午前中、ミッドタウンにあるサントリー美術館に「水ー神秘の形」展を見る。この展覧会の見どころはいろいろあるのだが、私にとっては大阪本山寺の「宇賀神像(写真2)」だ。これはめったにお目にかかることのできない神像だ。もともと宇賀神は弁財天の頭にとぐろを巻いているものだったらしい。周りに置かれている鎌倉や室町時代の弁財天増もなかなか面白かった。弁財天の元を辿るとインドの水の女神、サラズヴァティーだ(写真3)弁財天と関連する様々な各地の寺社に残る神像は興味深いものだ。とりわけ竹生島の弁財天増や神奈川の瀬戸神社の古い神像群、住吉神社の神像など面白かった。そういえば鶴岡八幡宮の弁財天も池の中にあったーー。11時から展示作品に関するフレンドリートーク(初心者向けトーク)があり、展示各章から1〜2点を選んでその章のテーマに沿ってわかりやすい解説をしていた。第1章「水の力」は展示NO.6の香水杓と長谷寺縁起と十一面観音像、第二章「水野神仏」では弁財天像と宇賀神像、第3章「水に祈りて」では「善女竜王像」と石清水八幡宮の宝珠代など、第4章「水の理想郷」では「蓬莱山蒔絵平箱」について、第5章「水と吉祥」では18世紀の亀貝尽螺鈿蒔絵杯などの江戸時代の工芸品、第6章「水の聖地」では琵琶湖を渡る日吉大社の山王祇園祭の神輿の屏風絵などの話をしていた。
その後、京成線で佐倉駅に出て国立歴博の映画の会を見る。今回は栃木県の「酒造技術の継承」という2009年に製作した映画で越後杜氏や南部杜氏などの出稼ぎ杜氏が減少する中で、県独自の「下野杜氏」の育成・認証制度を作り、県の産業技術センターと酒造組合などが技術指導のみならず、酒造各社の技術交流や杜氏の認証と関連して利き酒会やコンテストを行い、これまでにない肖像全体の技術向上、新種品評会での上位入賞を目指してしのぎを削っている様子を描いている。数年前に同県の花瓶山を歩いた際に訪問した渡邉酒造も出ていた。栃木の酒づくりにその時強い印象を持ったのだが、その秘密の一端が理解できた。いろいろな点で面白い映画だった。また解説の映画製作者、歴博の民俗学者、青木隆浩氏の話しも面白かった。
映画会の後、現在展示されている「夷酋列像―蝦夷地イメージをめぐる人・物・世界―」が2月7日で終了なので、これを見る。蠣崎波響自筆の「夷酋列像」は異様な迫力でクナシリメラシの戦い後、その戦いの終息に協力したアイヌリーダーたちの肖像で、描かれた装束の背景などを含め、当時のアイヌと倭人との関係のみならず、ロシア、中国を含む国際情勢、交流関係が浮かび上がるもののようだ。今後じっくり研究したいテーマだ。いくつか関係資料を購入し、最終バスで歴博を出発、帰宅する。
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