黒部川源流の鷲羽岳・黒部五郎岳へ(新穂高温泉〜折立)―シナノキンバイ・ハクサンイチゲのお花畑からキンコウカまで花三昧の4日間


- GPS
- 75:15
- 距離
- 48.5km
- 登り
- 3,983m
- 下り
- 3,720m
コースタイム
- 山行
- 5:15
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 6:40
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 2:30
- 合計
- 9:20
- 山行
- 6:55
- 休憩
- 1:45
- 合計
- 8:40
天候 | 7/22:晴のち曇 7/23:曇のち晴 7/24:晴のち曇 7/25:晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
7/21(金) 八王子20:34(🚆JR中央本線特急あずさ53号) 松本22:38 (松本市内前泊) 7/22(土) 松本バスターミナル8番乗場05:30 (🚌アルピコ交通ナショナルパークライナー¥2250)※発車オーライネット予約 中の湯06:50/07:13(🚌濃飛バス¥570) 平湯温泉07:25/07:40(🚌濃飛バス¥910) 新穂高温泉08:12 <復路> 7/25(火) 折立12:30(🚌富山地鉄バス¥4500)※発車オーライネット予約 富山駅14:30 富山15:11(🚅北陸新幹線はくたか568号) 大宮17:27/17:30(JR埼京線) |
写真
感想
7/22〜25の4日間で黒部川源流の鷲羽岳、黒部五郎岳を歩いてきた。
4年前、笠ヶ岳から槍ヶ岳まで縦走した時↓と同じように松本駅近くに前泊し初日の7/22の朝、新穂高温泉に向かう。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1965095.html
松本駅バスターミナルから事前予約制になったアルピコ交通の上高地行に乗り中の湯バス停で下車。
中の湯バス停から濃飛バスの上高地発あかんだな駐車場行に乗り平湯温泉で下車。
平湯温泉で同じく濃飛バスの新穂高ロープウェイ行に乗る。
職場の同期の友人が見つけたこの方法を使うと松本駅を5:30に出発して新穂高温泉に8時過ぎに到着できるのだ。
夜行バスは眠れず1日目の行動に支障が出るのでこの方法が一番いい。
松本駅バスターミナルから上高地に向かう人は4年前よりも増えていてバス2台出たのだが、中の湯バス停で下車してこの方法で乗り換える人は他に1人もいなかった。
中の湯バス停で乗ったあかんだな駐車場行のバスも他に2名しかいなかったし、平湯温泉から新穂高ロープウェイ行に乗った人も他に1名のみ。
濃飛バスの朝の便が減便されてしまわないか心配だ。
新穂高温泉からわさび平までは左俣林道を行くため展望は開けないが、小池新道に入ると一気に高度を稼いでいく。
急登だが北アルプスらしく登山道がきれいに整備されているので歩きやすい。
周囲にはシラネアオイの次に好きな高山植物であるシナノキンバイが咲いていて気分がどんどん上がっていく。
周囲には花が多く、姿はホウチャクソウ的で花はチゴユリ的な花が咲いていた。
後から調べてみると、同じユリ科のオオバタケシマランというようだ。
鏡池からは残念ながら槍ヶ岳は見えなかったが、その先の弓折分岐まで登るとシナノキンバイとハクサンイチゲの黄色と白の共演。
これには花好きの友人も大喜びだ。
4年前笠ヶ岳から縦走した時もここを歩いたが、8月の2週目だったこともあり花はほとんど咲いていなかった。
やはり高山植物のお花畑を楽しみたいなら、この7月の中〜下旬が一番いい時期だ。
弓折分岐から先、花見平、くろゆりベンチと花を楽しみながら進む。
シロバナグンナイフウロやピンク色のヤマハハコ(後から調べてタカネヤハズハハコと判明。)は初めて見た。
展望は開けないが、花が咲いているだけでこんなにも楽しい。
最後のピークを越えていくと、すっと展望が開け双六小屋の向こうに鷲羽岳がそびえているのが感動的だった。
2日目、7/23はいよいよ今回自分の中で1番の目的だった鷲羽岳へ。
天気予報から晴天を期待していたのだが、まさかの曇天。
これはピークを踏むだけになってしまうのかと思いつつ、まずは双六岳へ。
雲は動いているので、もしかしたら時間が経てば少しは晴れ間が出るかと時間を稼ぎながらゆっくりと登る。
双六岳山頂に着くまで空は晴れず、先に到着していた人たちが次々に下りてくる。
4年前に見た双六岳の丸い稜線越しの槍ヶ岳を友人に見てもらえないのが残念だ。
双六岳山頂に着くと西側は少し雲が薄く黒部五郎岳が見え隠れしていたが、東側槍ヶ岳方面は依然として雲が厚い。
前に双六岳山頂で会った人は4回目にして初めて槍ヶ岳を見たと話していたので仕方がないのかもしれない。
黒部五郎岳やこれから向かう三俣蓮華岳方面が少し見えただけでもいいかと思っていると、一気に雲が流れた。
人は少ないが周囲から静かな歓声が上がる。
槍ヶ岳方面を見ると、1人喜びながら駆け上がってくる人がいる。
双六岳の丸い稜線を雲が流れて、その向こうに槍ヶ岳から穂高岳の稜線。
この特異な風景を友人にも見てもらうことができて嬉しかった。
このタイミングで山頂にいた人は本当に運が良く、皆笑顔が止まらない。
先ほど駆け上がってきた方と話をすると昨日新穂高から双六小屋まで上がったが曇っていて何も見えなかったそうだ。
そして今日はもう新穂高まで下りてしまうので、登って来て本当に良かったとのこと。
そういえば昨日双六小屋で同室だった方も昨日は何も見えず今日は下るとのことだったが、もう一度登って来ていたのだろうか。
山の展望と言うのは本当に運だ。
双六岳から先は気持ちの良い縦走路を三俣蓮華岳へ向かう。
目の前に格好良い鷲羽岳を見ながら歩いていく。
三俣蓮華岳に到着するころにはすっかり周囲の展望も開けた。
今日は朝早ければ天気がいいという日ではないようだ。
三俣蓮華岳は大学生時代に大変お世話になった方からその名を聞いてはいたが、それから20年、やっと来ることができた。
その方にもう三俣蓮華岳に登った話ができないことが寂しい。
三俣蓮華岳から先、三俣山荘のある鞍部越しの鷲羽岳の姿が本当に格好いい。
鷲が羽を広げているようにも見えるし、友人は白象のようだとも。
三俣山荘まで下り、いよいよ鷲羽岳へ。
鷲羽岳はジュラ紀の花崗岩(花崗閃緑岩)でできているので白く眩しい。
鷲羽岳は本当に黒部の奥地だ。
4年前笠ヶ岳から槍ヶ岳を縦走した時も、7年前烏帽子岳から水晶岳、雲ノ平を縦走した時↓も、鷲羽岳を間近に見ながら登頂することができなかった。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-939646.html
遠くに雲は湧いているが、周囲の山々ははっきりと見ることができた。
鷲羽池のブルーが神秘的だ。
いくら眺めても眺め飽きない展望で、結局山頂に1時間もいた。
昨日ここに登っていた職場の先輩からLINEが来ていて、昨日三俣山荘で、自分もヨセミテに一緒に行ったことのある別の職場の先輩と偶然出会ったそうだ。
皆同じ時季に同じ場所に来たくなるものなのだなと思う。
鷲羽岳から三俣山荘に下り、そこから黒部五郎小舎まではトラバースしていく。
この辺りもカール内になるのだろうか、水が豊富に湧き出ている。
今月頭に秋田駒ヶ岳の湯森山でたくさん見たムシトリスミレを再び見ることができた。
湯森山の時と同じように、水が湧き出る砂礫の斜面にたくさん咲いていた。
葉だけではなく、花茎でも捕食できるのか小さな羽虫が付着している。
黒部五郎小舎はこじんまりとした小屋だ。
夕食までの間小屋の外で西日を浴びながらみんなのんびりとしている。
コミュニケーション能力が高い友人のお陰で夕食までの間や、夕食後も同宿の方々とお話ができて楽しかった。
夕食後の談話室は明日早立ちの人が多いのか、我々の他には1組のご夫婦しか利用していなかった。
友人が昨日泊まった双六小屋にスマホの充電器を忘れてきてしまったのだが、同じグループだからかすぐに連絡が付き、着払いで送ってくれるとのこと。
双六小屋グループは本当に親切で対応がいいと辛口の友人も大絶賛だ。
なかなか来られない場所に来た感覚がして、自分としては珍しく記念の手拭いを買った。
3日目、7/24は黒部五郎岳、そしてその先の西銀座ダイヤモンドコースで太郎平(太郎兵衛平)まで。
黒部五郎小舎からは黒部五郎岳のカールの中を歩いていく。
カールの岩塊の下を流れる清流の音とイワヒバリの聲。
今まで好きな山を尋ねられると、秋田駒ヶ岳が1番、鳥海山が2番だったが、この黒部五郎岳はその鳥海山を上回り、2番となった。
気持ちの良いカール内からカール壁を登っていくと稜線に出て、山頂はすぐそこだった。
サービス精神満点の友人は色々な人を色々なアングルで撮ってあげているようだ。
今日は本当に快晴だ。
笠ヶ岳、乗鞍岳、御嶽ときれいに並んでいる向こうは恵那山だろうか。
槍、穂高はもちろん間近に見えるし、鷲羽岳、水晶岳、赤牛岳の向こうには白馬三山、五竜岳などの後立山。
薬師岳の向こうには立山、剱。
楽しすぎる山頂で1時間以上も時を過ごす。
黒部五郎岳を後にして、西銀座ダイヤモンドコースと呼ばれる気持ちの良い稜線歩き。
ここは3年前、夏山に全然登れず9月に今回一緒に来た友人と薬師岳だけ登り↓、次は歩いてみたいねと話した稜線だ。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2554002.html
黒部五郎岳の東側のカールの反対側はのっぺりとしたハイマツの斜面になっていて、登ってきた年配の方が「行けども行けども風景が変わらずこれはいったいどうしたことですか」とおっしゃっていた。
あんなに晴れていたのに下界が暑すぎるためか、9時を過ぎたらあっという間に雲が湧いてきた。
赤木岳に着く頃には黒部五郎岳も雲に覆われていた。
黒部五郎小舎から黒部五郎岳の山頂へは、気持ちの良いカール内を歩いて2時間余り。
快晴の山頂を楽しめて、黒部五郎小舎に泊まり登ってよかったなと思った。
朝、太郎平を出発して来ただろう人たちとすれ違い終わると、ほとんど人会うこともない。
ライチョウにも会うことができ、稜線歩きを大満喫した。
太郎平まで下ると人が多く、もうなんだか街中に下りてきた雰囲気だ。
太郎平小屋の受付も予約しているのにも関わらず大混乱で、呼ばれるまで1時間待たされたこともあり、なんだかげんなりしてしまった。
それにしても人が多過ぎる。
15時位に薬師岳方面から下りてきて、折立へ下るでもなく山小屋に入るでもなく20時近くまでうろうろしている謎の若者がいたり、20時過ぎに薬師岳から下りてきて何でもない風に山小屋にチェックインする老人もいる。
驚いて友人が尋ねると14時に登り始めたそうだが、ちょっと非常識な気がする。
人が多いと色々な人がいるものだ。
午前1時くらいに寝苦しくて外に出ると、富山市方面の街灯りで満天の星空とは言えなかったが、それでも天の川が見えるくらいには星が良く見える。
時間的な関係で角度変わっているのか、分かりやすい夏の大三角ですら白鳥座の北十字がはっきりと確信が持てない。
4日目、7/25はもう折立へ下るだけだがバスの時間は12:30なので、昨日歩いた北ノ俣岳まで往復することにした。
昨日と同じかそれ以上の快晴だ。
友人は北ノ俣岳手前のハクサンイチゲとチングルマのお花畑を青空の下で写真に撮れ嬉しそうだ。
北ノ俣岳から9時に太郎平まで戻ると時間的に閑散としていたが、友人が女性に話しかけられていた。
後から聞くとYoutuberだったとのこと。
折立までの下りは過去2回歩いたことがあったが、今回はキンコウカが一面に咲いていた。
昨晩太郎平小屋で同じスペースに泊まった方が、登ってくる時に背の高い黄色い花が目に付いたとおっしゃっていたが、このキンコウカのことだったのだろう。
今回は鷲羽岳がメインと思っていたが、同じかそれ以上に黒部五郎岳のカール内を登っていく時が印象的だった。
カール内を流れるせせらぎの音とイワヒバリの聲。
この時季に黒部五郎小舎方面から登ってよかったと思う。
シナノキンバイとハクサンイチゲのお花畑から始まり、キンコウカの一面の黄色に見送られた、花三昧の4日間だった。
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