日に谷川岳西黒尾根を歩いており、その時はラクダのコブ周辺の雪付きが悪くて通過に苦労したが、それに似た感じの雪の状態だった。
今辿っている巻き道は、その時以上に危険な状態。
西黒尾根の場合は落ちたとしても数メートル落下するだけだったが、
今進んでいる道は、落ちたら確実に人生終了な場所。
神経を使いつつ、慎重に進み、何とか巻き道を通過。
今回の登山で最も緊張した場面だった。
“この巻き道は利用せず、ザイルを使い岩稜通しで懸垂下降すべきだったな・・・”
と反省しつつ先へと進む。
更に下降を続けると、またも危険なギャップに行き当たる。
今度はさっきのギャップよりも易しそうで、高さも低い。
一見、フリーでも行けそうに思えたが・・・やめた。
先の反省より、ここは無難にザイルを使用し、懸垂下降で通過した。
千枚岳を下りきり、コルへ到達した後は、目立った危険箇所無し。
風雪でトレースが消えていたのでルートファインディングは手間取ったが、
大きな困難も無く、割とあっさり悪沢岳に到着した。
赤石岳が中止となった今では、今回登山での一番の大物ピークである悪沢岳。
4日の日数を費やし、ようやく到達したが・・・、ガスで周囲の眺望は無し。
初登頂の喜びはあまり無く、消化不良な気持ちを残したまま悪沢岳を後にして、
今日の目的地である中岳避難小屋へと向かう。
山頂標識を後にし先へと進むと、これまで以上に風は強くなった。
悪沢岳から荒川中岳方面への下降。
今日のルートでは、この下降が一番の難所になると予想していた。
しかし、雪は良い具合にクラストしており、アイゼン・ピッケルがしっかりと決まる。
急斜面のトラバースが連続し、滑落危険箇所の通過が長く続くので、確かに難所ではある。
落ちたら助からないような急斜面をトラバース下降する時に感じる高度感は相当なものだ。
だが、今の雪の状態であれば落ちる気は全くしない。
所々に夏道を示す赤ペンキが付いているので、見逃さぬよう注意しつつ、最後のトラバースを通過。
悪沢岳を下りきり、その先の細尾根に到達した頃には、これまで稜線を覆っていたガスも晴れてきた。
遠方に視線を飛ばせば、先行している4人パーティと今日の目的地である中岳避難小屋が見える。
あとは、細尾根さえ通過すれば、もう危険箇所は無いので気も楽になり、
青空を背景に気分良く、残りの行程を進んで行った。
昼には中岳避難小屋に到着。
先行パーティは少し小屋で休憩した後、荒川小屋へと進んで行った。
このパーティは福岡の山岳会の方々で、これから縦走し、赤石岳、聖岳、茶臼岳を目指すそうだ。
今日のトレースを含め、2日間、この方々にはとてもお世話になった。
お礼を述べて、中岳避難小屋を去っていく彼らを見送った。
一人残った私は中岳避難小屋で昼食をとり、大休止した後、小屋を出て周辺散策に出かけた。
もう天気はすっかり良くなり、快晴の空の下、今回の登山の終着点である荒川前岳へ向かう。
荒川前岳まで続く稜線からの眺めは素晴らしく、近くには赤石岳や悪沢岳。
遠方には塩見岳や白峰三山等々、南アルプスオールスターとも言うべき数々の名峰を眺めることが出来た。
夜になっても快晴は続いており、小屋の外に出てみると、満天の星空。
視界はとても良く、東方に視線を移すと・・・静岡市だろうか?街の夜景も見える。
明日は千枚小屋への下山になるが、この分では明日も晴天になりそうで、問題なく下山できそうだ。
・・・そういえば、今日は大晦日。
せっかくの大晦日なので、今日は贅沢したいものだ。
明日、千枚小屋まで戻れば、デポした食料・燃料があるので、大丈夫だし・・・
“よし、今日は贅沢するか”、と思い、その夜は多目の食事をし、夜遅くまでガスを灯して温まりながら過ごす。
どうせだったら、年越しのカウントダウンまで起きてようか、
等と考えたが、流石に眠くなったので10時頃には寝床についた。
2013年の大晦日は、標高3000mの世界にて、物資を奮発し快適に過ごした最高の大晦日だった。
だが・・・、
この行為は極めて軽率だった。
翌日の元旦は、この一時の贅沢のせいで、悲惨な思いをする事となった。
【1月1日】
元旦の朝。
初日の出を眺めようと小屋の外に出た時、その光景に唖然とした。
外は吹雪。
完全にホワイトアウトしている。
小屋から10m程離れた場所に、トイレの建屋があるのだが、それすらも見えないくらい視界が悪かった。
なんてこった、この視界では下山できない。
これは・・・停滞になる。まずい状況になったな、とその時思った。
明日も天気は荒れる予報なので、今日、千枚小屋まで下山出来なければ明日も停滞になる。
標高3000mの稜線上で2日間の停滞はきつい。
そして、なによりも物資が足りない。
昨夜、燃料や食料を無駄使いしてしまった為、2日間の停滞を乗り切るには厳しい状況になっていた。
今日中に千枚小屋に戻らねば、と思いつつ、天候回復を期待するが、その傾向は全く無し。
午後12時を過ぎても天候は回復せず、その時点で今日の下山を諦めた。
久々に大きな失敗をやらかしてしまった・・・
ここは標高3000mの稜線上、天気が荒れれば過酷な環境となる。
限られた物資しか持たぬ者が、大晦日だと言って浮かれていて良い場所ではなかったのだ。
後悔しても、失った物資は戻らず。。。
節制しなければならないので、この日は食事もろくに摂らず、
ガスも使えないので、シェラフに包まり凍えながら一日を過ごす。
この日の食事は、キットカット6個とオニオンスープ1杯。
ひもじぃのぉ・・・
最高の大晦日だった昨日とは一転し、最悪の元旦。
“早く千枚小屋まで帰りたいものだ・・・”、と何度も思いながら、陰鬱な一日を過ごした。
こんな時は、アルコールでもあれば良いのだけど・・・
今回の荷物はかなり多いので、軽量化の為に酒等の嗜好品は一切持参していなかった。
【1月2日】
朝、小屋の外に出ると、相変わらず吹雪は続いていた。
予報通り風は強く、昨日以上に風は強くなっていた。
やはり、今日も停滞か・・・
ため息つきながら、シェラフに戻る。
だが、昨日に比べて気持ちは明るい。
昨日は節制したので、明日の朝までなら物資は何とか持ちそうだし、
気圧を確認してみると緩やかな上昇傾向を示している。
これは良い傾向。午後には天気が良くなるかもしれない。
その予想は当たり、11時を過ぎると晴れ間が見えるようになってきて、
午後になると快晴の空が戻ってきた。
この晴天を利用し、千枚小屋へ下山すべきだろうか?
今、行動を起こすか悩んだが・・・、今日は止めた。
もう時間は午後だし、風がとても強い。
悪沢岳の南面は強風域のようで、2日前に下降した時は風の強さが辛かった。
今日はその時以上に風は強いはずなので、悪沢岳に登るのは危険と判断した。
だが、明日であれば風はかなり弱まる。
今の晴天が続きさえすれば、明日は確実に下山出来る。
この日の下山は止めて、より確実な明日。1月3日に下山する事にした。
その日の日没後、小屋に一人の登山者が訪れた。
まだ若いその登山者tarehashiさんは、この日は百聞洞から赤石岳を越えて、
この中岳避難小屋まで歩いてきたそうだ。
この風の強い中、よくそんなに歩いたものだ、と感心させられた。
今後の山行計画を聞いてみると、塩見岳への縦走を計画しているとの事。
つまり、聖岳、赤石岳、塩見岳の縦走。
すごい山行計画であり、もし可能だったら、更にその先の仙丈ケ岳まで行くつもりらしい。
今の世の中、こんな長大な山行を一人でやろうとする若者が居るとは驚いた。
彼からは様々な情報を得られ、稜線上の小屋情報や、南アルプス南部の雪の状況等、
有意義な話を聞く事が出来た。
やはり聖岳〜荒川岳の山域は人が少ないようで、彼が稜線上で会ったのは、
荒川小屋へ向かった4人パーティと、私だけだったらしい。
その日の夕食は、チキンラーメンとバターピーナッツ。
質素な食事ではあるが、昨日に比べれば十分すぎる程に贅沢。
昨日が勝負なので、この夜はなけなしの食料を奮発した。
出来れば、tarehashiさんに少し食料を分けて貰えれば・・・
なんて考えも浮かんだが、厳しい食事情は向こうも一緒らしいので、
さすがにそれは言わないでおいた。
【1月3日】
最高の朝!
外には朝焼けが広がっており、遠方に見える富士は雲海に包まれている。
これまでの6日間、辛い日も多かったが、それが全て報われるような素晴らしい光景だった。
tarehashiさんは小屋に荷物をデポし、日の出を待たずに悪沢岳ピストンへと出発。
悪沢岳に登頂して小屋に戻ってきた後は、塩見岳方面へと向かうらしい
tarehashiさんを見送った後、朝日を待ちながら、目覚めつつある周囲の山々の景色を楽しんだ。
元旦の停滞日は、“早く下山したい。。。”
などと弱気になっていたが、この光景を目にしていると、気持ちは180度変わり、今度は下山したくなくなってくる。
やがて、朝日が顔を出し、赤石岳が真っ赤に染まると、今すぐにでも赤石岳に向かって歩いて行きたいような気持ちに駆られてしまった。
だが、残念ながら、もう予備日は無し。
物資も尽きかけている自分は、千枚小屋へ戻るしかない。
今から進むべきは、赤石岳では無く、悪沢岳。
日がすっかり昇った頃、3日間お世話になった中岳避難小屋を後にして、悪沢岳へと出発した。
3日前に下降して来た悪沢岳であるが、中岳から眺めるその山容は険しく見え、まるで大岸壁のような威圧感に圧倒される。
下れたのだから、登れないはずは無い。
そう判っていても、プレッシャーを感じずにはいられなかった。
悪沢岳へと続く細尾根上で、tarehashiさんとすれ違った。
もう悪沢岳に登頂してきたのかよ(笑)
その速さに思わず笑ってしまう。
さすがは、ここまで縦走してきただけの事はある。かなりの健脚者のようだ。
その体力があれば、この先の縦走も、きっと成し遂げられるだろう。
この先の塩見岳、もしかしたら、更にその先までも・・・
彼はどこまで行けるだろうか?
その山旅がいつ終わるのかはわからないが、それはすごい縦走記録になるに違いない。
壮大な山行を成し遂げようとしている縦走者。
そのtarehashiさんに出会えた事は、今回の山行の良い思い出となった。
悪沢岳の細尾根にて、握手をして別れる。
また、どこかの山で。無事な山行を祈る。
tarehashiさんと別れ、悪沢岳の取り付きに到着。
2日間の降雪後だったので、雪質が不安定になる事を心配していたが、それは杞憂に終わった。
登頂ルートである悪沢岳南面は、常に強風に晒されており、傾斜もある事から、雪はあまり付かないようだ。
3日前に下降した時と同じく雪は良い具合にクラストし、安定している。
大丈夫だ、問題ない。
地面の雪に何度かピックを指してみて、雪の状態を確認した後、
今回登山のクライマックス、悪沢岳への登りを開始した。
3日前は下りだったのに対し、今回は登りとなり、難易度としては易しくなった。
また、登りなら切れ落ちたようなトラバース斜面が視界に入る事もないので、精神的な負荷も軽い。
だが、体力的には結構厳しいねぇ・・・
休憩を取りながら登りたい所だが、常に強風が吹き付けており、安定した広いスペースは殆ど無し。
ザックを降ろしてのんびり休めないのが辛いところだ。
でも、この登りは面白い。
丸山方面から登った悪沢岳は、迷いそうな地形ではあるが特に困難な場所は無く、
歩いていたらあっけなく着いてしまっていた。
なので、物足りなく感じたものだが、こちらの中岳方面からだと登り甲斐は十分。
クラストした急斜面にアイゼンとピッケルを突き立てながら登って行くのは、
3000m峰のラストに相応しいシチュエーションのように思え、気持ちは昂ぶる。
この登り、過去に登った山では、同じ南アルプスの北岳に似ているような気がした。
北岳稜線の場合は危険なトラバースを避けて岩稜を進む事が出来たが、
この悪沢岳南面の場合は、トラバース以外は選択できる道が無く、北岳よりも難度は高く感じる。
3日前に経験した千枚岳の下降は、北岳で言えば八本歯の下降に相当するだろうか。
八本歯はザイル使用1箇所だったのに対し、こちらは2箇所。この点においても難度は上か。
・・・等と、北岳と現在取りついている悪沢岳とを比較しながら登り続ける。
背後を眺めれば、そこには赤石岳。
時々振り返りながら、その雄大な山容を眺めつつ、トラバース帯は通過完了。
後は夏道を辿って山頂へ向かうだけだが、ここで更に風が強まった。
予報では、今日の風は弱いはずだが・・・
全然、弱くねぇぞ><
煽られるような強風を受け、時々耐風姿勢をとりながら先へと進む。
今日、下山にしたのは正解だった。
もし、風の強い昨日に下山を強行していたら、ここで吹き飛ばされていたかもしれない。
風でよろめきつつも、何とか悪沢岳の山頂に到着。
山頂まで行けば風は弱まり、楽になった。
強風でしばし呼吸困難になっていたので、山頂からの景色を眺めつつ、ここで息を整える。
3日前はガスで眺望が無かった悪沢岳の山頂であるが、今日は快晴。
遠方に見える雲海の富士や、まるで巨大な切り株のようにどっしりと鎮座する赤石岳が明瞭に見える。
しばらくその光景を眺めた後に、千枚岳へと向かった。
最後の難所である、千枚岳の登りを通過し、千枚岳山頂に到着。
これで、あとはもう難所は無い。
完全に下山の目処が立った事で、安心する。
中岳避難小屋からここまで飲まず食わずだったので、千枚岳山頂にて
わずかに残った食料を口にしエネルギーチャージ。
ちょっと食べ足りないが、千枚小屋へ行けばデポした食料がある。
“今日の夜は、盛大に食ってやろう”、と楽しみにしながら千枚岳を下った。
森林限界まで下ると、そこからはラッセルとなった。
3日前に4人パーティや私が歩いた時のトレースは、もうすっかり消えていた。
その後、千枚岳へ登った登山者は居ないようで、新たなトレースも無かった。
またラッセルか・・・もううんざりだ・・・
嫌々ながら、ラッセルしつつ、千枚小屋へ進んでいくと、ここで天の助け。
スノーシューを履いた単独登山者が登ってくる。
この状況でトレースは非常に有難い。
単独登山者にお礼を述べて、有難くトレースを利用させて頂いた。
この時は気がつかなかったが、この単独登山者はNeuronさんだった。
レコで何度か記録を拝見させて頂いた事があった。
Neuronさんの辿ってきたトレースは千枚小屋から麓までずっと続いており、
その後の下山はかなり楽になった。
感謝、感激である。
千枚小屋でデポした食料・燃料を回収した後は、清水平まで下山。
そろそろ時間も遅くなってきたので29日の夜と同じく清水平で幕営しようか、
と、迷ったが、同じ場所で幕営するのも面白味に欠ける。
清水平では水調達のみとし、更に下る。
標高1800m地点まで下ったところで、幕営に良さそうな平地が見つかったので、
そこで幕営する事にした。
停滞による2日間のひもじい生活が続いたので、その夜は盛大に食べた。
千枚小屋から回収した2日分の食料の大半を食べ尽くし、満足したところで寝る。
この夜は寒さで目覚める事も無く、久々に熟睡できた。
【1月4日】
その日は誰とも会わず、黙々と下山。
椹島まで下山し、冬期小屋にデポしておいた1日分の食料を回収した。
椹島を後にして、あとは長い林道を歩くだけだが・・・
北岳の時もそうだったが、長い林道歩きは帰りが辛い。
何故かは知らないが、行きの時よりも2倍くらいは長く感じる。
長い登山生活で疲れている為だろうかね?
北岳の林道のように厄介な場所は無いので気楽に行けるが、
途中で幾つか土砂崩れ跡が見られた。
中には、新たに崩れたと思えるような場所も見られたので、そんな場所では走って通過。
そんなこんなで、歩き続けて、13時30分、畑薙第一ダムのゲートに帰ってきた。
最後に下山届けを提出し、長きに渡った登山が終了。
目的の赤石岳には到達出来なかったが、荒川三山の各山頂を踏めた事に満足し、
日帰り温泉の白樺荘へと向かう。
8日ぶりに入る風呂はとても気持ちよく、2時間くらいのんびりしてから帰路に就いた。
コメント
この記録に関連する登山ルート

印象的な記録を見せていただいた記憶があります。
この時期は停滞もありなんですね…
いつもながら事実をしっかり書いた文章
真似したいですが…文才はもとより何もやっていないので何も書けません^^;
Luskeさん、おはようございます。
8日間の長い山旅、本当にお疲れ様でした。
沼平のゲートから椹島までの林道歩きは長いですから、冬装備では初日から大変だったことでしょう。
その後も深雪を単独でのラッセル、素晴らしいパワーです。
中岳避難小屋での2日間、たった一人での停滞も、3000mの稜線上で寒かったでしょうし、、、。
Luskeさんのお山の実力がスゴイのは当然なのですが、本当に心の強い方ですね。本当に羨ましいし、素敵です。
私が最も愛する山、赤石岳の厳冬期の荘厳な佇まい、南南アの長く伸びやかな稜線の風情、、、。
自分の目で見ることは叶わないので、お気に入りに登録させて頂きました。
新年早々、感激、感動させて頂きました。
本当にありがとうございました。
夏に話していた赤石岳、遠いですね。
でも8日間に渡る山行は充実したものだったのではないでしょうか
写真をじっくり眺めて僕も歩いた気分になれました。
今年も素晴らしい山旅の記録になりましたね
積雪期の長期山行は、天気が難しいですね。
1日位の停滞は想定の上で計画してますが、2日続くと辛いです^^;
しかも、よりによって今回は元日に停滞・・・
みんながコタツに入って御節料理を食べてる間に、自分はシェラフにくるまって凍えてる、
という悲惨な元日でした(笑)
でも、その後、天候が回復した時の喜びは格別で、気分は爽快。
こういう気分になれるなら、停滞も良いかな、なんて思いました
いやー、レコを巡っていて、素晴らしく朱い赤石の写真
悪天に阻まれ、赤石に届かなかったのはちょっと残念でしたが、それにしても、素晴らしい写真の数々。コメントとともに読み進めると、読んでいるこちらまでこめかみが痛くなってきます。
南ア好きといいながら、若い頃でも、厳冬のアルプスには結局手が届かなかったユルな小生(←「軟ア」好きですね
宮城に戻られましても、当方には到底見れない素晴らしい景色、見せていただけると期待してます。
今回は荒川岳までとなりましたが、目標は赤石岳でしたので、荷物重かったです。
(特に50mザイルが・・・)
やはり、積雪期の赤石岳は厳しいですね^^;
私が赤石岳に興味を持ったのは、ricalonさん御夫妻の2012年5月の赤石岳登山のレコがきっかけでした。
あの時は残念ながら強風の為、富士見平での撤退でしたが、そのレコには感動させて頂き、
それ以来、私も積雪期の赤石岳を一つの目標と考えるようになりました。
今回、初めて目にした赤石岳は、素晴らしい山でした。
ricalonさんが惚れるのも解ります
いつか、御夫婦で積雪期の赤石岳登頂、達成出来るよう願っております。
そして、私もいつか赤石岳登頂、成し遂げたいと思います!
赤石岳、遠いですね〜><
まずは、自宅から畑薙ダムまでの車移動だけで650km、11時間かかりました(笑)
そして、登山口までは5時間の林道歩き・・・
去年の北岳もそうでしたが、南アルプスはアプローチが大変です
しかし、それだけ時間をかけても行く価値のある山で、
この8日間は充実した日々でした。
tooleさん、最近は御多忙で山にはなかなか行けないかと思いますが、
私の拙い記録で行った気分になれたなら、幸いでございます
「軟ア」ですか(笑)
odaxさんのセンス、お変わりないようで安心致しました
赤石岳、今回は届きませんでしたが、朝日で染まったその姿は感動的で、それだけでも大満足でした。
もちろん、赤石岳だけで無く、今回レコの主役の悪沢岳も素晴らしい山で、中岳から眺めるその姿は大岸壁のような威圧感に満ちており、登頂意欲を掻き立てるものがありました。
南アから帰り、日常に戻った事で、今後はしばらく東北の山(ほとんど蔵王かな?)がメインになりますが、御期待に応えられるような山行をしたいものです
Luskeさん、はじめましてこんばんは。
とても美しい写真と臨場感のある写真へのコメントで感動しました。
Luskeさんの昨シーズン正月の北岳のレコを読ませて頂いてから、いつもレコを楽しみに読ませて頂いておりました。
山行の技術や力量もさることながら、感想/記録欄の文章も長いのにとても読み易く素晴らしいです。自分の技量と体力では行けないレベルの山行でもあり、ドキュメンタリーを読んでいるようで。
この山行の記録も続編があるようですので楽しみにまた訪問させていただきます。
自分は東北のお山が好きなので、今年もLuskeさんの地元東北へもお邪魔させていただきますね。
自分はユル目のお山歩きですが。。。
それでは失礼します。
Luskeさん、お疲れ様でした。
中岳避難小屋で一緒になったものです。
ご無事に下山で何よりです。
山頂で停滞した甲斐あり、
1/2の夕日、3の日の出は見事でしたね。
私の方は、あの後三伏峠まで行って塩見ピストンして下山しました。(心が折れて仙丈は諦めました)
Luskeさんから頂いた食料、ありがたく頂きました。バタピー旨かったです。
これからも記録楽しみにしています◎
毎回、ため息が出るほどのシビアでストイックな登り。
素晴らしいです。
二日間足止めされても、淡々としたそのタフな精神は羨ましいです。
さすがLusukeさん
荒川〜悪沢岳、富士山、赤石岳の素晴らしい景色。
そこに行った者しか見られない景色を紹介していただきありがとうございます。
レコはかくあるべきだと思わせる写真と文章、惹きこまれました
こちらは飲んで食べてかなり心身ともに甘い世界に浸かっておりました。
寒い〜
swynさん、はじめまして。
とは言っても、これまで何度かswynさんの東北の山行記録は拝見させて頂いた事がありますので、初めまして、という気がしません(笑)
バイクも御趣味のようで、親近感を感じております。
プロフィール写真を見ると、愛車はZRXのようですが、HPアドレスはNINJA。
どちらの車両にお乗りなのか・・・?、妄想しております
今の時期、東北の山はどこも天候が難しいところですが、ぜひ東北の山へいらして下さい。
こちらも、swynさんの次回の東北山行記録、楽しみにしておりますので
塩見岳までの縦走、達成おめでとう!
そして、無事に下山されたようで安心しました
さすがに仙丈までは厳しかったか^^;
でも、聖岳から荒川までの縦走だけでも充分すごいのに、更に塩見まで行ったのだから、大満足の山旅だったのではないでしょうか。
自分もやってみたいけど、流石にそこまでの長期山行は無理です^^;
なにはともあれ、今はゆっくり休養し、次回の山行に備えて下さい。
こちらこそ、これからのtarehashiさんの記録楽しみにしてますよ!
そして、
早く今回の山行の記録、読みたいなぁ〜
と、軽くプレッシャーをかけてみます。
ひひひ
厳寒期の冬山では、停滞も珍しくありませんが、今回は辛かったです。
冬山で油断してはいけませんね><
今回は大反省であります。
やはり、お正月は、飲んで食べてこそですよね。
でもその分、カロリーも増えて、少しお太りになってはいませんか?(失礼)
私、今回の山行で2キロ痩せました。
meikenさん、雪山へ行ったらダイエットできますよ!
ぜひ、今度、泉ヶ岳へでも
厳冬期の悪沢岳はこんな感じになっているんだと知ることができました。
去年の北岳もそうですが、停滞してる時はなにをされているんですか。
今回はデポを工夫されたり、食料を調整されたり。
一番すごいと思ったのは、山行そのものに無茶がかんじられないところだと自分は感じました。
残雪期に同じ道を歩いているのですが、悪沢からの下りトラバースは今でも印象に残っていて怖かった記憶があります。今の時期の雪はいい時期だったんですね。むしろ千枚岳から丸山のあたりの方が難しかったようですね。(これはヤマケイのコースガイドでも書いていました)
当たり前ですが厳冬期は本当にすごそうです。
千枚から丸山までは風も強かったですか。
LUSKEさんといつかお会いできたらいろいろ教えていただきたいです。
大作のレコですので、ゆっくり見させていただきます。
本当にお疲れ様でした。
今回の山行は、metaさんの5月のレコを大いに参考させて頂きました。
雪量が多かったので、当時とは面影が異なっておりましたが、
あの山行でmetaさん達が階段を登ったところで直進してしまい登山道をロストした場所等、
レコの情景を思い出させる箇所が多々あったので、面白かったです
悪沢岳のトラバース、厳冬期の雪の状態は、かなり良いと思いました。
硬くクラストしているので、アイゼン・ピッケルは充分に尖らせておく必要がありますが、しっかりとした装備であれば、よく刺さります。
今の時期は氷点下を上回る事は無いでしょうし、常に強風が吹き付けている場所ですので、雪が緩む事はまず無いと思われます。
(逆に、硬くなりすぎて刺さらない、という状況はあるかもしれませんが・・・)
今回は特に問題なく通過できました。
でも、雪が緩むと、かなり危険なルートである事はひしひしと伝わりました。
GWの時期、私はあのルート遠慮したいです><
やはり今回は、悪沢岳の下降よりも、千枚岳の下降の方が難所でしたね。
ギャップでは、無難に懸垂下降をしていれば何の問題もないと思いますが、
確保無しでの夏道は絶対利用すべきではない、と思いました。
「雪がついていたらここのトップからロープをダウンかな」
とmetaさんのレコにて写真にコメントされてましたが、その考えは正しい。
フリーでの夏道通過はやばいです><
今期歩いたルートの中では、最も緊張させられる道でしたよ^^;
千枚から丸山は稜線上なので、風はそこそこ強かったです。
でも、悪沢岳が壁になっている為か、行動に支障をきたすほどの強さは無く、
特に辛さは感じませんでした。
その代わり、悪沢岳の山頂を過ぎて中岳方面に進んだ途端、一気に風が強まります。
予報によると、1月3日は、この8日間で最も風の弱い日だったようですが、
ここの風はかなり強く、何度も耐風姿勢をとりながら悪沢頂上を目指しました。
停滞の時の過ごし方。
これはなかなか難しい問題ですね^^;
冬期小屋は、たいてい真っ暗で、ヘッデンの電池が勿体ないので読書も出来ず。
北岳の時は、一日中、ウィスキーを飲んで、飲んだくれてましたが、今回は酒も無し。
シェラフに包まりながら、
下山したら何食べるか、とか、白樺荘の温泉ってどんなだろう?
なんて妄想しながら過ごしてました
あとは、ここまでの行程で撮影した写真を眺めたりもしてました。
特に、悪沢岳の下降ルートの写真をよく眺めておりまして、
帰りはこのルートを登るので、道を間違わないように予習してました。
こんにちは、初めまして。
28日、沼平から先行して聖岳東尾根に向かった者です。
荒川、単独、スゴいですね!お疲れさまです。
私もいつかはチャレンジしたいですが、
独りでやり切れる自信はないです。。
とはいえ、いつかののため、記録、
参考にさせていただきます!
28日の林道では、tyakuさん達の後を追わせて頂きました。
年末年始なので、それなりに入山者がいるものと思ってましたが、
南アルプスは少ないようですね。
tyakuさん達も一番乗りだったようで、お互いラッセル三昧になりましたね
やはり、単独だと長いラッセルが一番の関門になるでしょうか。
一日くらいだったら、まぁなんとか我慢できますが、
それが2日続くとしんどいです。。。
拙い記録ですが、tyakuさんがいつか荒川三山を訪れる際に、
少しでも参考になれば幸いです。
千枚小屋までトレースを使わせていただいた4人パーティです。星と焚火といいます。トレースありがとう! スノーシュー置いてきたのでかなり助かりました。
中岳避難小屋の停滞大変でしたね。風が強く僕らも、荒川小屋で1.5日停滞していました。今回、南アルプスの主稜線上で、たくましい2人の若者に出会えました。とても勇気付けられました。南アへの転進前に、雪多く敗退した寺地〜槍〜西穂のリベンジに2人に出会い、また火がつきました!またどこかで会えますように!
どうも、その節は大変お世話になりました。
一人でのラッセルが続いていたので、皆さんが現れた時はほっとしました。
また、千枚小屋以降は先行頂いた事で、とても助かりました。
個人の登山技術、経験だけでなく、チームワークが素晴らしい方々であり、
自分はソロが殆どですが、登山にはチームワークも必要、との認識をさせられました。
槍〜西穂高、というと国内でも最も困難なルートと聞いており、私個人ではとても不可能なルートだと思っております。
どういう人達がそのルートを歩くのだろう?とこれまで想像しておりましたが、
星と焚火の皆さんの様なベテランだからこそいけるルートなのでしょうね。
そのようなベテランの方々に今回で会えた事は、私自身、とても刺激になりました。
今回の山行について、ホームページの記録を拝見させて頂きましたが、小赤石岳の東尾根については非常に参考になりました。
私は雪壁の下降が最大の難所と考えてましたが、それ以上にソロでは雪庇踏み抜きが危険のようですね。
今回、東尾根に行かずに撤退したのは正解だったかも、と深く考えさせれらました^^;
これからも、素晴らしい山行記録を期待しております。
そして、またどこかの山でお会いしましょう!
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