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まず写真1）の最古のオルドワン石器（オルドヴァイ）は約260万年前、ガルヒ猿人のものと考えられている（東ゴナ出土）。そばにガルヒ猿人の頭骨も展示されている。これらの石が石器であるかどうか、素人には理解が難し区、専門的なトレーニングを受けた人のみが、見分けることができるという。剥離面が人為的に割られたのか、自然剥離か、使用した痕跡など、様々な角度から調べる必要がある。日本の旧石器時代の石器でも新の石器か偽石器か論争があった。むろん海外でもそうであろう。長い研究の積み重ねの末に現時点がある。猿人と思われる石器でも、その後のホモ属（原人以降）の石器に近い出来栄えのものもあるようだ。そのため、より原始的な石器があるはずと考える研究者がトゥルカナ湖西岸で発見した石器は330万年前とされるが、13�圓發△襪發里發△蝓∪亟錣箸靴道藩儔椎修�疑問も出されているようだ。
写真2）はアシュール型石器で、最初の発見はヨーロッパで100万年前くらいからと考えられたが、その後その起源はアフリカとされ、より古い石器や人骨が次々と発見されてきたらしい。いわゆるハンドアックスやクリーパー、ピックなどの機種があり、ハンドアックスとクリーパーは動物解体に主として使われ、ピックは木の加工などに使われたようだ。この石器が出土したコンソはトゥルカナ湖にそそぐオモ川下流域にある遺跡で、1990年代になってから発見され、東京大学とエチオピア側との共同研究がスタートしたらしい。この石器は、それまでのものと比べて、製作する前に何を作るのか、イメージを作り、いわば「デザインされた」石器であることに注目したいと、佐野氏は言う。これらはホモ属（のうち原人）によるものらしい。
コンソ遺跡については少し長いが、東大博物館による解説によると、
「初期人類の進化に関する多くの知見は1960年代以来、東アフリカにおける活発な調査研究によって得られ、人類進化史の大枠が明らかにされてきた。中でもエチオピアは300から350万年前のアファール猿人の出土地として1970年代初頭以来、一躍注目されてきた。ところが、エチオピアでは様々な問題のため、1981年からは、化石人類に関する調査は全面的に禁止され、ようやく1990年に野外調査が再開された。再開まもなく、アファール猿人などの追加発見が相継ぎ、1992年には440万年前の最古の人類祖先のラミダス猿人が発見された。一方、1990年代初頭のフィールド・ワークがもたらした、もう一つの大きな成果としては、エチオピア南西部にあるコンソ遺跡群の発見をあげることができる。
コンソの化石産出地はトゥルカナ湖に注ぐ有名なオモ川下流域（古生物・古人類学研究、民族学研究、野生動物研究、観光など）への街道沿いにある。従って、アクセスは簡単である。しかしながら、多くの人類学者が往来する中、1991年まで、化石・旧石器の産出地としては全く知られていなかった。私の長年の同僚であるエチオピアのブルハニ・アスファオ氏が率いる同国文化省の広域プロジェクト中（筆者は古生物学担当の海外協力者として参加）、初めてコンソの先史・古生物学的存在が世に知れたのである。規模はそう大きくないものの、質は東アフリカの化石産出地の中でも第一級のものであった。そして、1993年にはエチオピアと日本人研究者の混成チーム（エチオピア側代表者は先史学者のヨナス・ベィエネ氏）を結成し、以後毎年、夏に野外調査を実施している。
コンソ遺跡群は約140から190万年前の古人類サイトであり、我々の調査により、豊富な哺乳動物化石と共に若干数のホモ・エレクトスとボイセイ猿人化石が出土している。初期のホモ・エレクトスはトゥルカナでは約180万年前以後から知られており、猿人やホモ・ハビリスと比べ、体と脳が大きく、脚が長く現代的な体型をもち、顎や歯などそしゃく器の縮小が見られる。ボイセイ猿人はそしゃく器を極端に発達させた、特殊化した猿人である。約230万年前にエチオピクス猿人から進化し、140から100万年前の間に絶滅したらしい。コンソの前期更新世堆積層の上位層準からは豊富な初期アシュール型石器や切傷・打撃痕のある動物骨が伴出する。このため、コンソはアシュール型石器文化の起源と変遷、それと関連した初期原人の生業活動の有り方などを考察する絶好の調査地と言える。アシュール型石器文化とはハンドアックスなどの大型な両面加工打製石核石器の存在で特徴づけられる。また、アシュール型の両面加工石器は、前段階のオルドワン型石器と異なり、初めて一定の形に製作されるようになった石器である。想定される様々な用途のうち、使用実験によると、動物の解体に最も威力を発揮しただろうとされている。
コンソの調査地は約20キロ径の範囲にわたり、断続的に分布する20以上の1キロ径程度の前期更新世露頭からなる。調査地域の主要部の層序・年代・古地形の枠組みがようやく完成しつつあり、これに基づいた動物化石や先史遺物の解釈が今後期待される。動物化石については豊富なカバ化石を除いた同定可能な哺乳動物標本約7000点を採集したが、洗浄・修復・整理・記載・比較研究などは全て、エチオピア国立博物館にて行われるため、日本側研究者による標本研究の進行にはままならない面がある。その中で、16点の人類化石を含め、順次、整理・分析を進めているが、調査開始当時では予想しなかったおもしろさが浮上してきた。コンソは有名なトゥルカナと約200キロほどの近距離にあるため、当然、両調査地の同時代の動物相には強い類似が予想された。ところが、蓋を開けると、種の構成や相対頻度などで相当異なっていることが分かった。これは環境の違いや個々の堆積盆の隔離傾向などに起因すると考えられるが、こうした視点からも人類化石や先史遺物の解釈を進めたい。」、とあるー諏訪元(大学院理学系研究科助教授／本館人類先史部門主任）Ouroboros「エチオピア、コンソ遺跡群の古人類学調査」よりーちなみに諏訪先生は今回の解説会の冒頭にプロジェクト主任としてあいさつされたー。
アシュール型石器も次第に技術が向上し、100万年前以降になると、ソフトハンマー（骨や木など）の使用により、細かな細工が可能になって、見た目にも形が整った石器が出現する。中でも写真3）の50〜70万年前（ホモ・ハイデルベルゲンシスの時代）とみられるアワッシュ出土のハンドアックスは見事な出来で美しい形は実用を越えて「威信財」的なシンボリズムを感じさせる。時代は全く新しいが、数年前に長野で見た「神子柴型石器」を思い起こさせる。
さらに50万年前以降ではルヴァロワ技法による石器が現れる。これはあらかじめ調整した石核から連続的に剥片石器を作り出す技法で、ネアンデルタール人の時代の技術だ。
最後に20万年前以降の現生人類（ホモ・サピエンス）の石器も最終アシュール型石器として、ハンドアックスなどが展示されている。この時代は次第にハンドアックスが減り、ポイント（槍先形尖頭器）が目立ってくる。
解説の後に「日本の旧石器との関係は？」という質問し、佐野氏は「日本の石器は、大陸のどこの石器とも違う要素があり、その系統はよくわからない点がある」という。
この特別展「最古の石器とハンドアックス―デザインの始まりー」は12月24日（日）まで、本郷キャンパス内にある東大総合研究博物館」で開催されており、まだまだ見るチャンスはあります。
興味深い石器の話をありがとう
人類の祖先の歴史は夢を掻き立てます
abc5def6 様、コメントありがとうございます。奈良の方なんですね。奈良だと香芝市に二上山博物館がありますねーー。3万年以上前から列島の旧石器人や縄文人らが愛用したサヌカイトの石器が並んでいます。サヌカイトは明治時代に来日したドイツ人ワインシェンクが香川県で発見した「讃岐岩」で、奈良県では二上山北鹿〜西麓でとれるようです。また二上山の火山活動により、サヌカイトのみならず、凝灰岩や金剛砂（ガーネット）などの原石の露頭があり、凝灰岩は古墳の石棺や城郭などに使われ、金剛砂は明治以降、紙やすりなどのとぎの原材料として使われたらしいです。ガーネットの中の結晶の大きいきれいなものは宝飾品にも使われるようです。また最近、大阪の藤井寺市にある古市古墳群を自転車で見学途中に、瀬戸内技法で著名な旧石器から縄文時代の遺跡のある「国府遺跡」も見学しました。この瀬戸内技法の「国府型ナイフ形石器」は関東まで伝わっておりました。この石器が出現する年代は3万年前（姶良丹沢軽石層＝AT層）より新しいそうです。
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