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2017年11月14日 08:36博物館、展示会、美術館など全体に公開

11月12日(日)新潟博物館めぐり+埋文講座「青田遺跡の時代」

 新潟県埋蔵文化財センターの考古学講座「青田遺跡の時代」を聴講する目的で出かける。新幹線の車窓から上越国境の山々を眺める。浦佐駅付近からは越後駒、八海山方面が見え、少し谷筋に雪がかぶっているのが認められる(写真3)。今日は曇りですっきりしない天気なので、越後三山方面は雲がかかっている。さらに長岡〜燕三条に行く途中では、粟ヶ岳〜守門岳方面の山々が見えるが遠くガスがかかっている。
 新津に出る前に、新潟市内でまだ行ったことのない新潟大学学術資料館と市立歴史博物館に立ち寄る。前回新潟に来た時に利用した万代口にある駐輪場でチャリを借りる。すでに会員カードを持っており、簡単に手続きを済ませる。今回は短い絵距離しか走らないので通常のママチャリを借りる。ブレーキの効き具合やサドルの位置を確認し、チャリを選び、ハンドルにスマホナビを取り付けるマウントを設置してで出発。
 目的地の新潟大学学術資料館は駅から三キロくらいの朝日町の新潟大学医学部のキャンパス内にあった。考古と人類学ー特に医学部解剖学教室の小片教授による人骨研究のコレクションを見るのが目的だが一階の展示では地質学関連のジオパークの展示もあった。糸魚川など県内のさまざまなジオサイト、ジオパークの形成に関係しているようだ。二階では考古資料の展示と人骨研究関連の展示があるのだが、今日まで企画展示、小片先生回顧展が開催されていた8写真1)。縄文と古墳時代の人骨が主なものだか弥生時代や他の時代のものもありなかなか稀な機会で運が良かった。考古資料は同大学の考古学教室で発掘調査した旧石器時代から古墳時代までの遺物や写真などが展示されている。今回はゆっくり見ている時間がないのが残念だが、次回もっと余裕のある時に再訪してみたい。新潟は旧石器時代から今日まで、東北以北と関東中部や西日本を結ぶ要の位置にあり、それぞれの時代に様々な興味深い遺跡がみられる場所だ。「新潟の宝ー小片コレクション」では、ポイセイ猿人、北京原人、ネアンデルタールなどの猿人から求人までの人骨化石や国内で発掘した旧石器*から古墳時代・中近世の人骨までのコレクションが並んでいる。博物館のスタッフに確認すると、今回の特別展終了後も多くの人骨コレクションは常設展示に出ているそうだ。
 最初に展示されている「聖岳人人骨(複製)」は、戦後の日本考古学協会が組織した全国洞穴遺跡調査の際に、別府大学教授の賀集光男氏により発掘されたもので、その後、発掘当時小片教授の鑑定で、頭頂部から後頭部にかけての特徴から、日本の縄文〜江戸時代の頭蓋とは異なり、周口店山頂同101号男性頭蓋に近似するとした。しかしその後の再調査で、出土石器が旧石器のナイフ形文化期、細石刃文化期、縄文後期と三つが入り交じり、またその再出土した人骨の調査では中世の人骨とされ、おりしも旧石器偽造問題が発覚した時期と重なり、賀集教授の偽装が週刊文春の記事となり、いわれのない中傷で賀集教授が抗議の自殺を主な鵜という悲劇に見舞われた。その後、考古学協会でも調査して、賀集名誉教授の汚名は否定されたが、聖岳人人骨の評価は不明瞭な状態だ。再調査で検討した人骨破片と賀集教授が発掘し、小片教授が検討した頭骨破片とは異なることから、決着がついたわけではない。時代の異なる石器が混じっていることを見落としたのは、ままあることで偽装問題とは無縁だー賀集教授はそのことを認めて訂正したが、そのこと自体を責めることはできない。
 また縄文人骨に関しては、昨年の四国旅行で見学した草創期遺構の遺物や人骨の出ている上黒岩岩陰遺跡の早期人骨、今年訪問した室谷洞窟の早期人骨や後期の加曾利人骨・晩期の荒海貝塚人骨などがずらりと並び、弥生時代人骨は富山や岡山の遺跡の人骨など、古い縄文形質と大陸渡来系人骨の中間形など興味深い人骨が並んでいる。また近世や現在の頭骨もあり、人骨の変遷を考える上で貴重な資料が並んでいる。おそらく収蔵庫には展示日に崖のおびただしい数の人骨があることだろう。そのほか、傷病人骨、古人骨の歯に関する研究の展示、小片教授のミイラ・即身仏研究の展示も面白い。9月初めに村上で最後の即身仏の寺を見たことを思い出す。資料館のスタッフと少し話をしてから次の目的地、新潟市歴史博物館に向かう。こちらの展示は新潟砂丘・港に関する展示が主で、この博物館が所蔵しているはずの菖蒲塚古墳など巻町周辺の遺跡の出土品は、常設展示には出ていなかったのは残念。寄託資料などは、企画展・特別展などの特別の機会にしか展示されないという。どうしても見たい場合は事前に博物館に申し込みをして許可を得ないとみることはできないようだ。これは残念であったが、時間もないので見鋳型駅に戻ってチャリを返却し、新津に出てチャリを借りようと考えていたが、今日は何と臨時のお休み、仕方なくタクシーで埋蔵文化財センターに向かい、「青田遺跡の時代」の講演を聞く。この弥生前期と重なる縄文晩期遺跡の集落の形成を出土木柱根の年代測定と合わせて論じる興味深いものだったが、定説と異なる研究結果なので、まだ外部に紹介しないようにということだった。今後この研究はさらに継続されるので、今後の研究の進展と評価に注目したい。帰路は美術館前バス停から新津駅に出て新潟駅経由で帰宅した。
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